スクウェア・エニックスが7月13日に発売するNintendo Switch用ソフト「OCTOPATH TRAVELER」。本作のキーワードの1つ“フィールドコマンド”を邪道で突き進むプレイインプレッションをお届けします。

いよいよ発売間近となった、スクウェア・エニックスの新作RPG「OCTOPATH TRAVELER」。古き良き王道RPGを彷彿させる本作は、オールドファンからは懐かしさを込めて、若いファンからは一周回った新鮮さをもって期待されているのではないでしょうか。

本作には、「Unreal Engine 4」を採用した美しい3Dグラフィックと懐かしのドット絵の融合や、サイドビュー形式の戦闘画面、またプレイヤーの想像を掻き立てロールプレイに幅を持たせる「フィールドコマンド」など様々な魅力が存在します。

本稿では、その中でも特徴的な「フィールドコマンド」に注目。“正道”と“邪道”、2つに分けられる本システムを“邪道”に振り切って旅をしてみた先行プレイレポートをお届けします。

“邪道”な2人で旅をしてみました。

また本作の概要をなぞるプレイレポートは、2017年9月14日に配信された先行体験版にて掲載していますので、こちらと併せて確認してもらえると幸いです。

「OCTOPATH TRAVELER」の魅力をプレイレポートとしてお届け!

物語を開始すると、プレイヤーは8人のキャラクターから1人を主人公として選び、旅立つことになります。キャラクターにはそれぞれ固有の能力があり、さらにスタート地点となる地方も変わります。どのキャラクターを選ぶかで、今後の旅路も変わってくるのでよく考えて選ぶといいでしょう。

とはいえ、他のキャラクターに旅先で出会い仲間にすることも可能です。新しく仲間に加わったキャラクターのストーリーも回想という形で追体験することができるので、そこまで慎重になる必要はないかもしれません。

今回は、RPGにおける邪道の王道(?)ともいえる盗賊・テリオンを主人公に選択しました。テリオンは、神出鬼没の盗賊です。彼の卓越した盗みのスキルは、世の貴族や富豪たちを震え上がらせるほど。そんな彼がいつものように、とある屋敷に忍び込もうとするところから物語はスタートします。

テリオンを主人公にすると、“ボルダーフォール”という街が開始地点となります。この街は下層と上層で貧富の差が激しく、下層に住む人たちの発言からは何やら物騒な言葉も。そしてこのボルダーフォールの中でもひときわ裕福なのが、今回盗みのターゲットとなる“レイヴァース家”です。しかしこのレイヴァース家、“盗賊殺し”という異名を持っているようで一筋縄ではいかない予感がします。

さっそくレイヴァース家の屋敷に潜入、といきたいところですが非常に厳重な警備が敷かれており、信用状を持っている人間しか入れないようです……。ということで、早速フィールドコマンドを使って信用状を入手することに。街で聞き込みをしていると、見るからに位の高そうな商人を発見しました。コッソリ忍び寄り“盗む”コマンドをすることで、信用状を無事ゲット!

何とか屋敷に忍び込むことには成功しましたが、屋敷内は入り組んだ構造になっており兵士やモンスターが登場するため、まるでダンジョンのようです。ここからいよいよ本格的に戦闘を行っていくわけですが、本作には「ブレイク」と「ブースト」という2つの特徴的なシステムが存在します。

敵キャラクターには苦手な武器種や属性が存在します。弱点となる攻撃を加えることで敵のシールドポイントは減少していき、これが0になると「ブレイク」という状態になるのです。ブレイク状態の敵は1ターン行動不能+防御力が大幅ダウンするので、この隙に強力な攻撃を叩き込むのが本作の基本です。

初めて遭遇する敵は弱点が伏せられています。まずは色々と試してみる必要がありそうです。

次に「ブースト」についてですが、これは1ターン毎に1つづつ溜まるブーストポイントを消費することで、アビリティを強化したり通常攻撃の攻撃回数を増やすことができます。攻撃回数を増やせば敵を一気にブレイクすることも可能なので、ブーストポイントをどこで消費するか、という部分が本作の戦闘の要になるでしょう。

敵からアイテムを奪う“盗む”は、ブーストすることで成功確率をあげることができました。

戦闘終了後は、お金や経験値の他にJP(ジョブポイント)が手に入ります。このポイントを消費することで新しいアビリティを習得できるのですが、本作は通常のRPGのように習得順などが存在しません。なので序盤から強力な(SP消費の激しい)アビリティを習得するといったプレイも可能です。

テリオンのアビリティで強力だと感じたのは、“ライフスティールダガー”と“マジックスティールダガー”の2つ。それぞれ敵からHPとSPを奪いつつ攻撃できるので、戦闘の安定感が増します。加えて、敵に2回攻撃を行うのでブーストを温存しつつ敵をブレイクさせたい場面などでも重宝しました。

アビリティを習得する毎に次回習得時に必要なJPは増加します。この辺はよく考える必要がありそうです。

戦闘を楽しみながら屋敷を進んでいくと、ついにレイヴァース家の秘宝を発見。ですが、ここには一つの落とし穴が。詳しくはネタバレに繋がってしまうので伏せますが、この事件をきっかけにテリオンは旅立つことになります。

ここまでが物語の第一章として設定されており、以降は自由に旅を進めることが可能です。第一章は、キャラクターの旅立つ理由や生い立ち、また過去などがおぼろげに説明されていくので、続きが気になってどんどん物語を進めたくなる魅力がありました。

さて本作では、このままテリオンの第二章を進めていっても良いのですが、別な街へ足を運び、他のキャラクターを仲間にすることも可能です(別なキャラクターの第一章をクリアすると仲間にすることが可能です)。ボルダーフォールから近い街は、狩人・ハンイットのいる“シ・ワルキ”と、薬師・アーフェンのいる“クリアブルック”。今回は、邪道で物語を進めようと思うのでシ・ワルキへと歩を進めてみました。

シ・ワルキへは森道を抜けていくのですが、うっそうと生い茂る木々から漏れる陽光が美しく、思わず手を止めてしまうほど。暗い場所ではキャラクターがカンテラを手にするなど、細かい部分ではありますが冒険している感を非常に強く感じることができます。もちろん場所も変われば生態系も変わるので、森の中では出現するモンスターの変化も確認することができました。

道中、一度だけ出会うことができた“キャットリン”はすぐに逃げ出してしまいました。倒すと何が貰えるのでしょう。

到着したシ・ワルキは、代々の狩人たちが集い形成された村でした。この村一番の狩人として生活しているハンイット。なにやら最近見慣れない魔物が近隣の森に現れたようで、ちょうど討伐へ赴こうとしているところでした。

このように仲間キャラクターに話しかけ、手助けをすることで仲間として共に旅を続けることが可能になります。また、仲間キャラクターのそれまでの成り行きなどは回想を通じて知ることができるので、周回をせずとも1つのセーブデータで全ての物語を知ることができるようです。

ハンイットのフィールドコマンドは、人々に対して魔物を操り“けしかける”ことができます。騒ぎを起こしている人物を追い払ったり、進路を妨害する人をねじ伏せたりすることが可能です。

また、この魔物を操る力は戦闘でも力を発揮します。ハンイットは、戦闘中に魔物を“捕獲”することが可能です。捕獲した魔物は戦闘で呼び出すことで、それぞれ異なったアビリティでプレイヤーを助けてくれます。魔物によって使用する武器種も異なるので様々な敵をブレイクすることができ、非常に便利だと感じました。

ただし魔物を呼び出せる回数は決まっており、一定数助けてもらうと魔物は野生にかえってしまいます。
相棒の雪豹“リンデ”だけは呼び出せる回数に制限はありません。

また、仲間が増えると戦闘のバリエーションも増していきます。どのキャラクターでブレイクを狙うか、ブーストを温存するか、また行動順も敵味方で入り乱れてくるので効率を考えながらプレイすると、歯ごたえのあるバトルを楽しめます。

ハンイットは弓を使って全体攻撃をすることができます。弓が弱点の敵を相手にする際には一気にブレイクを狙えます。

このように序盤の流れは、新しい街へ足を運びキャラクターに協力して仲間を増やし次の街へ、といった感じになるようです。

また、一度クリアした街では「サブストーリー」が発生することもあります。サブストーリーの多くはキャラクターが持つフィールドコマンドを活用することで、様々な問題を解決することが可能です。一度訪れた街でも、新たな仲間が増えることで出来ることがドンドン増えていくので、サブストーリーを追いかけているだけでもかなりのボリュームがあると感じました。

さて今回仲間にした「テリオン」と「ハンイット」のフィールドコマンドは、どちらも邪道に分類されます。それぞれのキャラクターのフィールドコマンドは以下のようになっています。

正道 邪道 効果
オルベリク(試合) ハンイット(けしかける) 街の人々と戦うことが可能
トレサ(買取る) テリオン(盗む) 街の人々からアイテムを獲得できる
オフィーリア(導く) プリムロゼ(誘惑) 街の人々を連れ歩くことができる
アーフェン(聞き出す) サイラス(探る) 街の人々から情報を入手できる

正道コマンドは、実行するのに一定のレベルや所持金が必要になりますが、条件を満たしてさえいれば、確実にコマンドが成功します。一方の邪道コマンドは、確率などで失敗する可能性がありますが、レベルや所持金などに関わらずに誰にでも実行できるという特徴があります。

今回仲間にしたキャラクターはどちらも邪道コマンドなので、コマンドを実行する際、失敗するというリスクがあるものの、上手くいけばノーリスクでアイテムなどが手に入り、ちょっとしたドキドキを感じながらゲームを進めることができました。とはいえ確率の高い時にだけコマンドを実行するようにすれば、そこまでリスクは無いので序盤のアイテム集めなどはサクサクです。

ちなみに邪道コマンドは失敗するたびに街との関係性が悪化していきます。関係性が険悪になると、フィールドコマンド自体を受け付けてもらえなくなってしまうので注意が必要です。そんなときは街の酒場の主人に袖の下を握らせる(お金を払う)ことで、関係性を修復できます。気分は完全に悪代官?

このフィールドコマンドを活用して問題を解決していくサブストーリー。どのようなものがあるか例を挙げて紹介していきましょう。

“謀反の種火”というサブストーリー。貧民街の住民たちが貴族への暴動を企てているというもので、問題が表面化するまえに未然に防ぐことができれば、と真面目な衛兵は語ります。ここではテリオンの“盗む”が大活躍。貧民街の住民から反乱用の武器を盗むことで暴動を防ぐことができました。これが本当に街のためになるのか……と考えさせられもするちょっと複雑なサブストーリーです。

またサブストーリー以外の部分でもフィールドコマンドは役に立ちます。とある街の住居の前で通せんぼしているNPCがいたので、ハンイットの“けしかける”でNPCを気絶させてしまいます。これによって入れるようになった住居の中にいる老人は、強力な武器を所持していました。確率は低いものの、“盗む”ことができれば今後の冒険がぐっと楽になりそうです。

このように複数のフィールドコマンドを併用することで新たな道が開ける場面も多々ありました。今回は2人のキャラクターの組み合わせでしたが、さらに仲間が増えると出来ることが増えていくことでしょう。

「OCTOPATH TRAVELER」は、美しいドットのグラフィックなどから代表される要素ももちろん魅力ですが、フィールドコマンドを用いてゲーム内のお話に介入できる部分や、プレイヤー毎に違った進行ができる自由度の高さなど、RPG本来の楽しみがフューチャーされている点が最大の特徴だと感じました。

発売は7月13日ともう少し先になりますが、現在は製品版へと引き継ぎ可能な体験版がニンテンドーeショップで配信中です。まずは実際にプレイしてみて本作の魅力の一端に触れてみてはどうでしょうか?

では、よき旅立ちを――

OCTOPATH TRAVELER

スクウェア・エニックス

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  • 発売日:2018年7月13日
  • 15歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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