大阪を拠点とするデスクワークスが開発し、集英社ゲームズがパブリッシングを担当する「Chronoscript: The Endless End」の先行プレイレポートをお届けする。
「Chronoscript: The Endless End」は、原稿の中に囚われた編集者となり、千年続く“終わりの続きの物語”を完結に導く探索型アクションアドベンチャーだ。3D空間にある謎の洋館と、その内部に散らばるペン画で描かれる原稿用紙の2D世界という、次元の異なる2つの世界で物語が展開する。

本作は2026年秋にPS5/PC(Steam)にて発売予定。日本語/英語/フランス語/イタリア語/ドイツ語/スペイン語/繁体字/簡体字/韓国語の多言語に対応している。
この記事では、独自の世界観や戦闘・探索のプレイ体験について紹介しよう。
2つの次元が重なり合う鮮烈な探索体験
西暦2026年、主人公となる編集者の元へ奇妙な編集依頼が届く。依頼人の待つ山奥の洋館に向かうと一匹の蚊に血を吸われ意識を失ってしまう。編集者が目を覚ますと、千年生きる吸血鬼による“終わりの続きの物語”が書かれた原稿用紙の中に囚われてしまっていた。
まずゲームを始めて一番に目を奪われるのは、圧倒的な緻密さで描かれる2Dグラフィックのアートワークだ。キャラクター、モンスター、そして背景に至るまでがすべてペン画によって表現されており、エリアを移動するたびに一枚一枚ページが重なるアニメーション表現が採用されている。この手描きならではの独特の不気味さと紙の上に生命が宿ったような躍動感が、画面全体のトーンに存在感を与えている。

探索を進めていくと、最初のボスである「愚読の司書虫」との戦闘が始まる。激しい突進や、大量の本を飛ばしてくる遠距離攻撃などを繰り出し、戦いの中では原稿そのものがダイナミックに動いてしまうほどの暴れっぷりを見せる。


最後には、編集を依頼した張本人であり執筆家のヴィオラ・S・チェンバースとの邂逅を果たす。原稿はまだ完成していないと語る彼女は主人公の手助けをしてくれるが、はたして真に味方なのか、それとも敵なのか、その真意は現時点では未だ深い謎に包まれている。

物語の舞台となる洋館は、不死の呪いを負い千年の孤独を生きるヴィオラの狂気と記憶が入り混じる迷宮のような空間となっている。小さなペン画の世界から、無数の原稿や書籍が散らばる現実の執筆室へと広がる瞬間は、本作でしか味わえないインパクトのある演出だ。この「原稿の中の幻想的で小さな2D世界」と「重厚な3Dの洋館」という2つの次元が重なり合う体験が、プレイヤーを物語の深部へとダイナミックに誘っていく。

歯ごたえあるアクションと、解明される物語の密接なリンク
肝となるアクション面においては、探索型2Dプラットフォーマーの王道を踏襲しつつ原稿の世界ならではの独創的なシステムが光っている。
剣を使用した基本アクションやインク瓶を消費する回復システムのほか、2段ジャンプや「インクの中を滑る」ようなゲームの進行度に応じて解放される特殊移動アクションも取得可能だ。これらは探索の自由度を劇的に広げ、移動そのものを世界観を構築するスタイリッシュなアクションとして昇華させている。

さらに腰掛けることでセーブ、HPの回復、ステータスの強化を行うことができる「書見椅子」が道中に設置されている。万が一死亡した場合には獲得した経験値やインク瓶などがその場に遺されてしまう。回収する前に再度死亡すると完全に失われてしまうという、いわゆるソウルライク的で緊張感のある要素も丁寧に実装されている。

プレイヤーの前に立ちふさがる様々な敵との戦闘も、単なる障害ではなく「物語を紐解く儀式」として機能しているのが秀逸だ。討ち倒すたびに、彼らの悲劇的な背景が断片的に明かされ、物語への没入感をさらに高めている。戦闘での勝利=物語の進展(新たな能力の解放)という密接なリンク構成により、強い達成感とキャラクターや物語への深い愛着が芽生えることだろう。

また、敵を倒して取得した経験値を消費することで、編集者を強化することができる。攻撃力や回復力の強化だけでなく、周囲の原稿を俯瞰して視界を拡張するといったユニークなものもあり、プレイスタイルに合わせて自分なりのビルドを構築する楽しさがある。

さらに、先行プレイでは、ストーリーを追う探索だけでなく、より純粋かつ熾烈な戦闘を楽しみたいプレイヤーに向けた「エクストラ(ボスバトルチャレンジ)」も用意されていた。今回は、アイアンメイデンをモチーフにした恐ろしい見た目のボスとの戦いに挑むことに。

ストーリー攻略で得たスキルや経験をフル活用し、一瞬の油断も許されない極限の緊張感の中でボスを攻略する体験は、探索とはまた異なる本作の大きな魅力といえる。歯ごたえのある高難易度アクションを好むプレイヤーにとっては最高の腕試しとなるだろう。
豪華クリエイター陣が昇華させた「動かせるアート作品」
本作の開発には豪華なクリエイター陣が参画している。3Dキャラクターのデザインは「ベヨネッタ」や「大神」などを手がけた島崎麻里氏だ。彼女の手によって生み出されたキャラクターたちは繊細かつ妖艶で、どこかダークなゴシックの世界観と完璧に調和し、画面のどこを切り取っても強い物語性を感じさせるビジュアルに仕上がっている。


楽曲は、「クロノトリガー」や「ゼノブレイド」シリーズを手がけた光田康典氏が担当している。彼自身がメトロイドヴァニア作品のファンであることを公言しているように、本作の孤独で切ない物語に寄り添う旋律は、プレイヤーの感情を揺さぶるような探索と戦闘体験をより一層ドラマチックなものへと高めている。
「Chronoscript: The Endless End」は、緻密に計算された次元の切り替え、手描きアニメーションの圧倒的なビジュアル、物語を読み解く深い没入感と骨太なアクションが融合した「動かせるアート作品」という唯一無二の体験を私たちに届けてくれる。
もしあなたが、手応えのある本格的なアクションと、美しくもどこか狂気を孕んだ重厚な物語を求めているなら、2026年秋の発売に向けてぜひチェックしてほしい一作だ。
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