スクウェア・エニックスの人気アクションRPG「聖剣伝説」シリーズ。本シリーズの25周年を記念したコンサート「Music 4Gamer #1『聖剣伝説』25th Anniversary Concert supported by SQUARE ENIX」が、渋谷・Bunkamura オーチャードホールにて開催された。
「聖剣伝説」シリーズの中から「聖剣伝説-ファイナルファンタジー外伝-(以下、FF外伝)」「聖剣伝説2(以下、聖剣2)」「聖剣伝説3(以下、聖剣3)」「聖剣伝説 Legend of Mana(以下、聖剣LoM)」「聖剣伝説4(以下、聖剣4)」から、ファンのリクエストも交えながら人気の楽曲を集めた本コンサートの演奏は70年の歴史を誇る東京交響楽団、指揮はオペラや管弦楽を中心に活動している柴田真郁氏が担当。
会場にはシリーズの楽曲を多数手がけてきた伊藤賢治氏と菊田裕樹氏をはじめ、シリーズの生みの親である石井浩一氏、スーパーファミコン時代のタイトルを支えた田中弘道氏、シリーズの現プロデューサーである小山田将氏も登壇し、声優の岡本信彦さんとフリーライターのマフィア梶田さんが司会を務めるトークコーナーも設けられた。
作曲者&開発者によるトークコーナーも展開
開演前には伊藤氏、菊田氏を迎え、コンサート当日の心境などについてトークを展開。2016年に伊藤氏が「SQUARE ENIX Presents 聖剣伝説 LIVE ~Echoes of Mana~ Produced by Kenji Ito」で「FF外伝」の楽曲アレンジを披露したことは記憶に新しいが、今回のような「聖剣伝説」単体でのコンサートは初。菊田氏は「25年は長かった」としみじみと振り返りながら、伊藤氏と共に楽曲の制作手法や向き合う姿勢などについて語る。楽曲のオーダーについても、昔は「中ボス」「雑魚1」「雑魚2」といった大まかな指定でイメージを膨らませたという。
ここで、残念ながら会場に駆けつけられなかった下村陽子氏よりコメントと、両氏に対し「デモを提出するときの気分は?」という質問が投げかけられる。下村氏からは自信満々に見えるという2人だが、伊藤氏は自分にとって良いものが他人にとっても良いとは限らないため、リテイクを重ねて汲み取りながら近づけていくと語る。菊田氏は作るまでに相手が何を考えているのか、何を求めているのか理解した上で作ることを大切にしているという。
また今回のセットリストについて、菊田氏はもともと演奏を前提とした曲ではないため「無茶だな」と感じたそう。だからこそ、情感たっぷりの素晴らしい演奏を楽しみにしてほしいとファンに訴える。伊藤氏もファンと一緒に楽しみたいと期待を覗かせた。
いよいよ始まった第一部は「Rising Sun」(FF外伝)で開幕。美しく伸びやかな旋律で早々に涙腺を刺激されながら、フィールド曲をメドレーにした「果てしなき戦場」(FF外伝)~「少年は荒野をめざす」(聖剣2)~「Swivel」(聖剣3)へ。これから起こる「何か」を感じさせるような、色彩豊かな音色と力強いリズムが会場に響き渡る。
繊細なピアノの演奏から盛り上がっていった「Legend of Mana ~Title Theme~」~「彩りの大地」のメドレー(聖剣LoM)が華やかに駆け抜けた後は、ゆったりと包み込む「Mana's Tale」(聖剣4)とボス戦での緊張感を煽る「危機」(聖剣2)のメドレー。一進一退の攻防を重ねるバトルで味わった感覚が、オーケストラアレンジで心により深く蘇るようだった。
ここで、再び石井氏、田中氏、小山田氏によるトークコーナーがスタート。まずは田中氏が「ファイナルファンタジー」よりも前に「聖剣伝説」というタイトルが動いていたなど誕生するまでの紆余曲折について語り、石井氏は世界観への考え方や「聖剣2」でのマルチプレイにも触れ、子供の頃の「一緒に遊べる時期」での思い出はとても大切に残るものと話す。一ファンとして「聖剣伝説」シリーズを愛し、コンサートの企画に尽力した小山田氏は、とくに思い入れがある作品は「FF外伝」、曲は「子午線の祀り」を挙げ、6月1日に発売を予定するNintendo Switch用ソフト「聖剣伝説コレクション」でもマルチプレイを楽しんでほしいとファンに伝えた。
伊藤氏自らがピアノで「Rising Sun」を演奏
第二部は、スタートを飾るにふさわしい「天使の怖れ」(聖剣2)~「Meridian Child」(聖剣3)のメドレーから。ピアノとハープの切ない音色が胸を締め付ける「滅びし煌めきの都市」(聖剣LoM)では流れる「涙」についても思いを巡らせ、しっとりとした空気を味わいながら「哀しみのなかで」~「想いは調べにのせて」のメドレー(FF外伝)に耳を傾けた。
第三部は激しくも荘厳な「Pain the Universe」(聖剣LoM)~「Black Soup」(聖剣3)メドレーで始まる。「愚者の舞」(聖剣4)~「最後の決戦」(FF外伝)と熱いバトルサウンドを力強いパーカッションが表現し、ピリピリとしつつも心地よい空気が会場を包んだところで、シリーズ屈指の人気曲である「子午線の祀り」(聖剣2)へ。技巧の冴える演奏に割れんばかりの拍手が巻き起こった。
鳴りやまない拍手に応えたアンコール1曲目は、素朴なメロディにいつまでも身を委ねていたくなる「ホームタウン ドミナ」(聖剣LoM)。続けてアップテンポな「Hightension Wire」(聖剣3)から「天使の怖れ」(聖剣2)が披露されると、ステージには伊藤氏、菊田氏、石井氏、田中氏、小山田氏の5人が勢ぞろい。そしてファンの惜しみない拍手に応える中、1人ステージに残った伊藤氏は自らとピアノを指して「Rising Sun」を生演奏するという嬉しいサプライズが待っていた。ステージの照明が伊藤氏の姿だけを浮かび上がらせ、ホールに穏やかで美しいピアノの音色だけが響く。「聖剣伝説」25周年を記念したコンサートは、そんな贅沢なひと時で締めくくられた。
なお、クリエイター陣や作曲陣へのインタビュー、演奏楽曲や「聖剣伝説」シリーズタイトルについての情報を収録したオフィシャルパンフレットはKindle版でも配信中。トークコーナーで触れられた部分をさらに掘り下げられる内容となっているので、コンサートに足を運べなかったファンはこちらをチェックしてみてほしい。
撮影:増田雄介
※画面は開発中のものです。
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