【CEDEC 2012】プレイステーション第3の柱となる新プラットフォーム「PlayStation Mobile」がゲームビジネスにもたらす変化とは?

発表会・イベント取材
0コメント 仁志睦

2012年8月20日から22日までの3日間にわたって、パシフィコ横浜にて開催されたゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2012」。今回はソニー・コンピュータエンタテインメントのモバイルサービス事業推進部の浅野剛史氏が、新サービス「PlayStation Mobile」の概要や展望について語ったセッション「PlayStation Mobileの挑戦」の内容を紹介する。

ソニー・コンピュータエンタテインメント<br />モバイルサービス事業推進部 浅野剛史氏
ソニー・コンピュータエンタテインメント
モバイルサービス事業推進部 浅野剛史氏

浅野氏はまず、PlayStation Mobileを「据え置き機のPlayStation3、携帯機のPlayStation PortableとPlayStation Vitaに続く3つ目の柱」と紹介。クロスプラットフォーム・クロスデバイスをコンセプトとした専用デバイスを持たないサービスで、PlayStation Vita及びスマートフォンやタブレットなど、好みのハードでコンテンツを楽しめる「モビリティ(機能性)の高いプラットフォーム」であると述べた。

このコンセプトの実現により、多種多様なデバイスにPlayStationの世界を広げていきたいとのことで、従来のゲーム専用機向けの制作者はもとより、カジュアルやソーシャルといったライトなコンテンツの制作者にも参加してもらいたいと語った。

世界レベルでの大規模な市場の形成を目指す

このPlayStation Mobileで、浅野氏はふたつの目標に挑戦するという。ひとつは新たな市場の創造。PlayStation Vitaは新色のクリスタルホワイトの投入により普及を加速させており、AndroidスマートフォンもXperiaシリーズが好調とのことで、現在のPlayStation Mobile対応デバイスが作り出す市場規模は今期末には2000万台以上に達すると予測。とりわけ、スマートフォンは拡大傾向にあるため、さらなる市場規模の増加を見込んでいるようだ。

現在はソニーグループのデバイスを軸としているが、他社デバイスメーカーにも積極的にアプローチしていくとのことで、すでにHTC、ASUS、Wikipadの参入が決定。さらに、PlayStation 3への対応も検討するなど、より大きな市場を形成すべく、対応デバイスの拡大につとめていきたいと浅野氏は意気込みを語った。

デバイス拡大と並んで重要になるのが課金ユーザーの増加だが、すでに1億以上ものPSN(PlayStation Network)アカウントがあり、市場形成のネックになる「会員の増加」はすでにクリアできていると強調。この大規模なアカウント数をベースにして、さまざまな展開をしていきたいと考えているもようだ。

もちろん、PlayStation Mobile向けコンテンツの充実も図られており、すでに国内外の85社のゲームソフトメーカーの参入が決定しているという。メーカーが簡易的な手続きで世界に向けてソフトを販売できる仕組みも構築するとのことで、まずは日本、アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツなどの9か国で開始し、順次対象国を拡大していくとのことだ。

また、ゲーム専用機と汎用的なデバイスの両方で展開できることから、ゲームに熱心なファンが多くいるコアゲーム市場と単純で簡単なゲームが好まれるカジュアルゲーム市場をつなぐ存在になるとアピール。加えて、仮想プラットフォームゆえに今後新たなデバイスが伸びた場合の市場の変化にも対応できるなど、その将来性に期待を寄せた。

開発・販売のハードルを下げてコストダウンを実現

ふたつめの挑戦は販売・開発コストの低減だ。浅野氏はこれらのコストを抑えて高品質なコンテンツを送り出すことが今後重要になると語り、そのための取り組みとなる「PSM Developer Program」を紹介した。

PSM Developer ProgramはPlayStation Mobileコンテンツの開発やPlayStation Storeを通じた販売をサポートするサービス。公式サイト「PlayStation Mobile Developer Portal」で提供しており、ここでディベロッパー登録やライセンス購入の手続き、開発ソフトのダウンロードなどができる。また、公式ニュースや技術情報の提供なども行われるとのことだ。

開発者同士の議論や情報交換などができるフォーラム「PlayStation Mobile Developer Forums」の利用も可能になっている。英語と日本語の両方をサポートしており、まだオープンベータの段階ながら、すでに活発な議論がなされているという。

PlayStation Storeでコンテンツの販売ができるようになるラインセンスフィーの価格は年間99ドル。販売前にSCEによる簡易的な品質チェックを受ける必要はあるが、ガイドラインは全世界共通で国や地域による差異はないなど、容易に販売手続きができることが強調された。

販売スタイルはSCEがコンテンツを買い取る仕入れ販売方式で、卸値はコンテンツ開発者が価格の一覧から選ぶことができる。また、近年のトレンドである、ゲーム本体は無料でアイテムなどに課金するスタイルでの販売も可能になっている。

ディベロッパー登録や開発用ソフトウェアはすべて無料で、専用の開発機も不要。市販のパソコン上でソフトの開発や動作シミュレーションなどが行える。開発言語はもっとも一般的なC#を採用しており、開発者側の要望があれば対応言語を増やすことも検討するとのこと。また、「PS Mobile Studio」という統合開発環境や簡単にユーザーインターフェースを作成できる「PS Mobile UI Composer」などのツールも用意されている。

作成したコンテンツはすべてのPlayStation Mobile対応デバイス上で動作するため、デバイスごとにバイナリを作り直す必要はない。Androidデバイスは端末ごとの仕様の差が大きく(端末の断片化)、従来はそれぞれに最適化するのが非常に難しかったが、こういった問題を緩和する設計もほどこしているとのことなので、開発にかかる時間とコストを大幅に軽減できそうだ。

PlayStation Mobileの正式サービスの開始は2012年の秋を予定。携帯電話料金から支払いを行うキャリア課金を採用するかなど、まだまだ検討中の課題も多いようだが、多様なコンテンツの登場が見込まれるだけに、どのように展開していくか今後の動向に期待したい。

※画面は開発中のものです。

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