7つの傷を持つ男を見て、あの世もこの世も世紀末もすべて救えるくらいのマッチョで無敵な男が主人公だと思って信じて疑わないことでおなじみ(?)のPS4用ソフト「MURDERED 魂の呼ぶ声」のインプレッションをお届けします。

メインビジュアルのこの7つの傷はものすごくインパクトがありますよね。

さらに気になったのが「俺を殺したのは 誰だ」というキャッチコピー。気になるけれどもそれってどういうこと? 大抵のゲームは自分が死んだらゲームオーバーになりますし、昔のゲームならチャレンジできる回数を1upで増やしたりできましたけど、これはいったいどういうことでしょう。気になったのでGamer編集部からソフトをお借りしてみました。

「MURDERED 魂の呼ぶ声」はセイラム市警の刑事ロナン・オコナーが冷酷な殺人鬼ベル・キラーに殺されたため、自分を殺したベル・キラーの正体と事件の真相を解き明かすアクションアドベンチャーゲーム。パッケージの透けた人物こそがロナン・オコナーで間違いありません。ゲーム魂を呼ぶ声が聴こえてきたので早速プレイすることにします。

ゲームを起動するとタイトル画面には「×ボタンで決定」の文字。ここで×ボタンを押すと、「新規ゲーム」と「オプション」の2択が表示されます(セーブデータがある場合は「続ける」「新規ゲーム」「オプション」の3択)。ローカライズ作品でそれなりにありうる状況ですが、気持ちよくプレイするためには、「×ボタンで決定」「○ボタンでキャンセル」という意識を持ってプレイすることがとても大事です。

舞台はマサチューセッツ州セイラム。ニュース報道のボイスと犯罪に関する映像が事件の陰湿さを伝えます。ゲーム全体のビジュアルイメージが青を基調にしたものになっているのもジメジメした印象を強調します。

突然落下していく男が画面に映し出されます。自分を無敵で誰にも負けないと思っていた男。但し、今のところまだ7つの傷が見当たらないので本当のところは無敵ではないのでしょう。そして、何者かに4階から落とされて地面に叩きつけられてしまいます。

衝撃的なオープニング。今落ちた男がボクで間違いないですよね?

しかし、脳内を駆け巡る映像は止まりません。生まれてからこれまでの歴史が走馬灯のように蘇ります。数々の暴力行動を繰り返して体に刺青を増やしていく男。ジュリアと出会い、結婚し、そしてジュリアの死にも直面します。事件に対して暴力的で、無謀に突っ込んでいく男。その結果、殺人鬼を追い詰めるも……。

地面に横になっていたことに気づき、見上げると4階の窓にはさっきの殺人鬼が見えます。今ならまだ捕まえられる。持ち前の無謀さで立ち上がり、建物に向かいます。

Lスティックで移動、□ボタンでアクション。寄りのカメラになったらLスティックで体を動かして、体が特定の場所にたどり着いたら□ボタンでアクション。一連の流れがチュートリアルになっていて、徐々にこの世界での体の動かし方を学んでいきますが、建物に向かい、ドアノブに手を当ててもドアを開けることはできません。

急に扉が開き、弾き飛ばされてしまいます。建物から出てきた住民が驚きのリアクションをしていますが、視線がボクを見てなくてボクの後ろを見ているような気がします。ボクの言葉を聞いてる? ボクの存在に気づいてる? 今、無視されなかった? もしかしてボクの後ろに何かあるの?

振り向いてみると一人の男の死体が転がっていました。

転がっているのは明らかに自分の体。体に触れてみると反応があり、どうやらまだ生きているのが確認できます。実体は横たわっていて、魂は起きている状態でしょうか。この魂が実体に入りこめればまだ生き返ることができるはずです。

LスティックとRスティックを動かして、実体と魂を重ね合わせていくと、ちょっとだけ実体が反応を示しますが、魂はすんなりと実体に入れません。

焦っているとあの殺人鬼が現れます。ボクを4階から落としたアイツ。地面に転がっているボクの体に気付くと近づいてきて、落ちている拳銃に気付いてしまいました。あの拳銃を先に取らないと! しかし、急いで拳銃に手を伸ばすも魂では拳銃に触れることができません。殺人鬼はボクの存在に気が付かないし、ボクは殺人鬼に触れることができないため、何も抵抗することができません。どうしよう、どうしよう、と葛藤していると、殺人鬼は拳銃を手に取り、ボクの体に7発の銃弾を撃ち込みました。

実体に銃弾が撃ち込まれると、魂の体にも銃弾の跡が現れます。銃弾が1つ撃ち込まれるごとに傷が1つ増えていき、最終的には7つの傷が刻まれました。先ほどまで色鮮やかだったボクの魂の色が抜けていき、街からも色が失われていきます。これが死というものでしょうか。死ぬ直前というものは、ここまでも残酷で何もできないものなのでしょうか。

魂の存在に気付かない殺人鬼はその場を立ち去り、ボクはモヤのかかった幻想的な世界に飛ばされます。

光を求めてさまよっていると妻のジュリアに遭遇します。死んでしまったから、すでに死んでいる妻のジュリアと出会うことができました。しかし、これから再びジュリアとやり直せると思ったものの、ジュリアの体は色づいているのに、ボクの体の色は抜けたまま。今のボクは、生でも死でもない何か違う存在のようです。

どうやら人生でやり残したことがある人は死後の世界に行けないようです。この状態は三途の川を渡り切れないで現世に存在し続けている霊、いわゆる地縛霊というヤツでしょうか。ボクが猫だったらジバニャンと呼ばれて人気者になれる可能性があったものの、人間故に悩み続けます。

再び、自分の死体のそばに戻ってみると、発見者が警察に通報をしていました。改めて発見者たちに話しかけてみようとしても反応なし。ぶつかろうとするとどことなく違和感があることをコントローラの振動が伝えてくれるのですが、発見者たちからは反応してもらえません。

ふと路地を見ると少女を発見。少女を追いかけていると、すり抜けられる壁が存在することがわかります。

少女に追いついて話を聞くと、いろいろなことがわかります。

青く光っている障害物はすり抜けられないけど、多くの壁をすり抜けられました。どうやら魔よけが施されている建物には入れないけど、扉が開いた時ならば建物の中にも入れるようです。

現在の状態では、生前の特技が能力として活かされるとのこと。捜査能力が以前より増し増しなので、今なら捜査を続ければ事件を解決できるかもしれません。

やり残したことを解決しないとこの存在から逃れることができません。自分を見失ってしまうと悪霊になってしまいます。今の自分にできることは、やり残したこと=自分を殺した殺人鬼を捕まえること、このことさえ達成できれば安らかな死を迎えることができるようです。


状況がわかり、自分が殺害された現場に戻ってみると、警察が現場検証をしていました。

自分を嫌うもの、自分の身内のもの、霊と言う存在になったおかげで人々の本音を聞くことができます。

殺人事件の捜査は初動捜査が肝心です。警察は捜査を進めるだろうけど、自分自身でも持ち前の無謀な刑事魂で、魂の存在であっても捜査を進めることにします。

人間に憑依すればその人間の思考を読むことができますし、会話を盗み聞きできる時もあります。捜査メモをのぞき見することもできるので、大事な情報を探してみましょう。

この目撃者は何を見ていたんだろう? と思ったら、目撃者に憑依して思念操作で何かを見せれば、新しいことを思い出すかもしれません。

死体を調べ、証拠品を調べれば、ほぼこの現場の捜査は完了。

手に入る証拠の数はカウントされて画面左下に表示されます。手に入れた証拠はタッチパッドを押すと確認できます。証拠が揃ってきたらどの証拠を組み合わせるとよりよい答えが導き出せるか検討することになります。解答のプロセスによって、3段階の評価が決まります。ここでの捜査はチュートリアルの一環なので、しっかりと調べて自分の能力を存分に確認しておきましょう。


続いて、4階の捜査をしたいものです。丁度、警察官が建物に入るようなので、扉を開いたら中に飛び込みましょう。

建物内には住民がいるので、できるだけ憑依して情報を得ておいた方がいいです。住民以外に霊もいるので、霊とは話をして情報収集しておきましょう。

2Fでは初めて動き回る悪霊が出てきます。悪霊は地縛霊を見つけると追いかけて来るので、気付かれないように移動する必要があります。R1ボタンを押すと壁の向こうの悪霊の動きが見えるので、の残余に入って隠れながら悪霊の背後に回ってR2ボタンで悪霊浄化開始! 指定されたコマンドを入力すると一気に悪霊を退治できます。

3Fには悪霊が2体出て来るので、2Fで覚えたテクニックを使って悪霊を退治していきます。そして、4Fに到着。住民が警察に絡んでいる横を通って事件の現場となった部屋に入ってみます。

証拠集めをしていると、犯人と女の子の残像を発見しました。証拠を組み合わせて状況を割り出すと、当時の状況を把握することができ、どうやらボクと殺人鬼がもみ合っているところを女の子が目撃していたようです。このままでは逃げた女の子が危ないし、この女の子がいろいろと情報を持っているようなので、どこに行ったか推理してその場所に進まないといけません。

そんなわけで外を移動することになるのですが、このあたりから移動の自由度が増し、付随するやり込み要素も増えていきます。

マップ上に隠されているモノを見つけてはっきりと表示させると、取得することができます。同じモノを既定の数だけ集めると、そのモノにまつわるエピソードを見ることができます。

隠されているのはモノだけじゃなく、ロナンのエピソードが隠れていることがあります。何か隠れているな、と思って表示させてみると、人物の残像が現れて、その時のやり取りを見ることができます。

一方、光っているモノを拾っていくと、ジュリアの想いを見ることができます。ジュリアはロナンの奥さんで、すでにお亡くなりになっていますが、想い出はこの世界に存在し続けているのです。

更に、この世でやり残したことがある地縛霊が存在するので、証拠を集めてやり残したことを解消してあげることができます。やり残したことを無事解消してあげると、その地縛霊は天に召されます。

事件の目撃者の女の子を追って来た建物では、足止めとして地面に悪霊が配置されていました。この悪霊のいる地面の上に乗ってしまうと攻撃を受けてしまいます。画面に表示された通りのコマンドを入力すれば脱出できるのですが、失敗すると即死なので、悪霊に捕まったら冷静に対応しましょう。

地面の悪霊は人間に憑依して、人間がその上を通過する分にはダメージを喰らうことがないので、人間の動きをよく見て憑依してみましょう。特定のモノをポルターガイスト現象で動かすと人間が反応することもあるので、人間の動きはよく観察しておきましょう。

人間に憑依することができましたけど、実は猫にも憑依することができます。猫に憑依しても人間に憑依した時みたいに思考を見ることはできないのですが、その代わりに猫を自由に操作できるようになるので、実は猫の方が扱いが自由だったりします。猫はダッシュすれば特定の足場に飛び乗ることができるし、ダクトのような狭い所を通ることができるし、壁にツタが絡まっているところを登ることもできるので、一気にアクションとパズル要素を体験できます。

そうこうしているうちに女の子を発見。この女の子の名前はジョイといい、実は霊能者の娘でこの子自身も霊とのコンタクトが取れるのでした。さて、この子から協力を取り付けるのでしょうか? ここからどのように捜査が進展していくのでしょうか?

一番大事なのは自分を殺した殺人鬼の正体ですが、殺人鬼が捕まらないと世の中的にも危険ですし、ジョイの安全も確保されたわけではありません。警察の捜査がうまくいくかもわからないので、ロナンの本格的な捜査はまだまだ進むのです。

謎解きは大好きだけど、ちょっと刺激的なアクションもしたい。マップをうろうろして証拠だけじゃなくいろんなモノを捜したい。そして、自分を殺した殺人鬼を追いながらも、他の地縛霊の願いも叶えてあげたい。そんな欲張りな人こそ「このゲームで遊びたいのは 誰だ」に対する答え。まだまだ暑い夏が続きますけど、このゲームの魂の呼ぶ声が聴こえてきたら、まだまだへばっているわけにはいきませんよ。せめてゲームの中だけでも元気に困難を乗り越えていきましょう。

MURDERED 魂の呼ぶ声

スクウェア・エニックス

XboxOneパッケージ

  • 発売日:2014年9月4日
  • 15歳以上対象

プロフィール

酒缶(さけかん)/ゲームコレクター

1万本以上のゲームソフトを所有するゲームコレクターをしつつ、フリーの立場でゲームの開発やライターなど、いろいろやりながらゲーム業界内にこっそり生息中。ゲーム関係者へのインタビューをまとめた電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション」を展開中。関わったゲームソフトは3DSダウンロードソフトウェア「ダンジョンRPG ピクダン2」など多数。価格コムでは、ゲームソフトとAndroidアプリのプロフェッショナルレビュアーを担当している。

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■電子書籍「ゲームコレクター・酒缶のファミ友Re:コレクション1」
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※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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