見て、感じたものに応えられるゲームになっている―PS3「rain」の鈴田プロデューサーと池田ディレクターにインタビュー

インタビュー
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ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンが2013年内の発売を予定しているPS3ダウンロード専売ソフト「rain(レイン)」。本作の新情報公開に伴い、鈴田プロデューサーと池田ディレクターにインタビューを行った。

「rain」は、姿を失ってしまった少年たちの物語を描くアクションアドベンチャーゲーム。独特な世界観や幻想的に作り込まれたビジュアル、そして感情に寄り添ったサウンドなど、プレイヤーの心に眠る「懐かしさ」や「切なさ」といった、感情に強く訴えかけるゲーム体験の提供を目指して開発されているタイトルだ。

ゲームのコンセプトは、“迷子”。それもただ迷うだけでなく、主人公となる少年の日常とは真逆の、誰もない夜の街という世界で道に迷い、姿まで失ってしまうという迷子だ。その一方で、見たことのない風景に対する好奇心という、相反する二つの感情が混ざり合うような、子供の頃だけの感情を味わうことができる。

まだまだ謎に包まれている部分の多い本作だが、新たにプレイ動画と新規ビジュアルが公開となった。それに合わせ、本作のプロデューサーである鈴田健氏とディレクターの池田佑基氏にインタビューを行うことができた。

また、インタビュー前には池田氏自らコントローラを持ち、ゲーム序盤のデモプレイを披露してくれた。今回公開された動画は、そこで見せていただいた内容とほぼ同一のものになっている。想像力がカギとなるゲームなのだから、筆者が無粋に書き連ねるよりも、動画から「rain」というタイトルの一端を感じ取っていただきたいと思う。

インタビューの内容も一部ゲームシステムについて触れているので、まずは動画からチェックしてみてほしい。

鈴田プロデューサーと池田ディレクターにインタビュー

池田佑基氏
池田佑基氏

――「100万トンのバラバラ」では、PlayStation C.A.M.P!公式サイトのインタビュー(こちらを参照)で特殊造形物の設計・製作会社に勤務されていたとありますが、「rain」でその経験が生きた部分はありますか?

池田氏:「rain」は3Dですので、どういう風に立体として置いたら街っぽく見えるかという部分にかなり生きていると思います。ただ正方形に建物を並べていくだけでは街にはならないので、少し角度を曲げたりとか、高低差を付けてみるといったことを、全編のいたるところでやっています。いいところに階段を配置するといったこともそうですね。

――日本や海外など、ステージのモチーフとした場所はあるのでしょうか?

池田氏:大まかな部分はヨーロッパのちょっと田舎みたいな場所をモチーフにしていますが、具体的な場所というのはありません。実はゲームの舞台となる街にも名前はないんです。

――主人公の名前はあるのでしょうか?

池田氏:このゲームでは、固有名詞は一切出てきません。主人公を追いかけてきた敵にも名前はないですね。あえて名前を出さず、ユーザーさんが感じたままを伸ばしていただく方がいいかなと考えています。

――タイトルが示すように雨も印象的な作品ですが、開発の経緯を教えてください。

池田氏:いろんな方に「世界観から考えたの?」と聞かれるのですが、実はゲームデザインから考えています。ユーザーさんがゲームを新しく見たとき、どうしたら驚くかを考え、“プレイヤーが見えないものを操作する”、という発想から始まっています。とはいえ、見えないだけではゲームになりませんので、雨が降っている場所では見えるし、雨が止んでいるところでは見えなくなるというデザインを考え、それを根幹に世界観を作っていった流れになります。

――開発がスタートしたのはいつ頃からでしょうか?

鈴田健氏
鈴田健氏

鈴田氏:大よそ2年から2年半ほど前です。最初はコンセプトの部分、プレイヤーが見えないものを操作するといった遊びが面白いのか、ゲームとして成立するのかを検討していきました。そして中盤頃から肉付けしていき、雰囲気や物語のところをボトムアップしていったという感じです。

――夜の街が舞台とのことですが、夜に限定したことに意味はあるのでしょうか?

池田氏:ストーリー面での意味もありますが、迷子であることや、見えなくなってしまった少年を一番際立たせるのが“夜の雨の街”だったという理由があります。

――まだゲーム情報があまりなく、雰囲気から本作に興味を持たれている方が多いと思います。現実でこんな雰囲気の場所が好きだというのはありますか?

池田氏:やっぱりこういう裏路地は大好きですね。日本でも裏路地が結構ブームですし。表通りは怖くて歩けないみたいな感じで(笑)。

鈴田氏:チーム全員が好きですね。アートディレクターの机には路地の写真集が置いてあったりします。

――BGMも印象的でしたが、音楽は内製なのでしょうか?

鈴田氏:内部制作と外部制作で作っている部分があり、主にSE関連が内部制作です。まだこのタイミングで名前は言えないのですが、外部の方にお願いしている部分もあります。

――雨音は実際の音を収録したのでしょうか、それとも合成なのでしょうか?

池田氏:日本全国の雨音を録りためているライブラリがありますので、それを組み合わせて使っています。ゲーム中は主人公のいる場所によって音色が変わるようになっていて、その場所にいるという没入感を高めたり、主人公の置かれている状況によって強弱をつけ、プレイヤーの感情をあおるように工夫しています。

インタビュー前には序盤のデモプレイを披露してくれた。
インタビュー前には序盤のデモプレイを披露してくれた。

――空中に絵本のように文字が出てくる場面がありましたが、このシステムを入れようと思った意図は何でしょうか?

池田氏:主人公が何も喋らないという点が大きいですね。チャプター2以降も同じように続きますが、チャプター1は状況説明がありますので、若干多めになっています。

――発表当初タイトルに(仮)と付いていましたが、ほかに候補はあったのでしょうか?

池田氏:いえ、なかったですね。「rain」と最初に名付けてからずっと変わっていません。仮と付いていたのは、実は権利的な問題の確認待ちだったためです(笑)。

鈴田氏:ダメだったら考えようという感じでした(笑)。やっぱり世界観を一番ストレートに、かつ想像させるものがあると思いますので、「rain」以外にないかなとずっと話をしていました。

――同じダウンロード専売タイトルとして、昨年「風ノ旅ビト」や「DATURA」といった海外開発、SCE販売によるタイトルがありますが、これらを意識した部分はあるのでしょうか?

池田氏:そうですね、「風ノ旅ビト」は本当にびっくりしました。実際にプレイしたらすごく惹かれて、刺激も受けました。ただ、意識したのはゲームの仕様やコンセプト的なところではなく、サイズ感の部分です。

この頃はプレイステーションだけでなく、ほかのハードでもダウンロードタイトルがかなり出てきた時期で、このぐらいの満足感を得て、このぐらいのお金を支払うという経験が市場でも認め始められていましたので、そこに投げ込みたいタイトルであると考えていました。

――サイズ感を、ということですが、想定するプレイ時間はどれくらいでしょうか?

鈴田氏:長すぎず短すぎず「もう終わっちゃったのか…」ということもなく、「ちょっとだれてきたな…」ということもなく、感覚としてはすごくいいゲームをやり終えた満足感を味わってもらえることを意識しています。テストを重ねて、ここはちょっと詰め込み過ぎかなとか、ちょっと足りないかなといった調整をしつつ、最終的にベストな状態を作り足していこうと思っています。

――ジャンルはアクションアドベンチャーになっていますが、アクション要素はどれくらいあるのでしょうか?

鈴田氏:攻撃したり避けたりというものはなく、ある状況に置かれて自分はどういう行動を取ればいいのか、まっすぐ進むのかジャンプするのかなど、選択肢としてのアクションという感じで入っています。

――プレイによって別々のルートを進めるといった分岐はありますか?

池田氏:箱庭タイプではありませんので、基本的には正解のルートがあってそこを進んでいく形となります。ただ、その中でこっちの屋根の下を行くとか、こっちの裏道を進むといった選択はあります。

――英語版トレーラーやFacebookでの英語併記など海外展開もされていますが、海外の反響はいかがでしょうか?

鈴田氏:昨年の8月にGamescomに出展した際、かなりの反響やコメントをいただきました。その中で印象的だったのは、アメリカの方が、雨の滴る感じや水たまりをバシャバシャやるシーン、少年が佇む姿を見て「自分の子供時代に帰ったようだ」と言っていたんです。この感覚は世界共通なのかなと思ったのと同時に、そういう意図で作っていましたので、目指しているものに間違いはないと確信できました。

――今後海外の大きなイベントでも情報出しをするとのことですが、具体的なゲーム情報はいつ頃公開予定でしょうか?

池田氏:システムというシステムはそんなにないのですが(笑)、具体的な内容はE3辺りを皮切りに、6月ぐらいから公開していく予定です。

――敵に襲われるとどうなるのでしょうか?

鈴木氏:基本的には一撃で倒されてしまいます。ただ、リスタートポイントは結構細かく割ってあり、ひとつの攻略要素の中でやられたらその前に戻るイメージです。最近のゲームではお馴染みかもしれませんが、多目にリスタートできるポイントを用意しています。

鈴田氏:感覚的には「ここからか…」とならないように設定しています。

――敵は主人公の足音に反応しませんでしたが、主人公を認識できるのは視覚情報だけでしょうか?

池田氏:あとは聴覚ですね。水たまりをバシャっとやったら反応しますし、オブジェクトが倒れた音にも反応します。逆にそれを使っておびき寄せたり、やり過ごすこともできます。

――Facebookにゲーム制作は波乱に富んだ道のりだと書かれていますが、これまでにちょっとしたエピソードなどはありますか?

鈴田氏:最近では、雨の日に合わせてウェブサイトを更新したのですが、直近の一週間ぐらいは気が気じゃなかったですね(笑)。毎日天気予報を見て、どれを“雨が降った”とするかを決めるのが大変でした。ですが、そうした展開をすることで雨が降ったら「rain」というタイトルを思い出してもらったり、雨を好きになっていただけるようにしていきたいと思っています。

――雨の日にサイトを更新した反応はいかがですか?

鈴田氏:直近で発売した「ソウル・サクリファイス」をはじめとする、並み居るタイトルに近づくぐらいの反響でしたので、ダウンロード専売タイトルとしてはかなり注目いただいていると思います。最初に雨が降っていないビジュアルを公開したときよりも大きい反響がありました。

――現状Facebookなどに寄せられている質問はありますか?

鈴田氏:「PlayStation3 exclusive」と書いてあるのですが、海外ユーザーからは、80%ぐらいの確率で「PS Vita版はあるの?」って聞かれています(笑)。

――実際PS Vita版の展開というのは…?

鈴田氏:PS3でプレイする環境も含めて楽しんでいただけるところを第一に作っていますので、まずはそこをしっかりやろうと考えています。

――ゲームがすごく好評だった場合にはいかがでしょうか?

鈴田氏:そうしたら、それを武器に会社にアタックしてみようかなと(笑)。

――開発状況は何%ぐらいなのでしょうか?

鈴田氏:実装することと調整することなど、いろんな考え方があるので難しいところではあるのですが、ゲームそのものの構造、最初から最後まで通して遊べるという意味では70%ぐらいでしょうか。発表させていただいている通り、2013年中にはちゃんとユーザーの皆さまにお届けします。遊び心地でいうとまた考え方が変わってきますので、テストして遊びやすくする調整を今まさに進めているところです。

――本作の開発で一番時間をかけているのはどこでしょうか?

池田氏:調整ですね。カメラの切り替わりや敵のAIの挙動などを場面ごとに、かなり細かく分けて考えています。遊びづらいと思われてしまい、そこで投げ出されてしまう事態が一番怖いため、それがなくなるようにテストプレイとフィードバック、それを受けての調整を繰り返しています。

――どういった層にプレイしてほしいといったイメージはありますか?

池田氏:世界観に惹かれた方はもちろん、ゲーム好きな方が遊んでも楽しんでもらえると思います。僕は自分を超コアゲーマーだと思うんですが、「風ノ旅ビト」はすごく楽しめたので、そういう楽しみ方は誰でもできるのかなと。ライトな方がつまづきそうなポイントにはヒントも用意しますし、最後までキチンと遊んでいただけるようにしています。

――今回公開された情報の見所はどこでしょうか?

鈴田氏:動画がかなり見所です。序盤のプレイとなっていますので、これまで「rain」ってどういうゲームなんだろうかと気になっていた方が「なるほど!」と思えるところまで見せています。

池田氏:ビジュアルでは映像に出てこない絵も入っていますので、そこから想像を膨らませて、また謎を深めていただければなと思います。謎が多いタイトルですね(笑)。

――最後にユーザーの方へメッセージをお願いします。

池田氏:謎が多く、まだまだ謎が増えてくると思いますが、トレーラーなどを見て感じたものには必ず応えられるものができあがっていますので、楽しみにしていてください。

鈴田氏:「rain」というゲームの断片を見てピンときた方や、このゲームいい匂いがするなと、自分が好きそうな匂いがするなと感じていただいた方は、同じ趣味趣向を持った人間が作っていると思っていただきたいです。必ず気の合うゲームになると思いますので、もう少しお待たせしますが、ご期待下さい。

※画面は開発中のものです。

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