「のぼうの城」「陸王」等ご当地ネタ満載!埼玉県行田市開発の本格RPG「言な絶えそね」の魅力をレビュー

「のぼうの城」「陸王」等ご当地ネタ満載!埼玉県行田市開発の本格RPG「言な絶えそね」の魅力をレビュー
2018年3月13日 20:00
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「言な絶えそね -行田創生RPG-」は、地方自治体である埼玉県行田市が開発したRPG。地方創生が目的のアプリだが、プレイするとゲームとしての完成度に驚く。見逃すのはもったいないその魅力について紹介したい。

地方自治体である埼玉県行田市が2月に配信開始したスマートフォン向けRPG「言な絶えそね -行田創生RPG-」。ゲームデベロッパーではなく地方自治体が開発しているため、リリース当初はあまり注目は集まっていなかったものの、王道RPGとしての高いクオリティが実現されており、プレイしたユーザーからは高い評価を得ている。

実際に本作をプレイてみるとわかるのが、一本のRPGとして完成度の高さ。地方自治体開発ということで、「埼玉県行田市」の地方創生を目的としているものの、地方の魅力を売り込む露骨さは感じられず、純粋にRPGとして楽しませてくれる。RPGファンならプレイすることで確実に楽しい時間を過ごせる一作なので、今回はプレイレビューとしてその魅力を紹介したい!

「桃太郎伝説」や「天外魔境」を思い起こさせる王道和風RPG

本作のゲームシステムはファミコン・スーパーファミコン時代の古き良き2DRPGのもの。街で情報を集めてダンジョンに向かいボスを倒す、フィールドやダンジョンを自由に移動し敵と遭遇するとコマンドバトルシーン。スマートフォンのゲームで言えば、スクウェア・エニックスの「ドラゴンクエストII」とほぼ同様のシステムだ。

ただ、世界観はファンタジーではなく、和風。舞台は現代ではなく、武蔵国と呼ばれていた戦国時代の埼玉県行田市だ。戦国時代、埼玉県行田市には忍城という城があり、この城の主である成田氏と豊臣秀吉との戦いは「のぼうの城」という映画にもなっている。

本作は架空の物語を描いてはいるものの、映画でも描かれたのぼう(成田 長親)や甲斐姫といった歴史上の人物、忍城など歴史上の場所が登場。虚実入り混じった世界観が楽しめる。歴史に詳しくない人がプレイしても十分おもしろいが、歴史に詳しい人がプレイすると、思わぬ歴史ネタに出会えるため、おもしろさが数倍アップするハズだ。

主人公は、鍛冶師の少年・銀古とその友人であり薬師の佐杏が砂鉄を取りに行った河原で、妖魔に遭遇するところからはじまる。時を同じくして、泉に巨大な蓮が出現するという奇妙な出来事も発生。さらに銀古は、記憶消失の少女・レンと出会い、冒険の旅へと出かけることに。

まっすぐな主人公が様々な試練を乗り越えていく展開はまさに王道。誰でもすんなりゲームの世界に入ることができる魅力的な展開だが、とりわけ「桃太郎伝説」や「天外魔境」といった和風RPGが好きだったという人には、たまらない物語だろう。

物語に強い魅力を与えているのが、キャラクター達のかけあい。優しくまっすぐな銀古、ナンパ調の佐杏、言葉はキツいがデレるところがキュートなレン、恋に疎いところから恋心へ目覚めていく過程が微笑ましい甲斐姫…と、それぞれのキャラクター達が生き生きと描かれており、会話を見るのが楽しくてたまらない。このキャラクター達と一緒に冒険したいなと思わせてくれる、魅力的なシナリオだ。

手軽過ぎず厳しすぎない!絶妙に調整されたバランス

基本的なゲームの流れは、まず街の中で次の目的地についての情報収集を行い、装備やアイテムなどを購入した上で目的地(たいていの場合はダンジョン)を目指し、ダンジョン内でボスと戦うというもの。街、フィールド、ダンジョンのいずれもバーチャルパッドを使って自由に移動できる。

なお、自動セーブではなく街の中にある「神祠」で保存するという形が取られている。戦闘で死亡した場合、セーブした地点からやり直しとなるので、レベルが上がった際などはこまめに「神祠」でセーブしておいた方がいいだろう。また、スマホRPGはすき間時間にプレイすることが多いため、「アレ?次どこに行けばいいんだっけ?」と目的を見失うことがある。そんな時も「神祠」を訪れれば、次の目的地を教えてくれる。困ったらとりあえず「神祠」と覚えておこう。

フィールドやダンジョンでは移動中に敵と遭遇する。敵の姿が見えないランダムエンカウント方式で、敵に遭遇すると戦闘シーンへ。戦闘シーンは、ターン毎に行動キャラと行動、行動のターゲットを選ぶターン制コマンドバトル。選べる行動は、通常攻撃である「攻撃」と本作における魔法「神技」、「防御」と「道具」の4つだ。また、前のターンの行動をそのまま繰り返す「リピート」という全体コマンドがあり、毎ターン毎ターンコマンドを選ばなくてもよいつくりになっている。

「リピート」に加えてバトルスピードを3倍速まで指定できるため、本作はバトルは非常にテンポがいい。それでいて、敵が単なるやられ役になっておらず、放置しているといつのまにかダメージが蓄積してキャラが死んでしまうため、ピンチになったら手動でコマンドを指定してやる必要があり、スリリングだ。

一回一回のバトルのテンポがよいが、「次のレベルアップまで何回のバトルをこなさなければならないか?」というバランスもよく調整されている。周辺の地域やダンジョン内をしっかりチェックしていると、攻略上最適なレベルへ自動的に上がっているというバランス。えんえんレベル上げのための戦闘をする必要はなく、かといってすぐに強くなってバトルのスリルがなくなるというほどでもない、絶妙のバランスだ。本作のRPGとしてのおもしろさは、このバランス調整が支えていると感じた。

現代の武蔵国=埼玉のネタも登場!

地方創生を目的に地方の魅力を売り込む露骨さは感じられないと書いたが、「埼玉ご当地ネタ」が出てこないというわけじゃない。たとえば、忍城城下町では「ぜりいふらい」について言及する人が登場。「ぜりいふらい」=「ゼリーフライ」は、おからとジャガイモをベースとしたフライで、埼玉県行田市の名物だ。

また、佐間村では、「きねや足袋」と「いさみこおぽれーしょん」という2つの足袋屋が登場。いずれも現代の埼玉に存在する会社で、「きねや足袋」はシューズ型足袋が小説・ドラマ「陸王」の元ネタとなった企業。「イサミコーポレーション」も、ドラマ「陸王」でロケ地となった企業だ。いずれの足袋屋も、ゲーム内で足袋を購入することが可能。どのご当地ネタも、露骨に売り込むような形ではなく、ネタとして楽しめる形でゲーム内に配置されているため、世界観が崩れていない点を評価したい。

一方、わりとダイレクトに「埼玉」を推している要素が、「クーポン」と「狭間の祠」だ。「クーポン」は町などに出現するある特殊な登場人物から入手でき、現実の埼玉の飲食店等で実際に利用できる。

「狭間の祠」は、忍城の奥に存在し、訪れることで「埼玉県行田市」を舞台にしたARコンテンツが楽しめるようになっている。GPSを使っているため、実際に「埼玉県行田市」へ足を運ぶことが必要だ。もちろん、プレイしなくてもゲーム自体のクリアに支障はない。

古き良きRPGのプレイ感が味わえる!良作和風RPG

育成とスリリングなバトルを楽しみながらマップを進み、街やイベントシーンでは会話やシナリオを楽しむ…。こうした古き良きRPGの魅力をテンポよく楽しめるのが、本作の魅力。2DRPGが好き、レトロRPGが好きという人は、地方自治体が開発したという部分にとらわれず、是非一度プレイしてみてほしい。レトロタイプの王道2DRPGは現在でもリリースされているが、和風伝奇ものというと数は多くない。和風2DRPGファンにとっては「プレイしてよかった」と思える一本になるだろう。

「言な絶えそね -行田創生RPG-」
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Android版:https://play.google.com/store/apps/details?id=i.get.gyoda.aya