2015年3月12日に発売されるPS3/PS Vita用ソフト「ひぐらしのなく頃に粋」。本作に新規追加される主題歌&エンディングテーマを歌ういとうかなこさん、彩音さん、上間江望さんへのインタビューをお届けする。
「ひぐらしのなく頃に粋」は過去に発売されたコンシューマー版のシナリオを全て収録しているほか、おまけシナリオ“羞晒し編”も新規にゲーム化。全編フルボイス化が実現している。さらに、シナリオのロックを解除する“読み飛ばし機能”も搭載。ロックを解除するためには、クイズゲーム「オヤシロショック」に正解する必要があり、その正解率に応じたシナリオが解放される仕組みだ。
新規追加される楽曲は、いとうかなこさんが歌う「SideEffect」、彩音さん&いとうかなこさんのデュエット曲「アセンション」、上間江望さんが歌うグランドエンディングテーマ「ひとつのいのち」の3曲。これらの楽曲を収録した「ひぐらしのなく頃に粋」主題歌集は、ゲームに先駆け3月4日(水)に発売となる。今回3人への合同取材が行われ、それぞれの楽曲や作品への想いを聞くことが出来た。
――主題歌集の発売が決定した時の気持ちはいかがでしたか?
いとうさん:「やったー!やったー!!」と思いました(笑)。ゲームではワンコーラスしか流れないので、フルサイズで世界観をたっぷり聴けるのが嬉しいです。
彩音さん:「ひぐらしのなく頃に」という作品にまた関わる事が出来て嬉しいですし、私自身デュエットをしたことがなかったので、初めてデュエットが出来てすごく嬉しかったです。
上間さん:この主題歌集は私のデビューシングルになります。しかも、このお仕事を始める前にアニメなどで見ていた「ひぐらしのなく頃に」に関われると聞いて、鳥肌が立つぐらい嬉しかったです。親戚中に送りつけたいと思います(笑)。
――「ひぐらしのなく頃に」という作品に対する思いをお聞かせ下さい。
いとうさん:私にとって、曲を作っている志倉千代丸さんとのファーストコンタクトである記念すべき作品です。私はサスペンスが好きなので「やったー!やるやる!」とふたつ返事で引き受けた思い出があります。
彩音さん:私は同人作品のころから知っていたので、楽曲を担当する機会をいただけて喜びを噛み締めました。その後、打ち上げで竜騎士07先生に作品への想いを直接お話しすることも出来て嬉しかったです。「ひぐらしのなく頃に」があったからこそ生まれた私の代表曲がたくさんありますし、ライブでも代表曲として成長させていただいたと感じています。
上間さん:私はアニメから知り、今回のお話をいただいてゲームを初めてプレイしました。文章で読むと凄みや恐ろしさがより感じられて、スッと心に入ってくる感じがします。やりこみ要素のあるゲームなので、ゆっくり時間をかけてプレイして、自分の力でグランドエンディングを聴くのを楽しみにしています。
――それでは各楽曲についてお聞きします。1曲目「SideEffect」はどのような楽曲でしょうか?
いとうさん:新たな「ひぐらしのなく頃に」のオープニングとして、嵐が起こるようなキーワードが散りばめられています。メロディも怖いことが起こりそうな、疾走感溢れるテンションの高いものになっています。
――楽曲のお気に入りの部分や聴きどころを教えて下さい。
いとうさん:サビに「ひぐらしのなく頃」というタイトルが入っているのが一番嬉しかったです。私は70年代アニメの再放送世代なので、歌詞にタイトルが入っているのはミソですね(笑)。
――これまでの楽曲と似ている点や違った点はありましたでしょうか?
いとうさん:「追想のディスペア」(ニンテンドーDS「ひぐらしのなく頃に絆」第一巻・祟OPテーマ)は本当にホラー映画のような怖さがあったのですが、今回はそこまで怖くなく怪しさを匂わせる程度の主題歌になっています。
――レコーディングで苦労した点を教えて下さい。
いとうさん:歌い出しからテンションマックスに近くないと歌えないのが大変でした。ライブで歌うのも大変だぞと感じています。テンション高く歌わないと曲に負けちゃいますし。でも、千代丸さんの曲はいつも大変なので、いつも通りに自由に歌わせてもらいました(笑)。
――続いて「アセンション」についてお聞きします。2人のデュエット曲は初とのことですね。
彩音さん:昨年「Live5pb.2014」でコラボさせていただいたんですけど、CDという形でデュエットするのは初めてになります。個人的には2015年がこの作品で幕を開けたので、それもすごく嬉しかったですね。
――お互いの印象を教えて下さい。
いとうさん:(彩音さんは)人としてはさっぱりしているところが好きです。ハスキーな声質は私と近いですが、歌い方が全然違うのでデュエットでそれを出せたらいいなと思っています。実際に完成した曲を聴いてみたら上手い具合に合わさっていたのでよかったです。
彩音さん:普段はお姉ちゃんという感じでいつも気にかけてくれます。実際に妹がいらっしゃるので気遣う優しさがあるという印象です。初めて一緒に見た映画は「口裂け女」でしたけど(笑)。歌声はたくましくて勇ましい、と感じています。
――「アセンション」はどのような楽曲でしょうか?
いとうさん:「SideEffect」の何倍も上をいく、超ハイテンションな楽曲です。
彩音さん:レコーディングは私が後だったのですが、何本か血管が切れるほどでした(笑)。終わった後にご褒美としてチーズケーキが待っていまして、それで切れた血管を修復した思い出があります。
――レコーディングで苦労した点をお聞かせ下さい。
いとうさん:これまではデュエットでも主旋律は全部収録していたのですが、今回は担当パートだけ収録しています。主旋律を全部歌わないレコーディングは初めてだったので不思議な感じがして。「コーラスラインをコーラスと思わないで歌って下さい」という指示は戸惑いましたが、面白いなと思いながら歌いました。
彩音さん:最初から最後までずっと血管を拡張させて常に汗をかいていました。それぐらい自分の中で何かと戦っている感じでの収録でした。2人の声が合わさったのを聴かせていただいて血の巡りが良くなったというか、“アセンション”(高い次元に上昇すること)出来た気がします。
――この曲を初めて受け取った時はいかがでしたか?
いとうさん:「またジェットコースターきた!」と思いました(笑)。本当に急降下のジェットコースターのようで、息つく暇のない曲です。
彩音さん:すごく駆り立てられるような、何かに追われている印象がありました。私の代表曲のタイトルである「嘆きノ森」が歌詞に入っていたのはグッときました。
――完成した曲を聴いた感想をお願いします。
いとうさん:「なるほど!」という感じでした(笑)。別々に収録したので分からなかったけど、想像以上に忙しいのでライブで再現出来るかが今後の課題です。
彩音さん:私は早くゲームがやりたいという気持ちになりました。今回はゲームに先駆けて聴けるので、ゲームを待つ間に楽曲を聴いて楽しんでもらいたいです。
――この曲の聴きどころはどこでしょうか?
いとうさん:サビですね。同時に歌っていると思いきや掛け合いになったりする忙しさを、ぜひ体感して欲しいです。
彩音さん:私はサビの最後の「真実へと」で天に召されているので、「彩音頑張っているな」と汲み取っていただければと思います(笑)。ここが見せ場ですので、皆さんと一緒に天に召されたいです。
――「Live5pb.2014」のコラボステージの感想をお願いします。
いとうさん:彩音ちゃんの「コンプレックス・イマージュ」は難しい曲だったので、全然気が抜けずにプレッシャーが大変でした。歌い始めから転調したりするので、ぼーっとしていたらすごく音痴になっちゃうし。でも、今回のデュエット曲は年明けに発表されたので、「あれは前振りだったんですか?」と言われました(笑)。
――ライブの時点で収録はしていたのでしょうか?
いとうさん:まだです。デュエットすることも決定だとは聞かされていなくて、「あるかもね~」ぐらいの感じでした。でも、コラボはデュエットの前振りだと思っていただいても全然構わないですよ(笑)。
彩音さん:そうですね(笑)前振りだと思っていただいて構わないです。Live5pb.の時、「コンプレックス・イマージュ」はオープニング曲だったので、一緒に歌えるという思いとライブの空気感を作るという緊張感がすごかったです。でもすごく楽しくて大成功でした!
――3曲目「ひとつのいのち」はグランドエンディングテーマとなります。この曲を歌うと決まった時の気持ちはいかがでしたか?
上間さん:声優としても参加させていただいているのですが、「私、5言ぐらいしか喋っていないけど、歌っていいんですか?」というのが正直な気持ちです(笑)。びっくりした反面、歴史の長い作品なので頑張らなきゃいけないと気が引き締まりました。
――声優としてはどのような役で出演されたのでしょうか?
上間さん:何人か演じています。ゲーム内では名前がなかったキャラクターに、WEBラジオ「レレレの錬金術師」で“金沢聡美”という名前を付けていただき、スピンオフのラジオドラマをやらせていただきました。ゲーム以外のところでキャラクターが生きているのも面白いなと思っています。
――「ひとつのいのち」はどのような楽曲でしょうか?
上間さん:作品の世界観にすごく寄り添った楽曲となっています。事件性のある雰囲気から始まり、最後には希望が見える終わり方をしますので、とても聴き応えがあります。3曲分ぐらい聴いた感じなんですよ。(楽曲を制作した)daiさんとラック眼力さんの愛情が曲にも歌詞にもたっぷり入っていて、特に大事なところは2人に熱くディレクションしていただきました。最初から最後まで聴いて欲しいです。
――レコーディングで苦労した点を教えて下さい。
上間さん:声を何重にも重ねているので覚えるパートも多かったですし、休憩も含めて6時間ぐらいかけて録っていただきました。レコーディングが終わった後は12時間も寝ちゃいました(笑)。でも、普段こんな長い時間歌えることはないので楽しかったです。
――お気に入りの部分はありますか?
上間さん:歌詞は色々なキャラクターの目線で書かれているんですけど、特に好きなのが(園崎)詩音ちゃんの目線のところです。「爪ゴト 皆…ハガシテヤルッッ!」という歌詞で。
いとうさん:そこが好きなのかーい!(笑)
上間さん:そのシーンの詩音ちゃんの顔を思い浮かべながら、そのような顔をして歌ったのが楽しかったです。なんか新たな自分を発見しちゃいました(笑)。
彩音さん:気をつけないと爪を剥がされちゃうよ~(笑)。
上間さん:色々なキャラクターが入れ替わり立ち替わりするので、生でもしっかり歌えるように練習したいと思います。
――3月29日には発売記念イベントがあります。意気込みをお願いします。
いとうさん:我々はスタジオをとって練習しましょう!(笑) 3月29日までに仕上げてまいりますので、皆さんぜひ来てください。歴代の「ひぐらしのなく頃に」の曲も歌うかもしれないので予習していただいて。でもメドレーは大変だからやめようね(笑)。
彩音さん:サイン会もありますし、同時に3アーティストに直接会えるのはなかなかないと思うので、ぜひお時間を作って遊びにきていただきたいなと思います。ジャケットにサインしますので、CDを忘れずに持ってきてくださいね。
上間さん:グランドエンディングを歌っている上間江望はどんな人なんだろう?という気持ちだと思いますので、期待に応えられるように頑張って練習してきたいです。
――今年チャレンジしてみたいことはありますか?
いとうさん:今年も海外に行く機会がありそうなので、近所で外国人のお友達を作ります! 自分で説明したりお客さんやスタッフと話せるように、英会話レベルを上げたいです。
彩音さん:ライブグッズでお米を作りたいです。自分の田んぼも持ちたい(笑)。それから、「ひぐらしのなく頃に」の聖地巡礼をしながらライブをしてみたいですね。白川郷でのライブとか。
上間さん:私は岐阜出身なので、ぜひ白川郷で歌いたいです。「ひぐらしのなく頃に」のご当地で歌ってみたいです!
――「ひぐらしのなく頃に」で好きなキャラクターを教えて下さい。
いとうさん:(竜宮)レナが可愛くて怖いから好きです。
彩音さん:バットを持っているから(前原)圭一くんですかね。私は野球の応援が大好きで、10周年記念ライブでは客席に向かってボールを打つ企画もありました。なので、圭一くんもこうやってバットを振り回していたのかなと思って、圭一くんが好きです(笑)。
上間さん:私もレナちゃんですね。「はう~」となっているところと、ナタを持っているところのギャップがすごいなって。アニメで「圭一くんのオットセイかわいい」と言うところも好きなんです……下ネタかな?(笑)
――上間さんをこのシングルで知る方も多いと思います。どのような声優、アーティストを目指しているかお聞かせ下さい。
上間さん:声優としては、元気な女の子をやらせていただくことが多く、私自身も楽しいことが好きなので明るいキャラクターは合っていると思っています。歌はロック系を歌うことが多くて、好きなアーティストはJAM Projectさんです。元気な曲もやりつつ激しい曲が好きですね。今回バラードで難しい世界観を歌わせていただいたので、今後は自分の幅を広げていきたいと思っています。
実は私、2年ぐらいニートだった時期があるんですよ。でもそこから勉強を始めて今お仕事させていただくことが出来て本当に幸せです。だから、「人間頑張ればなんとかなるんだぞ!」というのを私の活動を通してたくさんの人に伝えていきたいです。ニートも無駄じゃなかったと(笑)。みんなに希望を与えられるような人になりたいと思っています。
――普段はどのような性格なのでしょうか?
上間さん:基本的にマイペースです。あまり人の行動を気にしないですし、人の目も気にしないところがあります。ひとりで行動することがすごく多いですね。
――そんな上間さんから見て、先輩方2人の印象はいかがですか?
上間さん:お会いするのはまだ2回目なんですよ。でも初めてお会いしたのが、収録後の打ち上げの席で。いとうかなこさんは歌っている時ののびのびした姿も知っていたんですけど、お酒を飲んだ時ののびのびとした姿も素敵だなと(笑)。周りまで楽しくさせるオーラはすごいなと思いました。
彩音さんはすごく気遣いの出来るお姉さまだなと思いました。「嘆きノ森」が好きで、彩音さんの艶のある歌い方を盗みたいなと思っているところです(笑)。勉強させてください!
彩音さん:すごく嬉しいです。私自身ももっともっと前を向いて進んでいかなきゃいけないと、身が引き締まる思いです。
――逆に上間さんへアドバイスはありますか?
いとうさん:アドバイスなんてございません~(笑)。自由に自分の好きなように歌うのが一番です。
――上間さんは、2人とデュエットするとしたらどんな曲を歌ってみたいですか?
上間さん:ええ~、いいんですか~? じゃあ、彩音さんとは「Angelic bright」。いとうさんとは……。
いとうさん:えみりーちゃん(上間さん)とはバラードを一緒に歌ってみたいです。声の質は少し違いますけど、ちょっぴりハスキーなのは似ているから、美しくメロディの優しい曲でえみりーちゃんが主旋律を歌って、私がハモってみたいです。
上間さん:ぜひやりたいです!
いとうさん:私、本当はバラードが好きなんですよ。たまに言っておかないと、早くて高くて辛いのが好きだと思われちゃう(笑)。
彩音さん:私も作家さんに「彩音ちゃんは早くてキーが高くてジェットコースターみたいな曲が得意かと思った」と言われます(笑)。命を削って歌っていますから。
いとうさん:夢が膨らむね!
――最後にメッセージをお願いします。
いとうさん:「ひぐらしのなく頃に粋」の主題歌集がゲームに先駆けて発売します。ぜひシングルを手に入れてフルサイズで曲を楽しんでいただいた後に、ゲームも楽しんでください。そして、ライブ会場にぜひ足を運んでいただけたらと思います。ライブ会場でお会いしましょう!
彩音さん:初めていとうかなこさんとデュエットさせていただきました。それぞれになりきって歌えるバージョンも収録されますので、各パートを歌う楽しみも出来ますよ。発売イベントもありますし、たくさんの場所で「アセンション」を歌っていきたいと思います。
上間さん:私のデビューシングルとなります。たくさんの方に知っていただいて、イベントでご挨拶出来たらいいなと思っています。ブックレットはびっくりするデザインになっていますので、ぜひ手に取って確認して欲しいです。全編フルボイスですごいボリュームのゲームも、シングルと合わせてぜひ楽しんでください。よろしくお願いします!