【おとめげ！】第2回「剣が君 百夜綴り」――美しく、切なく綴られる和風伝奇アドベンチャー待望の新作

「おとめげ！」は、イケメンと可愛い女の子をこよなく愛するライターが、さまざまな乙女コンテンツをご紹介する連載企画です。今回はRejetから2016年12月22日に発売された「剣が君 百夜綴り」についてお届けします！

選ぶのは信念に生きる「剣」の道か、愛しき「君」との道か

江戸時代を舞台とした壮大な物語と、美しいビジュアルで人気を集める和風伝奇アドベンチャー「剣が君」。剣の高みを目指す者、誇りを取り戻すために戦う者、贖罪の道を進む者、己の生き様に悩む者、復讐に身を置く者、己の道を探す者、様々な過去を背負った6人の侍と1人の少女との、深く切ない恋模様を描いた作品です。

駿府城に嫁入りする姫とそっくりという理由で、偽の花嫁行列に加わることとなった主人公。陰謀が渦巻く偽の花嫁行列で出会った2人は江戸で再会し、多くの困難を乗り越える中で少しずつ惹かれあいます。そして背負った宿命に立ち向かう2人の行く末は、選択によって異なる4つの道に分かれます。それは心温まるものだけではなく、涙なしには読み進めることができない悲しい終わりを迎えてしまうものもありますが、どれも彼らの心情が痛いほど伝わるものばかり。戦いの先で彼らが選んだ、侍としての生き様をしっかり見届けようと決意せずにはいられませんでした。

こうした本編では描かれていない一味違った展開を「剣が君 百夜綴り」では読み進めていきます。美しいグラフィックやサウンドと併せてじっくりと楽しめる100の物語すべての読み応えはばっちりで、ボリュームたっぷりのストーリーを求める方にぴったりの作品になっています。それでは、本作の見どころについてご紹介していきましょう！

新たに語られる、百の物語

本作のストーリーは、大きく11の書で構成。それぞれの書の中でも章が分かれていて、読み終わると新たな物語が楽しめるようになっています。時折、人物選択肢が現れ、選んだキャラクターの視点で物語を進めることも。読み終えた際に手に入る「勾玉」や、しおりを集めるとおまけ要素が解放されるのでしっかり集めていきましょう。

天竺葵の書

ここでは偽の花嫁行列の目的地、駿府城に辿り着いてからの帰り道の物語が描かれます。それぞれの目的のため、再び江戸を目指すこととなった6人。九十九丸・実彰・縁、左京・螢・鈴懸がそれぞれ行動を共にしていたところ、なにやら不穏な気配が…。護衛の役目を終え、あまり気を張らずに旅をする6人の姿が見どころです。

山茶花の書

妖怪を滅する力を持つ、伝説の「天下五剣」。腕に覚えのある侍たちは、その刀を授かるために「剣取り御前試合」での勝利者「一番刀」を目指しています。そんな中で行われている「五剣祭」で、たくさんの店の優劣を競う「番付」が開催されました。主人公の家が営む料理茶屋も参加を決めますが、上位を狙う他の店から嫌がらせを受けてしまいます。主人公たちは一致団結して戦いますが、さらに話は意外な展開へ。

主人公と料理茶屋のため、あの手この手で盛り上げようとする6人。時には「左京がそんなことまでするの！？」というシーンもあり、微笑ましい気持ちで楽しく見守ることができました。刀をもつ戦いではなく、商売人としての誇りをかけた戦いは見物ですよ。

桜の書

江戸に広がる、幽霊や化け物の噂。鈴懸の診療所がある長屋でも幽霊騒ぎが起こり、通いたくても通えない患者が出てきてしまいます。そこで主人公は、正体を確かめるべく鈴懸と一晩を過ごすことに。鈴懸の優しさに胸を打たれつつ、一件落着かと思ったのもつかの間。今度は刀を持った者を脅す「刀置いてけ幽霊」が現れますが、その姿は…。

主人公と6人が協力して事件の解決に挑み、一つの結末を迎える本書。続きが気になって一気に読み進めてしまいました。

メインキャラクターの物語を紐解いていく6つの書

「彼岸花の書（九十九丸）」「山吹の書（螢）」「菖蒲の書（黒羽実彰）」「梅の書（縁）」「紫陽花の書（鷺原左京）」「金盞花の書（鈴懸）」ではそれぞれの書で本編の後日談が語られたり、以前にあった出来事を思い返したり、もう戻れない昔を思う切ない話があったりと、色々なシチュエーションが詰まっています。

なかでも、愛しい人と紡がれる幸せな日々の小話は格別。夫婦として相手を想い、支え合いながら暮らしていく2人の姿にとても心が温かくなりました。こうした日常が、これからもずっと続いていきますようにと願わずにはいられません。

また、各キャラクターの過去も大きな見どころ。過去そのものは本編でも語られていましたが、本作では彼ら自身だけでなく家族など周囲の想いまで深く掘り下げられます。すでに過ぎたこととはいえ、悲しい場面も少なくありませんが、たくさんの愛情にも触れられます。そしてもちろん、子供の姿の6人が抱きしめたくなるほどすごく可愛らしい！今とはずいぶん性格の違う子もいるので、微笑ましいシーンではただただ頬がゆるみっぱなしでした。

二輪草の書

ここでは6人のメインキャラクターのうち、2人にスポットを当てた出来事が展開します。本編ではあまり直接的な接点のなかった2人組や、一見すると反りが合わないように思えた2人組から垣間見える息の合った様子には、つい頬が緩んでしまいます。6人の中心に主人公がいるのはもちろんなのですが、お互いに剣の腕や人となりを認め合える関係性に少し羨ましさも感じてしまいました。

江戸菊の書

「剣が君」シリーズの壮大かつ重厚な物語に欠かせないのは、なんといっても魅力的なキャラクターたち。ここではメインキャラクターを陰で支えたり、見守ったり、時には敵対する、そんなサブキャラクターたちの一面に迫る内容となっています。

メインキャラクターと出会った過去の思い出や、その後の未来の生き様など様々な場面が描かれており、中には本編とは全く異なる姿を見せてくれる場面も。驚くこともあれば、なんとも切なくなることもあり非常に楽しめました。

ときめくセリフも披露される「人物詳細」や設定画を閲覧できる「絵草子」も

プレイ中やクリア後に楽しめる「ご褒美」の項目では、新たに描き下ろされた美麗なグラフィックを堪能できる「画廊」をはじめ、勾玉を集めることで解放される「人物詳細」やしおりを手に入れることで閲覧可能になる「貸本屋」、秘蔵の設定画を見れる「絵草子」など多彩なコンテンツを楽しめます。

とくに人物詳細では、メインキャラクターだけでなくサブキャラクターに至るまでたくさんのボイスをたっぷり聞くことができます。サブキャラクターにもドキッとする言葉が用意されているので、勾玉をたくさん集めておきましょう。

江戸の情緒ある空気を感じられる和楽器のほか、迫力あるストリングスのサウンドも本作の魅力の1つ。まるで和紙を切り取ったようなメッセージウィンドウまで、細やかなこだわりが物語へとより深く引き込んでくれますよ。和の世界にしっとりと浸りたい方に、ぜひ本編と併せてプレイしてほしいタイトルです！