本日2月5日に配信開始となったPC(Steam)向けジェムマッチローグライトゲーム「ANTHEM#9」(アンセム・ナンバーナイン)をレビュー。デッキを作りあげる戦略性や、超爽快なコンボなど、その魅力を紹介する。
「ANTHEM#9」(アンセム・ナンバーナイン)は、「都市伝説解体センター」でおなじみの集英社ゲームズからリリースされた、koeda氏開発によるPC(Steam)向けジェムマッチローグライトゲームだ。

いわゆるデッキ構築型ローグライトゲームに、マッチングパズルゲームの要素を融合させており、ローグライトゲームが持つ奥深い戦略や戦術、マッチングパズルゲームの持つ爽快感といった点が魅力となっている。今回は、本作の発売に先んじてレビューできるという機会に恵まれた。そこで、本作の魅力を詳しく紹介したい!
超小規模デッキを構築!ジェムでスキルを繰り出し敵を倒すジェムマッチローグライトゲーム
「ANTHEM#9」の基本的なつくりは、デッキ構築型ローグライトゲームのシステムを踏襲している。ルートの分岐したマップ上から次に進むマスを選ぶと、バトルをはじめとした各種イベントが発生。イベントの結果、獲得したスキルをデッキに組み込むことで自分のキャラクターを強化し、マップ最深部に待ち構えるボスの打破を目指す。

ただ本作は、デッキ構築型ローグライトゲームのスタンダードなシステムに、かなり意欲的な要素を採り入れている。もっとも代表的なものが、赤、青、緑という3色の「ジェム」の存在だろう。本作のスキルを発動するには、スキルに応じた「ジェム」を消費しなければならない。ただし、「ジェム」は複数のスキルで共有が可能。

たとえば、あるスキルの発動に赤と青、2つのジェムが必要だとしよう。次に、青と緑という2つのジェムが必要なスキルがあったとする。この時、2つのスキル発動に必要なジェムは、「赤、青、青、緑」の4つ…ではなく、「赤、青、緑」の3つだ。つまり、「青、青」と重複している部分は、1つのジェムで済む。これが、ジェムの共有。

ちなみに、重複している部分を共有できるというシステムなので、「青、緑、赤、青」という順番でジェムを消費した場合、共有することはできない。このため、ジェムを消す組み合わせと順番が重要となる。的確な順番と組み合わせでジェムを消費すれば、手持ちのジェムの数と組み合わせが同じだとしても、より多くのスキルが発動できるのだ。

本作の何よりの魅力がこの、より多くのスキルを発動した時の爽快感!キャラクターや育成状況によっては40以上のスキルを敵に叩き込むことが可能。連続で発生する攻撃エフェクト、そして一気に削れる敵の体力! さらに、スキルが大量に発動すると、敵の行動をキャンセルすることまでできてしまう。
本作の敵は、体力以外にST(スタミナ)ゲージを持っており、スキルによってSTゲージゼロへと追い込むことで、行動のキャンセルが可能なのだ。大量のスキルで敵をフルボッコ、さらに敵は反撃不能、もうずっと俺のターン! この爽快感は、まさしくマッチングパズルゲームのようで、中毒性が高い。

本作のこうした爽快感を支えるもうひとつの仕組みが、超小規模のデッキ。一般的なデッキ構築型ローグライトゲームの場合、デッキに組み込み可能なカード数は、概ね十~数十程度。しかし本作の場合、デッキに組み込めるスキルの数は、3~4と少ない。これは、「いま使用可能なのはどのスキルなのか?」というランダム性を、手持ち「ジェム」の数と組み合わせが担っているからこそだろう。
そして、スキルの数が少ないからこそ、「最高コンボを叩き出すために最適なジェムの組み合わせは何か?」を考えることができる。もしデッキの中のスキル数が多かったなら、「ジェム」の組み合わせに迷ってしまい、ゲームテンポが落ち、現在のような爽快感は味わえなかったに違いない。

もしかすると、ここまでの内容で「爽快感重視で、戦略性や戦術性は抑えめなのかな?」と思わせたかもしれない。デッキに組み込み可能なスキルの数が少ないなら、デッキビルド時の取捨選択も、戦闘時に使用するスキルの取捨選択も、最適解が容易く導けるように感じられるからだ。この点について本作は、ブルーとレッド、2つのデッキを用意するというシステムによって、戦略と戦術に深みをもたらしている。

本作の難易度ノーマル以上では、ブルーとレッド2つのデッキが存在し、戦闘時にはターン毎にデッキが切り替わる。このため、デッキビルド時には、2つのデッキをどう構築するかが問われるし、戦闘時には、現在のターンのデッキを踏まえた最適な「ジェム」消費が問われるのだ。
2つのデッキのうち、片方を切り札的に運用するビルドもあるだろうし、両方のデッキを等しく構築していくというビルドもあり得るだろう。バトルでどのように立ち回るのか? そのためにはどのようにデッキ構築するのか? 非常に奥深い楽しさが味わえる。

キャラクターごと難易度ごとに大きく変化する立ち回り
ここまで本作の基本的なシステムの魅力について触れてきたが、「奥深さ」という点で見逃せないのが、本作のキャラクターたち。本作には「ルービット」、「ファニー」、「ベニ」という3人のキャラクターが登場。キャラクターは外見や設定的にも個性豊かだが、ゲーム的な立ち回りという点でも、個性を発揮してくれる。

プレイヤーが最初にプレイすることになるのは、秘密結社「ANTHEM#9」のエージェントの1人で、推定IQ200超という「ルービット」。「ルービット」は戦闘中「AP」というリソースを消費して、「ジェム」の色を変更することが可能だ。
また、「ルービット」の「ジェム」には「種ジェム」「花ジェム」という特殊な「ジェム」が出現。これらはスキルに使用せず保留しておくことで「種ジェム」から「花ジェム」へと成長し、最終的に「花ジェム」をスキルに使用すると、「リコリス」というスキルを発動できる。「ジェム」色の変更によってコンボも組みやすいし、たとえコンボが難しくとも「種ジェム」育成という方法が採れるという点で、初心者が本作を学ぶのにうってつけのキャラクターだ。

では「ルービット」は、初心者向けのシンプルなだけのキャラクターかというと、そんなことはない。「ルービット」のスキルの特徴は、毒攻撃。毒攻撃は敵がシールドで防御している場合でも、シールドを無視してダメージを与えることが可能。このため「ルービット」使用時は、デッキにどこまで毒攻撃を採り入れるのかという点がポイントとなる。こうした点を考え出すと、初心者のみならず上級者であってもプレイし甲斐のあるキャラクターだ。

「ルービット」で「Mission1」をクリアすると、「ファニー」「ベニ」がアンロックされる。「ファニー」は快楽主義のギャンブラーで、「ダブルジェム」という特殊な「ジェム」の取り扱いが立ち回りのポイント。

「ダブルジェム」はその名の通り、2つの「ジェム」が結合したもので、「ジェム」2つ分として使用できる。ただし順番も考慮しなければならない。たとえば、「赤、青」の順で結合した「ダブルジェム」は、通常の「ジェム」を「赤、青」と使用した場合と同じように扱われる。「青、赤」という順で使用することはできない。
ただ「ファニー」は「AP」を使用して「ダブルジェム」の分割が可能。分割をすれば、通常の「ジェム」2つ分となるため、色の組みあわせや順番がネックという場合でも対処できる。

「ダブルジェム」は、通常の「ジェム」1個が変化するかたちで出現するため、その分使用可能な「ジェム」の総数がアップ。このため、「ファニー」は超大量コンボが作りやすいキャラクターだ。また、高火力スキルも充実している。じゃあ、その分簡単なのかと言うとそうではないのがおもしろい。

というのも、「ファニー」の使用スキルのうち強力なものは、発動時に「虹色の弾丸」や「集中」といった、固有リソースが求められるのだ。
このため、「固有リソースをいかに獲得するか?」という立ち回りが重要。固有リソースは、特定のスキルの発動や、ターンの最初に使用可能な「祝福(ブレス)」の効果といった行為で獲得できるため、固有リソースの獲得と消費を踏まえたデッキ構築や、「祝福(ブレス)」の獲得が求められる。超大量コンボの爽快感と、デッキ構築の奥深さという、本作の魅力を最も体現したキャラクターだと感じた。

最後に「ベニ」は、「正義のヒーロー」を自称し、少数部族の誇りを胸に戦う格闘家。特徴は、APと「ジェム」を消費して、攻撃力、シールド、回復などのバフ効果を得られること。バフを重ねることでコンボの火力がアップするため、スキルに消費する「ジェム」と、バフに回す「ジェム」とのバランスが重要だ。またバフをかけるためにはスキルだけでなくAPも必要なので、デッキ構築の上では、AP回復を踏まえた「祝福(ブレス)」収集がポイントだと感じた。

やりこみ甲斐バツグン!高難易度エンドコンテンツ「Extra Mission」
本作の通常モードは、3人のキャラクターごとに、それぞれ「Mission1」~「Mission4」まで用意されている。「ルービット」と「ファニー」と「ベニ」では、「Mission」数が同じであってもそれぞれ登場するボスが違い、攻略法も違う。難易度も3段階あるため、この時点で、なかなかボリューム感がある。その上「Mission4」までをクリアすると、さらに高難易度エンドコンテンツ「Extra Mission」が待っているのだ。

「Extra Mission」という名前からは、どこかオマケ的ニュアンスを感じるかもしれない。だが、プレイした実感としては、「Extra Mission」こそが本作の本番だと感じた。というのも、まず「Mission1」~「Mission4」まで順次解放されていった要素が、「Extra Mission」では最初からアンロックされている。つまり、本作の知識が最大限試されるのだ。

しかも、「Extra1」~「Extra10」まで用意されており、クリアするごとに制約が追加されていく。ちなみに筆者は、「ルービット」の「Extra1」の最初のボスにあっさり倒されてしまった。…強い!どのようにデッキを構築すべきか?どのようにスキルを使うべきか? デッキビルドも戦術も、もっと洗練させる必要があると感じた。これは奥深い…。

今回プレイして、本作の作者は相当デッキ構築型ローグライトゲームをやりこんだに違いないと感じた。キャラクターごとに求められる立ち回りの差、スキル同士、あるいはスキルと「祝福(ブレス)」のシナジーなど、本作の要素はいずれも奥深く練られている上、段階的にアンロックされていくルールや制約など、「プレイヤーの体験を、入門編的なわかりやすい体験から、いかに奥深い体験へしていくか?」という組み立ても巧みだ。
デッキ構築型ローグライトのファンには、是非オススメしたい。「デッキ構築型ローグライトは、もう飽きた」という人でも、本作であれば新鮮に楽しめるだろう。また、「デッキ構築型ローグライトなんて知らない」という初心者にも、本作はオススメできる。ゲーム序盤はルールが制限された状態なので、非常にシンプルにプレイでき、マッチングパズルゲーム的な爽快感を存分に味わえるだろう。是非、手に取っていただきたい。

(C)koeda / SHUEISHA, SHUEISHA GAMES
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