2014年7月11日、東京・渋谷ヒカリエホールにて、モバイルコンテンツビジネスをテーマとしたカンファレンス「GMIC TOKYO 2014」(グローバル・モバイル・インターネット・カンファレンス)が開催された。本稿ではソーシャルゲーム企業のトップたちによるセッション「グローバル化するソーシャルゲームビジネス」の内容を紹介する。

このセッションでは株式会社セガネットワークス 代表取締役社長 CEOの里見治紀氏、株式会社gumi 代表取締役社長の國光宏尚氏、King Japan株式会社 代表取締役の枝廣憲氏が登壇。インフィニティ・ベンチャーズの田中章雄氏の司会進行のもと、「グローバル」をテーマに自社の海外展開の紹介やディスカッションなどが行われた。

まずは司会の田中氏が世界のアプリ市場の動向について説明。iOSゲームのダウンロード数で中国がアメリカに次ぐ第2位となっていて、日本のほか韓国、台湾、香港もGoogle Playの売上上位に入っているなど、アジアが期待の成長市場であること。海外に展開しているパブリッシャーの中ではGREE、DeNA、LINEが売上の上位を占めていることなどが紹介された。

続いて、セガネットワークスの里見氏が自社の海外展開について説明を行った。里見氏によると、セガネットワークは2013年の7月頃からヒット作が出始めたとのことで、現在急成長しており、2015年度の第1四半期(4~6月)は売上80億円、第2四半期(7~9月)は110億円を目指しているという。

セガネットワークスの里見治紀氏 インフィニティ・ベンチャーズの田中章雄氏

大ヒットとなったのはタワーディフェンス型のRPG「チェインクロニクル」やパズルRPGの「ぷよぷよ!!クエスト」などだが、大ヒット作の勢いが落ちてきたとき、その減速を埋めるタイトルが必要になることから、「中ヒットを積み重ねていくことが重要」と里見氏は語る。そのため、今期も15作ほどの新作を出していきいたいと意気込みを述べた。

北米などにおける「チェインクロニクル」の展開を國光氏のgumiが担当することになった経緯も語られた。里見氏は「単純にリソースが足りないから」とコメント。当初は欧米のパブリッシャーと連携を進めていたが、かねてからライバル視していたgumiのRPG「ブレイブフロンティア」が欧米で成功をおさめたことから、「チェインクロニクル」を任せることにしたと話すなど、gumiの実績を認めてのことだったことを明かした。

そのほか、「ぷよぷよ!!クエスト」もアジアをはじめ海外への展開を順次開始する予定。「チェインクロニクル」制作チームが手がけた新作「封印勇者!マイン島と空の迷宮」も今月中にリリースしたいとのことだ。

世界ナンバー1を見据えるgumiの國光氏
gumiの國光宏尚氏
gumiの國光宏尚氏

高校卒業後、アジア諸国や中南米など約30カ国を放浪していたという異色の経歴を持つgumiの國光氏。この経験のおかげでかなりタフになれたそうで、「明日朝起きたときに、素っ裸でアフリカのド真ん中にいたとしても1年以内にけっこう成功する自信ありますよ」と不敵に語った。

そんな國光氏の率いるgumiのヒット作は前述の「ブレイブフロンティア」や「パズルボブル」など。2012年には海外売上が国内売上を抜き、未上場ながら第三者割当増資の実施により50億円もの資金を調達するなど業績が非常に好調。現在、海外の社員が半数以上を占めており、韓国や中国のほか、シンガポール、フィリピン、インドネシアといった東南アジア圏やフランスのパリなどに拠点を置いている。一方、「ブレイブフロンティア」で成功していながら、北米には長く拠点を置いていなかったそうだ。

この点について田中氏に聞かれた國光氏は、国内でも最初の拠点は福岡に作ったが、それは当時ソーシャルゲームブームの真っただ中で、東京では人材集めの部分でGREEやDeNAに太刀打ちできなかったからだと説明。それと同じで、海外展開の際も人を集めやすいという理由で、gumiの名前がある程度浸透しているアジア圏から拠点作りを進めていったのだという。また、パリに拠点を置いたのもフランスでは日本のコンテンツへの人気が高いからだと國光氏は述べた。

そのため、ゲームを海外で展開する場合も、「和製ゲーム」であることを強くアピールしているという。國光氏は「JRPG」という言葉が、今では日本のゲームをバカにする意味合いで使われることが多いことを認めつつ、「それでも日本のRPGが好きという人はまだまだ世界にいっぱいいます」と強調。「ブレイブフロンティア」が成功したのもそのためで、海外にいる日本のコンテンツのファンに向けて、“これがJRPGだ!”というものを出したかったと語った。

もっとも、マジョリティではないJRPGでは欧米で1位を取れないのも事実。そのため、次の段階として海外にスタジオを作り、「欧米人の欧米人による欧米人のためのゲーム」の制作も進めていくそうだ。

もちろん、中国市場も意識しているが、「日本と中国の差は、欧米などのほかの地域よりも大きい」と述べるなど、「かなり手強い」と感じているもようだ。ただ、日本と中国の本質的な違いについて、分かってきたこともあるとのことで、その部分を徹底的に改善・改修して、中国での成功を目指していくと意気込みを述べた。

ちなみに、里見氏は中国のユーザーの特徴として「コンテンツ消化のスピードが速い」ことに言及。日本が先行しているタイトルの場合、ネットのコミュテニィなどをチェックして、強いカードが配布されるイベントが実施されるまで何も買わないといったことも起きているそうで、「いっそ中国を先にしたほうがいいかなとも考えています」と語っていた。

グローバルタイトルをどうローカライズするか
King Japanの枝廣憲氏
King Japanの枝廣憲氏

King Japanの枝廣氏はグローバルなコンテンツをどのように日本で展開するかという観点から自社の事業について説明を行った。まず、枝廣氏は「Bitesize Brilliance」がKingのモットーとなっていることを紹介。これは「一口大の輝き」という意味で、フルコースのステーキの対極にある、ガムやキャンディのようなシンプルなコンテンツ作りを目指すということを表しているのだという。

そういったカジュアルな作品作りをカルチャーとしているため、King のコンテンツ数は180を超える。日本でローカライズされているのは、まだ3本のみだが、そのひとつが大人気パズルゲームの「キャンディークラッシュ」だ。2年前にリリースされたタイトルながら、現在でも全世界での1日あたりのプレイ人数は9600万人、プレイ回数は10億回以上を記録。ダウンロード数も5億を超えるそうだ。

このように世界的な人気を誇るタイトルだが、Kingはグローバルな思考は大事にしつつ、ローカルの人たちに合わせた展開を重視していると枝廣氏は語る。マーケティングもそのひとつで、人気俳優の岡田准一さんと遠藤憲一さんを起用したテレビCMはKing Japanの主導で制作されたのだという。

このCMは日本でもカジュアルなゲームが王道になると思っていたことから、「王道感を出したい」と考えて作ったとのことで、各方面で非常に評価が高く、ユーザーの反応も良かったそうだ。ちなみに、欧米でのブランドイメージとは異なる内容になっているが、本社から指示のようなものはなく、完全に任されていたと枝廣氏は語った。また、続編CMの制作が決定したことも、あわせて発表された。

ここで、田中氏が「日本ではテレビ広告は必須なのか?」と疑問を提起したところ、里見氏は「やらないとダメだと思う」と回答。國光氏も「アメリカでもケーブルテレビなどでゲームのCMをやっている。台湾でもやっているし、中国でも増えてきている」と語るなど、両氏ともコマーシャルの重要性を認めていた。

さらに、枝廣氏によると日本人が1日に平均4時間テレビを見るという。これは世界的に見ても飛び抜けた数字で、「それだけCMに触れるチャンスがあるということ」と枝廣氏はコメント。その上で、「テレビCMがどれほど効果があるかといったことはローカルな人間でないと分からない」と持論を述べた。

日本で展開する場合は、丁寧な運営やカスタマーサポートなども重要と枝廣氏は言う。特に言葉は大事で、変な日本語が入っていたらユーザーが離れてしまうので「キャンディクラッシュ」でも徹底したチェックを行ったそうだ。これには國光氏や里見氏も同意で、ちょっとでも日本語がおかしかったら「ちゃんと運営していない」と思われて、すぐにゲームを閉じられてしまったりするので、細かいチェックは必須だと語っていた。

※画面は開発中のものです。

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