「クラッシュ」の裏話から「Demon's Souls」への反省も――吉田修平氏が共に歩んだタイトルと、開発者へのリスペクトを語る【CEDEC2026】

CEDEC 2026
0コメント 近藤智

7月22日~24日にかけて、パシフィコ横浜 ノースにて開催のゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC2026」。本稿では22日に行われた基調講演「私が出会った素晴らしいゲーム、クリエイター、そしてその創造性について」のレポートをお届けする。

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登壇者は、2025年までソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)に在籍していた吉田修平氏。近年はインディーゲーム開発者の支援を中心に世界中を飛び回っていたが、久夛良木健氏らとともに最初期からプレイステーション(以下、PS)に携わってきた1人だ。本講演では、吉田氏がPSと共に歩んできた31年間の中で、厳選した26タイトルについて紹介された。

まず吉田氏が紹介したのは、1996年発売の「クラッシュ・バンディクー」。PS5などのハード設計に関わっているマーク・サーニー氏や、当時まだ小規模だったNaughty Dogが世に送り出したタイトルだ。マリオやソニックのようなマスコットキャラクターが登場するアクションゲームを狙ったが、オリジナルの海外版はいわゆる“バタ臭い”デザインだった。当時のゲーム情報誌「Vジャンプ」を立ち上げた鳥嶋和彦氏には「絶対に売れない」と断言されたという。

そうした意見に開発側も理解を示し、キャラクターデザインや難易度を日本向けに調整した他、キャッチーなCMソングも生まれた。「クラッシュ・バンディクー3」は日本国内だけで100万本を達成し、当時としては海外産のタイトルが日本でヒットした珍しい例になったそうだ。

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「グランツーリスモ」といえば、リアルドライビングシミュレーターの金字塔。2023年には、ゲームのトッププレイヤーを本物のプロレーサーとして育成する「GTアカデミー」の実話を元にした映画が公開されたことも記憶に新しい。

山内一典氏はもともと「グランツーリスモ」を企画していたが、提案が通らなかったため別のタイトルを制作し、戦略的に準備を重ねてから改めて臨んだという。山内氏のように非常に強いクリエイティビティを持ったディレクターでありながら、確かなマネジメント力も併せ持つプロデューサー視点の人物は、極めて稀であると語った。

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6月に新作「God of War Laufey」が発表されたばかりの「God of War」は、Santa Monica Studio代表作のひとつ。ファーストパーティーとして初めて、D.I.C.E. AwardsでGame of the Yearを受賞したタイトルだ。2000年に渡米した吉田氏は「ゲームデベロッパーズカンファレンス(GDC)」で大きな衝撃を受けたという。当時の日本のゲーム業界は他社に情報を出さない閉鎖的な空気が強かったが、GDCでは開発者同士がノウハウを惜しみなく共有していた。背景には、突然のレイオフに備えて個人の価値を高めておく、という側面もあったようだ。

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時代はPS3へと移り、3Dグラフィックスのパフォーマンスが大きく向上。Naughty Dogの代表作「アンチャーテッド」は、リアルな人間のアニメーションとアクションゲームとしての操作感を両立することを目的のひとつとして掲げられたそうだ。またPS3では、PS2までとは大きく異なる新たなアーキテクチャでゲームを開発することになった。これをきっかけにNaughty Dogを軸として、1つのゲームエンジンをファーストパーティースタジオで共有する動きが誕生。これが、ファーストパーティー全体の開発を支える重要な役割を果たしたという。

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「サイレントヒル」などを手掛けた外山圭一郎氏による「Gravity Daze」は、PS Vitaのポータブル性を活かしたタイトルだ。吉田氏は「ICO」「人喰いの大鷲トリコ」などを生み出した上田文人氏が明確なビジョンを持ち、細部までクオリティを追求するタイプである一方、外山氏は大枠のビジョンを示しつつも、チームメンバーの主体性や創造性に期待するクリエイターであると感じたという。

「サルゲッチュ」なども含め、数多くの人気タイトルを提供してきたSIE JAPAN Studioだが、2021年4月に再編。ハードを牽引するタイトルを求める会社の方針と、クリエイター独自のアイデアが噛み合わなかったという。しかし、その結果として「野狗子: Slitterhead」や「Ratatan」のような新作が生まれたのではと語った。

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吉田氏が、自分が関わったキャリアの中で最も誇らしいタイトルとして挙げたのが「風ノ旅ビト」だ。本作はPlayStation Networkを通じて配信された、ダウンロード専用のコンパクトなゲーム。謎を感じさせる美しい風景を孤独に進むもよし、オンラインのプレイヤーと共に旅をするもよしの、唯一無二の体験が待っている。

オンラインゲームとは、何かと荒れやすい性質をもつ。そんな中、本作を手掛けたJenova Chen氏は「一緒にプレイしているみんながハッピーになるゲームデザイン」を目指してプロジェクトをスタートさせた。そんな「風ノ旅ビト」は、数々のAAAタイトルを抑えて高い評価を獲得。吉田氏は少人数チームで開発したゲームがプレイヤーに深い感動を与え、人生を前向きに変えていく瞬間に立ち会ったことで、わずかでもその開発へ貢献できた喜びと誇りを語った。

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一方、反省点として挙げたのが「Demon's Souls」だ。当時はファンタジーがテーマのアクションRPGだと思い、宮崎英高氏がどのようなユーザー体験を作ろうとしているのか把握しきれなかったという。発売当時こそ盛り上がりに欠けたが徐々にプレイヤー間で評価が高まり、海外でも展開していくことになった。その後継作品である「DARK SOULS」については「前、ソニーはサポートしてくれなかったよね」とパートナーを断られてしまった経緯を語る。現在フロム・ソフトウェアは、当時欧州の展開をサポートしたというバンダイナムコエンターテインメントとタッグを組んでいる。

しかし、後に「Bloodborne」というチャンスが巡ってくる。なかでもJAPAN Studioの配信番組で、プラチナトロフィーを取るために苦労したボスを生配信中に見事撃破できたのが思い出に残っていると話す吉田氏。熱心なファンも多いタイトルのためリマスターなどについてよく聞かれるが「全ては謎」としながらも、一ファンとしては出てほしいと願っているとコメントしていた。

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この他「ラチェット&クランク」「リトルビッグプラネット」「サウンドシェイプ」「Rez Infinite」「Fall Guys」「Ghost of Tsushima」「Stray」「Stellar Blade」「九日ナインソール」「Clair Obscur: Expedition 33」など数々のタイトルにまつわる体験談や、8月発売の「Beast of Reincarnation」への期待を膨らませながら講演は終了した。

本セッションはYouTubeでも配信されているので、全容が気になった人はこちらをチェックしてほしい。

「CEDEC2026」公式サイト
https://cedec.cesa.or.jp/2026/

趣味のゲーム系をはじめ、IT/ビジネス系などWeb媒体を中心に活動。AAAタイトルから乙女ゲーム、インディーズまで何でも遊ぶ雑食ゲーマー。あらゆる次元のアイドルと映画も愛してます。 https://contacos.hatenadiary.jp/

本コンテンツは、掲載するECサイトやメーカー等から収益を得ている場合があります。

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