国産のデジタル基盤やプラットフォーム開発のヒントはゲーム業界にもある?日本に不足しているデジタル基盤・応用人材育成のアプローチも紹介【CEDEC2026】

CEDEC 2026
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7月22日~24日にかけて、パシフィコ横浜 ノースにて開催のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2026」。7月24日に行われた基調講演「世界に普及可能なコンピュータやネットワーク技術の生産手段の確立」の内容をレポートする。

独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)のシニアエキスパートで、筑波大学在学中に起業したソフトイーサの代表取締役、同大学の客員教授、NTT東日本本社特殊局員など数多くに肩書きを持つ登大遊氏が登壇した本セッション。講義自体は非常に示唆に富んでいて、システムソフトウェア領域においては専門外の筆者でも課題が分かりやすい内容となっていた。専門性の高い領域については割愛しつつ、要点を中心にまとめていく。

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一見するとゲーム領域には関係ないように見えるものの、登氏によると、実はシステムソフトウェアの制作においてはゲームと関連することが多く、課題に関してもゲーム制作のアプローチが結果的に機能する点もあるという。

国内のシステムソフトウェア制作における大きな問題はICT人材、とりわけデジタル基盤人材、デジタル応用人材の不足にある。OS、クラウドなどのシステムソフトウェア技術や国産プラットフォーマーといった、本セッションで度々言及された年間社会的便益額(ASV※)の高いデジタル技術の創出には、この課題の解決が大きな鍵を握っている。

※公共事業やインフラ整備などによって、社会全体が1年間で受ける金銭的な価値や利益の合計額

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ASVの具体例としてIPAが開発したVPNソフトウェア「SoftEther VPN」などを紹介。
ASVの具体例としてIPAが開発したVPNソフトウェア「SoftEther VPN」などを紹介。

日本では上述したデジタル基盤人材、デジタル応用人材がほかの先進国と比べても圧倒的に少なくなってしまっているのだが、その原因のひとつとして登氏が述べたのは、日本国内における閉鎖的なセキュリティ・ガバナンスルールだ。国内企業ではメールサーバーのサブドメインを立ち上げることすら危険とされるケースも多く、そのようにブラックボックス化していく環境ではエンジニアの理解に繋がらないと警鐘を鳴らす。

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つまり、既存のシステムを細部への理解がないまま扱うのではなく、(開発におけるすべての領域を網羅的に扱う)フルスタックでの取り組みが求められるのだという。システムソフトウェア領域においては現時点ではまだ国内での人材が足りていないものの、ゲームエンジンをフルスタックで作るという意欲が高い、ゲーム業界の育成手法に着目しているという。システムソフトウェアのソースコードはゲームよりも簡単なはずではあるものの、それが実現できていないのは視覚的な分かりやすさがないからだとし、若い人を熱中させるためにゲームからアプローチすることは有効だと語っていた。

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ここからはゲームの文脈とは少し話は変わるのだが、デジタル基礎・応用製品・サービスといったデジタル技術生産能力は、各国の積極的な取り組みを経て、2024年時点では日本が大きく遅れを取っている状況となっている。しかしながら、米国においては近年ではAI人材の増加に伴い、デジタル基盤人材が不足するという事態が起こり、現実としてAWSの大規模障害などその影響を感じさせる事象も発生している。

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現在はそうした米国の変化に気づいた中国がデジタル基盤技術の人材育成に注力しているが、今後は中国も同様に人材流動が起こる可能性もあることから、先の未来を見据えてデジタル基盤人材、デジタル応用人材の育成を行っていき、将来的な国力としていくビジョンが語られた。

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そもそも、なぜ各国でそうした取り組みが成立しているのか、という観点においては、これまで生み出されてきたサービスの多くが既存組織内の内部で形成される“キャンパス内ガレージ”で生み出されていることが挙げられる。即物的な利益ではなく、人材育成や技術・産業形成、社会との連携といった機能を有するオープン化した小規模組織であることで、フルスタックで取り組める自由度の高い環境が生まれ、結果的にその親元である各組織に莫大な利益が還流される構造が生まれる。この点、日本において具体的な事例が少ない(セッション内ではさくらインターネットの例が紹介された)ことからも大きな課題であるといえるだろう。

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また、米国におけるNREN、中国におけるCERNETのような学術研究ネットワークの必要性も挙げる。現実的に日本では外来製のネットワーク技術を輸入する逆接的なアプローチになってしまったことで、デジタル人材育成・技術形成がなされなかったそうなのだが、今後は日本ならではの取り組み方で実現していくビジョンを持っていることが紹介された。

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加えて、ガレージにおけるデジタル基盤および応用の産業ならびに人材育成を行うためには、物理的な環境構築も含めた自由度の高い“遊び場”であること、技術試行のための独立性・多様性を意識した分散投資が必要であること、安価かつ必須の共通的資源を即時入手すること、そして高度複雑な技術形成には内発的動機を自発的に生じさせることが必要であるという。

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膨大な情報量のセッションであり、割愛した内容を含めるとより理解のレイヤーは深まると考えてはいるものの、セッション内容の情報を整理したまとめは画像の通り。

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ちなみに、自身が客員教授を務める筑波大学においても組織の枠組みを超えた取り組みを行っているようで、その中では共同技術研究に取り組むことは当然ながらもその前段階として、組織の壁を曖昧にし、連携の名目で楽しく遊んで交流することを目的とした、さまざまなコミュニケーションが実施されていた。まさにここでもゲームが活用されており、今後はゲーム業界とシステムソフトウェア業界の間でも同様の取り組みが生まれることへの必要性を述べてセッションを締めくくった。

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冒頭でも述べた通り、本セッションはあくまでもデジタル基盤や応用に主を置いたものとなっていたが、広義のデジタル産業という観点においてもゲームの制作におけるヒントも感じられる内容だった。こちらのセッションはYouTube上でも視聴可能となっているので、ぜひご覧いただければ幸いだ。

アーカイブ配信
https://www.youtube.com/watch?v=b6XjDb2XRxE

CEDEC2026公式サイト
https://cedec.cesa.or.jp/2026/

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

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