1万本以上のゲームを所持しているゲームコレクターの酒缶さんが、ゲームアーカイブスで配信されているタイトルに携わった方々にインタビューを行う連載企画「ゲームコレクター・酒缶のリコレクションアーカイブス」。第1回目は、「ルプ★さらだ」のディレクターを務めたフューパックの藤島聡氏へのインタビュー内容をお届けします。

目次
  1. 今回のリコレクター:藤島聡氏
  2. 「ルプ★さらだ」
  3. プロフィール

昔遊んだあのゲームを友達に薦めてみても遊ぶ環境がない、それが10年前のレトロゲームの真実。しかし、そんな哀しい時代は終わりを告げて、今では現行機種でもダウンロードソフトを購入すれば過去のゲームで遊べるようになりました。それなら、ゲームだけじゃなく、そのゲームの開発者の話だって、今訊きたいじゃないか。そこで、ゲームコレクターの酒缶が、ゲームの話をリコレクトするため、ゲームの開発者のところに訪れることにしました。

今回のリコレクター:藤島聡氏

フューパック代表取締役。制作に関わったタイトルは「キーパー」(SFC)、「美食戦隊 薔薇野郎」(SFC)、「るぷぷキューブ ルプ☆さらだ」(PS)、「ルームメイト~井上涼子~」(SS)、「となりのプリンセス ロルフィー」(PCFX)、「超神兵器ゼロイガー」(PCFX)、「できる!ゲームセンター」(PS)など多数。

酒缶:「ルプ★さらだ」は1996年発売ということで、発売からすでに16年も経っています。ついに、プレステもレトロゲームになりつつありますね。

藤島氏(以下、敬称略):15周年というタイトルが次から次へと出てますから(笑)。

酒缶:今回はそこを取っ掛かりに色々話を訊かせていただきます。

藤島:はい。

「ルプ★さらだ」

1996年8月30日にデータム・ポリスターがプレイステーション向けに発売したパズルゲーム。主人公「サラダ」は、おじさんの不思議な話の世界の人物になりきって、キューブをつなげて消すパズルに挑戦していく。ストーリーごとに別々のBGMが歌入りで流れることでも有名なゲーム。2010年9月22日よりゲームアーカイブスで配信されている。

ゲームアーカイブス版
http://www.jp.playstation.com/software/title/jp0747npjj00457_000000000000000001.html

酒缶:藤島さんがゲームを作るようになったきっかけって何ですか?

藤島:小学校4年生の時に、6月30日にプール開きがあって、友達と街に新しくできたプールに行ったんですよ。その後、帰りにその辺の電気屋に寄って、そこで初めてパソコンというモノを見て、強烈に興味を持ちました。

酒缶:その時代って、子どもだけで電気屋さんには自由に入れたんですか?

藤島:行くと子どもがたむろしているような状態で、要はパソコンみたいな当時30万、40万もするようなモノを売ろうとした時に、「ほら、子どもでも触れるんですよ」みたいなことをアピールしたかったんだと思うんです。自由に使えるようになっていました。

酒缶:いきなりお店でパソコンの勉強をされたんですか?

藤島:日立のベーシックマスターとかのカタログがあるんですけど、その裏にBASICコマンドリストが出てて、「これは何の命令だろう」というのを自分で調べたり人に訊いたりいろんなことをして覚えていった感じですね。

酒缶:その頃、周りには仲間がいたんですか。

藤島:いましたね。パソコンショップで友達になって。

酒缶:自分も勉強するし、他の人も勉強するし、教え合うようなコミュニケーションがあったんですね。

藤島:ライバルだったりしてね。「ザナック」の広野さんなんかもそういうところからの付き合いですね。

酒缶:その頃は、ゲーセンとかアーケードのゲームではなくて、パソコンのプログラムにはまっていたんですか?

藤島:まぁ、プログラムと言っても、子どもの考えることなので、ゲームをしたいということが大前提であるんですけど。それで、「本のプログラムを打ち込めばゲームが出来るんだぜ」というノリですね。

酒缶:パソコンショップでプログラムを打って遊んでいたことから、直接、お仕事にシフトされたんですか?何か、転機はありましたか?

藤島:本のプログラムを打って遊んでいたところから、自分で作るようになって、雑誌に投稿するようになると、お金になるんですよ。それが半分仕事みたいなもので、プログラムを次々作っては投稿するようになりました。

酒缶:就職とか仕事ではなく、プログラムをするとお金をもらえるから?

藤島:ま、仕事としてやっているというよりは、とにかく作ることが好きだったので、好きなモノを作って更にそれがお金になるし。ま、お金になったと言っても、それでパソコンとか買ったりすると…(笑)。

酒缶:パソコンは高いですからね。

藤島:パソコンショップで、元コンパイル社長が店員だったんですよ。そこを辞めてコンパイルを興こしたときにプログラムをできそうな人に「ちょっとうちでバイトしない?」みたいな(笑)。

酒缶:それで、学校の授業が終わったら仕事、という感じですか?

藤島:仕事、というか、お手伝いなので。自宅で仕事をしてました。

酒缶:フリーランス的なお仕事をしていたんですね。

藤島:そうです。

酒缶:その後、コンパイルにかなり長く……。

藤島:実はかなりでもないですけどね。91年くらいまでなので。

酒缶:80年代半ばくらいからコンパイルに入られたんですか?

藤島:いや、実はですね。コンパイルの社員にはなってないんですよ。最初から最後までアルバイトや契約社員としてやっていました。

酒缶:コンパイルでお仕事をされていた後はどうされたんですか?

藤島:プログラムの仕事を探して、スーファミのソフトなどを作ってました。データム・ポリスターから発売された「キーパー」などです。この頃法人を立ち上げました。

酒缶:元々、「キーパー」は投稿作品でしたっけ?

藤島:アスキーの投稿作品で、これもすごい偶然なんですけど、サクセスが先にアーケードで作って、秋葉原でロケテスをやっていたときに、たまたま見ていたんですよ。で、「このゲーム知ってる!」という話になって。

酒缶:で、それで、そのままお仕事として作ることになったんですか?

藤島:そうですね。

酒缶:この頃のタイトルは、藤島さんの色はあんまり出てないんですよね?

藤島:いや、「キーパー」のパズルモードはオリジナルなんですよ。

酒缶:パズルゲームは結構好きなんですか?

藤島:めちゃくちゃ好きですね。

酒缶:やっぱり(笑)。

藤島:今でも「パズルゲームを出すところがあったら、せめて面作らせろ!」と言って回っているんですけど。

酒缶:(笑)。面を作りたいんですね。ルールを作るのは?

藤島:ルールも好きですよ。

酒缶:「キーパー」は完全にルールが決まっている状態で面を作っていますよね。

藤島:元は延々と遊び続けるゲームなんですよ。なので、固定面で時間もなく、決まった回数以内に全部のパネルを消すパズルを入れたんですけど、その辺りのデザインをしました。

酒缶:なるほど。それでは、いよいよ今日の取っ掛かりとさせていただいていた、「ルプ★さらだ」の話になりますが、「ルプ★さらだ」での藤島さんの役割はどうだったんですか?

藤島:まず、ゲームのルールを考えました。

酒缶:スタッフロールには、ディレクターとゲームデザインと書かれていたんですけど、ゲームデザインという部分が特にルール作りですよね。

藤島:そうです。PCで動かせるモノを作って、パズル面を作るツールを作って、あとはひたすらパズル面を作っていた感じです。

酒缶:スタッフロールのパズルデザインのところに「Pac」とあったのが、パズル面を作っている藤島さんですね(笑)。「ルプ★さらだ」を遊び始めた時は、割とアバウトな操作のゲームだと感じたんですけど、遊び続けているとしっかりとしたパズルゲームだと認識が変わりました。キャラの真上にブロックがあったら飛べないとか、飛んだ先でブロックに手を引っ掛けて登る動作が入っているとか、2段に重なっているブロックの下を押すと上のブロックに押しつぶされるとか、キャラの動きとパズルがしっかりと繋がっていて気持ちいいんです。

藤島:細かい話だと、「キーパー」でもやっていたことなんですけど、普通に歩く時には普通に歩いて、歩くのを止めたいときには前のコマに戻るときに、どこまで行ったら前のコマに戻る、どこまでいったら先のコマに進む、とか、何もない時には歩き始めるけど、ブロックの場合にはブロックの前である程度タメがあって押し始めて、連続で押す場合にはそのまんま押し続けるだとか、そういう細かい点を結構気持ちよくできるようには調整したつもりです。

(インタビュー後編は来週9月9日に掲載予定です)

プロフィール

酒缶(さけかん)/ゲームコレクター

1万本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。ニンテンドードリームにて「酒缶が訪う」連載中。最新作は3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」。

■公式サイト「酒缶のゲーム通信」
http://www.sakekan.com/

■twitterアカウント
http://twitter.com/sakekangame

■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション1」
http://www.pubooks.jp/item/detail?id=386

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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