1月30日にパッチ4.2「暁光の刻 -Rise of a New Sun-」の実装が予定されている「ファイナルファンタジーXIV: 紅蓮のリベレーター」。本パッチで追加される要素についてプロデューサー兼ディレクターの吉田直樹氏にインタビューを行った。
光の戦士の活躍と、アラミゴの英雄的存在であるラウバーンの帰還によって、ギラバニアにおける戦後の混乱は、次第に終息に向かいつつあった。
パッチ4.2「暁光の刻 -Rise of a New Sun-」では、もう一つの奪還の地であるドマへと視点が移る。ドマ人たちを恐怖で支配していた代理総督・ヨツユの失脚と、次期君主・ヒエンによる新たなドマ国家の樹立。ドマ人の悲願……帝国に奪われたすべてを取り戻したように見えたその影で、新たな火種となり得る存在が動き出す。
メインクエストのほか、パッチ4.2では新たなレイドコンテンツ「次元の狭間オメガ:シグマ編」や新たなサブストーリークエスト「四聖獣奇譚」の第一弾となる“白虎征魂戦”の実装、ジョブ調整などが行われる。また、パッチ4.25にて実装を予定している「禁断の地 エウレカ」についても少しだけ話を聞くことができたので、光の戦士諸氏はぜひ目を通してみてほしい。
卑屈だった青年を小さな英雄へと変えたアラミゴの争乱
――まずは、メインクエストに関してお話を伺っていきます。パッチ4.1でアラミゴの問題が一旦落ち着き、次はドマへと視点が移っていくようですが、現状ドマが抱えている問題はどういったものがあるのでしょうか。
吉田直樹氏:アラミゴというのは地理的にも4都市(エオルゼア)と非常に近く、現状はエオルゼア同盟軍という組織の庇護下にあります。これは支配権を失った帝国からすると、非常に手が出しにくい状況にあります。
一方で東方のドマは、そもそもひんがしの国が鎖国状態にあるため、今はただの孤立した小さな国家にすぎません。帝国側からすれば取り戻すためにいつ軍を差し向けてもおかしくない状況ですし、ドマ側からしても依然として帝国の脅威が去ったとは言い難い状況にあります。
そうした情勢の中で、記憶を失っているのか、はたまたそうしたフリをしているのか定かでないヨツユという、ドマの人々にとってはある意味ゼノス以上に恐怖の対象が帰ってきたらどうなるのか。今回のパッチでは、こういった部分がポイントになってくると思います。
――確かにドマの人々にとってヨツユは、アラミゴの人々におけるゼノスのような存在でもありますね。
吉田氏:現在のドマは、帝国の脅威はまだあるものの復興は始まってくという、複雑な状況を抱えています。このドマ編は今回のパッチで終わりというわけではなく、パッチ4.3と合わせて前後編に分かれています。前編にあたるパッチ4.2では帝国から来たと名乗るアサヒという人物も加わり、単純な力と力のぶつかり合いというよりは、言葉と言葉、キャラクター対キャラクターのぶつかり合いというのが主になってきます。
――政治的なやり取りも多そうですね。
吉田氏:今回は前編ということもあり、当然そういったシーンもあります。こうした物事の裏側というか、言ってしまえば少し地味な部分もしっかりと描いていくのが、FFXIVの特徴だと思っています。ですので、一つの物事を前にした時のキャラクターの心情などにしっかりと迫っていけたらと思っています。
――このアサヒというキャラクターは、今回が完全に初出の新キャラクターですよね?
吉田氏:うーん微妙なところですね(笑)。実はパッチ4.1の最後のカットシーンで、誰かが手のひらをぎゅっと握り締める様子が映されているのですが、その人物がアサヒになります。
――アサヒはドマ出身のキャラクターなのでしょうか。
吉田氏:4.0のメインストーリーにも実は登場しています。気付いていらっしゃる方はいそうですね。
――ドマ人でありながら帝国軍に従事しているというのは、何か事情がありそうですね。
吉田氏:その辺りを含めたアサヒの目的なども、メインストーリー内で明かされていきます。ただ、大使として派遣されてきた彼は、将軍や皇帝以外で帝都からやってきた初めての人物になると思います。
――現状の帝国国内の情勢について伺いたいのですが、パッチ4.1のラストにて、ゼノスの訃報が正しく流れていないような描写がありました。これは、帝国国内ではゼノスの訃報が公表されていないということなのでしょうか。
吉田氏:その点は今はご想像にお任せしたいのと、今後の展開を見ていただければはっきりしてくると思います。
――新生編・蒼天編と比べて、「紅蓮のリベレーター」では民間人などのいわゆる“モブ”と呼ばれる人々の死が、より明確に描写されるようになったと感じました。こうした部分は、何か意識して製作されていたのでしょうか。
吉田氏:戦争を、ましてや国土奪還戦をやっているわけですから、生き残る人がいれば、同様に犠牲が出るのは当然のことだと考えています。本来であれば、何万人という人々が戦死するようなストーリーです。ゲームだからファンタジーだからといって良い面だけを描くのではなく、戦争をしていれば身近な人だっていつ死んでしまうか分からないという事実はしっかりと描くようにしています。4.0では特に奪還戦というのをテーマにしていたので、この辺りはシナリオチームとも「逃げずにしっかりと書こう」と相談していました。
――そうした部分にかかっていることかもしれませんが、ユユハセとローレンティスに関する選択肢が個人的に印象的でした。光の戦士が「極刑」と明言するのはかなり珍しく感じたのですが、彼らの進退についてはパッチ4.2で言及されますか。
吉田氏:いえ、4.2ではされません。忘れた頃にやってくる……かも、という感じですね(笑)。あそこはメタ的な発言ではありますからね。光の戦士ではなく、どちらかと言えばプレイヤーに訊ねているようなシチュエーションです。いずれにせよ、あのままでは終わらない気もするので、しばらくはお待ちいただければと思います。
――「紅蓮のリベレーター」で一躍活躍したキャラクターといえば、アレンヴァルドが特に印象的でした。2.Xシリーズの会話を聞いていた時は、自分の出自や生い立ちに後ろめたさを感じていた“卑屈な青年”から、ア・アバ・ティアとオリという彼だけの英雄と出会い、“情熱を秘めた頼りない青年”になったと思いました。そんな彼が光の戦士と肩を並べて戦えるまでに成長したことは、蒼天時代のアルフィノを思い出して嬉しくなってしまうのですが、視点がドマへと移るとなると彼の出番も少なくなってしまうのでしょうか。
吉田氏:そうですね、一旦お休みにはなってしまいます。でも、そうした細かい部分を見てくださっているのは僕らとしてもとても嬉しいことです。シナリオをライティングしている人間は複数いますが、やっぱりそれぞれに思い入れのあるキャラクターというのはいて、登場したからには使い捨てにはせず、できるだけ登場したなりの意味を持たせたいと考えています。
全員を毎パッチに主人公にすることはできませんが、時間軸が経つに連れてその裏で彼らなりの努力を続けてきたということを少しずつでも描いていけるのは、MMOの良いところだと思います。プレイヤーの皆さんにも、例えばアレンヴァルドの鎧の変遷など、そうしたタイムラインを非常に深いところまで掘っていただいている人がいるので、シナリオチーム的にはすごく励みになっています。
――アレンヴァルドがあの白銀の鎧を着て戦っている姿を見ると、こみ上げてくるものがありますよね。パッチ4.0のお話においてアレンヴァルドにフォーカスが当たったのは、やはり舞台がアラミゴだったからなのでしょうか。
吉田氏:それもあります。もう一つの理由としては、アルフィノと同じ目線で、仲の良いキャラクターを作りたいという話があったのです。そうすることで光の戦士が見ていないところで、アルフィノが誰とどんなふうに過ごしているのかというのを少しでも想像できたらなと考えたようです。
――なるほど。たしかに、アレンヴァルドは等身大というか、自分たち(プレイヤー)と目線が近いキャラクターなので、とても感情移入しやすいですね。
吉田氏:そう言っていただけると、織田(織田万里氏 世界設定/メインシナリオライター)も喜ぶと思います(笑)。
あと、お話しや設定が好きな方たちには、パッチ4.2から始まるドマ町人地の復興にもぜひ注目してもらいたいですね。今までのレヴナンツトールやイディルシャイアの時とは異なり、今回はプレイヤーが復興に介在する要素も入れようとしています。今回はまだ導入のみとなっていますが、クエストつきでしっかりとお話も用意されており、その中でレヴナンツトール側の人々との絡みも出てくるので、ストーリー好きの人には喜んでいただけると思います。
――パッチ毎にガラッと景色が変わるのではなく、自分たちがストーリーを追っていく過程で街が変化していくということでしょうか。
吉田氏:そうですね。プレイヤーが介入することで多少変化の仕方が異なるというか、そういった変移も楽しんでいただけると思います。
――アラミゴ王宮での争乱の際、ラガンフリットに言葉をかけられたフォルドラは涙を流しました。これは“後悔”からだったのでしょうか。それとも、感謝されたことが“嬉しかった”からなのでしょうか。
吉田氏:それはご想像にお任せしたい部分ではありますね。僕なりの明確な答えというのは持っていますが、それがシナリオをライティングした担当者の持つ答えと同じかは分かりません。その答えというのは個々人にあって良いものだと考えているので、担当者と解釈をすり合わせることもしていません。
演出上の表現を決める際、意志を確認する場合はありますが、できるだけ無理に明確な答えを出す必要はない部分だと思っていて、それはフォルドラというキャラクターを、僕たちを含めたプレイヤーの皆さんがどう捉えているかによって涙の意味が変わってくる、それで良いのだと思っています。ですので、プレイヤー個々人の解釈で良いのではないでしょうか。
――トレーラーを見て気になったのですが、映像の中で列車が追突してくるシーンがありました。あれは「魔列車」なのかな、と思ったのですが、「次元の狭間オメガ:シグマ編」のボスとして登場するのでしょうか。それとも、メインストーリー中にあることなのでしょうか。
吉田氏:さあ、どうでしょうか……(笑)。パッチ4.1からですが、僕がパッチトレーラーをコンテンツ毎に切り貼りするのに飽きてしまって、さまざまなシーンを繋ぎ合わせて作るようにしています。コンテンツタイトルも表示しませんし、一本の映画の予告編のようなイメージで見ていただければと思います。映画の予告編は、見ている人がミスリードするようにわざと作っていたりしますし……。今回のトレーラーも、そういった趣向を凝らしているので、フレンドやFCメンバーなんかと予想しながら見てもらえると嬉しいですね。
「禁断の地 エウレカ」では属性パラメーターを活用する遊びも!
――新しいレイドシリーズの立ち上がりとして、「次元の狭間オメガ零式:デルタ編」は最適な難易度に落とし込まれていたと思います。開発的に、クリア者の推移など、手応えはいかがでしたか。
吉田氏:僕らとしてもベストバランスだと思いました。アルテロイテは簡単すぎたかな、という話もありましたが、1層、2層の突破はあれくらいで丁度良かった気がしますね。1層が突破できれば、2層にも挑戦してみようという意欲が湧いてきますし。
また、デルタ編はレベル70になってすぐに挑戦することになったので、レベル70でのスキル回しもまだまだ研究途中だったと思います。デルタ編はそうした状況も加味した上での難易度だったので、シグマ編は感覚的にはデルタ編と同じくらいの難易度を想定して製作していますが、スキル回しが十分に慣れていることを考慮した上で同じくらいの歯応えを感じられるようにしています。そのため、単純に比較してしまうと、やはりシグマ編のほうが少しだけ難しくなっているはずです。
――デルタ編は「ファイナルファンタジーV」のボスたちが各層に登場しましたが、今回のトレーラーを見ると、「ファイナルファンタジーVI」のボスたちが登場するのでしょうか。
吉田氏:正確には”オメガ”が創り出した仮想の存在ですね。そこについてもぜひ、トレーラーを見ながら話題にしてもらえればと思います。FFシリーズに明るい人ならば映像を見ただけでどのモンスターがどの作品出典なのかはもちろん、その由来まで分かりますからね。だからこそ、僕たちもオメガ同様に、技の再現などにはこだわっていますし、ここで答えを言ってしまうのは野暮かなと思います。
――シリーズファンの人は本当に目ざといですよね。
吉田氏:気付いていただいてとても嬉しかったのは、パッチ3.5の神竜 vs オメガのカットシーンですね。「ファイナルファンタジーV」では、神竜とオメガはライバル関係にありましたが直接戦ったことはなく、それがFFXIVの世代になってようやく直接対決が実現しました。
オメガは、「ファイナルファンタジーV」ではあらゆる攻撃が効かず、唯一雷属性の攻撃のみ弱点でした。カットシーンでも、神竜はあらゆる攻撃でオメガを迎え撃ちますがどれも効果はなく、たった一度、神竜が放ったいかずちを受けた際にだけ怯む描写があります。ここに気付いてくれた人がかなりいたのは、僕らとしても非常に嬉しかったところですね。本当に細かい部分ですが、こういったところを読み取ってくださる人がいてくれるので、こだわって制作してよかったと思えますね。
――「機工城アレキサンダー零式:天動編 3層」のアクティビティタイムマニューバや、「次元の狭間オメガ零式:デルタ編 4層」のネオエクスデスなど、毎回新しいギミックや演出が盛り込まれていて驚かされます。今回もこうした面白い仕掛けやギミックが用意されていると思いますが、何かお話しできるものはありますか。
吉田氏:「またこの開発チームは、何をやっているんだ……」と驚いてもらえる要素は、シグマ編に限らず「白虎征魂戦」にも用意しています。
――「ファイナルファンタジーXI」の白虎と言えば、白魔法を多く駆使したり、戦闘中にレベルアップ(魂の咆哮)するといった特徴がありました。こうした特徴は、今回FFXIV向けに落とし込まれているのでしょうか。
吉田氏:今回は単純にFFXIVならではの四聖獣として作っているので、あまりほかのシリーズに引っ張られるようなことはしていません。
――「極神竜討滅戦」では、ヒールチェックという新しい趣向のギミックが登場しました。「白虎征魂戦」でも、こうしたちょっと頭を使うような、新しい方向性のギミックは登場しますか。
吉田氏:どことは言えませんが、指先のテクニックが必要になるものがあります。シグマ編には新たな脳トレもあります(笑)。
――指先のテクニックというと、移動が忙しかったりするのでしょうか。
吉田氏:そういった感じではないのですが……僕が最初に見た時は「とびだせ大作戦(スクウェアのFCDS用ゲーム)」っぽいなと思いました(笑)。
――「白虎征魂戦」で気になったことといえば、白虎が人型になっていましたが、あれが“究極履行”にあたる形態なのでしょうか。
吉田氏:いえ、基本的に人型で戦います。メディアキットなどで公開されている獣の姿は通常形態ということになります。ここらへんの理由はストーリーに絡んでる部分でもあり、この「四聖獣奇譚」は「三闘神」と同様に専用のお話が用意されています。
「四聖獣奇譚」の導入編となる今回の「白虎征魂戦」は、ボリュームこそ決して多いわけではありませんが、それを感じさせないくらい綺麗に組み上がっていると思うので、期待していただきたいです。僕としては、「可愛い」と感じられる要素も入っており、とても気に入っています。
――トレーラーではかなり禍々しい雰囲気をまとっていただけに、“可愛い”とは意外です……。
吉田氏:プレイしていただければ「ここか!」というのが分かっていただけると思います(笑)。
――「白虎征魂戦」の報酬は武器になりますか。
吉田氏:武器です。FFXIユーザーは脚装備を期待されている人もいらっしゃるようですが、武器のみになります(笑)。
――討滅戦のレアドロップはマウントが通例になっていますが、今回に限ってミニオンの実装などは予定されていないのでしょうか。
吉田氏:四聖獣のミニオンなどは、特に実装内容には入っていません。ただ、リクエストが多ければ実装することはできると思います。
今回ご注意いただきたいのですが、「三闘神」シナリオでは、お話がメインストーリーと完全に分離しており、メインストーリーを進めなくても解放することができました。しかし今回の「四聖獣奇譚」の導入については、メインストーリーの序盤部分と若干被っている部分があり、そこからお話が分岐していく形になっています。これまでメインストーリーに登場してきた人物が、「四聖獣奇譚」のシナリオでも重要な役割を担っているため、まずはメインストーリーを進めていただくことになると思います。そこだけはこれまでと異なるので、ご注意ください。
――続いて「禁断の地 エウレカ」についてお聞かせください。まだあまり情報が公開されていない本コンテンツですが、まずは詳細について現状お話できることはありますか。
吉田氏:概要に関してはもうすべてお話することができるのですが、パッチ4.25リリースのため実際にプレイできるのはパッチ4.2のリリースからさらに一ヶ月後くらいになってしまいます。そのため、詳細については次々回のさっぽろ雪まつりの際のプロデューサーレターLIVE(PLL、2月10日放送予定)でお話ししようと思っています。
現状言える範囲としては、まず「禁断の地 エウレカ」はコンテンツファインダーを利用したインスタンス型のコンテンツではあるものの、入場した先は基本的にフィールドだと考えておいてください。ここではパーティを自由に組み替えることも可能ですし、ソロで進めることも可能です。
――「禁断の地 エウレカ」に入場した後、パーティを解散して新しく違う人とパーティを作ることもできるということでしょうか。
吉田氏:その通りです。一人で突入して、現地で/shout等を活用してパーティメンバーを募ることもできます。エウレカの内部は“エレメンタルレベル”というものに支配されており、このエレメンタルレベルは全プレイヤーレベル1からスタートすることになります。
――ディープダンジョンのようなものでしょうか。
吉田氏:いえ、ディープダンジョンは、その突入時のみのレベルとして非常に早くレベルアップしたり、あるいは再突入で初期化されたりしてしまいますよね。エレメンタルレベルではそういったことはなく、エウレカ専用の完全に新しいレベリングを始めると考えていただいて問題ありません。ですので、例えばエレメンタルレベル4の状態でエウレカの外に出てゲームを終え、また後日エウレカに入場したとしてもレベルは当然EXPも前回の状態のままになっています。
――ということは、エリア内の制限時間というのは設けられていないのでしょうか。
吉田氏:制限時間は設けられていますが、かなり長く設計されているのでそこは気にすることなくプレイできると思います。
――フィールドはランダム生成なのでしょうか。
吉田氏:ランダムではなく、一つの決まったフィールドを全員で攻略していく形になります。エレメンタルレベルについては一気に上がるようなものではなく、またレベルが1違うだけでもモンスターの強さの差が激しいため、これまでのフィールドより格段に危険です。さらに、エウレカ内の敵は一度察知されるとどこまでも追ってくるので、慌てて動き回ると大惨事になってしまうこともあります。
――なるほど。レベルがかなり重要になってくるので、以前デスペナルティがあるかも、ということをお話されていたのですね。
吉田氏:デスペナルティはエレメンタルレベル6から適応されるようになります。戦闘不能になった瞬間にペナルティではなく、死亡して拠点へとデジョンした際にペナルティがかかるので、レイズしてもらえればペナルティを受けることはありません。たとえ敵にやられてしまったとしても、そこまで助けにきてくれるプレイヤーがいそうであれば、意地でもレイズしてもらったほうが良いと思います。
――お話を聞いていると、第一世代のMMOをFFXIV内で遊ぶような感じになりそうですね。
吉田氏:そういうイメージに近いですね。あとは“マギアボード”という専用の仕組みも用意されています。これは、各種属性のエレメントが張り付けられたボードで、ここにアイテムをはめて回すことで自分の特定の属性のエレメントを強化することができます。これを駆使して自身のパラメーターをカスタマイズしつつ、自分なりに攻略を進めてもらえればと思います。
――サブパラメーターにある属性ステータスが輝きそうな内容ですね。
吉田氏:それなのですが……実は、通常のサブパラメーターにある属性ステータスについては、今回のパッチ4.2からなくなります。通常のコンテンツでは全く活用されてきませんでしたし、属性を使った遊びはエウレカのほうに集約することで完全に分離させようと考えています。その関係から、パッチ4.2から装備品をマテリア化した際に属性マテリアが出現しないようになります。
――続いて、これまでいくつかのジョブに調整が入ることは明言されてきましたが、今回すべてのジョブに調整が入るのでしょうか。
吉田氏:基本的にはいつものパッチ通り、全体を各ロール横並びにするための調整が多くのジョブに入ります。全く手が入っていないのは、新ジョブでもある赤魔道士と侍、忍者、竜騎士、吟遊詩人の5ジョブです。
――特に大きな調整が施されるのはどのジョブになりますか。
吉田氏:調整リストの項目数が多いのは戦士ですね。戦士はシステムにも少し手が加えられているので、項目数はほかのジョブ比べても群を抜いて多いです。
――自分も元々戦士を使っていたので、使い勝手が向上されると聞いてずっと気になっていました。主にどういった部分が調整されるのでしょうか。
吉田氏:例えば、現状バーサクを使うタイミングというのは、原初の解放とほぼ被ってしまっていると思います。ですのでこの煩わしさを統一したり、スキル威力の調整はもちろん、特性についても変更が加えられているものがあります。項目数が多く、事前情報だけだと変に身構えてしまいがちですが、単純により強くより使いやすくなっていると考えていただいて問題ありません。
――特性も変わっているとなると、パッチ後はスキルを確認しておいたほうが良さそうですね。
吉田氏:スキルの新しい置き換えなども入っているので、それはぜひ、戦士がメインジョブの人はチェックしておいてもらいたいですね。
――今回モンクにも調整が入るとのことですが、モンクは現状のままでもスキル回し等が完成されており、ここから調整を加えるのは難しいのではないかと思いました。具体的にどういった方向性の調整が行われるのでしょうか。
吉田氏:モンクはダメージの出力初動が遅いジョブですが、今回のパッチでもう一段階疾風迅雷のギアを上げやすくなるような調整が施されています。例えば、ボスがいなくなって疾風迅雷が落ちてしまった際、もう一度疾風迅雷状態に戻しやすくなるようにしています。
また、パーティ貢献を望む声も多くあり、マントラをもう一段階強くしました。「次元の狭間オメガ零式:デルタ編4層」のワールドファーストチームにモンクがいた事実もありますし、回復力が爆発的に向上するため早期攻略などはモンクがいたほうが安定する場面もあると思うので、これに関してはかなり悩んだ部分ではあります。ただ、アイテムレベルの上昇に伴ってヒールに余裕ができたりすると、それをカバーする必要もなくなるので、確かに忍者や竜騎士を採用する理由に比べてモンクを採用する理由が弱いというのも理解しています。悩んだ部分ではありますが、これらの理由から調整されています。
――新たなおしゃれ機能としてミラージュドレッサーが追加されますが、コーディネートをギアセットに登録することはできるのでしょうか。
吉田氏:できますが、今回はマクロを組んでいただく必要があります。ギアセットマクロを使っている方もいると思いますが、そのギア番号の後ろにプレート番号を書くことで装備とコーディネートを一発で変更できます。少し間が空いてしまうのですが、パッチ4.3にてギアセットのUIそのものにプレート番号を振り分けることができるようになります。
――プレートのコーディネートというのは、好きな時に行えるのでしょうか。
吉田氏:好きなタイミングでは行えますが、プレートのコーディネートは各都市にある宿屋で行っていただきます。プレートの付け替え自体は、5大都市とセレモニー会場、ハウジングエリアに限定されています。もこれらの処理には膨大な通信量がかかるため、使用する場所に制限をかけないとプレートの枚数を10枚確保できなかったのです。しばらくはこの状態で様子を見て、通信量に問題がなければプレートの枚数を増やしていきたいと考えています。
これらの一括ミラプリは、通信に0.数秒かかってしまうため、その間に敵から攻撃を受けたりすると挙動が破綻してしまいそうになるので、現状はとても安全に作っています。いずれにしろ、コンテンツに行っている最中は積極的に着替えることはないでしょうし、自然とコーディネートする場面というのは街の中やハウジングエリアに限られてくると思います。極端に利便性が悪いということは無いと考えています。
――ベンチャースクリップや蛮族貨幣などが所持品から通貨リストへと移りましたが、カララントに関してその予定はありませんか。
吉田氏:色の数が多いのでそういった声があるのも分かりますが、今のところ予定はないですね。カララントを999個貯めるという人もいないと思いますし……。
ゆくゆくは国際戦の構想も?「ザ・フィースト」のこれから
――パッチ4.2で新マップ「クリスタルタワー演習場」が追加されますが、ランク戦の対象が本マップのみとなる理由を教えてください。
吉田氏:蘇生した際にその場で復活するなど、今回新ルールもいくつか追加されていると思います。しかし、これまでのマップでは、それらに対応することができないのです。
――マップに起因するというと、スタート地点の関係などでしょうか。
吉田氏:その通りです。これまでのマップはスタート地点からリスポーンするという前提のもとに作られているマップなので、以前のマップを使用するとなるとバランス調整の度にマップ改修が必要になってしまうため、とにかく一旦公平を期すためにランクマッチについては「クリスタルタワー演習場」のみで行われます。加えて、今後予定しているオフィシャル大会についても「クリスタルタワー演習場」で行われるため、一度すべてをそこに集約したかったというのが最大の理由ですね。
――マップが一つになってしまうので、いくつか異なる壁のパターンが用意されているわけですね。「クリスタルタワー演習場」は、昔の「ウルヴズジェイル演習場」に形が似てるように思うのですが、何か意識して製作されたりしたのでしょうか。
吉田氏:特にそういうわけではなく、いろいろなフィードバックを頂いた結果、結局シンプルなほうが良いという意見に落ち着いたからですね。マップだけでなく、今回からオフェンス/ディフェンスキットも無くなりますので、余計な煩わしさも解消されると思います。
――それというのは、やはり現状メレーが最初にキットを2つ持つことが定石になっているからでしょうか。
吉田氏:そうですね。結局のところそうした状況では試合が長引くだけですし、両者持っているのが当たり前であれば、どちらも持っていないのと変わりありません。ただ、アドレナリンに関しては運も含めて勝敗を左右する大きな要素になるため残しておこうという結論になりました。
――ちなみに、ウルフハートキットも無くなるのでしょうか。
吉田氏:いえ、ウルフハートキットについては残りますし、効果に変更もありません。ただ、数値に関してはぎりぎりまで調整しているため、変更する可能性もあります。
――現状ヒーラーが取るのが鉄板ですが、そこらへんも変わりそうでしょうか。
吉田氏:どうでしょうか……今回はPvPジョブ専用アクションに多数の調整も入っていますし、それによってまた変わってくると考えています。こちらの項目数もかなりの量がありますが、またプレシーズンを設ける予定なので、そこで多くのフィードバックをいただければと思います。
――いよいよ「ザ・フィースト」のチーム登録制が実施されますが、こちらは開催期間などを限定して実施されるとのことでした。どういった切り分けになるのでしょうか。
吉田氏:オフィシャル大会の準備が出来次第、PvPチームランキング専用のシーズンを開催します。そこで今あるランキングはそのシーズン中はPvPチームレーティングでのみ競い合うランキングに書き換わります。
――となると、ソロでのレーティングはできなくなるのでしょうか。
吉田氏:いえ、ソロでも参加することは可能ですが、PvPチームランキング専用のシーズン中はランキングには反映されなくなります。シーズンとランキングをPvPチームランキング専用期間とそうでない期間とに分けて交互に開催していくようなイメージですね。
オフィシャル大会については、データセンター内のPvPチームランキング上位何チームかにオンライン大会への出場権が渡され、オンライン大会内で上位チームがBO3などで競い合い、勝ったチームがさらに次の大会に駒を進める、というものを想定しています。
――オフィシャル大会というと、ファンフェスなどで行われている大会へと繋がっていくようなものをイメージしていましたが、シーズンの最後を飾るような大規模なものになるのでしょうか。
吉田氏:毎シーズン巨大な大会にはまだできないですが、最終戦は大きな会場でとは考えています。もちろん日本だけで行うわけではなく、世界各地で実施していきたいと考えています。そのために海外の運営チームに大会ルールの説明や、実施までのトレーニングなどを行っている、今がまさにその最中なので、詳細の告知についてはもう少々お待ちいただければと思います。
――目標としては世界大会の実施までを想定しているのでしょうか。
吉田氏:少なくとも、日本チャンピオンや米国チャンピオンなどは決めたいと思っています。
――ゆくゆくは代表戦みたいなこともできたら面白いですよね。
吉田氏:今後それができればベストですね。あとは、パッチ4.2ではなく4.3になってしまいますが、実況のためにUIも大改修している最中なので、こちらについても期待していただければと思います。
――現状「ザ・フィースト」の報酬としてヘルハウンド装備がありますが、チームマッチは別の報酬が用意されるのでしょうか。
吉田氏:基本的にはポイントをお渡しするという感じなので、報酬に変更はありません。あと、どちらかと言えば大会への出場などが報酬という考え方にしたいと思っています。こうした部分も含めて、オフィシャル大会については諸々詰めている最中です。
――ライバルウィングズの実装などによってPvPプレイヤーも大きく増えたと思いますが、やはりフィースト4vs4に挑戦するにはプレイヤーの知識やテクニックが必要になります。初心者の館(PvP)のようなものの実装は予定していますか。
吉田氏:最近ちょくちょく訊かれるようになった案件でもあり、何とかしたいと考えています。しかしその一方で対戦ゲームにおけるセオリーなどを“教える”というのは非常に難しくて、例えばバーストについても、そもそもバーストが理解できる時点で「果たして初心者なのか?」という疑問が生じます。バーストを知っているのなら、各ジョブのバーストタイミングは、ネットに詳しく解説してくださる方がいらっしゃるからです。では、バーストの概念自体を教えるところから用意すると、「え、わけわかんないから、やっぱり参加が怖い」ともなってしまうため、非常に悩んでいるところです。
もちろん、これらトレーニングコンテンツがないよりもあったほうが良いのは分かっています。ただ、それ(PvP初心者の館)をして増える、もしくはやり続けてくれる人の割合と、ライバルウィングズのように新しいことをやって興味を持ってくれた人が入ってくる機会を作るのと、どっちが人口増加の割合が高いかというのを考えてしまうのです。FFXIVが完全なPvPゲームであれば、そこにリソースの全力を注ぐのは間違っていないと思いますが、あくまでFFXIVの一側面である以上、あらゆる事柄の一つ一つに地道に対処していくしかないと今は考えています。
その分長い時間が掛かってきてしまいますが、最初にウルヴズジェイルを始めたところからライバルウィングズを含めた今に至るまで、ここまで歩んでこれたのは、そうした地道な作業と、根気よく応援を続けてくれているPvPプレイヤーのおかげです。ただ、それが最近議題に上がっているのは確かですので、また前向きに進めていきたいと思います。
――それでは最後に、パッチ4.2を待つユーザーに向けて一言お願いします。
吉田氏:2017年は「紅蓮のリベレーター」をリリースした年です。自分自身、新生から丸4年、旧FFXIVから数えると7年が経過している状態で、まさか有効課金会員数が過去最大にまで到達するとは思いもせず、それも開発チームはもちろん、運営、宣伝チームが一生懸命頑張ってきたことと、光の戦士の皆さんにものすごく応援してもらったからこそ達成できた快挙だと思います。2018年は拡張パッケージこそ出ませんが、皆さんからの声援をさらなる勢いに変えて、新しい試みに挑んでいけたらと考えています。
パッチ4.2ではそれこそシステムも改変されますし、新しい試みも山ほど入っているので、「相変わらずこのゲームはよくわからない進化をしつつも、未来に向かって真っ直ぐに進んでいっているよね」というところを味わっていただければと思います(笑)。
新年一発目の大型メジャーアップデートですし、FFXIVはゲーム内だけでなくゲーム外のイベントや放送もコンテンツの一つとして楽しんでもらっていると思います。これらについてもまだまだ発表できていないことがたくさんあります。こうしたイベント類も含めて、皆さん驚きながらも楽しんでいただける一年にしていきたいと考えていますので、今年もどうぞよろしくお願いいたします。
ちなみに、パッチ4.2ではいくつか衝撃的なシーンが挟まっているので、この先シナリオがどうなっていくのだろう、というドキドキを感じつつ遊んでもらえればと思います。
――ありがとうございました。
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※画面は開発中のものです。
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