3日生きた?奇跡だね!8つの選択が生死を分けるダンジョンRPG「異世界の闇の中で」での軌跡

プレイレビュー
0コメント ガッキー

redboxが配信中のiOS/Android向けダンジョンRPG「異世界の闇の中で」。本稿では、“死んで当然、生きて偶然”と謳われる闇の世界へと身を沈めていく、冒険者(プレイヤー)たちの生き方を見せていこう。

「異世界の闇の中で」は、レトロな雰囲気のコマンド式ダンジョンRPG。本作は、前作「異世界に生きる」のシリーズ第2弾タイトルとしてリリースされており、ゲームでは闇の住まうダンジョンにその身を投じていく、冒険者(プレイヤー)たちの一生を体験していく。

今作では前作のように、広大な世界の片隅にあるゴミ箱の横で生涯を終えたり、権力者の家のカーペットを彩る絵の具にされることもない。紳士を気取る破綻者相手に“ルーレット”でもすれば、あいかわらず頭の中を鉛玉が通過していくこともあるだろうが……まあ、はした金よりは安い命だ。

なお、ここから先へと進む前に、前作での素晴らしき栄光に繋がる冒険譚について興味を持った人は、まずはこちらの記録に目を通してもらうのがいいだろう。それも済んだという気持ち十分な冒険者たちは、ようこそ命の軽い吹き溜まりへ。

やり直しなどできるはずがない。人生とはそういうものだ

陰鬱な雰囲気の門出の前に、まずは自身の分身たる主人公「お前(ゲーム中の名称)」を作り、最低限の人となりを整えていく。能力値は生命力、攻撃力、防御力、そして運と、その名の通りの機能を有している。ダイスの一振りで頑強な戦士にも、虚弱なネズミ男にもなれるが、根気を入れた分だけ後悔するので適度に妥協すべきだ。

また、本作には「職業変更」の機能が用意されている。これを使えば、好奇心しか取り柄のない冒険者という生業以外にも、レンジャー、マジシャン、剣聖など、名からして華やかな職業につくことが可能だ。しかし、職業を開放するためには特別なリソース「闇の欠片」を集めねばならない。

「闇の欠片」は、画面を連打するだけの適当な消化プレイで着実に溜めることもできるが、心が強い人にしかオススメできない。なので、「じっくりプレイで、いつか正当に手に入れる」か、「ササッと課金で、手早くなりたい自分になる」かは、自分で決めてくれ。

闇の世界へと足を踏み入れる前に、まずは「闇世界の心得」なる訓辞が垂れられる。眠くなるような説法めいたアドバイスにじっくりと目を傾けるのも得策だが、当面は「死んだら終わり」「8択のギャンブル」と肝に銘じておくだけで十分。それで一晩くらいは生き延びられるはずだ。身の振り方は、プレイをしていく内に自然と覚えられる。

なお、あらかじめ言っておこう。本作ではスミからスミまで、どこにいってもどこまでいっても、“保証”という要素が欠如している。これを「まだ見ぬワクワクドキドキ」と捉えるか、「不定なる理不尽」と捉えるかは、個人で判断してほしい。

しかし、闇の世界とはよくいったもので、冒険のメイン画面となるこの場所からは何一つ指標が見えてこない。ここから見えるのは、画面の左右に羅列された【未探索地点】という名の8つの選択肢だけ。それらが繋がっている先は、1日毎に自動生成されるランダム形式なので、行き先はシステムのみが知っている。

かといって、勇気を振り絞ってタップするようになるのは少し先の話。最初の頃は「今日は豚肉と鶏肉、どっちにしよう」、それくらいの決断でことを進めるべきなのだ。死ななくても痛くない、死んでしまったら面倒くさい。まだ「お前」に対してはその程度の感情して湧いていないのだから。いっそ、肉の選択の方が悩ましいくらいか?

とりあえず左上の【未探索地点】を選んでみると、穏やかな明かりを灯す【初心者の館】に出くわした。家の中には“優しげな男”がいるようだが、本当に優しいかどうかは定かではない。日本語の妙というやつか。

話しかけてみるとこの男、物事を教える対価に金をせびってきたり、「判断は他人に委ねるべきじゃない。自分の思うことをすべきだ」と目からウロコの台詞を語る。初心者を迎える態度ではない。識者ぶっているところも鼻につく。しかし、“自分の思うことをすべき”を教えてくれるからこそ、ひよっこはここから一歩を踏み出せるようになるのかもしれない。

それだけはありがとう、優しげな男。

最初の戦いを経て強くなり、館をあさってシケた戦利品を収穫。外に出てみると、左上の未探索地点が初心者の館であることが確認できるようになった。続いて選んだ【未探索地点】の先は……【薬屋】。どうやらこの世界では「エリクサー」という薬を用いることで、生命力(HP相当)が回復できるらしい。持ち運びもできるので、なるべくなら常に持っておきたい。

しかし、この場であれば無料で飲ませてくれるとは、主人も中々気前がいい。

ふざけてやがる。だが、ゲーム中はこういったプレイヤーの軽率な行動に対して、ありとあらゆるリスク/リターンがつきまとう。未探索地点の先で罠に引っかかってアッサリと、ゴミをあさっているとゴミが爆発してアッサリと、欲しい武具が買えないから盗もうとしたら屈強な店主にアッサリと、回復の泉だと思ったら実は毒でアッサリと……などなど、死に様だけは枚挙にいとまがない。

RPGらしく、正面から魔物と戦って死せるケースがどれだけ真っ当なことか。

さて、指先一つで新しいお前を始めると、殺気を爛々と放つ「ゾンビ」が立ち塞がってきた。戦闘はいたってシンプルで、攻撃するか、回復するか、逃げるか、もしくは職業固有のスキルを使用するかのタイマン勝負。どちらかが倒れれば勝敗が決まる。しかしまあ、低攻撃力・高耐久力のお前を引いたがために、初っ端から泥仕合。

ゲーム序盤は早急に武具を確保したいのだが、【未探索地点】の中に武器屋・防具屋があるか、武具の入った宝箱に出会えるかは、全て闇の世界の意向によるもの。安定ルートなど何一つないので、ローグライクダンジョンならではの数奇な巡り合わせに期待するほかない。

【未探索地点】はさまざまな場所に繋がっている。時には敬虔な信者たちが治める協会へと導いてくれる。しかし、神からの恩恵には等しく対価が必要らしい。「神とは?」と軽口に疑問を問うてみると金貨3,000枚が要求され、「お布施をする」と答えると三つのお得なプランが提示される。資本主義に精通した、実に信心深い神父様である。

おもむろに襲撃すると、その立ち振る舞いはボッシュートの如し。床を開いて隠し通路からそそくさ逃げてしまった。しかし、このシチュエーションにも随分と手馴れている様子だ。

そうやって行き当たりバッタリに冒険を進めていると、何も分からなかった8つの【未探索地点】の先が、徐々に判別できるようになってくる。

そして、8つの中に必ず1つだけ存在する【闇の底】を引き当てれば、そこがお前のゴールだ。

【闇の底】で眠ると、生命力を回復することができる。運が悪いとアサシンが襲ってくるが、それはそれ。「まだ生命力に余裕があるし…」と思うなら、まだ見ぬ【未探索地点】の先を探ってみるのもいい。なお、眠る時に、【闇を取り除く】と回復無しで闇の欠片が入手でき、【引退する】と人生を終えて分相応の闇の欠片が入手できる。

今を生きるか、いつかなれるだろう職業を求めるかは、各々の選択に通じていく。

だが、この世界では眠ることで1日が過ぎ、1日経つごとに闇が濃くなっていく。そして、魔物がより凶悪になっていく。いわゆるダンジョンにおける「階」の代わりが、この「日数」となるのだ。同時に、いずこかで入手できる武具も強力なものに置き換わっていくのだが、それを得ることが叶うか否かは運のみぞ知る。

この世界では、1日という時間を無為に過ごせば、闇の濃度に追いつけなくなる。かといって8つの道の先に有意義なイベントがなければ、自力でやれることなど一つもない。システムに決められたランダムの中で、プレイングの誤差を生み出すには、プレイヤーの才覚が求められる。

魔物を倒しつつ、空き家に忍び込み、回復の泉を飲み干し、ゴミを漁っている内、こんな世界で営業しているどうしようもない【酒場】に訪れた。前作と違い、お酒は無料で飲むことができ、さらに生命力を漲らせるほどの効能が得られる。しかし、お前は軟弱体質になってしまったのか、たったの一杯で「ウップ…」状態。若者のお酒離れ。

店の中は後ろ暗い空気が漂っており、客もまばらに座っているだけ。ただ、こんな場所ならではか下卑た耳目が集まっているところもある。ギャンブルだ。賭け事では胡散臭い連中から大金をせしめることもできるが、時には命を対価に支払うこともある。冒険者の尊い命はチップの代わりか、客を沸かせる小粋な肴にしかならない。

1日また1日と闇の中で過ごしていくうちに、お前は過分なリスクを嫌い、保身に長けていく。運良く一発逆転を狙うのではなく、堅実に一歩ずつ前に進んでいくと捉えれば、それほど悪いポリシーではない。

ある時は、傷を負って動けない男にエリクサーを渡したのに、そのお礼に逆上された。エリクサーを買うためにタンスから95ゴールド借りただけなのに。またある時は、聖職者を名乗る好意的な男に出会った。回復してくれると言っていたが怪しい。そもそも話しかけてくる方が悪いのだ。

「異世界の闇の中で」は、前作「異世界に生きる」と比べると、やや単調に物事が進んでいく。RPGというよりもローグライクの骨格が強く出ていること、世界がダンジョンの中だけに集約されていること、年齢のような要素がないことでプレイヤー自身が物語を生み出し辛くなっていること、その理由はさまざまにある。

しかし、ゲームジャンルの焦点が一転に定まっているので、カジュアルチックでありながらやり込みに興じれるのはよいことだ。シリーズ作品としての純粋なビルドアップを求めていた人には物足りないのかもしれないが、シリーズの幅を広げる作品としては意欲的であり、十分に成功している。何より、1プレイすればゲームコンセプトがすぐに体感できる点は、相変わらず素晴らしい。

なお、既に発表されているシリーズ第3弾では、“魔王”にフィーチャーされることが明かされている。魔王になる前に人として生きてみたいという冒険好きの勇者は、「異世界の闇の中で」「異世界に生きる」で第一歩を踏み出してみるのがいいだろう。冒険の結末は誰も保証してくれないがね。

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