死ぬ前に一つ自由に作品を作れるなら、タクティクスRPGを選ぶ!?「GOD WARS 日本神話大戦」安田善巳ディレクターインタビュー

死ぬ前に一つ自由に作品を作れるなら、タクティクスRPGを選ぶ!?「GOD WARS 日本神話大戦」安田善巳ディレクターインタビュー

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角川ゲームスより6月14日に発売予定のPS4/PS Vita/Nintendo Switch用ソフト「GOD WARS 日本神話大戦」。そのディレクターを務める安田善巳氏へのインタビューを実施した。

安田氏は、金融業界からゲーム業界へと移り、テクモ(現コーエーテクモ)の代表取締役社長を勤め上げた後、2009年には角川ゲームスを設立。現在も同社の代表取締役社長として、経営者でありながら自らゲーム製作も手がけ(プロデューサーとして「デモンゲイズ」、「艦これ改」、ディレクターとして「ロリポップチェーンソー」など)、多数のヒット作を生み出している人物だ。「GOD WARS 日本神話大戦」(以下、日本神話大戦)では、ディレクターの他にも、原作・シナリオを兼任しており、文字通り開発の中心人物といえる。

今回はその発売を目前に迎え、前作「GOD WARS ~時をこえて~」(以下、時をこえて)も含め、「GOD WARS」がどのようにして生み出されたか、そして金融業界で働いていた安田氏が、なぜゲーム業界に移り、やがて角川ゲームスを設立するに至ったかなど、多岐に渡るお話を伺うことができた。

タクティクスRPGへの愛により生み出された「GOD WARS」

――まず、「GOD WARS」という作品は、どのような経緯で作られたのでしょうか?

安田善巳氏(以下、安田):僕が銀行で働いていた頃って、グローバル化が遅れている日本を自虐するような風潮が強かったんです。そこから20、30年と経つと状況が変わって、日本の独特な文化というのが海外の人にも注目を集めるようになってきた。僕は角川ゲームスを立ち上げてから、「ロリポップチェーンソー」「KILLER IS DEAD」など、海外のマーケットを強く意識した作品づくりをして来ましたが、そうした流れがあったので、日本の特異な文化をテーマにした作品を作るというのも一つの選択肢だとずっと思っていたんです。

あとは何より、僕自身が黎明期の頃からのタクティクスRPGファンだということですね。もし死ぬ前に「なにか一つ作品を作らせてやる」と言われたら迷わずタクティクスRPGを選ぶくらい(笑)。

――自分もプレイさせていただいて、これはタクティクスRPGが本当に好きな人じゃないと作れないなということを強く感じていました。タクティクスRPGに熱中したきっかけというのは何だったのでしょうか?

安田:僕は根っからのセガっ子で、挑戦的なセガの作品というのが大好きだったんです。メガドライブの「シャイニング・フォース」は、バトルにアニメーションを使っているというのがすごく斬新で。

そのあとも「ラングリッサー」などをプレイしたり、もちろん王道の「タクティクスオウガ」や「ファイナルファンタジー タクティクス」にもハマりました。90年代に隆盛を極めたタクティクスRPGというのは、僕の中のゲーマー人生の中核になっているんです。

――その一方で、タクティクスRPGは最近やや下火になっている印象があります。

安田:タクティクスRPGの系譜というのが途切れてしまったのかなと。僕は戦略シミュレーションやロールプレイングゲームも好きなのですが、タクティクスRPGって両方のいいところをうまくブレンドしたジャンルだと思っていて。補給や生産がない分、戦略ゲームほどは敷居が高くなかったり、RPGにはなかなかない地形やポジションを活かした戦い方など、タクティクスRPGの良さというのは他のジャンルのゲームに受け継がれてはいると思うんです。ただその分、タクティクスRPGそのものの系譜を引き継いだ作品というのは減ってしまっているのかなと。

――そういう意味でも、「GOD WARS」はすごく正統派のタクティクスRPGだとも感じられました。

安田:ええ。これから我々がどこに向かっていくべきかは、常に考えていきたいと思っていますが、今回最初に目指すべきはまずそこだろうということです。

――追加要素である「黄泉の迷宮」について、予想以上のボリュームで驚きました。元々はDLCとして発表されていた内容でしたが、配信が遅れたのには当初の予定よりも大規模になったのも影響しているのでしょうか?

安田:まず「時をこえて」の発売後に半年間ほど、ユーザーアンケートを実施していたのですが、既存のキャラクターの過去の掘り下げや、それぞれの関係性をもっと知りたいといった声が多かったんです。

あとは僕のTwitterアカウントに、海外のユーザーからの応援メッセージがたくさん寄せられていて、とくに多かったのは、アメリカの「ファイナルファンタジータクティクス」ファンの人たちですね。その人達から、「ここをこうして欲しい」という具体的なプレイアビリティの改善についての熱い応援メッセージをたくさん頂いていました。

その後に黄泉の迷宮の製作が決定した時、音声収録のスケジュールの関係で、年内の配信は無理だということが確定しまして。それならいっそ寄せられていた様々な要望にお答えする形で、一から作り直そうと、ある種の開き直りができたというか。「今冬」というのを「2月いっぱいまでは冬だろう」と解釈して、2月中にこうしたものをリリースすると発表すれば許していただけるのではないだろうかと(笑)。

――今回は初めてシナリオも担当されたということでしたが、感想としてはいかかでしたか?

安田:日本神話はデリケートな部分があるので、できるだけ安全運転をしようと。考えたのは、日本神話をリスペクトしているという姿勢をきちんと出すことと、僕なりの解釈にはなるんですけど、これまで日本人がどのような文化を作ってきたかというメッセージ性を込めて、広くいろんな人に勧められるようなシナリオを目指しました。

――これまでもプロデューサーやディレクターとして、シナリオに関わられてきたと思うのですが、その時とは勝手が違ったのでしょうか?

安田:難しいというよりは楽しいという感覚が強かったですね。プロデューサーやディレクターの時は、プロジェクトの責任者として厳しいことを言わなければいけない場面も多々あるのですが、クリエイターの気持ちを大事にしたいという想いもあり、その板挟みがストレスになったりするんです。自分でシナリオを書いてディレクションする場合は、全責任を自分で負う形になるので、そうした意味ではやりやすかったかなと。

――黄泉の迷宮では、キャラクターの過去に関するエピソードが描かれていますが、以前から大筋は考えられていたのでしょうか?

安田:まず黄泉の迷宮というのは、イザナミとイザナギから生命という概念が生み出される、日本神話の始まりの逸話が元になっていて、そこは最初の段階から決めていました。ただそれ以外の部分は正直なところまったく想定していませんでした(笑)。プレイしていただければ分かるのですが、実際には三姉妹も話もあればオオクニヌシの話とか、いろいろなキャラクターのエピソードが入っています。

ちなみに、もうひとつの新コンテンツである「深遠」の最下層にはとある仕掛けも用意しているので、楽しみにしていただければと思っています。

――「時をこえて」からゲームバランス的に変更を加えた箇所はあるのでしょうか?

安田:結構手を加えています。黄泉の迷宮については、しっかりと育成して編成を考えればどなたでもクリアできるバランスなのですが、深遠のラストバトルはレベルマックスまで育てた状態で適切な戦略を駆使してもギリギリの戦いになります。それを考えた時、今までのメンバーでは純粋なアタッカーとデバッファーというのがが欠けているなと、そこでハマる性能として新キャラクターのモモタロウとオリヒメを追加しました。あとは既存のキャラクターに向けてもスキルレベルや、個々のパラメーターを細かく調整しています。

――「時をこえて」は発売後、非常に高いユーザー評価を獲得していましたが、売れ行きとしても口コミの影響というものはあったのでしょうか?

安田:発売週の木・金曜日に買っていただいた方から「このゲームは面白い」という評価をいただくことができ、その週の土日にかなりの本数が売れて、DL数も爆発的に伸びるという現象がありました。断言はできませんが、個人的には口コミの影響というのはあったのではないかと考えています。

あとは先程お話した通り、海外、とくにアメリカからの反響も大きくて。ゲームメディアに本作をオススメする記事を書いていただいたライターの方もいましたね。

――東アジアだとそうした風潮もありますが、こうしたアニメチックな絵柄のゲームが欧米で受け入れられるというのは、最近はあまり聞かない気がします。

安田:「ルートレター」の時は中国での反響がすごがったのですが、「GOD WARS」に関しては、日本・アメリカ・ヨーロッパでの盛り上がりが中心でした。確かにキャラクターについての議論というのはあまりなかったのですが、ゲームシステム部分を気に入っていただけた方が多かったのかなと。ただ、「モモタロウが仲間にならないのはけしからん!」と最初にお叱りの意見を寄せていたのはアメリカのユーザーの方でしたね(笑)。

――確かに、桃太郎というと日本の昔話の中の代表とも言える存在ですから。ライバル的なポジションに据えられていたのには自分も驚きました。

安田:本作では古代日本に残る謎の中でも出雲神話を取り上げていますが、出雲という国が邪馬台国を作り、やがてヤマトに滅ぼされるというのが出雲神話の流れなんですね。実はおとぎ話の桃太郎には、ヤマトが鉄の利権を取りに行くまでの話だという解釈があります。例えば赤鬼は、当時鉄を扱っていた鍛冶師の人たちの顔が赤かったからだとかですね。

――「GOD WARS」でも、モモタロウが鉄に関わるエピソードが出てきていましたが、そういうことだったんですね。

安田:ええ。そうなると桃太郎はヤマトの人間なので、日向の王子にしようと。古代史のミステリーのようなものをうまく使って、古代史が好きな方に、「なるほど!」と思ってもらえるような設定を作りたかったんです。

――「日本神話大戦」からの新キャラクターである、オリヒメはどういった存在なのでしょうか?

安田:オリヒメは日向でも出雲でもない、縄文時代の知性を代表する、八百万の神という位置づけのキャラクターです。1000年に渡り生きていて、物事の分別や歴史など豊富な知識をもっている反面、お茶目でドジな側面もあります。また、彼女は一人時代に取り残されていることを寂しく感じており、カグヤ達と出会い心を通わせることで、仲間というものをもう一度見つけることになるんです。

――少し話が戻るのですが、個人的にタクティクスRPGというのは分かりやすい進化というのが難しいジャンルだと思うんです。例えばアクションやRPGなら、オープンワールド化やシームレスなどがすぐ思い浮かぶのですが、タクティクスRPGだとそうはいかない。この時代に、そのタクティクスRPGの新作を新規IPでリリースするというのは、かなり勇気のいることだったのではないかと思うのですが。

安田:新たにタクティクスRPGを作るにあたって、昔好きだったゲームをそのまま再現するのではなく、系譜が途切れた原因はどこにあって、それを僕らが受け継げるとするならどこを足すべきかとといことを僕なりに考えたんです。中でも重視したのが、個々のもつ固有ジョブですね。職業システムを軽視するわけではないのですが、やはりキャラクターの個性を決定づける最後の部分は固有ジョブであるべきだろうと。

あとは戦略面でいえば、難しいステージを自分なりに研究してクリアすることで、ある種の達成感を感じていただけるようなものにしたいという部分です。

我々がゼロから発明したものではないですが、囮システムやヘイトの管理、スキルの重ねがけ(※筆者がプレイインプレッションで触れた「戦意高揚」「祟神憑き」「神儀必殺の覇気」の効果を重複させるテクニック等)であるとかですね。少し編成や戦い方を工夫してもらうと、一見難しそうなステージにもいろいろな勝ち方があり「タクティクスRPGって結構面白いんだな」と感じてもらえることを、僕らが本作を作る意味にしたいという想いがありました。

――育成と戦略の自由度が高いので、本当にいろいろなことができますよね。この職業とこの職業のスキルを組み合わせるとこんなことができるな……と考えながらプレイするのが楽しかったです。本当にプレイヤーの数だけ攻略法が存在していて。

安田:僕は攻撃タイプの人間なのですが、開発チームの中には反撃をメインにしてクリアするというメンバーもいましたね。敵の射程と移動を計算して、ギリギリまで計算して待ち伏せたり。あとはパッシブスキルの使い方も個性が出ますね。

――自分は、とりあえず全キャラクターに熟練度アップ(※獲得JPを上昇させるスキル)をつけるところから始めていました(笑)。

安田:僕は「移動力アップ+2」がないとまどろっこしく感じてしまうので、常に優先してつけていましたが、反撃メインのメンバーからはそれはいらないんじゃないかと言われていました(笑)。それぞれ好みの戦略というのを見つけていただければ嬉しいですね。

経営者とクリエイター、安田氏の持つ2つの顔

――ここからは、安田さんご自身や、ゲーム業界に関するお話も伺っていければと思います。安田さんはクリエイターとしては異色の経歴を持たれている方だと思うのですが、そもそもゲーム業界には何がきっかけで興味を持たれたのでしょうか?

安田:大学生の頃に、ブロック崩しやインベーダーをプレイしたのが最初のゲームとの出会いでしたね。僕は負けず嫌いだったので、勝ち方を発見するまでずっとプレイし続けてしまうタイプで、名古屋撃ち的なものも試してどこまでスコアを上げられるかでドハマりしていた、ただのオタクでした(笑)。その後に一番感銘を受けたのは「ウィザードリィ」で、「アウトラン」とかのアーケードゲームもプレイしていましたね。 

その後ゲーム業界に移る大きなきっかけになったのは、88年くらいに「ニュービジネス協議会」という通産省の外郭団体が立ち上がった時です。当時はまだ社会的な立場が低かった、ゲーム業界のような新しいビジネスの支援を目的としていた団体だったのですが、そこにはCSKの大川功さんや、セガの中山隼雄さん、ナムコの中村雅哉さんといった錚々たる方々がおられて。僕はその事務局で仕事をしていたので、ゲーム業界の方といろいろなお話をさせていただく機会があったんです。

その時のご縁でコンピュータ雑誌「Beep」の編集長とも親しくなり、連載のお話をいただいたのですが、最初はゲームのレビューで点数をつけるだけという内容で、自分がやる意味はあまりないのかなと感じていました。けどその後に将来ゲーム業界を目指す子どもたちに向けた、固めの記事をお願いされ、それなら是非ともやってみたいと。それからは「ジャムおじさん」のペンネームで、6年間くらい記事を寄稿していました。

――読者の年齢層は大人も多かったのですか?

安田:いえ、ファンレターも結構いただいていたのですが、子供が中心でしたね。面白かったのはつい最近に年配のライターさんから突然声を掛けられられることがあったのですが、どうやら当時手紙を送ってくれていたファンの方だったみたいで(笑)。

――それはすごい縁ですね! 当時のファンがまさか現在もゲーム業界で働いているとは……。安田さんご自身は、社長として会社を経営する傍らで、クリエイターとしても活動を続けられていますが、やはり現場に対するこだわりが強かったのでしょうか?

安田:昔のゲーム業界は野心家が多くて、ディレクターになるとゲーム製作のノウハウを一通り得ることができるので、やれるとなったら積極的に手を挙げる人が多かったんです。ただ、今はそうしたタイプの人たちはソーシャルゲーム業界の方に行っていて、コンシューマだとプロジェクトを成功させることの難しさなどもあり、若い人が挑戦できる土壌があまりできていない。ただ、内部の開発チームを抱えるというのは、常に何かしらのゲームを作っていないといけないということでもあります。

僕自身としても、若い人に手を挙げてもらうのがベストだと思っているのですが、それがうまく出てこないようなタイミングには、自分が考えていた企画を皆で議論しながら進めていく……というのが、僕がプロデュースやディレクションをやっている正直な事情ですね。

今でこそ言えるのですが、「GOD WARS」も構想自体はかなり前からあったのですが、なかなか企画が立ち上がらなかった。少し言い方は悪いですが、元々はつなぎ的な意味で用意していた、保険のための企画だったんです。

――昔からクリエイターになりたいという意識自体はあったのでしょうか?

安田:自分自身を評価してもらう時、やはり経営者というのは分かりやすいキャリアとして映ると思うのですが、僕自身は銀行をやめた時から、ゲーム作りがしたいという想いをずっと抱えていたのは確かです。ただ、それは必ずしもプロデュースやディレクションという形ではなくてもいいと思っていて。ゲーム作りをするために経営者としてのスキルを求められるのであれば、それもきちんとやろうと思っていました。

――経営者とクリエイターというのは、なにか通じる部分もあるのでしょうか?

安田:ゲーム会社の経営者が何を大事にするべきかということは、ディレクターとも通じる部分があるのかなと。売上や利益を出すという意味でも、一番大事なことは、良質な作品を作ることに対する執念やこだわりのようなものだと思うんです。結局、手を抜いたり息切れした部分があると、ユーザーの方は賢いのですぐに見抜かれてしまうんですよね。

そうならないためには、製作を引っ張っていく中心の人間の作品に対する情熱というのが必要で、それと同じことを経営者にも求められると思うんです。例えば、「こういうのが流行っているからこれと似たようなゲームを作れ」とか、頭ごなしに命令するような経営者の下だと、社員にとってもやりがいのある職場にはならないのではないかと。

自分たちが好きなことの中で、自分たちができることを認識し、自分たちの特色を作っていく。こうした部分は、開発と経営の両方で必要なことだと思っています。

――角川ゲームスが立ち上がったのは今から約10年ほど前ですが、あの時期にコンシューマに注力したゲーム会社を立ち上げるというのはかなり珍しいと感じていたことが印象に残っています。

安田:自分でゲーム会社を立ち上げるという選択肢もあったのですが、最終的には角川から出資していただくという選択肢に落ち着きました。まずはしっかりと家庭用ゲームを作り、その後会社に余裕があれば違う領域にも出ていくというのが、自分にとって一番やりかったことでしたし、当時の角川は今ほどゲーム事業に本格的ではなかったので、お互いのニーズが合ったということですね。

――「ロリポップチェーンソー」や「艦隊これくしょん -艦これ-」など、早い段階で次々とヒット作が出てきましたよね。やはり、これらの成功が会社に勢いをつけた側面はあったのでしょうか。

安田:当時はデジタルコンテンツの会社が角川内にたくさん出来ていて、角川ゲームスのその一つとして立ち上がりました。ただ、それらはどうせ2、3年で消えていくだろうとも言われていて、事実その指摘は正しかった部分もあるのですが、それなら後になって、自分にしかできなかったと言われるような爪痕を残そうと考えたんですね。

「ロリポップチェーンソー」はそれまでの角川だったら絶対やらないだろうなと思われるタイトルでしたし、当時はドメスティックな会社だったので、海外に向けてゲームを販売するというのも新しい経験だったと思います。結果的にはそこで成功を収めたおかげで余裕も生まれ、「デモンゲイズ」や「艦隊これくしょん」といった作品にも繋がっていきましたね。

――角川グループのIPをほぼ利用せず、リリースするタイトルのほとんどが新規IPですよね。やはりこれは、新しいIPを作りたいというこだわりがあったからなのでしょうか?

安田:ええ、もともと新規IPが作りたいという想いは強かったです。カプコンさんにしてもスクウェア・エニックスさんにしてもセガさんにしても、0から1を生み出す人を大切にしていますよね。そうして何度もチャレンジした結果が今の成功につながっていると思います。もちろん、人気IPを活用したゲーム制作にチャレンジすることも楽しいと思いますし、ぜひ機会があればやってみたいですね。

――安田さんはプロデューサーとディレクターの両方を経験されていますが、読者の中にはこの2つの役職の違いをよく分かっていない人も多いのではないかと思います。それぞれの役職の違いとは何でしょうか?

安田:ディレクターは作品の品質に対する責任者で、とにかくクオリティの高い作品をユーザーに届けることが最優先です。

一方のプロデューサーはもう少し広い範囲の、プロジェクト全体に対する責任者です。例えばどんなに質のいい作品を作り上げたとしても、開発期間を伸ばす、バジェットは増やしたりするのはプロデューサーの仕事としてはNGなわけです。プロジェクトとして最終的な収益を上げるため、ディレクターをコントロールし、プロジェクトの全体を指揮するのがプロデューサーという立場になります。

――安田さんがディレクターをされる時というのは、プロデューサーの方は別におられるのでしょうか?

安田:いえ、僕がディレクターをやる時は実質プロデューサーも兼任してます。ただ、プロデューサー兼ディレクターを社長がやっていると大々的に言うのは恥ずかしいので、クレジットにはディレクターとだけ記載するようにしているんです(笑)。

――読者の中には、いずれプロデューサーやディレクターになりたいという方もおられると思うのですが、そうした時に気をつけておくべきことはありますか?

安田:一番大事なのは、自分が作りたいゲームを持っておくことだと思います。そのためにはたくさんゲームを遊んで、好きなゲームと嫌いなゲーム、なぜこのゲームは売れたのか、あるいは売れなかったということについて分析をして、自分なりの考えをもつことが重要ではないかなと。自分は何を作りたくて、それを成功をさせるには何をすればいいのか具体的に考えられる人なら、自分のやりたいことを実現しながら、会社にも必要とされる人材になれると思います。

今後のコンシューマゲーム業界の行く末と、「GOD WARS」について

――今後のコンシューマゲーム業界は、海外の市場というのがすごく重要になってくると思います。海外市場についてはどのような認識をもたれているのでしょうか?

安田:僕が「ロリポップチェーンソー」を作っていた時期は、日本のゲームは遅れていて、アメリカで作られているようなソフトを目指そうという空気があった頃だったんです。それから10年が経ち、現在では今後も大きな成長を見込めるアジア地域で、日本が得意とするキャラクター性の強い作品が高い支持を得るようになってきました。日本的なゲーム作りが再評価されて、それをこれからも生かしていけるような時代になってきたのかなと思います。

――コンシューマゲーム業界を10年前と比較した時、おそらくもっとも変わっているのは携帯ゲーム機の立ち位置ではないかと思います。今後、携帯ゲーム機はどのようになっていくと思われますか?

安田:僕は携帯ゲーム機の市場は、希望的な意味合いも込めてまだ続くと思っています。スマートフォンが携帯ゲーム機にとって変わるというのは、今後もある程度の割合までは進行し、一定のところで止まるのではないかなと。小学生がスマートフォンで文章を書くことが一般的になるような、僕が想定できないようなカルチャーの変化が起こる可能性はありますが……コントローラーを使ってゲームを遊ぶという文化は何らかの形で継承されていくと思います。「GOD WARS」に関しても、日本ではPS Vitaユーザーの割合というのはかなり高かったですから。

――その「GOD WARS」について、ユーザーとしては完全新作の続編を望んでいる部分もあるのではないかと思います。次回作については、どのような考えを持たれているでしょうか。

安田:本作では出雲神話の上巻にあたる「国造り」をテーマにした物語を描きました。もし本作をご支持いただき、今後もチャンスをいただけるのであれば、下巻にあたる「国譲り」をテーマにした続編を作りたいと思っています。

――最後に、発売を楽しみにしているユーザーに向けてメッセージをお願いします。

安田:「GOD WARS」は「ProjectCode -月読-」として2014年の11月に発表したのが始まりで、自分はその半年前からシナリオの執筆に入っていたので、約5年間「GOD WARS」を作り続けているといることになりますね。開発チームに恵まれたおかげで、今回の「日本神話大戦」では、ようやく自分が成し遂げたいと思っていた作品を作り切ることができたかなという手応えを感じております。

「GOD WARS」チームは、今後も引き続きタクティクスRPGを作っていきたいと考えています。我々が今後どこに向かっていくべきか、自分たちで考えていくべきことでもありますが、是非皆さんのご意見や反響をお待ちしております。

――ありがとうございました。

いよいよその発売を間近に迎えた「GOD WARS 日本神話大戦」。今回の取材を通して筆者が感じたのは、クリエイターや経営者として以上に、安田氏は純粋な一ユーザーとしてゲームを愛しているということだ。

やりとりの中でも少し言及したが、筆者が「GOD WARS」をプレイした時にひしひしと感じたのが、タクティクスRPGというジャンルを深く理解していなければまず作れないゲームだということだったが、安田氏のタクティクスRPGへの並々ならぬ想いを知り、その感想が間違いではなかったことに確信が持てた。インタビューの中で氏は、「ゲームをたくさん遊んで、好きなゲームを徹底的に分析すること」がクリエイターを目指す上で重要だと述べていたが、まさに「GOD WARS」は、そうしたタクティクスRPGに対する開発チームの情熱があったからこそ生み出させた作品だと言えるだろう。

まずはそんな作り手のこだわりと愛情が詰まった渾身の一作「GOD WARS 日本神話大戦」を楽しみつつ、今後の「GOD WARS」チームがどのような場所を目指して動き始めるのか、引き続き注目していきたい。

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