日頃からさまざまなゲームニュースが飛び交う中で、よく分からない単語を見る機会は多いのではないでしょうか? ここでは編集部内でも疑問に上がっていた、HTML5ゲームとクラウドゲームについてその立ち位置を簡単に紹介していきます。

目次
  1. HTML5ゲームはブラウザゲームの未来に
  2. クラウドゲームはより多彩な環境下でプレイ可能に
Yahoo!ゲーム ゲームプラス

ヤフーが新たなプラットフォームとして7月に発表した「Yahoo!ゲーム ゲームプラス」は、国産のゲームプラットフォームであるという点も含め、多くの可能性を内包したサービスです。その大きなポイントとなるのが、HTML5ゲームとクラウドゲームという2種類の形式を採用していることです。

サービスの船出を飾るメディア発表会はGamerでも掲載しましたが、取材した編集部員は当初その仕組みを上手く理解できていない様子でした。要点を説明した結果、おおよその仕組みを理解したようで記事にも反映されましたが、ゲームをプレイするユーザーの方々にとっての理解もまだサービスの本質には触れられていないのではないかと思いました。

ここではそもそもHTML5ゲーム、クラウドゲームがどういう仕組みなのかに触れつつ、プレイヤーサイドとして楽しむ上でのメリットを紹介していければと思います。

HTML5ゲームはブラウザゲームの未来に

そもそもHTML5はWebページを構築する上で用いられるものなので、“HTML5ゲーム”という表現はその技術的な側面をクローズアップしていて分かりづらいかと思います。Yahoo!ゲーム ゲームプラスが次世代型ブラウザゲームプラットフォームと銘打っている通り、まずはそのままブラウザゲームという認識を持ってもらえると良いかとと思います。

ブラウザゲームというと、近年では「艦隊これくしょん -艦これ-」や「刀剣乱舞ONLINE」などのヒットが印象的だと思います。この2つはDMM GAMESでサービスされているものですが、そのほかにもYahoo! Mobageやニコニコアプリといった、SNSプラットフォームと紐付いたゲームタイトルが多いです。“チャネリングサービス”という言葉を良く聞くと思いますが、ひとつのゲームタイトルを複数のプラットフォームで提供するケースも珍しくありません。

今の若い世代の方にはピンと来ないかもしれませんが、以前はFlashゲームと呼ばれる、Adobe Flash規格を用いたカジュアルゲームがWebブラウザ上で多数提供されていました。Flashの技術自体は現在提供されている多くのブラウザゲームでも使われているのですが、近年Flashに代わるかたちで台頭してきたのがHTML5です。

HTML5は今年に入り、Yahoo!ゲーム ゲームプラスに加え、楽天ゲームズによる「RGames(ラクテンゲームズ)」の提供、バンダイナムコエンターテインメントとドリコムの共同出資による新会社「BXD」の設立など、注目を集める機会が増えてきました。その背景としてHTML5環境下での技術開発力の向上があり、今後大きな市場になることを見据えています。

とはいえ、プレイヤー側のメリットがどのあたりにあるのかはイメージしづらいところ。実際には多様な可能性があるのですが、ひとまずはイメージしやすい2点に絞って紹介します。

ひとつはPCとスマートフォン、双方で動作可能であることです。これまでは双方のデバイス上でプレイできるゲームやサービスはありましたが、それぞれ独立したサービスを介するケースが多く、十全と言えるほどの連動性は備えていませんでした。ただ、Yahoo!ゲーム ゲームプラスではYahoo! JAPAN IDの登録さえしておけば、同一のアカウントに紐付くかたちでゲームがプレイできるので、煩わしさが軽減されると思います。

もうひとつ、スマートフォンでゲームをプレイするにあたってネイティブアプリをダウンロードする必要がないというのも大きいです。ゲームアプリのデータ量が端末のストレージを圧迫するというのは現状のスマートフォンゲームにおける問題のひとつだと思うのですが、ブラウザゲームはデータをサーバー上で管理するため、通信環境さえあれば十分にプレイ可能です。

なぜこれらのメリットを活かせるのかといえば、先ほど触れた通り、HTML5環境下でもネイティブアプリと同等の表現が可能になったこと、そして将来を見据えた時により高速なデータ通信網が整備される可能性などが挙げられます。もちろんサーバー負荷などの問題はついて回ると思いますが、その点も含めて今後の動向が楽しみます。

スクウェア・エニックスがYahoo!ゲーム ゲームプラスに提供している「アンティーク カルネヴァーレ」。
オリジナルIPでゲーム配信にも対応するなど、意欲的なタイトルとなっています。

クラウドゲームはより多彩な環境下でプレイ可能に

クラウドゲームは、コンピュータゲームをストリーミング配信するサービスを指します。ゲーム上の処理は全てサーバー上で行われるため、その動作がデバイスに大きく影響しない点があります。Yahoo!ゲーム ゲームプラスにも技術提供を行うユビタスは、早くからクラウドゲームの環境構築に携わっていますが、今回のサービスにおいては専用デバイスやプレイヤーソフトを必要とせず、パソコンやスマートフォンなどのブラウザ上でプレイできるという点が大きいです。

クラウドゲームにおける利点は先に述べた通りですが、実はソニー・インタラクティブエンターテイメントがサービスしているPlayStation NowがPC環境に対応するなど、クラウドゲームのプレイ環境は大きく躍進しています。Yahoo!ゲーム ゲームプラスでは「ファイナルファンタジーX HD リマスター」(スクウェア・エニックス)などのタイトルを提供、PlayStation NowではPS4タイトルの対応が始まっています。現状ではまだまだ上限があるとはいえ、ハイエンドと呼ばれるようなゲームタイトルもデバイスを選ばずにプレイできる時代が近づいてきたということです。

ここで触れたサービスはビジネスモデルも含めて発展途上ですし、もちろんこの先どのようなサービスが登場するかも定かではありません。ただ、これらの新たな可能性がどのように成長していくのかを見つつ、一度ゲームに触れてみるのもいいのではないでしょうか。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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