セガゲームスより2018年3月21日に発売されるPS4用ソフト「戦場のヴァルキュリア4」(Nintendo Switch版は2018年夏発売予定)。一足先に製品版をプレイして感じたのは、本作が紛うことなき「戦場のヴァルキュリア」シリーズの最新作ということだ。
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筆者が「戦場のヴァルキュリア」シリーズに出会ったのは、PSPで発売された「戦場のヴァルキュリア2 ガリア王立士官学校」(以下、「戦場のヴァルキュリア2」)。その作中に登場するアリシアなどのキャラクターのエピソードをもっと知りたいと思って、後追いでPS3版「戦場のヴァルキュリア」をプレイし、その魅力に惹き込まれた。その当時に感じたこと全てを思い出すのは今はもう難しいが、その中でハッキリと覚えているのは、なかなかミッションをクリアできない悔しさを味わいながら、それでも何度もトライし、クリアした時の格別の喜びだ。
気がつけば「戦場のヴァルキュリア3」の発売から7年が過ぎ、ヴァルキュリアプロジェクトの始動とともにPS4で「戦場のヴァルキュリア リマスター」が発売された時も、正直なところ「戦場のヴァルキュリア」としての最新作がリリースされることは想像もしていなかった。それが現実のものになると知った、2017年11月20日のタイトル発表は、シリーズファンにとっても感慨深いものだったのではないだろうか。
2月に行われたメディア向けの先行体験会を経て、現在はゲームの序盤をプレイできる体験版が配信中だが、Gamerでは一足早く製品版をプレイさせてもらい、体験版のもう少し先までプレイさせてもらった。その中で筆者が感じ、そして伝えたいのが本作がこれまでのシリーズの魅力を凝縮した、まさに最新作にふさわしいゲームになっているということ。なぜそう感じたのかを、いくつかの要素に分けて紹介していきたい。
一寸先は闇―その駆け引きを味わえる戦場でのアクションと戦略性
シリーズファンにとっては既知の通り、本作の肝となるバトルシステム「BLiTZ(ブリッツ)」は、本作でもそのまま踏襲されている。出撃前のブリーフィングで出撃するキャラクターおよび配置を選択、バトルが始まると1ターンにつき、CP(コマンドポイント)の数だけ味方のキャラクターを行動させることができる。敵味方、お互いのターン中にどのような行動をしていくのかを考えるのは、シミュレーションRPGの感覚に近いだろう。
ただ、本作がアクティブ・シミュレーションRPGと銘打っているのは、キャラクターを選択するとアクションモードへと移行し、そのままAP(アクションポイント)の範囲内でキャラクターを動かすことだ。当然移動している間は相手もただ手をこまねいて見ているわけではなく、気づけば当然迎撃を行ってくる。単純な配置上の駆け引きでなく、リアルタイムでの応酬はまさに戦場ならではの魅力と言えるだろう。もちろん歩兵だけでなく、戦車や装甲車も用意されており、マップの特徴と合わせて戦場のシチュエーションは多彩だ。
正直なところ、大枠としてのゲーム性に大きな違いはないものの、逆に言えばそれだけで十分戦場としての魅力は備わっているということ。ゲーム最序盤ではあまり感じることがないかもしれないが、ゲームが進めば進むほど、戦術や判断におけるミスが命取りになることも少なくない。今作では「2」以降になかった、「死亡」(瀕死状態のキャラクターを3ターン放置or敵に接触すると、そのキャラクターを二度と使えなくなる)の要素が復活していることもあり、キャラクターを無駄死にさせることなく、ゲームを進めていく必要が出てくるだろう。
ただ、そこに留まること無く、本作ではいくつかの新要素が加わっており、それらがゲームにさらなる魅力を与えている。次の項目ではその点に触れていきたいと思う。
新たな要素がもたらす、アクティブ・シミュレーションRPGとしての奥行き
「戦場のヴァルキュリア2」以降、携帯機ならではのアプローチとして兵科は多様化していったが、今作は据え置き機となることもあり、初代「戦場のヴァルキュリア」に近い兵科の編成となっている。筆者はプレイしていた当時から、各兵科の強みと弱点のバランスは十分に取れていると感じていたが、その中でも今回新たに加わることになったのが、メインキャラクターの一人、レイリィの兵科でもある「擲弾(てきだん)兵」。従来の兵科と大きく異なる、少しテクニカルな要素を持っている。
その最大の特徴は、擲弾砲(迫撃砲)を装備し、曲射による榴弾攻撃を行うこと。基本的にほかの5兵科は射程距離内でしっかりと相手を目視していることが前提条件になってくるが、擲弾兵の場合は、あらかじめ偵察兵などが情報収集をして敵兵の位置を把握しておけば、自身の視線上にいなくとも攻撃できる点が魅力的。また、擲弾ということで爆風での範囲攻撃ができることから、前線のサポートとしての役割を担うことになるだろう。
その一方で、やや心許ないAP、移動速度の遅さ、ターゲットモードでの擲弾砲の展開にかかる時間などのデメリットも持っている。これらは敵兵のいないところであればさほど問題にはならないが、迎撃されるリスクのある局面ではほかの兵科で露払いしておくなど、適切な対応をしておく必要がある。
ちなみに、今作では迎撃に擲弾兵からの榴弾も加わっているため、移動中に榴弾が飛んできて思わぬダメージを負ってしまうなど、アクションパートでは気の抜けない場面も多くある。こうした緊張感は従来のシリーズにもあったが、それがより戦場の肌触りを感じさせるようになった点は、「BLiTZ」を通じたアクティブ・シミュレーションRPGとしての奥行きを生み出しているように思う。
緊張感があるということは、それだけゲームの難度を上げる要因にもなるのだが、今作ではプレイヤー側を助ける要素として、新たに「ブレイブ」という行動が追加されている。これは敵の攻撃で瀕死になったキャラクターが、最後の行動として行うもので、「立ち上がる」では一定時間(AP1ゲージ分)無敵状態になり、「託す」ではもっとも近い味方の能力を上昇させ、CPを1回復させることができる。戦車の移動に必要なCPが1になっていることなども含めて、戦場でのリスクが増えた分、より大胆な戦術が組めるようになった、まさにひとつの進化形と言えるだろう。
戦争の中で育まれていく、キャラクターたちの関係性を描くドラマ
これまで同様、戦場で繰り広げられる敵味方の応酬はひとつのドラマを生み出しているが、今作では部隊内でのエピソードも数多く用意されている。ガリアで育ったクロード・ウォレス(CV:金本涼輔)、レイリィ・ミラー(CV:東山奈央)、ラズ(CV:中井和哉)、カイ・シュレン(CV:坂本真綾)の4人の幼馴染の関係性はもちろんのこと、部隊としての絆を深めていく過程や、特定のキャラクター同士の関係性を補完するサブエピソード「断章」も用意されている。
クロードが隊長を務める第32機甲レンジャー大隊E小隊(以下、E小隊)には個性的な面々が揃っており、さまざまなエピソードを通じて部隊への愛着を覚えていくのは、「2」「3」を経たからこそ生まれた要素だ。そのほか、クロードをライバル視しているミネルバ・ウィクトル(CV:早見沙織)、戦車操縦・整備の双方を担当するマイルズ・アーベック(CV:岡本寛志)など、脇を固めるキャラクターも登場する。訓練や装備の訓練開発が行える「訓練開発」でのやり取りにも注目だ。
連邦軍に志願したE小隊の面々にはそれぞれの戦場に臨む理由があるが、その中で一貫しているのが戦争を終わらせるために動いていること。そんな彼らを通じて描かれる友情物語は、手描きの水彩イラストを3Dで動かすグラフィック表現「CANVAS(キャンバス)」の進化と相まって、ドラマとしての魅力を大きく飛躍させている。
今回プレイしたのはまだまだ序盤から中盤にかかるところまで、帝国側のキャラクターの掘り下げや本作の“ヴァルキュリア”であるクライマリア・レヴィン(CV:ゆかな)との戦闘、新たに登場する雪上巡洋艦センチュリオンからの支援を受ける「シップオーダー」などの要素を確認するまでには至らなかった。
だがしかし、シリーズのDNAをしっかりと継承し発展させた本作であれば、きっとそれらの要素も含めて「戦場のヴァルキュリア」としての面白さを我々に提供してくれるはずだ。
(C)SEGA
※画面は開発中のものです。
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