コーエーテクモゲームスより2013年3月28日に発売されるPSP用ソフト「下天の華」で、森蘭丸を演じる島﨑信長さんに収録後、お話を伺うことができたので、その内容を紹介する。
本作は、「アンジェリーク」「遙かなる時空の中で」に代表される「ネオロマンス」シリーズを手がける、コーエーテクモゲームスの開発チーム「ルビーパーティー」が6年ぶりに開発中の完全新作の恋愛アドベンチャーゲーム。
戦国時代を舞台に、プレイヤーは“くのいち”となって織田軍の陣営に潜入し、与えられる密命をこなしていく。織田信長や明智光秀を始めとする個性的なキャラクターたちとの交流の中で、疑惑を抱かれながらも次第に深まっていく縁。密命を帯びたくのいちと、動乱の時代を生きる武将達とのスリリングな恋と疑惑のドラマが楽しめる。
数回に渡ってお送りするキャストインタビューでは、アフレコの感想やキャラクターの魅力、さらにはゲームの設定を通したキャスト自身の話なども聞いた。今回は、“情熱を秘めた、ストイックな美青年”こと森蘭丸役の島﨑信長さんへのインタビューの模様を紹介しよう。
――アフレコを終えての感想をお聞かせください。
島﨑さん:すごく楽しかったです。世界観、シナリオ、設定がすごくしっかりしていて、キャラクターも筋の通った男たちですし、作品もどっしりと一本筋の通った作品だったので、演じる上でもすごくやりやすく、楽しく演じさせていただきました。あとは、甘い言葉いっぱい言ったなーと(笑)。
――蘭丸を演じるにあたり、苦労された点はありましたか?
島﨑さん:言葉遣いが砕けているとはいえ、なかなか普段言わない言葉が出てきて、「光秀殿の信長様への~」みたいに“の”が続いたりとかしていたので、そこが一番苦心しました。意外と蘭丸のキャラクター、それからお芝居に関しては収録中、苦労はしなかったです。
――今回、自身の演じられた蘭丸の魅力は何でしょうか?
島﨑さん:蘭丸は本当に真っ直ぐすぎるぐらいに真っ直ぐで、純粋で誠実で、信長様のために全力で尽くすというキャラクターで、周りのキャラクターが成熟したキャラクターであったり、一癖も二癖もあるキャラクターだったりするのに対して、蘭丸は未熟でまだまだ若者なんだないう部分があるんだなと感じました。
真っ直ぐすぎて熱くなって空回ったりしている時や、恋に関してもものすごくウブで、なかなか主人公のほたるちゃんへの気持ちの自覚が遅くてすぐに照れてしまったりして。似ているのは家康ぐらいかな(笑)。
ですので、ウブな蘭丸を落としていく感じがプレイしていただけたらあると思いますし、成長・変化もあるキャラクターなので、そのあたりも楽しんでもらえればと思います。
――蘭丸との共通点をお聞かせください。
島﨑さん:僕は真面目であったりお芝居の気持ちが暑苦しかったりということは周りからよく言われます。あとは固くなったりして空回っていることが多いですのですが、この業界、信長や光秀、秀吉みたいなすごい先輩がたくさんいらっしゃるので、業界内の僕みたいな気分で、感情移入だったり重ね合わせられる部分はありました。若干融通が利かなかったり、芯が強すぎて譲らない部分などは演じていて似ていると思いました。
――今作では忍である主人公が、それを秘密にして城に潜入していますが、島﨑さんの今だからこそ言える秘密がありましたらお聞かせください。
島﨑さん:朝がすごく弱くて、ジリリリとすごく大きな音で鳴る目覚ましを3個ぐらい持っています。鳴ったら押して止めるんですけど、スヌーズを押してまた寝て、5分経ったら鳴り出すのでまた止めて寝てを1時間以上繰り返すことがあります。
あとつい最近、休みの日に20時間近く寝てたことがありました。前の日に朝まで呑んでたという流れもあったのですが、起きたら丸一日ぐらい経っていて、自分でもビックリしました。
――印象に残っているシーン・セリフがあればお聞かせください。
島﨑さん:蘭丸が信じていた存在から裏切られて、悩み苦しむシーンが演じていてすごく切なかったです。蘭丸が本当に純粋で素直なので、余計に苦しいですし、演じていても、あれだけ慕っていた相手に対して強い追及をしていきますし、それも怒りだけじゃなくて、怒っているのか、悲しんでるのか全然わからない状態になっていて。そのシーンは切ない、苦しいという気持ちでいっぱいでした。
そして、自分の心が定まって、それを乗り越えていくシーンの蘭丸の心の変化も演じていて楽しかったですし、素敵なお話だなと思ったので、蘭丸の葛藤と、それを乗り越えていく一連のシーンが印象に残っています。
あと、蘭丸くんは本当に姫様の笑顔が大好きで、こちらがすごく恥ずかしくなるくらいのセリフを言ったりと、姫様への好意が随所に表れているので、それが印象に残っています。僕自身も、笑顔や楽しそうにしている顔って素敵だなと思いますので、そのあたりもリンクして、ほたるちゃんの笑顔って素敵なんだろうなと想像しながら演じました。
――元々イメージしていた蘭丸と今作の蘭丸とで、イメージが一致していた部分はありますか?
島﨑さん:織田信長を慕っているのは変わらないのですが、いわゆる愚直で真っ直ぐで融通がきかないくらい素直ではなく、もう少し搦め手もできるイメージが演じる前にはありました。今回演じた蘭丸は、本当に真っ直ぐで筋の通った男なので、演じていてすごく好感が持てました。
――甘い言葉も多く収録したということですが、逆に島﨑さんが言われたい甘い言葉はありますか?
島﨑さん:「あなたのことが本当に好きです」とか「大好き」のような、ストレートに好意を伝える言葉が一番嬉しいかなと思います。あと、男の先輩から言われて嬉しい言葉はたくさんあります(笑)。
――どんなことを言われたら嬉しいですか?
島﨑さん:基本役者としてなので、「頑張ったな」とか「やるじゃん」とか「お前のこと、嫌いじゃないぜ」なんて言われたら、そりゃときめきますよね(笑)。
――先輩に認めてもらえるような感じでしょうか?
島﨑さん:はい、やっぱり認めてもらえたのかなって思えたときは嬉しくて仕方がなくなってしまいます。ちなみに、緑川光さんとお会いする度に「頑張れよ、期待してる」という有難すぎるお言葉をかけてくださるので、言っていただく度にときめいております(笑)
――もしご自身が忍術を使えるとしたら、どんな忍術を使ってみたいと思いますか?
島﨑さん:僕はそういうの大好きなんで、基本の火遁の術から始まり、土遁、木遁、水遁、雷遁、何でも全部使ってみたいですし、あとは口寄せをしてでかいカエルを呼んでみたいです。
そして分身の術は、複数の現場に同時に行ったり、やりたいことを分けてできたりするので、現実的に一番欲しいですが、火遁とかで暴れたい気持ちもあります。
――倒したい敵もでてきたりするのでしょうか?
島﨑さん:それもありですね(笑)。曲者をバッタバッタと倒したり、木々の間を影から影、音もなくタタタっと進んで、ターゲットを捕獲するみたいなのもカッコいいと思います。
――蘭丸は信長に忠誠を誓っているイメージの強いキャラクターですが、先ほどお話に出た緑川さん以外で、島﨑さんが忠誠を誓うぐらい尊敬している先輩の方はいらっしゃいますか。
島﨑さん:櫻井孝宏さんはよく現場でお会いしたり、レギュラーが一緒でお世話になったりしていまして、お芝居もお仕事に臨むスタンスも、普段のお話も、役者としても人としても、全てにおいて尊敬しています。実はそんなに言っていなかったんですが、この機会に(笑)。
藤原啓治さんもとても尊敬しています。以前、遅くまで一緒に呑ませていただいたことがあるのですが、3時とか4時とかだったので、タクシーで帰ることになって、啓治さんがタクシー代を出してくださろうとしたところ、たまたまお札がなくて、「これ使えよ」とお金が十分入っていたSuicaを貸してくださったので、そのSuicaを使って帰らせて頂いたこともありました。
啓治さんとは現場でよくお会いしていたので、「また次会った時に返してくれればいいから」と言ってくださって、僕も次会った時に返そうと思っていたのですが、そう言った途端、長い間会わなくなってしまって(笑)。AIR AGENCYの方経由で返そうかなとか思ったのですが、「自分で返したい!」という気持ちがすごくあって、実はつい最近、啓治さんにSuicaを返せました!(編注:インタビューは1月下旬に実施)
その時に連絡先がわかっていれば「啓治さん、呑みに行きましょう」というお誘いと共にお渡しすることもできたので、その場で啓治さんと連絡先を交換したという思い出があります。
そして、信長役の松風雅也さんとは、現場でお会いしたのをきっかけにお話するようになりまして、僕と、僕と仲のいい松岡禎丞の2人揃って本当によくしていただいていて、(松風さんが店長を務める)声優カフェに遊びに行ったり、お誕生日をお祝いしに行ったりとか、現場が終わったあともお話したりしています。本当にいろいろなアドバイスをしてくださって、それがすごくありがたくて、本当に素敵な先輩です。
ネオロマに関連して石川英郎さんにも大変お世話になっています。英さんはまさにザ・兄貴分的な存在です。そのほかにも大勢いらっしゃるんですが、止まらなくなるので打ち切ります!(笑)
――蘭丸と主人公の恋愛を一言で表すなら、どのような感じですか?
島﨑さん:純愛ですね。ほたるちゃんも忍として生きているので、恋愛の経験がないですし、お互い恋愛がわからない同士の2人なので、「完全に2人とも惚れあってるじゃん!」という感じなのにお互いはまだ気づいていなかったり、鈍かったりでもどかしいんです。
信長や光秀や光秀は完全に好意を自覚していると思うので、みんなの中で一番純愛なんじゃないかなと思います。家康が対抗馬かもしれませんが(笑)。二人とも純粋で真っ直ぐですし、お互いが成長していこうというところもあったりで…、まさに純愛です!
――蘭丸以外で気になったキャラクターはいますか?
島﨑さん:まだキャラクターそれぞれのシナリオを見ていなかったり、みなさんがどんなお芝居をなさっているのかは知らないので、どの方もすごく興味はあるんですが、特に気になるのは光秀と家康ですね。
――光秀役の野島健児さんと家康役の小野賢章さんも蘭丸と答えていました。
島﨑さん:すごいシンクロ! それなら僕、どちらか選ばなくていいです! そのお二人が気になっています。
光秀はすごく掴みどころがなくて、蘭丸からするとうさんくさいんですよ。お芝居していてもすごく光秀に対する警戒心や敵意が強いですし。僕は好きの反対は興味が無いことだと思っているので、蘭丸自身がものすごく光秀に興味を持っていると思いますし、僕自身も「一体光秀って何を考えているんだろう」と。
役者としては、ものすごく掴みどころがなく、計算高いキャラクターを、ノジケンさん(野島さんの愛称)がどんな風に演じられているのかという興味と、あと蘭丸視点で光秀が一体何を考えているのかという点で、気になっています。
家康は、僕の中で賢章さんが乙女ゲームに出演されるのが珍しいという印象だったので、単純に家康というキャラクターを賢章さんがどのように演じられているのかにすごく興味がありました。
ほかのキャラクターたちは何となくですがどんな雰囲気かイメージはあって。もちろん、実際聞いたら、先輩方はそんな僕のイメージなんかかるーく超えてしまわれるのですが(笑)家康はまだイメージが出来ていないので、賢章さんがどんな風に演じられるのか、すごく楽しみです
それと、蘭丸のシナリオだと家康が何を考えているのかわからなかったので、どんなバックボーンがあってあのような気弱な性格になったのか、武芸に秀でてるのにあんなに争いごとを嫌うのかというのが、すごく気になっています。
――最後に、ファンの方々にメッセージをお願いします。
島﨑さん:今回の僕のインタビューで、少しでも「下天の華」という作品と森蘭丸、そして他のキャラクターたちにも興味を持っていただけたら幸いです。本当にしっかり、どっしり作っている作品だと感じているので、楽しみにしていただいて間違いないと思います。
演者もとても素晴らしい方ばかりなので、きっと素敵な作品になると思います。どうぞお楽しみにしていただければと思います。
――ありがとうございました。