8月11日に東京国際フォーラム ホールCにて開催された、「プロジェクトセカイ カラフルステージ! feat. 初音ミク」(以下、「プロセカ」)のオーケストラコンサート「セカイシンフォニー2026 - Instrumental Harmony -」。ここでは、昼公演の模様をレポートする。

「プロセカ」の歴史ととともにこれまで毎年行われている「セカイシンフォニー」。今年も大阪・横浜の2会場で、各ユニットからのスペシャルゲストを招いて盛大に催された。
これまでの「セカイシンフォニー」は、各地のオーケストラおよびセカイシンフォニースペシャルバンドによる演奏を、演出映像や歌唱を交えて届けていくスタイルだったが、今回行われた「セカイシンフォニー2026 - Instrumental Harmony -」(以下、東京公演)は、それらの演出やバンドによる演奏を含まない、オーケストラの生演奏だけで構成する、今までにない試みとなっていた。
冒頭で届けられた「ペンタトニック」(作詞:syudou・バルーン、作曲:syudou・バルーン)は、筆者が取材した横浜公演でも披露された楽曲だが、バンドによる演奏がない分、パーカッションによるリズムが印象的。その上でさまざまな楽器の音を十分に味わえる、東京公演だけの特別な演奏となった。

東京公演では、司会進行として“Leo/need”星乃一歌役の野口瑠璃子さんが出演。フルオーケストラでの演奏となる今回のコンセプトや楽曲の紹介を挟むかたちで、「プロセカ」を彩る。

「天秤、指先で触れて」などの最新曲を含む「プロセカ」楽曲の数々がフルオーケストラによる演奏で彩られる
“Leo/need”の楽曲である「透明なパレット」(作詞:Aqu3ra、作曲:Aqu3ra)は、優しい弦楽器の音色に重厚な管楽器が重なり、バンドサウンドとはまた違った魅力があふれる演奏に。要所でのシンバルの響きも耳に残る。
続く“MORE MORE JUMP!”の楽曲「フロート・プランナー」(作詞:Heavenz、作曲:Heavenz)は、軽快なテンポの中で木琴とタンバリンの音がアクセントの一曲。管弦楽器の厚みのある音がスケール感を表現している。
次に披露された「オールイン・ワン」(作詞:和田たけあき、作曲:和田たけあき)は、今年6月に発表されたばかりの“ワンダーランズ×ショウタイム”の楽曲。おどろおどろしさのある独特なメロディーから始まり、一曲の中で目まぐるしく変化する曲調をピアノの音色などで表現。最後は壮大に締めくくる。
“Vivid BAD SQUAD”の楽曲「CR詠ZY」(作詞:梅とら、作曲:梅とら)は、重く厚い低音が響く管弦楽器の音色に加えて、要所でのジャンベによる演奏なども印象的な演奏だった。
そして、“25時、ナイトコードで。”の楽曲「化けの花」(作詞:なきそ、作曲:なきそ)では、打楽器の疾走感のある演奏から音の厚みを増していく、楽曲の持つ空気をオーケストラならではのアレンジで届けていた。

“MORE MORE JUMP!”の楽曲「あなたの空が泣くのなら」(作詞:ユジー、作曲:ユジー)は、ピアノとイングリッシュホルンによる主旋律から、弦楽器も加わっての厚みのある演奏で優しく届けられる。終盤でのスケール感あふれる演奏も印象的だ。
そして、“ワンダーランズ×ショウタイム”の楽曲「ワンスアポンアドリーム」(作詞:YASUHIRO(康寛)、作曲:YASUHIRO(康寛))は、管弦楽器が主旋律を支えつつも多彩な楽器の音色によって、キラキラとしながらも奥深い印象を与える演奏となっていた。
続く“25時、ナイトコードで。”の楽曲「光」(作詞:水野あつ、作曲:水野あつ)は、柔らかなメロディーラインからサビに向けて厚みを増していきながらも、キレイな旋律を届ける一曲。中盤からのテンポアップや、高低の音が混ざり合う展開がエモーショナルだ。
ゆったりとしたテンポの中で管弦楽器による演奏が耳に残る“Vivid BAD SQUAD”の楽曲「羽歌」(作詞:遼遼、作曲:遼遼)は、スケール感のある後半の盛り上がりが印象的。
「光」「羽歌」と発表されてから日が経っていない楽曲たちが届けられる中、第1部の最後に披露されたのが「天秤、指先で触れて」(作詞:卯花ロク、作曲:卯花ロク)。発表されたばかりの“Leo/need”の楽曲だが、キャッチーな曲調をオーケストラならではのシンフォニックなアレンジで表現。勢いと温かみが混ざりあった演奏となっていた。

じんさんが自身のスランプに対する救いになった楽曲をセレクト
休憩を挟んだ後は、“Leo/need”の楽曲「ステラ」(作詞:じん、作曲:じん)が披露される。バンドサウンドとはまた違った音の厚みで、雄大さを感じさせつつ、楽曲の後半ではピアノとハープの音色が軸となり、フルサイズのボリュームで多彩な演奏を楽しめた。
演奏後は、同楽曲を手掛けたじんさんをゲストに迎えて、野口さんとのトークが繰り広げられる。
フルオーケストラでの演奏についてじんさんは、歌唱がなくとも曲だけで景色が浮かび、歌詞が頭の中に蘇ってくると全体の印象に言及。そして自身の楽曲である「ステラ」については、星をテーマに夜空が浮かぶような曲というコンセプトを語るとともに、フルオーケストラによる演奏で凛と澄み渡るような冬の夜空のようだと表現していた。
ちなみに、「ステラ」は「プロセカ」のリリース前に制作されていた楽曲ということもあり、設定などを通したスタッフの熱量が語られつつ、歌唱した野口さんが一歌として楽曲の煌めきを伝えられるように試行錯誤をしたという当時のエピソードも語られていた。

そして、今回ならではの企画として昼夜それぞれでじんさんがセレクトした楽曲をオーケストラで演奏するパートも用意されており、昼公演でセレクトされたのは「あちこちデートさん」(作詞:駄菓子O型、作曲:駄菓子O型)と「ミルククラウン・オン・ソーネチカ」(作詞:ユジー、作曲:ユジー)。
「あちこちデートさん」はボカコレのルーキーランキングで1位を獲得した楽曲で、緻密なコードワークと日常を描いているのにファンタジー的な表現になっている点を評価。そして「ミルククラウン・オン・ソーネチカ」だが、「アディショナルメモリー」の発表後にじんさん自身がスランプになってしまった中、友人に教えてもらった曲であり、美しく素晴らしい楽曲だとその出会いを語った。
実際のオーケストラによる演奏では、独特なテンポとメロディーラインの「あちこちデートさん」は、ホイッスルなども含む多彩な楽器を織り交ぜながらの演奏に。「ミルククラウン・オン・ソーネチカ」は軽快なピアノのメロディーから、美しい音の調和が耳に残る一曲となっていた。

披露された楽曲やオーケストラの感想に関するトークが続く中、コンサート当日が一歌の誕生日であることに野口さんが触れると、なんとオーケストラによる演奏で誕生日をお祝いするサプライズも。
そんな中で本編最後の楽曲として披露されたのは「NEO」(作詞:じん、作曲:じん)。じんさん自身が先ほど言及したスランプの時期に制作した楽曲ということだが、一度制作したデモを無しにして改めて作る中、自身が音楽を続けていくことへの向き合いと「プロセカ」が続いていくことがつながって制作された曲だと当時の制作エピソードが演奏前には語られた。
そして披露されたオーケストラによるパフォーマンスは、壮大なサビへと向かう疾走感溢れる楽曲の魅力はそのままに、テンポを柔軟に変えるなどインストならではの表現の幅を感じさせる演奏となっていた。
指揮の栗田博文氏によるお茶目な一幕もありつつ、カーテンコールでは「Be The MUSIC!」(作詞:キノシタ、作曲:キノシタ)が披露される。オーケストラでの演奏にぴったりなマーチ調の楽曲で、管弦楽器の軽妙な音色が印象的だ。
そして、ハープの美しい音色から最後に届けられたのは「セカイ」(作詞:DECO*27、作曲:堀江晶太(kemu))。「プロセカ」にとっての始まりの一曲を音の濃淡をバリエーション豊かに表現し、クライマックスはすべての音が重なり合う圧巻の演奏となっていた。

オーケストラコンサートという意味では、すべての楽曲がインストでのパフォーマンスになることは必ずしも珍しいことではないが、こと「プロセカ」のフルオーケストラという点で印象的だったのは、じんさんも口にしていた演奏から楽曲の持つ風景や歌詞が浮かび上がってくることだ。こうした気づきを得られる機会という意味でも貴重な場だったので、ぜひまた同様の公演が実現することを願いたい。
セットリスト
M1. ペンタトニック(作詞:syudou・バルーン、作曲:syudou・バルーン)
M2. 透明なパレット(作詞:Aqu3ra、作曲:Aqu3ra)
M3. フロート・プランナー(作詞:Heavenz、作曲:Heavenz)
M4. オールイン・ワン(作詞:和田たけあき、作曲:和田たけあき)
M5. CR詠ZY(作詞:梅とら、作曲:梅とら)
M6. 化けの花(作詞:なきそ、作曲:なきそ)
M7. あなたの空が泣くのなら(作詞:ユジー、作曲:ユジー)
M8. ワンスアポンアドリーム(作詞:YASUHIRO(康寛)、作曲:YASUHIRO(康寛))
M9. 光(作詞:水野あつ、作曲:水野あつ)
M10. 羽歌(作詞:遼遼、作曲:遼遼)
M11. 天秤、指先で触れて(作詞:卯花ロク、作曲:卯花ロク)
M12. ステラ(作詞:じん、作曲:じん)
M13. あちこちデートさん(作詞:駄菓子O型、作曲:駄菓子O型)
M14. ミルククラウン・オン・ソーネチカ(作詞:ユジー、作曲:ユジー)
M15. NEO(作詞:じん、作曲:じん)
カーテンコール
M16. Be The MUSIC!(作詞:キノシタ、作曲:キノシタ)
M17. セカイ(作詞:DECO*27、作曲:堀江晶太(kemu))
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オフィシャル写真撮影:国府田利光
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