GAMEVIL COM2US Japanの「光を継ぐ者」は、美麗グラフィックを特徴とするRPG。しかしビジュアル以外にも、意外性と絶望感に溢れるダークなシナリオや好奇心を刺激するマップなど多くの魅力がある。そんな本作の魅力を紹介したい。
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GAMEVIL COM2US Japanが3月に配信開始したスマートフォン向けRPG「光を継ぐ者」は、絶望感漂うダークファンタジー作品。
画像から分かる通り、まず目を引くのが美麗なグラフィック。3DCGはもちろんのこと、2Dのイラスト表現の美しさも際立っており、スマホRPGの中でもトップクラスといっていいほど。筆者は、Apple TVを使ってiPhoneの画面をテレビへミラーリングプレイしてみたが、大画面でプレイしてもまったく遜色なく、美麗な世界観を堪能することができた。
だがもちろん、本作の魅力はグラフィックだけではない。この記事では、本作の持つゲーム的な魅力についてご紹介したい。
セミオートバトルを繰り返すスタンダードなスマホRPG
本作のゲームシステムは、バトルに参加するキャラクターを編成し、バトルを繰り返していくというもの。最近のスマホRPGとしてスタンダードなシステムだ。バトルのシステムはセミオート形式。自動的に通常攻撃を繰り返すキャラクターを見守りつつ、スキルゲージが貯まったらスキルを使用する。
バトルにおいて本作ならではといえる点は2つ。1つは、スキルゲージが貯まった際、使用できるのはパーティー内の誰か1キャラクターの1スキルに限られるということ。スキルを使うと、他のキャラクターのスキルゲージもリセットされ、クールタイムを待つことになる。
2つめは、スキルは攻撃よりもバフ・デバフを重視したものになっていること。このため、プレイヤーはバトル中、どういう順番でキャラクターを強化していくかに頭を絞ることになる。
攻撃力が強い敵であれば、味方の防御力を高めたり敵の攻撃力を下げたりするスキルから使った方が有利だし、防御力が高い敵であれば、味方の攻撃力を高めたり敵の防御力を下げたりするスキルから使った方が有利。
こうした「どういう順番でキャラクターを強化していくか?」という戦略性は、ジャンルは違うもののタワーディフェンスに近いと感じた。
なお、オートボタンを使用すればバトルを完全オートにすることもできる。育成を目的として周回プレイする場合にも、美しい3Dグラフィックで描かれたバトルを堪能したいという時にも便利だ。
また、グラフィックに匹敵する本作の魅力、ストーリーを楽しむという時にも助かる。バトルはオート機能に任せて、ストーリーだけプレイするということができるからだ。
作り込まれたダークな世界観と意外性のあるストーリーが魅力
黒き血が太陽を飲み込み光が失われ、降り注いだ黒き血から怪物が現れ始めた…という世界「アッシャー」が本作の舞台。主人公は暗黒の世界に光を取り戻すため活動する「明星教団」の一員として活動していくことになる。
敵は、死にたくても死ねない亡霊や、不気味な容姿と強力な繁殖能力を持つという「妖精」など。絶望感とおぞましさに満ちた世界観は、「クトゥルフ神話」やマンガ「ベルセルク」、ゲーム「Bloodborne」などのダークファンタジー好きには確実に刺さるハズだ。もちろん、筆者も完全に刺された…!
単に世界観やキャラクターの造形がグロテスクというだけでなく、信頼のおけそうなキャラクターに裏があったり、思わず助けてあげたいと思うようなキャラクターが死んでしまったり…と、ストーリー展開でもしっかりダークファンタジーとして作り上げられている。
救いのない方向へ意外性のある展開に、思わず「次どうなるんだよ!」と引き付けられてしまう。正直なところ、先が気になってしまい、オートボタンフル活用で、ガンガン物語り読み進めてしまったほどだ。
光を取り戻す世界が見て分かる!好奇心を刺激するマップ画面
「この先どうなる!?」という好奇心を刺激するのは、ストーリーだけではない。マップ画面もそのひとつだ。
本作は、マップ画面から挑戦するバトルを選ぶという形式。マップ上の中で暗くなっているマスを選ぶと、バトルが発生。バトルに勝利すると、そのマスに光が戻り、隣接するマスへ進行できるようになる。
進むルートを自分で決められるという点が好奇心を刺激してくれるし、暗黒の世界に光が戻っていく様子が目でわかるというのが、感情移入を強めていると感じた。実際に自分の手で光を取り戻し、道を切り開いている感覚が味わえるし、まだ光が戻っていない暗黒エリアの広大さが絶望感を味わわせてくれるからだ。
編成を考えて育成!やり込み甲斐のある育成
最後に、育成についても触れておこう。本作のキャラクターは「マスター」と「サーバント」に分かれており、「マスター」1体に「サーバント」3体、合わせて4体のパーティーを編成し、バトルに挑む。他のRPGでも見られる、「属性の相性」が本作にも用意されているため、敵の属性に対して有利な属性の「マスター」と「サーバント」で編成するというのが基本だ。
だが本作ではさらに「烙印」という要素があり、マスターの持つ「烙印」と同じ「烙印」を持った「サーバント」を配置することで連携技を繰り出すことができる。このため「マスター」や「サーバント」のレベルを重視するか、「属性」を重視するか、はたまた「烙印」を重視するか…など、パーティー編成の戦略性が深い。
幅のある編成ができるため、バトルごとに「サーバント」を切り替えることも多い。なので、なるべく多くの種類の「サーバント」を育成したい…と自然に思ってしまう。結果的に育成をやり込んでしまうことになるので、なんとも巧妙だ。
「マスター」「サーバント」、いずれも経験値によるレベルアップができる上、最大レベルに達することで★を増やす「進化」が可能に。また、素材アイテムを集めることで、新スキル習得ができる「覚醒」も可能だ。さらに「印章」と呼ばれるアイテムを装備することでパラメーターアップができ、「印章」自体の育成(強化)も行えるようになっている。
さまざまな育成手段があり、ただでさえやり込み甲斐のある育成システムだが、色んな「サーバント」を育成したいと思ってしまう本作だけに、どこまでもやり込めてしまう沼のような深さを持っていると感じた。
ダークファンタジー好きにオススメ!
本作ならではという特徴は持っているものの、最近のスマホRPGとしてオーソドックスなゲームシステムなので、本作は誰でも気軽に楽しむことができる。ただ、ストーリーや世界観、キャラクターデザインとどれをとっても、ダークファンタジー特有の「救いのない絶望感」で満たされているため、確実にプレイヤーを選ぶ作品だ。
それだけ尖った表現ということは、逆に言えば本当にダークファンタジーが好きという人は、深くハマってしまう表現ということでもある。情け容赦のないダークファンタジーが好きという人は、是非この作品をプレイしてほしい! 感性がハマるようなら、忘れられない一作になるはずだ。