イチオシのギャルゲーを大ボリュームで紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。第42回はプロトタイプより2018年5月17日に発売されたPS Vita用ソフト「アマツツミ」を紹介!

目次
  1. 物語
  2. 登場人物
  3. 舞台
  4. プレイインプレッションをお届け!

三度の飯よりギャルゲーが大好きな私が己の煩悩の赴くまま旬のイチオシゲームを紹介する連載企画「ギャルゲー一本釣り!!」。今回はプロトタイプさんより発売中の「アマツツミ」を紹介しますよ!

「アマツツミ」は、Purple softwareさんより2016年7月29日に発売されたWindows用アドベンチャーゲーム。言葉によって人を操ることができる“言霊”使いの青年と、隠れ里を飛び出した彼が出会う少女たちの織り成すファンタジックなストーリーが展開します。

私個人は同ブランドのタイトルとは縁がなかったのですが、今作については私のギャルゲー遍歴の中でもところどころで存在感を放っている御影さんがシナリオを手がけられているということもあり、ひそかに気になっているタイトルではありました。そして今回、ギャルゲー移植に定評のあるプロトタイプさんからPS Vita版が出るとあっては、触れないわけにはいかないだろうと!

まずは作中の物語や舞台、登場人物について紹介しつつ、プレイインプレッションをお届けします!

物語

言葉によって人を操ることができる“言霊”使いの一族の末裔、主人公・誠。好奇心旺盛な誠は外の世界に興味を持ち隠れ里を飛び出すが、世事に疎く里以外での知識がないため、とある田舎町の路上で行き倒れてしまう。野垂れ死にを覚悟しかけた彼を救ったのは、その町にある喫茶店「折り紙」の看板娘・織部こころだった。

“言霊”の力を使い、織部家の家族として居候を始める誠。その後、こころと共に始める学園生活の中で、それぞれの“想い”を抱える少女たちと出会う。

誠の持つ“言霊”の力は彼女たちの力になれるのか? そして、“言霊”のもつ本当の力とは?

これは言葉が紡ぐ、絆の物語──

登場人物

織部 誠(おりべ まこと)

主人公

“言霊”という特殊な力を用いる一族の末裔。好奇心旺盛で一般常識に少し疎いところもあるが基本的には優しくお人よし。自給自足の生活をしていたおかげもあり家事能力など生活力に長けている。

特技:料理、食べられる野草集め
趣味:コンビニ巡り
好きなもの:コンビニ、テレビ、人の笑顔
嫌いなもの:騒音、悪意、困っている人(心が痛む)

織部 こころ(おりべ こころ) CV:秋野花

居候先の妹

「わたしが、兄さんの帰ってくる場所なんだよ♪」

母が営む喫茶店「折り紙」の看板娘。面倒見がよく健気で素直な性格だが、料理の腕だけは壊滅的でやや天然気味。“兄”となる主人公に心をときめかせてしまうちょっと危険な一面も……。

特技:気遣い
趣味:読書(図書室でよく借りてくる)
好きなもの:のんびり、メール、こっそりと兄
嫌いなもの:G、高いところ、静けさ

朝比奈 響子(あさひな きょうこ) CV:夕季鈴

人見知りの巫女

「私はあの世に片足をつっこんでますからね」

主人公のクラスメイトであり、神社の娘。霊感があり、いわゆる幽霊を見ることができるのだが、その影響で人と付き合うのに苦手意識がある。転入してきた主人公をきっかけに、コミュ障を克服しようと目下奮闘中。

特技:都合の悪いことを聞き流すこと
趣味:ぼんやりすること
好きなもの:青空、数少ない友達、可愛い文房具
嫌いなもの:お化け、おしゃべり(苦手)、寒さ

恋塚 愛(こいづか まな) CV:山田ゆな

スタイル抜群のクールな幼馴染

「私は、あなたのもの。あなたは、私のもの」

主人公とは同郷の幼馴染であり、許婚。“言霊”一族の末裔で、その中でもかなり強い力を持っている。主人公のことを非常に好いているが、根っこがSで主人公の困った顔がなによりの好物。

特技:主人公いじり
趣味:主人公への誘惑、少女漫画(黙々と読んでしまう)
好きなもの:主人公、鳥、おしゃべり(自分で話すのは苦手だが聞くのは好き)
嫌いなもの:外の人間、騒音、車

水無月 ほたる(みなづき ほたる) CV:小倉結衣

小動物系庇護欲かき立て少女

「あなたは、まだ、何色でもないのね」

表情豊かなムードメーカーで、誰とでも仲よくできるコミュ力の持ち主。普段の言動から奔放な性格のようにみえるが、理性的な一面もあり主人公の相談役にもなってくれる。彼女にだけは、なぜか“言霊”の力が通じない。

特技:猥談
趣味:写真撮影(思い出集め)
好きなもの:花火、買い物、海
嫌いなもの:薬、スマホ、騒音

サブキャラクター

織部 あずき(おりべ あずき) CV:風音

こころの母親で主人公が居候している喫茶店「折り紙」の店長。おっとりとした優しい性格の女性だが天然という噂も……。料理の腕は一級品で本人の人柄もあり常連になる客も少なくない。

特技:にこにこ笑顔
趣味:チェス、クロスワードパズル(変なところで博識)
好きなもの:娘、メール、洋服の買い物
嫌いなもの:お化け、むつかしい数字、熱い飲み物(猫舌)

浅川 光一(あさかわ こういち) CV:小池竹蔵

主人公のクラスメイトであり最初の友人。気さくな性格で、転校してきた主人公をなにかと気にかけてくれる。本人も親の都合で、数年前に都会から引っ越してきたという経緯をもつ。

特技:物怖じしない(田舎にきて馴染むために悟った)
趣味:ゲーム、メール(幼馴染に送れないメールを書き溜めている)
好きなもの:幼馴染、可愛い女の子、噂話
嫌いなもの:昆虫、夏の暑さ、田舎

舞台

小高い山の上から町並みを見下ろす湖畔に静かに佇む古い神社。

こころたちの学び舎。生徒たちの賑やかな声が響き渡る。

憩いの場であり、誠が住むことになる喫茶店「折り紙」。モダンな装いに心地よい空気が漂う。

穏やかに流れ行く季節を映し出す湖畔。水鏡は人々の生活を長きに渡って映し出してきた。

水の音と木の葉が擦れ合う音が微かに聞こえる公園は、人々の生活の中に憩いの場として静かに溶け込む。

遥か古来に世俗との繋がりを断った隠れ里。その側を流れる川の水だけは、今でも密やかに外の世界と繋がっている。

プレイインプレッションをお届け!

主人公の誠は、“言霊”という特殊な力を持った人々が暮らす隠れ里で暮らしてきたからか、いわゆる世俗や感情の機微に疎いところがあります。ゲームの序盤では、彼の視点から、この世界の有り様、そして“言霊”という力が持つ本質が語られます。

“言霊”は、意志を持って伝えた言葉が、強制力を持って相手に伝わるという特性を持っています。言い換えると、“言霊”の通り行動・思考してしまうということで、例えば他人を家族と認識してしまうような、無意識下での刷り込みも行うことができます。これがいかに恐ろしいことかは言わずもがなでしょう。

ただ、里以外の人との関わりを持たずに生きてきた誠は、“言霊”を便利な道具という認識で生活のいたる場面で使っていきます。ここにまだ人間として無垢な彼自身の魅力がありますし、逆に言うと危うさにもなっています。

登場するヒロインは、里から出て最初に出会い、そのまま“兄”として生活を共にする織部 こころ、神社の娘で霊感を持ち、その影響で人付き合いの苦手な朝比奈 響子、誠にとって同郷の幼馴染であり許婚、そしてより強い“言霊”を操る恋塚 愛、町にある病院の娘で、なぜか“言霊”の力が通じないことから秘密を共有する水無月 ほたるの4人。それぞれ、普段の言動の中に何らかの想いを忍ばせていて、誠は彼女らとの時間を通じて、人間としての生き方を知っていくことになります。

序盤のストーリーを追っているだけでその世界観に惹き込まれたのですが、その一つが“言葉”という普遍的な、それでいて私達が意識しないテーマに踏み込んでいるところです。誠自身が学びを得たり、自身で気づいたりすることは、私達が普段の生活の中でも何らかの形で向き合うものばかりで、それを子供のように無垢な彼がどのように受け止めるのか、そのあたりに注目していきました。

また、無垢でありながらも体は大人、ということでそういった行為に対して抵抗感がないというのも、本作ならではの特徴かなと思います。それらの描写はコンシューマ版ということで抑えられてはいますが、テキストとCGイラストの表現だけでもドキドキさせられます。ラブシーンがしっかりと描かれることにより、作品の本質がしっかりと表れているように思いました。

「アマツツミ」はオープニングムービーが流れるまでのエピソードだけでもかなりのボリュームになっていて、そこにも大きなドラマが用意されています。まずはそこで作品の性質を感じ取り、そこから本筋のルートへと続いていく構成はわかりやすく、没入感もありました。また、田舎町を舞台に、夏の空気を感じさせるその情景も、光の使い方が上手く、さまざまなシーンが印象的に映ります。

ちなみに、本作には細かなルート分岐というものはなく、4人のヒロインそれぞれに関わる選択肢でそのままルートが分かれていきます。元々はある程度ルートをプレイしたところで記事を書き上げようと思っていたのですが、ゲームをプレイする中でヒロインのひとり、ほたるの雰囲気に徐々に惹かれていき、気がつけば今なおプレイを続けています。それだけのエネルギーを持ったシナリオに仕上がっていますので、ぜひ誠と同じ目線で、“言葉が紡ぐ、絆のアドベンチャー”に触れていただければと思います。

PS Vita版で新たに追加されたイベントCGも要チェックです!

第42回、いかがだったでしょうか。ギャルゲーの魅力の一つにストーリーテリングと合わせたその演出があると思いますが、「アマツツミ」はシンプルな画作りの中にも細やかな意図が見え隠れしていて、見ていてもとても印象的な作品でした。オープニングムービーも、作品のイメージを昇華したコンセプチュアルな作りになっているので、合わせて注目いただければと思います。

ということで、今回はここまで。次回も近いうちにお届け予定です。今年はたくさんギャルゲーをプレイしたい!(願望)

アマツツミ

プロトタイプ

PSVitaパッケージ

  • 発売日:2018年5月17日
  • 17歳以上対象
アマツツミ

アマツツミ

プロトタイプ

PSVitaダウンロード

  • 発売日:2018年5月17日
  • 17歳以上対象
アマツツミ

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー