コーエーテクモゲームスより2017年8月31日に発売されたPS4/PS Vita/Nintendo Switch用ソフト「よるのないくに2 ~新月の花嫁~」。ゲーム序盤をプレイしてみて感じた、本作の魅力を紹介していこう。
「よるのないくに2~新月の花嫁~」は、“美少女と、美少女と、美少女が惹かれあうRPG”をコンセプトに少女たちの絆を描いた美少女従魔RPG。前作「よるのないくに」で表現されたダークな世界観と、四々九の描く耽美な美少女たちの魅力が、より色濃く現れたタイトルとなっている。
すでに発売を迎えてはいるが、ここでは改めて本作の序盤をプレイしてみて気づいたポイントを紹介していこうと思う。前作をプレイした人は変わったポイントを、そして本作で初めて“よるのないくに”の世界観に触れるという人はぜひその魅力の一端を感じてもらえれば幸いだ。
リリィの存在が戦闘のバリエーションに彩りを添える
本作では、邪妖と呼ばれる敵を撃破しつつステージを進んでいき、制限時間内に目的を達成するかチェックポイントである「ゆがみの門」に到達し、拠点の「ホテル・エテルナ」に帰還するまでが一連の流れだ。ほとんどの邪妖は自我を失っており、本能でアルーシェたちを襲ってくるが、中にはアルーシェたちの助けになってくれる邪妖たち、“従魔(セルヴァン)”が登場する。
前作「よるのないくに」では4体の従魔を召喚して戦うスタイルをとっていたが、本作では設定した最大2体の従魔を最初から連れて行くことができる。戦闘において大きな助けになることはもちろんだが、従魔によって特別なアクションで道を切り開く“トリッカー”、武器に変身してアルーシェの装備となるストライカーの2つのタイプに分かれている。4種の武器を切り替えながら戦っていた前作と比べて、一度の探索で使える武器の種類は少なくなったということだ。
前作の仕組みもプレイの多様性を生み出すという点で面白いものではあったが、反面アクション中に従魔の運用と武器の選択を複合的に考える必要があった面も否めない。本作では攻撃のバリエーションと従魔の要素をひとつに組み込むことで、よりシンプルで分かりやすい仕組みに落とし込んだ印象だ。
これだけだとやや味気なく思う人もいるかもしれないが、本作ではそれを補って余りあるパートナー“リリィ”の存在がある。リリィとは、アルーシェと協力し、ともに戦ってくれる美少女ヒロインたち。戦闘にはひとりだけを参加させることができるが、それぞれに異なる攻撃のスタイルが用意されているため、戦いのバリエーションに彩りを添えている。
また、バトル中に溜まっていく“テンションゲージ”を開放して発動する必殺技“リリィバースト”や、キャラクターの特性に寄った効果を持つアクティブスキル(要請に応じて発動)・特殊スキル(リリィが自発的に発動)、アルーシェとリリィによる連携攻撃“ダブルチェイス”など、リリィ固有の能力もヒロインごとに用意されている。
“月の女王”を巡る重厚なストーリーが展開
リリィとして登場するキャラクターたちは、多種多様な美少女たちが揃っているが、もちろん最初から全員がリリィとなるわけではない。そこにはそれぞれの立ち位置から紡がれるドラマがあるのだ。
主人公のアルーシェは、教皇庁のエージェントとして生け贄“刻(とき)の花嫁”として選ばれた幼なじみの巫女・リリアーナを月の女王に送り届ける任務を受ける中で、その生命を落とす。その後、カミラの手で半妖として生き返ったアルーシェは、ルルド教団に所属するかつての仲間・ルーエンハイドらとともに、姿を消したリリアーナを捜すための手がかりを求めて各所を巡っていくことになる。
ストーリーは、アルーシェ、リリアーナ、ルーエンハイドの3人を中心に、教皇庁とルルド教団の対立関係や所属する組織の中で苦悩するリリィたち、そして前作にも登場したクリストフォロスら妖魔たちの存在など、多面的に展開していく。半妖にはなっても真っ直ぐな性格で先に進んでいくアルーシェの姿が心地よくも、その周囲に立つキャラクターたちの目線がストーリーに深みを与える。
ストーリーの要所で挿入されるCGムービーは、ひとつの大きな山場としての盛り上がりも見せてくれる。艶々しくも耽美な雰囲気で表現されたこの映像は、まさに本作の魅力である“美少女”を表現したものになっている。
メインストーリーにかかる要素は一定の緊迫感をもって進んでいくが、その合間にもリリィとのちょっとしたエピソードや従魔たちとのホッコリする会話などのメリハリも用意されている。中でも、リリィたちとの親密度を上げると見ることのできる“リリィイベント”は、普段の姿とはまた違った、リリィの新たな一面を見られるはずだ。
美少女を堪能できる要素も
本作では、アルーシェの目にしか映らない蒼い月が日数の経過とともに欠けていき、新月になると世界が闇に包まれてゲームオーバーとなる。ゲームの冒頭はストーリーに沿って進むこともあって意識することはないが、ゲームが進むことで蒼い月の欠けるリミットは延びていき、プレイヤーがより自由に行動できるようになる。
そうした状況下で行動の指針のひとつになるのが、ほかのキャラクターや教皇庁から依頼されるさまざまなサブクエストの数々だ。最終的にはメインとなるクエストを進めることでゲームが進行していくのだが、例えばメインクエストと同じ目的地で発生するサブクエストを一緒に達成すると、従魔の成長に必要な「従魔Point」や装備アイテムを購入・強化できる「Libra」などが入手可能。もちろんサブクエスト自体はクリアせずとも進行に影響はないが、これらを活用するとより円滑にゲームが進められることだろう。
最後に、ゲームを進める上では欠かせないキャラクターの成長要素に触れておこう。
冒頭で紹介した通り、本作ではアルーシェ、リリィ、従魔にそれぞれ成長要素があるが、その手段はどれも異なっている。一番シンプルなのはリリィで、アルーシェと一緒に冒険に連れていくとリザルト画面で親密度とともに経験値を獲得できる。お気に入りのリリィであるほど成長させつつ、親密度も上げていけるといった具合だ。
従魔Pointを使って成長させる従魔は、パラメーターがアップするだけでなく見た目も進化、さらに全能力を最大まで育てるとレベルが1に戻る代わりにより強力に成長できる転生も用意されている。従魔は目的に応じて使い分けるため、まんべんなく育てておくといいだろう。
そしてアルーシェは邪妖を倒す時に浴びた蒼い血(ゲーム中ではBloodと表現される)を奉納することでレベルアップが可能だ。アルーシェのレベルアップは1回毎の活動限界時間にも影響するので、忘れずに行っておきたい。また、レベルアップに応じて“AbilityPoint”によるアビリティ習得もできる。
ここまでの内容を見ると分かる通り、本作で登場するキャラクターはどこもかしこも女性ばかり、そしていずれも美少女揃いだ。本作はガストブランドが展開してきた「ガスト美少女祭り」ひとつであり、そのトリを飾るにふさわしいタイトルだ。
そして何より、独特のコンセプトを打ち出しつつも荒削りだった前作と比べて、すべての要素がしっかりとブラッシュアップされている点が印象的だった。美少女たちのやり取りを存分に味わいたい人、そんな彼女たちがカッコよくアクションする様を見てみたい人は、ぜひプレイしてみてはいかがだろうか。