本日9月17日より開催した東京ゲームショウ2015にあわせて、「PlayStation VR」の開発に携わるSCEJAの伊藤雅康氏へのインタビューを実施した。

9月15日に行われた「SCEJA Press Conference 2015」でヘッドマウントディスプレイ「Project Morpheus」の正式名称が「PlayStation VR(PS VR)」と発表された。

2016年上半期の発売が迫るPS VRについて、ソニー・コンピュータエンタテインメントジャパンアジア エグゼクティブバイスプレジデント兼 PSプロダクト事業部事業部長兼 ソフトウェア設計部門部門長 伊藤雅康氏に話を聞いた。

――正式名称が決まったPS VRですが、開発状況は?

伊藤氏:順調で、ハードウェアに関しては今回展示しているもので、ほぼ最終形になっています。あとは、最後にゲームソフトのチューニングをしています。

――PS4の時はデベロッパーと意見交換をしながら開発したと聞きましたが、PS VRでも同じような形だったのでしょうか?

伊藤氏:今回は、一部のデベロッパーやワールドワイドスタジオと、より深くやらせていただきました。一番気になっているのは“酔い”です。ハードウェアとしてどう作ればよいか、ゲームソフトとしてどう作ればよいか、という点をディスカッションしながら開発しています。

――PS VRはPlayStationのビジネスにおいてどのような位置づけになるのでしょうか?

伊藤氏:PS4のシステムとして、最初からPS4と必ずつなげるということを考えていました。正直、ハイエンドPCとつなげた方がクオリティの面では高いです。しかし、我々はPS4とつなぎ、PS4の世界のひとつとしてPS4の世界を広げていこうと考えてスタートしています。PS4のパフォーマンスを最大限使ったものにしていくという位置づけています。

――どの程度の販売量を見込んでいますか?

伊藤氏:具体的な数字は申し上げられませんが、PS4ユーザーの何割かがPS VRを買っていただけると本当にありがたいです。

――2016年上半期の発売と発表されていますが、もう少し詳細な時期は?

伊藤氏:2016年上半期としかいえません(笑)。ハードウェアとしては、ほぼ完成形なのですが、同じゲームを遊んでも酔う人と酔わない人がいるんです。健康に直結するので、なるべく酔わないようにしたいと思っています。デベロッパーさんがゲームソフトを作る上でどうしたら良いのか、ハードのファームウェアをどのようにチューニングすればよいのかなど、試行錯誤している段階です。それが上半期のどこかでリリースできるレベルにできればと考えています。

――PS VRの開発チームにはどのような経歴のメンバーがいるのでしょうか?

伊藤氏:いろんなところから集まっています。HMZ(過去にソニーが発売していたヘッドマウントディスプレイ)に携わっていた人たちもいます。ゲームの知見はありせんが、ヘッドマウントディスプレイの知見を持っています。PS4のシステムソフトの開発チームメンバーだったものもいますし、発売に向けてトップチームになっています。

最初の頃は研究開発メンバーからはじまりましたが、いろんなところから専門家を入れていますね。

――酔いの解決策は見えてきているのでしょうか?

伊藤氏:だんだん見えてきていますが、どこまで突き詰めても酔う方はいます。線引きがとても難しく、そのガイドラインを作っているところです。

――せっかく買ったのに遊べなかったら残念ですね。

伊藤氏:そうなんです。リリースしてから「PS VRなんてとんでもない」という評判になってしまうのを恐れているので、なるべく完璧なものにしてリリースします。

――ゲーム以外への導入は考えていますか?

伊藤氏:将来的にどこかのタイミングでやりたいとは考えています。

――その場合、PCにつなぐこともあるのでしょうか?

伊藤氏:B to CはPS4を使います。もしB to Bがあるとしたら、ハイエンドのPCを使いたいという要望があれば考えなければいけないかなと思っていますが、具体的には何も決まっていません。

――E3では自転車を漕ぐタイトルもありましたね。

伊藤氏:あれば、コンシューマ向けというよりは、たとえば、フィットネスセンターといったB to Bを想定したものですね。

――まだPS4を持っていないユーザーがPS4とPS VR、そしてソフトをすべて購入すると結構な価格になると思いますが?

伊藤氏:今回、PS4を値下げしました。PS VRの価格は発表していませんが、なるべく安くしたいと考えています。他社さんの場合も、ハイエンドのPCとヘッドマウントディスプレイを購入すると結構な価格になります。我々の場合は、PS VRとPS4をつなぐことで価格も性能も担保できるため、強みだと思っています。

――Oculus Riftといった他社から多くのヘッドマウントディスプレイが発表されていますが影響は?

伊藤氏:ものすごく大きいですね。E3でも話をさせていただく機会もあり、良い意味で切磋琢磨し、盛り上げられていると思っています。

――ゲームを遊ぶ上で1時間に1度休憩しましょうといった注意をされたりしますが、PS VRの場合はなにか目安があるのでしょうか?

伊藤氏:今のところ業界的に目安はありません。何時間か遊んだら強制的に休ませるようにするといった方法もありますが、ゲームの途中で邪魔されたくないという人もいます。どんな方法がよいのかを議論しているところです。

――10分遊んでクリアし休憩するのか、それとも数時間連続してプレイできるのか、製品版ではどのようなプレイスタイルになるのでしょうか?

伊藤氏:そこも議論しているところです。たとえば、今回展示している「RIGS」だと勝負がつくまで結構時間がかかるのですが、途中で休憩を入れたほうが良いのかとか。もっといえば、ビックタイトルの最後の部分だけをVRで見せるとか。このあたりは、どのような形が良いかを議論中です。

――ハードとしては長時間装着していても良い設計になっているのですか?

伊藤氏:そうです。ただ、個人差が大きいんです。車酔いと同じですね。

――日本と海外でプレイする環境が違うと思いますが、どのようにお考えですか?

伊藤氏:使い方が全く違います。海外の方はPS VRを装着した状態で、人に見られるのを良しとして、写真をSNSにアップしているんです。日本人の場合は、恥ずかしいなと感じる人が結構いらっしゃいます。

「PlayRoom」のように、装着している人とコントローラーを操作する人が一緒に遊べるパーティー系のゲームが海外でウケます。日本は、ひとりで遊びたい人が多いようですね。

――ローンチではどの程度のコンテンツを提供できそうですか?

伊藤氏:多ければ多いほうがいいですね(笑)。他社さんについてはわかりませんが、ワールドワイドスタジオからはローンチの時に出せると思います。

――長期間、開発されていると思いますが、苦労した点は?

伊藤氏:やはり酔いの部分ですね。一番最初のバージョンはすぐに酔いました。コンシューマ商品としてリリースする以上、どのように改善したらいいかをずっと考えてきました。

――実写のようなリアリティの高い映像ではなく、ゲームコンテンツで没入感を高めるコツなどはあるのでしょうか?

伊藤氏:逆にCGの方が作り込めるのでVRに適したものを作りやすいんです。そのようなノウハウをVRに長けたデベロッパーさんがまとめてくれているので、それをバイブルにしています。ゲームだからこそVRに適していると考えています。

――「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO」だと近づいてみたくなるのですが、テレビにぶつかってしまうこともあると思います。マニュアル作りも難しいのではないでしょうか?

伊藤氏:テレビや横の人にぶつかってしまうこともあります。実際に導入するかはわかりませんが、装着したらゲームをはじめる前に、「そこを確認して下さい」といった動作をしてからスタートするような仕組みを考えています。

――PS VRを購入するにあたってどの程度のスペースを確保しておけばよいでしょうか?

伊藤氏:(手を広げて)この程度ですかね。

――最後にPS VRのアピールをお願いします。

伊藤氏:PS VRだけではなく、とにかくVRを体験していただきたいです。聞くのと体験するのでは全然違います。それから、PlayStationのVRということは、PlayStationに今まであったゲームタイトルのVR版も今後リリースしていきたいです。今まで遊んでいたゲームがVRになるということは、PlayStationでしかできないと考えています。そういう点でPS VRに期待して頂きたいです。

――ありがとうございました。

※画面は開発中のものです。

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