セガゲームス コンシューマ・オンライン カンパニーは、2017年1月19日発売予定のPS4/PS Vita用ソフト「蒼き革命のヴァルキュリア」について、ユーザーが参加する国歌斉唱イベントを東京都内のスタジオで実施した。
「蒼き革命のヴァルキュリア」は、PS3やPSPで発売されてきた「戦場のヴァルキュリア」シリーズで登場したキーワードを継承しつつ、世界観を一新して「ヴァルキュリア」の物語を描く作品。ジャンルはこれまでのアクティブ・シミュレーションRPGからRPGに変更。まったく新しい作品へと生まれ変わる意欲作だ。
絵画風描画シェーダー「GOUACHE(ガッシュ)」を利用したグラフィックやRPGながら大軍戦を実現するバトルシステム「LeGION(レギオン)」などに目が行きがちだが、作曲家の光田康典氏が担当する楽曲も欠かせない。
今回の国歌斉唱イベントは、光田氏が制作した楽曲「ユトランド国歌『麗しの地』」を一般のファンに歌ってもらうというものだ。収録会場となったスタジオには、抽選で選ばれた50人のファンが参加。指揮を担当した光田氏のもと収録に臨んだ。
50人の中にはオペラ歌手を経験した人もいたものの、基本的にはアマチュアの人ばかり。しかし実際に収録が始まるとスムーズに進行し、リハーサルは30分足らずで終了。本番もほぼリテイクなしという快調な収録現場となった。これには光田氏も驚きを隠せない様子で、指揮を振る最中に笑顔を見せる場面もあった。
結局収録はリハーサル、本番のすべてを合わせても1時間弱で終了。50人という大掛かりな収録としては異例のスピードだ。そんなわずかな時間ながら、参加者の間には協力してひとつのものを作り上げたという達成感で満ち溢れている様子。最後にはスタジオの中で撮影したり、スタッフと談笑したりする姿も見受けられた。
そして光田氏が参加者全員にねぎらいの言葉をかける一幕も。参加者の中には光田氏のファンも大勢いたのか、大きな列が出来上がり、言葉を交わそうとする人たちで溢れていた。笑顔を絶やさず全員としっかり受け答えする、光田氏の人柄が分かる収録でもあった。
「蒼き革命のヴァルキュリア」は、もっともたくさんの挑戦をした作品
すべての収録が終わったあと、スタジオでは光田氏に加え、チーフプロデューサー・下里陽一氏とディレクター・小澤武氏への囲み取材も行われた。最後にその内容もお伝えしよう。
――まずは収録を行ってみての感想をお願いします。
光田氏:想像を遥かに超えるほど良い形で終えることができましたね。皆さんあまりスタジオの雰囲気に慣れていないはずなので、上手くいくか不安な面もありましたが、本当に実力のある方ばかりで驚きました。リハーサルのときから「これが本番でいいのでは」と思うくらいでした(笑)。
下里氏:私自身も一般の方を呼んでの収録は初めてのことで、緊張しましたね。最初はプロの声優さんに歌ってもらう案もありましたが、ゲーム内では一般国民が歌うものなので、上手すぎてもいけません。結果として、上手さの中にもリアリティを含んだ歌声が録れたので大成功だったかなと思います。
――そもそも、なぜこのような企画が始まったのでしょうか?
小澤氏:下里が話したとおり、歌声にリアリティを持たせたかったのが理由のひとつです。それともうひとつ、国歌が歌われるのはゲームでも非常な重要なシーンであり、国やヒロインのオフィーリアへの思いを表現したかったのです。そうなると求められるのは歌の上手さではなく感情であり、「蒼き革命のヴァルキュリア」へ熱い思いを持っているファンの方々のほうが適任だと考えたのです。これを光田さんに相談したところ、快く引き受けてくれて、それどころかどんどん話が大きくなり、しっかりとしたスタジオで録音するまでに至りました。
――光田さんは話を聞いた当時を振り返って、いかがですか。
光田氏:とても面白い試みだと感じましたし、僕としても重要なシーンでかかる音楽として、重要な存在だと思っていました。この人数で、そしてこの雰囲気の中で音楽を作れたことがなによりも大切でした。50人が入れるスタジオは少なく、事前の準備も大変でしたが、ここまで来れて本当によかったと安心しています。
――光田さんは過去に、このような大掛かりな収録を経験したことはあったのですか?
光田氏:ないですね。プロの方のコーラスを録る場合でも、大体30人くらいです。50人というと、年末にある「第九」のコンサートと同じ規模ですからね(笑)。
――実際に収録を行った現在の手応えについても教えてください。
光田氏:最初は皆さん緊張されていたと思うんですよ。しかしそれも次第にほぐれて、最後は感情がダイレクトに伝わる歌声に仕上がったと思います。こちらが圧倒されて、感極まったくらいです。最後には皆さんが「楽しかったです」とおっしゃってくれたので、やった価値がありましたね。
下里氏:本当に全員が笑顔で帰っていただいたのは嬉しかったですね。光田さんを起用した甲斐がありました(笑)。
小澤氏:良い意味で照れがなかったですよね。最初は緊張して声が出ない人もいるかと想像していたのですが、リハーサルの段階からかなりの声が出ていて、まったくの杞憂でした。
――ちなみに国歌は、ゲーム内のどこで流れるのでしょうか?
小澤氏:終盤の重要なシーンとだけ言っておきます(笑)。
光田氏:一番良いシーンだと思いますし、「なるほど」と納得してくれるのではないでしょうか。
――メロディーだけでなく歌詞も気になるところですが、どのような意味を込めたのでしょう。
小澤氏:もともとは作品の柱となる楽曲を作りたくて、光田さんには「国歌か、ユトランドに古くから伝わる民謡を作ってほしい」とお願いしたのを覚えています。そこから国歌を作ることが決まり、私が歌詞を書くことになりました。
しかし作詞に関しては素人なので、物語や設定を元に、ユトランドがどんな国かが分かる内容になっています。あとはユトランドに住む国民が誇りを持てる曲にしたい思いもありましたね。それからはあらゆる国の国歌を聞き、日本語訳を調べながら詞の傾向を掴んでいきました。
下里氏:最初に作詞をどうするか議論になったとき、僕は一番ユトランドを知っている人間が書くべきだと思ったんです。だからすぐに「お前(小澤氏)が書け」って言いました(笑)。シナリオを誰よりも理解し、作品への思いの強い人でないと国歌の歌詞は書けませんからね。
小澤氏:おそらくプロの作詞家が見たら拙い部分もあるかもしれませんが、それも含めて作品に対する思いの強さだと捉えてもらえるとありがたいです。
――楽曲制作時に、スタッフから光田さんへ要望したことはありますか?
小澤氏:口ずさみやすい曲にしてほしいとはお願いしました。国民全員が歌える楽曲にしたい思いから出た要望でしたが、結果的にはそれがスムーズな収録にも繋がったのかもしれませんね。
――今後は体験会の開催など、プロモーションも本格化しますよね。
下里氏:先日から体験版のVer.2.0を配信しまして、来週からは全国各地で体験会も開催します。今後はもうひとつ、さらなる体験版も用意するつもりです。そのときは限定したユーザーさんに向けてではなく、誰でも楽しめるようにする予定です。
――ゲームの開発も順調という認識でよろしいですか。
下里氏:入れるべき要素はすべて入り、あとは細かな調整やバグ取りを残すだけです。楽曲に関しては、これから最後の収録があり、それですべてが揃います。
光田氏:これから収録するのはラストバトルで使用する楽曲で、個人的にもかなりの自信作です。体験版ではさすがに聞けないので、製品版を楽しみにしてください。
――最後に、楽しみにしているファンへのメッセージをお願いします。
小澤氏:私のわがままで始まった企画で、正直どれくらいの人数が集まるか、不安もありました。しかし予想を遥かに超える応募数があり、本当に嬉しい気持ちです。同時に、あらためて期待されている作品であると感じましたし、それに応えられるよう頑張っていきます。
下里氏:グラフィックやシステムでも新しい試みをしていて、音楽に関しても光田さんに「最高の音楽をお願いします」とお願いし、そのとおりの仕上がりになっています。光田さんにはこれ以上ないくらいの楽曲を書いてもらったので、期待してください。
光田氏:僕がゲーム音楽を作ってきた中でも、もっともたくさんの挑戦をした作品になると思います。ゲーム中にも面白い音楽の表現方法が散りばめられています。とても良い形で収まっているので、実際にプレイして楽しんでもらえたらと思います。
――ありがとうございました。
(C)SEGA
※画面は開発中のものです。
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