スパイク・チュンソフトが2016年5月19日に発売予定のPS Vita用ソフト「喧嘩番長 乙女」の拳で語る「漢」と「乙女」の感情に揺れる葛藤のプレイレポートをお届け。
「喧嘩番長 乙女」は、スパイク・チュンソフトが贈る「喧嘩番長」シリーズの最新作にして、初の女性向け作品。プレイヤーはヤンキー高校・私立獅子吼学園を舞台に並み居る不良や猛者どもをシメ、イケメンにときめくのではなく、ときめかせていくスタンスで学園の頂点―番長―を目指し邁進していく。そう、本作では今までの乙女ゲームで培ってきた常識範囲内の“乙女”スキルは二の次三の次、愛も友情も拳で語りあうのが掟なのだ。
今回はそんな本作の主人公・中山ひなこ(ゲームでは名前のみ変更可能)を入学から2ヶ月間見守った熱い日々のレポートをお届けする。
番長に続くロードの序章は「道ドン」
高校生活への期待を胸に入学式に向かうひなこは、出会い頭に自分と同じ顔をした「鬼ヶ島ひかる」という少年と衝突。堅気には見えない通行人の見立てによると、ひかるは複雑骨折をしてしまったらしい。入学式に出ないと退学になってしまうというひかるの為に、ひなこは男装をして代わりに参加してあげることに――。
憧れの道ドンが極道の手にかかると上等な詐欺手段となることを学ばせてもらえる物語の導入だが、そんなことを知るよしもない心優しいひなこのヤンキー高校・私立獅子吼学園での伝説はこうして幕を開ける。
本作はアドベンチャーパートとバトルパートで進行。アドベンチャーパートでは、プレイヤーは学校や街などのマップから、行きたい場所を選択することでキャラクターとのイベントを発生させることができる。なお、基本的には1日3回(朝昼夕)の行動が可能だ。発生するイベントはすべてフルボイスで進行。攻略対象のキャラクターはもちろん、モブのヤンキーたちもよってたかって臨場感ある因縁をつけてくれる。
システムの基本を把握したところで、体育館へ向かうと1年のトップをタイマン勝負で決める獅子吼学園の入学式が執り行われて(?)いた。ここで他の追随を許さない戦いぶりで暫定1位となるのが攻略対象キャラクター、箕輪斗々丸(みのわととまる/CV:KENN)。斗々丸は鮫島中で番を張っていた今年の注目株の1人で、空手を得意とする裏表のないヤンキー。ひなこが絡まれていると見返りなく助けてくれるなど面倒見の良い少年だ。
「これから喧嘩を売らせていただきます。」
トップにこだわる斗々丸は、ひなこが極道の御曹司・鬼ヶ島ひかるだと知ると必然とばかりにバトルがスタート。せっかくなので、ここでバトルシステムについて紹介しよう。
バトルは「メンチを切る」「タンカバトル」「喧嘩バトル」で構成されている。「メンチを切る」とは「これから喧嘩を売らせていただきます。」という挨拶のことで、表示される3種類の表情から1つを選ぶ。ちなみに「殴りかかる」を選ぶとタンカバトルが省略され不利な状況から「喧嘩バトル」がスタートするので注意しよう。
次に「タンカバトル」では「メンチを切る」を受けた牽制の言葉が表示。3回に分けて表示される4つのワードから正しい言葉を選び、この言葉を完成させると「喧嘩バトル」が有利な状態で開始される。正解とは異なる“裏タンカ”もあるようだが、制限時間内に入力できないと失敗となるので、余裕が出てきたらチャレンジしてみよう。
シメの「喧嘩バトル」では、中央上部から流れてくるアイコン(○・×・△・□・L・R)を手前の炎のマークと重なるタイミングで入力していく。成功すると自分の、失敗すると相手のポイントとなり体力ゲージ下の校章アイコンに蓄積され、溜まったところで攻撃が発動する。ポイントを得ていくと同じアイコンのみで入力が可能なフィーバータイムが発動するので、うまく活用しよう。
頼れるものは己が拳―主人公・中山ひなこの生い立ち
喧嘩に勝利し、暫定とはいえ1年トップの実力を持つ斗々丸を下したことで、ひなこの戦闘力の高さが明らかになった訳だが、入学式の時も斗々丸が空手を得意とすることを冷静に見抜いたり、彼女は一体何者なのだろうか。
その答えを知るのが双子の兄である鬼ヶ島ひかる(おにがしまひかる/CV:代永翼)だ。彼は由緒正しい極道・鬼ヶ島家の御曹司。その生い立ちのせいで喧嘩が強いと信じられ名前だけが一人歩きしている。さらに厳格な父の教えで獅子吼学園に通うことを定められ、耐えられなくなったひかるは、生き別れた妹のひなこを身代わりにする計画を立てたのだ。
ひかるの調査結果では、ひなこは幼い頃に両親と生き別れてから、児童養護施設で暮らしてきた。この施設は不当ないじめに備えるという方針から、ひなこはここでさまざまな格闘技を習得。さらに小・中学校では友だちがいなかったため、来る日も来る日も自室で鍛錬を重ね9年間ひたすら強さを追求してきた――そう、彼女は“喧嘩番長”という星の下に生まれてきたのだ。
この事実を調べあげたひかるによって、まんまと入学式の入れ替わりが成功。引き続き高校生活が続行されることが決定したのだ。ちなみに、冒頭の堅気らしからぬ通行人は坂口春生(さかぐちはるお/CV:近藤隆)。彼は鬼ヶ島組の若頭でひかるの世話係。すべてにおいてひかるを優先させる残念具合だが、なにかと主人公のフォローをしてくれる頼れる存在だ。
ヤンキーとして生き抜くために
ひなこの意思とは裏腹に獅子吼学園に通い続けることになってしまったが、喧嘩で負かした斗々丸がひなこを認めナンバー2としてつくことに。しかし、これにより1年のトップ争いは仕切り直しとなり、10日間でクラスのトップが争い頂点を獲りあうバトルロイヤルが開始。ひなこは5つの組のトップ、そして攻略対象キャラクターの金春孝之(こんぱるたかゆき/CV:蒼井翔太)を倒し1年をまとめ上げるため始動する。
ここで「10日以内に1年のトップになれ」という旨の「ミッション」が発生。マップで自由に行動を決定し、ゲームが進められるようになるので、冒頭でも触れたマップの補足をしよう。
アイコンにはメインキャラクターの個別・遭遇イベント、その他キャラクターの遭遇イベント、ミッションイベントの4つの種類がある。遭遇イベントの2つでは出会い頭で「メンチを切る」か「会話をする」が選べるが、ここでの喧嘩はあくまでコミュニケーションの一環。戦いを避けている相手と喧嘩をして勝ってもストーリー展開には影響しないので注意しよう。
また、個別イベントは会話イベントを重ねてキャラクターの好感度を上げることで発生。個別イベントを多く選択することで任意のメインキャラクターのストーリーへ進むことができる。そしてほかと並行しつつ優先したいのがミッションイベント。これは期日中にクリアしなければゲームオーバーとなるので、気をつけてプレイしよう。
そしてこれらの行動を起こす際に注目したいのが、ひなこに設定された「漢度」と「乙女度」のパラメータ。このパラメータはストーリーや会話イベント・個別イベントの選択によって変化。また、喧嘩に勝利することで「漢度」が上昇する。「漢度」が高いと最後まで女だとバレない友情ルート、「乙女度」が高いと女だとバレる恋愛ルートにストーリーがシフトするので攻略の際の大きなポイントとなる。
さて改めて行動を開始すると、入学式前からたびたび姿を見かける新たな攻略対象キャラクターとのコミュニケーションが可能になったので簡単に紹介しておこう。
2年の実力者・吉良麟太郎(きらりんたろう/CV:細谷佳正)は口数が少なく他人に関心がないタイプだが、ひなこに関しては思うところがあるようで、クラスまで様子を見に来たり助言を与えてくれることもある。ひなこの正体やひなこ自身も忘れている何かを知っているような発言も気になるところだ。
また、ひなこが1年のトップになるためのキーパーソンである金春は、小柄な体格ながらも中学時代ひよどり中の番を張っており、153戦無敗とうたわれた少年。しかし格闘技を始めてから喧嘩からは手を引いているという。クールに見えるが実は熱血でストイック。さらに家族想いな一面も持ち合わせている。
忘れてはならないのが、ナンバー2として行動を共にする斗々丸。ひなこにとって斗々丸は初めてできた友だちなので、面と向かって友だちと言われたり、一緒に帰ったりと些細なことに喜ぶのだが、斗々丸はその姿に少々のときめきを感じてしまい困惑することになる。1年制覇をかけた戦いに疲れた時は、この2人の微笑ましいやりとりに癒やされてほしい。
彼らとの絆を深めつつミッションをクリアするとストーリーが展開。一番最初に倒した藤組の蛇川宗男による卑怯な手口で一時は金春に誤解されてしまうが、拳を交え解り合うことができた。ヤンキーの集まりである獅子吼だからこそ、トップが統率し秩序を守らなければならないと、ひなこ、斗々丸、金春の3人は仲間として決意を固めたのだった。
「漢のプライド」を理屈ではなく心で感じられるストーリー
名実ともに1年のトップに立ち認め合える仲間も増えたひなこ。しかし他の1年生たちは、ひなこをトップとして認めておらず、統率がとれないことに頭を悩ます。
そんな中、GWが始まり中間試験に向け斗々丸、金春との勉強会や休日のコミュニケーションを満喫。自宅での勉強会も生まれて初めてのひなこが“おもてなし”のさじ加減がわからず張り切りすぎてしまう姿は、坂口ではないが過保護になりそうなくらい可愛い。
さらにナンパ師こと4人目の攻略対象キャラクター・未良子裕太(みらこゆうた/CV:柿原徹也)との街での出会いや、アルバイト中の吉良を拝めたりと、休日ならではのイベントが満載だ。
つかの間の休息が明けると獅子吼1年をターゲットにした他校による校章狩りが勃発。学校同士の衝突に発展しかねない事件は牛又高校の生徒の仕業であることが判明し、1年のトップとしてひなこは解決に乗り出す。
調査の中で5人目の攻略対象キャラクター・鬼ヶ島鳳凰(おにがしまほうおう/CV:前野智昭)に出会うが、獅子吼の伝説の番長で主人公とひかるの腹違いの兄ということ以外は謎のキャラクターだ。豪気で人徳もありそうな“頼れる兄貴”だが、ひなこの事情を知らず弟の“ひかる”として猫かわいがりしてくれる一面にギャップ萌えが止まらない。
さて肝心の獅子吼狩りの調査の結果、今回の事件を指示していた牛又高校の意外な人物を捕まえるミッションが発生。獅子吼1年の期待を背負ったひなこは、きっちり拳でカタをつけ1年のヤンキーたちに認められ仲間として打ち解けることができたのだった。
しかし、ひなこの目標は獅子吼学園すべてをシメ、番長になること。6月は2年との体育祭、別名“喧嘩祭り”が待ち受けている。ひなこは吉良を倒し、2年も掌握することができるのか。そして喧嘩の間をぬって蒔いてきた乙女ルートの芽はでるのか――番長への道のりはまだまだ長い。
ここまでプレイして、最初は「漢のプライドとは…?」などと日和っていた筆者も、ヤンキー社会だからこそ浮き彫りになる、己の力のみで勝ち取る上位カーストの地位が男としてのプライドの象徴であることを理屈ではなく心で理解できた。すっかり漢ルートのノリにハマってしまったわけだが、そのカーストの頂点に立つ者の責任と重圧、さらには乙女ルートの葛藤でひなこが苦しむことがないよう、しっかり拳を振るっていきたい。ヤンキーとの熱い友情や恋愛が描かれた「喧嘩番長 乙女」で、“乙女”もそうでないユーザーも、ぜひ新境地を開拓してほしい。
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