権力と紛争」は、「荒野行動」や「Identity V」といった人気タイトルで知られるNetEase Gamesによるスマホ向けMMO戦略シミュレーション。本作について、詳しく紹介したい。

「権力と紛争」は、NetEase Gamesが2019年3月に配信開始したスマホ向MMO戦略シミュレーション。スマホ向けMMO戦略シミュレーションといえば、海外では人気ジャンルのひとつで、数多くのタイトルがリリースされているジャンルだ。

知名度の高い所では、人気シリーズ「ファイナルファンタジーXV」の世界観を使った「ファイナルファンタジー15:新たなる王国」といったものがある。一方、ネットイースと言えば「荒野行動」や「Identity V」といった人気タイトルで知られるゲーム企業。なので、本作も完成度の高いものになっているのだろう…と筆者は期待を寄せていた。果たしてその内容は期待に沿うものだったか?このレビューで詳しく紹介したい。

丁寧に作り込まれた戦闘・内政!MMO戦略シミュレーションの正当進化系

本作の舞台は、魔法などが存在するファンタジー世界。ただ、登場する種族は基本的に人間のみで、モンスターは登場しないようだ。

基本的なゲームの作りは、MMO戦略シミュレーションとして極めてスタンダード。内政によって自国内に生産施設を建設し、資源の獲得量を増やしていく。資源が増えたら、生産施設だけでなく軍事施設もグレードアップし、軍事力を増強。最終的には他プレイヤーの国へと攻撃を仕掛け、マップ内の支配領域を増やしていくという作り。ただ、内政も戦闘も、既存のMMO戦略シミュレーションと比べると丁寧に作り込まれ、進化している。

施設を自由に配置可能!街を作り込める内政

本作の特徴と言える点の一つが、城の中に施設を自由に建設できる点。「木こり小屋」は樹の近くでないと建てられない、採石場は石の近くでないと建てられないなど施設によって若干の縛りはあるものの、基本的には領土内のどこにでも建設でき、一旦建設した施設を移動することもできる。

施設を自由に配置できる内政システムは、「クラッシュ・オブ・クラン(=クラクラ)」のような、1対1の対戦を前提としたRTSではよく見られるシステムだ。しかし、本作のようなMMO戦略シミュレーションでの採用したケースはあまり見かけない。MMO戦略シミュレーションの多くは、領土の内にあらかめじめ施設を建てられるポイントが決まっていて、そのポイントに対してどの施設を建てるか選ぶというシステム。

何故既存のMMO戦略シミュレーションで施設の自由配置システムを採用しないのかといえば、自由に配置できたところで、ゲーム的にあまり意味を持たないからだ。大半のMMO戦略シミュレーションでは戦闘がオートになっている。「クラクラ」のように、実際に相手の領地のマップを舞台にして兵を召喚して戦うことはない。なので、この配置だと敵のこういう戦術に強い、この配置だと敵のこういう戦術には弱い…といった効果が生じないのだ。意味があるとすれば、領土内を自分のお気に入りにデザインできるという点くらいだろう。ということは逆に言えば、本作の戦闘では、各々の領地のマップを舞台に戦闘が行われるということ。

RTS的戦闘を上手にMMO戦略シミュレーションに落とし込んだバトルシステム

本作のバトルは、相手の領地に戦闘を仕掛けた場合は相手の領地を舞台としたバトル画面で。ワールドマップ上で戦闘になった場合は野外を舞台としたバトル画面で行われる。バトル画面ではそれぞれの兵士たちがビジュアル的にぶつかり合い、勝敗を決する。操作は基本的な行動はオートで、スキルの使用についてのみプレイヤーが指示できる。「クラクラ」のようにプレイヤーが任意に兵士召喚を行うことはできない。あらかじめ編成している兵士同士がバトル開始時から一斉に登場する形式だ。

そもそもどうしてMMO戦略シミュレーションの戦闘がオートかといえば、兵士派遣から戦闘開始までタイムラグがあるから。「クラクラ」系ゲームの場合、対戦相手を選んだら即座にバトル開始だ。しかし、MMO戦略シミュレーションでは、相手の領地を目指してワールドマップ上を移動する時間が発生する。バトルが発生するのは数十分後、下手したら数時間後ということもあり得る。

もちろん、バトル開始時刻に攻撃側プレイヤーが必ずゲームをプレイ可能とは限らない。そうなると、勝敗が保留された状態になってしまう。これは非常に問題だ。だって、ワールドマップ上でプレイしているのは攻撃側と防御側という2人のプレイヤーだけじゃない。もし3人目のプレイヤーが防御側プレイヤーへ攻撃を仕掛けた場合、勝敗が保留されたバトルのことをどう処理すればいいのだろう?もしかすると攻撃側プレイヤーとのバトルによって、防御側プレイヤーの国は滅びているかもしれないのに。

こうした問題があるのに、どうやって本作はプレイヤー操作可能なバトルを実現しているのだろう。答えはカンタンで、一定時間以内に攻撃側プレイヤーがバトル開始ボタンをタップしない限り、フルオートでバトル結果を出してしまうのだ。この場合、攻撃側プレイヤーはバトルの勝敗結果のみ確認することになる。

つまり、本作には、フルオートバトルと、スキル使用のみ指示可能なセミオートバトルが混在しているのだ。フルオートバトルは純粋にユニットのパラメータだけで決着がつくため、プレイヤーがバトルを放置可能。一方、セミオートバトルはプレイヤーが拘束されてしまうものの、プレイヤーの指示によって勝率を高めることができる。プレイヤーの指示できるの要素はスキルだけという仕様は、この2種類のバトルのバランスを取るためだろう。「クラクラ」のように攻撃側が召喚するユニットの種類や召喚タイミングまでコントロール可能な場合、確実にセミオートバトルの勝率が高くなる。これでは、プレイヤーがフルオートバトルで戦う意味がなくなってしまう。

本作のバトルシステムは、「時間に余裕があるからバトルの戦術面も楽しみたい」、「スキマ時間を使って大まかに指示だけしたい」という異なる2つのプレイスタイルに対して、バランスを上手に取りながら対応している。スマホ向けのMMO戦略シミュレーションに求める要素を正統進化させたら、こうなった…という印象のシステムだ。

ソロプレイも可能!ビジュアルクオリティもよく完成度の高い作品

「正統」進化と書いたが、これはひっくり返すと、ビックリするような意外なシステムは存在しないということでもある。本作はプレイヤーがMMO戦略シミュレーションに求めるニーズをストレートに組み込んだような作品なので、プレイヤーのサプライズになるような新要素はない。そしてその分、完成度が高くなっている。

本作の完成度の高さは、ゲームシステムだけじゃなく、ビジュアル面にも及んでいる。グラフィックの美麗さを前面に押し出した作品ではない。しかし、キャラクターから背景に至るまでデザインの統一感は高く、世界観を魅力あるものにしている。また、ストーリーを読みながら次々ステージをクリアしていくスマホ向けRPG的なモードも用意されており、ソロでプレイすることも可能だ。

最後に本作を一言でまとめると、「既存のMMO戦略シミュレーションの戦術性を高め、手堅くまとめた作品」と言える。戦術性は高められているものの、あくまで既存作の延長線上にある作品なので、これまでのMMO戦略シミュレーションに飽きて新たなものを求めている…という人なら、満足はできないだろう。一方、あらゆる要素の完成度が高いので、既存のMMO戦略シミュレーションが好きな人であれば、本作は向いている。その内の一人である筆者も、防衛や見た目を考慮して自分の領地を作り上げる内政や、スキル使用という戦術性を持ったバトルをじっくり楽しむことができた。MMO戦略シミュレーション好きが、今このタイミングで選ぶ一本としては相応しい作品だと思う。

権力と紛争

NetEase Games

MobileアプリiOS

  • 配信日:2019年3月8日
  • 価格:基本無料

    権力と紛争

    NetEase Games

    MobileアプリAndroid

    • 配信日:2019年3月8日
    • 価格:基本無料

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