キングストンテクノロジーのゲーミングヘッドセット「HyperX CloudX Revolver Gears of War」の魅力に迫る! オーディオ機器の特徴を誰にでも分かりやすく伝えていく、初心者向けオーディオ講座「付け焼刃の知識でケガをする音響機器レビュー」。

勝利の味に飢えていますか? 今日もどこかでチェーンソーキル! そんなわけで今回も、ゲーミングヘッドセットに関する分かっているようで分かっていない用語や、スペック表の意味するところを調べつつ、ときには大胆に無視しつつ、機器の特性を紹介していこうと思います。伸びやかでキレのあるタイトな音場感を一緒に勉強していきましょう!

「Xbox」+「GoW」+「公式」+「認定」=ガチ

第5回で紹介していくのは、キングストンテクノロジーのゲーミングブランド「HyperX」より、ゲーミングヘッドセット「Cloud」シリーズの最新製品にして、「Gears of War 4(以下GoW4)」とタイアップした「HyperX CloudX Revolver Gears of War」です。名実ともにMicrosoftのお墨付きアイテムですね。肩書に弱い私はこれだけで平伏です。

ちなみにCloudXのXはXboxのXだと思いますが、正しいのかどうかは分かりかねますので、あまり吹聴しないようにしましょう。あとで恥ずかしい思いをします。私が。しかし、「HyperX CloudX」って文字を口に出して読んでみると、ちょっとクドイですね。息継ぎがしづらいです。まあ、日本人はこう書かれると思わず口ずさんでみたくなるんですよね。ですよね?

キングストンテクノロジー「HyperX CloudX Revolver Gears of War」
型番:HX-HSCRXGW-RD
小売実売価格:17,980円前後

最初はカタログスペックの読み取りです。ヘッドホン部分は密閉型ダイナミック 50mm径(ネオジム磁石)、周波数は12Hz~28,000Hz、インピーダンスは33Ω、音圧レベルは104.5dB、T.H.D.は2%未満、入力電力は定格30mW/最大500mW、重量は380g(マイク含む)です。どれも説明済みですが、せっかくなので今日は周波数について深掘りしてみましょう。

といっても、なんかこう理工学的な波線みたいな表記を学んでも頭に入らないので、やんわりと調べてみたところ、Hz(ヘルツ)は1秒当たりの単位時間らしいです。つまり、低周波の12Hzは1秒あたりに12の波がきて、高周波の28,000Hzは1秒あたりに2.8万もの波がくるということでしょうか。そして、高周波なほどいわゆる高音に聴こえると言われています。

ちなみに犬って、犬種によっては60.000hzまで聴き取れるらしいですよ? 出典はもちろん、Wikipediaです。

また、28,000Hzの音であっても、音圧レベルなどをはじめとするさまざまな要因によって、“28,000Hzの音だけど違う音”に聞こえることもあるとかなんとか。オーディオ関連は“主観の命題(※)”を避けて通れないジャンルなので、こういったアプローチができる知識人になれれば、文章にも説得力が増すのですが。難しいので当分は諦めましょう。

※主観の命題とは:一言でいえば、「私と君とでは“耳”が違う」ということです。スラングには神耳・クソ耳といった言葉も頒布しています。つまり、オーディオ界では聴く側の人間性能も問われるのです。なお、人間の耳の中には音を感じるための微細毛があり、それは減ることはありますが、増えることはないと言われています。ミュージックをガンガンにかき鳴らして耳にダメージを与えている人ほど注意しましょう。

箱の裏にもCOG(統一連合政府、通称コグ)のシンボルが。

マイク部分のスペックですが、方式はエレクトレットコンデンサーマイク、極性パターンは単一指向性・ノイズキャンセリング、周波数は50Hz-18,000Hz、感度は-40dBVとなっております。

のっけのエレクトレットコンデンサーマイクについて調べてみましたが、つまるところ“安価で一般的な方式のマイク”であることが分かりました。これ以上の事情は察してください。

GoW4で使えるダウンロードコンテンツのシリアルコード付き。

私のシリーズ恒例の楽しみ方「友人と2人で初見インセイン」

製品パッケージには、ヘッドセット、ノイズキャンセリングマイク、PC接続用延長ケーブル、「Gears of War 4」のDLC「GEAR PACK」シリアルコードが同梱されています。

接続はXbox One ワイヤレスコントローラーなどをはじめとするゲーム/モバイル製品向けの3.5mmステレオミニプラグ4極、またWindows PC向けの延長ケーブルに3.5mmステレオミニプラグおよびマイクプラグが備わっています。ヘッドセットのケーブル長は1.3m、PC延長ケーブルは2mありますので、複雑怪奇な居住環境でもなければ問題ないでしょう。

なお、本製品は先日発売されたXbox One公式認定のフラッグシップモデル「HyperX CloudX」を元に設計されたものかと思いましたが、カタログスペックを照らし合わせたところ、どうやら「HyperX Cloud Revolver」(紹介記事はコチラ)に近似しています。デザインもそうです。まず「HyperX CloudX」系列の製品でないことは覚えておきましょう。

本製品はあくまで「HyperX Cloud Revolver」をコンシューマ機向けに仕様変更したもので、デザインを除く大きな違いは「PC向け延長ケーブルにインラインコントローラーが付属」から、「ヘッドセット側ケーブルにインラインコントローラーが付属」に変更されていること。これによってコンシューマ機への直繋ぎでもインラインコントローラーが使用できるようになりました。

本製品のキャッチコピーは「激烈なアクション。強烈なオーディオ」。製品単体だとなんのこっちゃですが、GoWコラボ製品と考えると“実にらしい”と納得できる表現です。

さて、まずはお決まりのゲーミング用途として、PS4「レインボーシックス シージ」をプレイしつつ、その使い心地を試していきましょう。恒例の「エンジン音が鳴り続ける車を正面に360度回る」で定位のバランスを探っていきます。「GoW4のタイアップ製品なら、GoW3とかGoWJで試せよ!」と思う人もいるかもしれませんが、応用の効かない耳の持ち主である筆者では信憑性がトレードオフです。諦め諦め。

定位に関しては、問題なく作用しています。また、改めてこの機種を試したことで“左右の低位の表現が大雑把”といいますか、過剰なボリュームコントロールの気配が見えてきました。これは悪い意味ではなく、ゲーム演出においてはメリハリが効いたものですし、危機察知スキルを向上させるという意味でも悪くないアプローチだと思います。ただ、“音が左右方向だけから鳴り続ける場所”に長々といると、体調を崩しそうになるので三半規管が弱い人は注意しましょう。

続いては装着感です。頭のてっぺんのお供であるヘッドバンドの上部には、“Gears of Warの文字”を刻印した本革素材が使用されており、一目で高級感が伝わってきます。外縁に刺繍されている赤糸のステッチもカッコ可愛い感じでビューティフォーです。

なお、実際にヘッドバンドが頭頂部と接する部分はフカフカな低反発素材になっているので、本革で頭をすり減らすことはありません。ちなみに総合的な装着感、外側のスチールフレームに関しては、前回記事でこれでもかと紹介しているので詳しくは書きません。一文だけ記述するならば「鐘だぁ……頭の中で鐘が鳴ってるんだぁ……鐘なのだぉ……」って感じです。

気になる人はそっちでチェックしてください。

エンクロージャには“よく見る例のマーク”。

マイクは取り外し可能なノイズキャンセリング仕様。マイクブームはフレキシブルな設計でグネグネと動きます。TeamSpeak、Discord、Skype、Ventrilo、Mumble、RaidCallといったコミュニケーションツールにより認定されているので、安心して使っていきましょう。

なお、マイクに関しても使用感は同等でした。詳しくは前回記事です。

どんなときでも君の味方はブームショット

「HyperX CloudX Revolver Gears of War」は、まさに地獄の終末世界を印象付けてくるレッド&ブラックなデザインです。小汚いローカストどもを自慢のランサーで撃ち殺し、斬り刻んだら、返り血でこういうカラーになりそうですね(笑)。ドーンハンマー(笑)。個人的にGoWシリーズは1~3までプレイしているので、今回の新作も楽しみです。

ちなみにXbox One「Gears of War 4」日本語版は、日本での発売中止が決定されており、国内においては日本語字幕が収録される北米版でプレイするほかありません。哀しい定めを背負った日本ユーザーにつきましては、手練手管を尽くして入手するはめになります。コラボヘッドセットよりもゲーム本編が手に入りづらいなんて、やっぱりセラは地獄だね。

ということで今回も、Gamer編集部の女性陣に「いい仕事ぉ……モデルの仕事ぉ……」と働きかけ、ヘッドセットガールになってもらいました。うん、これまでで最も攻撃的です。外出には間違いなく向きません。昔のアヴリル・ラヴィーンくらいパンキッシュに決められればアリですが、ハードル高し。シュシュの柔らかガール効果を見事に殺していますね。

しかし、「GoWファン一点狙い」という用途においては非常に力強いアイコンとして作用します。エンクロージャで主張しているお馴染みの髑髏マークを目にしたファンからは、「すみません、プランBですか?」と尋ねられることでしょう。そこですかさず“あの台詞”を吐くのか、「はい、そうです」と返すのかは、各々のコミュ力にお任せしますが。

一番怖かったのは、やっぱりネクサスへの道

ここからは“音楽鑑賞で使う「HyperX CloudX Revolver Gears of War」”と題し、DAP(デジタルオーディオプレイヤー)の音源ファイルを用いて、本製品のリスニング性能をレビューしていきます。取り扱う機器の構成は、DAPがSONY NW-ZX2(VPT:スタジオ設定)、楽曲はお楽しみ、参考用にモニターヘッドホン(Sennheiser MOMENTUM WIRELESS買いました!)です。

新品のパリッパリのイヤークッションと、使い込んでくたびれてきたイヤークッションだと、私は後者が好きです。イヤホンにおけるイヤーピース(※)はドンドコと変えていきますが、ヘッドホンのイヤークッションは中々変えることができません。多分、お気に入りの枕とかタオルとか、おそらくそういった部類のアイテムなのだと思います。それだけ。

※イヤーピースとは:イヤホンの耳に入れる先端部分。クッションだったり、シリコンだったりする、取り外し可能部です。イヤーチップとも呼ばれます。開放型もしくはインナーイヤー型と呼ばれるイヤホンの使用者には憶えが無いかもしれません。ただ、カナル型では“イヤーピースで音の聞こえ方が変わる”は定説です。物理的なものですので、オカルトと違って確かな効果があるカスタマイズといえましょう。

大胆かつ速やかにエージングを済ませ、いざ試聴……とはいうものの、既に同機種のレビューは済ませているので、同じ角度で評しても仕方ありません。ここは一つ、音楽傾向を限定することにしましょう。せっかくなのでハイエンドな音源にチャレンジです。

まずは巷で話題のアレの元祖、伊福部昭氏の名盤「映画『ゴジラ』(1954)ライヴ・シネマ形式全曲集」(和田薫 指揮 日本センチュリー交響楽団)より、「映画『ゴジラ』(1954)メインタイトル」を聴いてみましょう。うむー、やはりオーケストラサウンドの再現力は低いですね。ライブ風の音場は盛り上げ上手で迫力がありますが、弦楽器の繊細な付帯音を表現しきれていません。定位もクッキリしないので、広い空間を取る音楽には向いていませんね。

ちなみに初代ゴジラの鳴き声は、「コントラバスの弦に松ヤニを塗って、それを革の手袋でこする」という手法で作り出されました。わざと軋ませたような歪ませたような旋律だからこそ、日常生活で耳にできる自然音ではありえない、怪獣という常軌を逸したモノの存在感を際立たせられたのです。まあ、私は世代的にビオランテ至上主義ですけどね!

続いてはJAZZサウンドより、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの名盤「Moanin'」を聴いてみましょう。今回扱うのはFLAC 192.0kHz/24bitの音源。そのファイルサイズはなんと1曲640MB。非常に濃密な情報量です。大方ドライバーで削れるとは思いますけど。ちなみに楽曲名に聞き覚えがない人も、試聴してみたら一発で分かるだろう名曲ですよ。(タッタタラタタタッターン ドゥードゥ、ってやつです!)

JAZZを選出した理由は、オーケストラサウンドとは異なる音場感であり、音の密度がR/Lで一極化する傾向があるからです。一つ一つの楽器演奏に耳を集中して傾けられるため、試してみました。しかし、これが中々どうして、ハイレゾ相応の空間に埃が舞っているかのような空気感にまでは至らないものの、前述した定位のメリハリ具合がいい感じ効いていてGoodです。

本楽曲のウリであるドラムとトランペットの主張はままに、ベースとテナー・サックスの気だるげな雰囲気も「やるねえ……」と言いたくなるくらいクリーミーに鳴らしてくれます。しかし、管楽器の絞り出すような高音は特に問題がないのですが、ゲーミングヘッドセットの宿敵たる高音域(ピアノ)はやはり弱めで、生々しい迫真の演奏がときどき“ザラッと割れたように聴こえる”のが難ではあります。が、そこはレトロチックな演出としておきましょう。

特に印象に残ったのは、ベースの上品で甘ったるい残響音と、テナー・サックスのダイナミック感。後者は音が多いとヌルヌルとしたキレ味になりますが、それもまた1950~60年代ミュージックCDに求められる、“実プレイ収録ゆえのアナログ感の追求”を支持する要素に転じます。管楽器に強いわけではありませんが、イイ方に捉えられるくらいにはやる子です。

やはりといいますか、全体的に低音寄りの傾向が強いからこそ、JAZZサウンドとの相性の良さが感じ取れました。JAZZの中でもジャンルを選ぶ(ピアノジャズや管楽器のソリストが強いと厳しい)かとは思いますし、ハイレゾJAZZ特有の聴いているだけで脱力してしまいそうな妖艶な色気にまでは突入できませんが、それでも機器と楽曲の特性とは合致しています。なので、ゲームのついでにモダンなハード・バップ(※)に興味がある人にはオススメです。

※ハード・バップとは:言ってみたかっただけです。詳しくは検索しましょう。

新しいギアーズを、新しいヘッドセットで

「HyperX CloudX Revolver Gears of War」を語るうえで、「Gears of War」とコラボしていることは避けて通れません。だって、これほどまでに“ギアーズしたデザイン”なんですから。つまり、なにが言いたいのかというと、「HyperX Cloud Revolver」と「HyperX CloudX Revolver Gears of War」のどちらを買うべきなのか、という問いです。

個人的には断然「HyperX CloudX Revolver Gears of War」を挙げます。やはり、インラインコントローラーの使いやすさに軍配が上がりますね。「HyperX Cloud Revolver」と比べて圧倒的に利便性が向上しています。反面、ただでさえ攻撃的な意匠がさらに血みどろに彩られている点ですが、これに関してはもう個人の嗜好というほかありません。

GoWを知らなくとも、「真っ赤でドクロな反社会的デザインに見惚れました」というロックな人であれば、デザイン目的の購入もオススメできます。世の中にはさまざまなタイアップデザインのヘッドセットがありますが、そんな中でもまったく霞まない、力強いメッセージ性がありますからね、これ。もちろん、愛する地球の平和を守りたいという人もぜひどうぞ。

結論:「HyperX CloudX Revolver」より、こっちが好きかも……。

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