コーエーテクモゲームスは、2019年7月21日に世田谷区民会館で「戦国無双 15周年記念イベント 朗読劇 ~関ヶ原の戦い~」を開催した。ここでは、昼の部についてお届けする。

出演者

中田譲治さん(徳川家康役)
竹本英史さん(石田三成役)
松風雅也さん(藤堂高虎役)
日野 聡さん(大谷吉継役)
宮園拓夢さん(北条家臣(伝令)役)

本イベントは「戦国無双」シリーズ15周年を記念して開催する朗読劇で、戦国最大の見せ場である天下分け目の決戦「関ヶ原の戦い」を題材としている。徳川家康、石田三成、藤堂高虎、大谷吉継という4人の武将の生き様を丁寧に追いかけ、昼公演と夜公演で異なる結末を迎える「昼夜別エンディング」も特徴の1つ。また、ロビーには鹿児島の島津家別邸「仙巌園」での「『戦国無双』の世界」展で展示された特製屏風や、貴重な「関ヶ原合戦図屏風写」も展示された。

物語は慶長5年(1600年)、霧の濃い関ヶ原の地へ4人の武将が集ったところから始まる。西軍は三成と吉継、東軍は家康と高虎が控え、今まさに戦いの幕が切って落とされようとしていた。一時は共に手を取り、友情を結んだ彼らが、なぜ相対したのか……時は元亀元年(1570年)の姉川まで遡る。

織田の大軍と争う浅井長政のもとには、武功をあげようともがく高虎と、冷静に状況を見極める吉継の姿があった。高虎は別働隊で信長を討とうと本陣へ攻め込むが、そこへ家康が立ち塞がる。桶狭間の無念はもう二度と味わうまいと戦う家康だったが、さらに吉継も現れ、2人は一気に家康を追い詰める。家康の危機を救ったのは、豊臣秀吉の命を受けたという三成だった。高虎と吉継はすぐに戦況を見極めて引き、三成も偏屈な態度を取りつつ敵の進軍を防いだ家康を認める。

その夜、高虎は単身、織田軍に夜襲をかけようとするが、吉継に止められてしまう。功を狙う己の心の内を語る高虎へ、吉継は蛮勇だと言い諭す。その後、長政は家臣を守るため自害。高虎は長政最後の命である“生きろ”を胸に、吉継と共に織田軍へ下って秀吉へ仕えることになる。信長は破竹の勢いで天下統一を目指すが本能寺で命を落とし、家康も秀吉の傘下となる。

秀吉は北条攻めに際し、大名を労うため箱根の温泉へと招待。家康は温泉に入りつつ、そっけない態度の三成に、共に天下泰平を目指す仲だと語りかける。家康は、将として生きるからこそ、兵の命を預かる身として天下泰平に向けて歩を決して止めないという夢を語り、その言葉は三成にも深く染み込んでいく。

一方、高虎は、家康の命を狙っていた。かつて共に天下を目指した信長と長政のように、家康と秀吉もいずれ必ず決裂するというのだ。吉継はその考えに理解を示しながら、無駄死にすると再び高虎を止める。長政の願った平和な世のためだと家康に刀を向ける高虎だったが、吉継は“余興の剣舞”だと機転をきかせて暗殺を止める。

豊臣の天下統一まであと一歩となったところで、三成は吉継と共に忍城の攻略に挑む。三成は圧倒的な戦力で蹂躙する方策をとらず、「あえて“勝つ”ではなく“負かす”」と目的を語り、豊臣こそが天下を治めるにふさわしいと思わせるよう水攻めを行う。さらに自身の傲慢さを省み、功績を上げて周囲の人に認められ、より良い世の中にするべく戦うと話し、そんな三成の姿を吉継も称賛するのだった。

一方、小田原にいた高虎はそうした三成の姿勢を、戦をいたずらに長引かせるだけだと非難。家康は高虎の考えを戦国乱世において一理あると認め、彼の忠義が長政の描いた夢に向いていると見抜く。和議を選び、小田原城を明け渡すとした北条氏政の助命を嘆願した家康だったが、秀吉は約束を違え切腹を命じる。氏政の心の内を知り、結果的に裏切ることとなった家康は激しく嘆くが、これこそ秀吉の背負う天下人の覚悟だと悟る。

やがて秀吉の死後、家康は豊臣の切り崩しにかかる。時代が家康へと傾き始めたと話す吉継や高虎に、三成は家康こそ逆賊だと怒りを露わに。そうした三成を暗殺する流れがあると案じる高虎だったが、まさにその時、吉継が三成襲撃の手引きをする。

襲撃から逃れた三成と高虎は、家康の屋敷に匿われる。何故助けたのかと家康に問う三成に、家康は己の大志のため死なせるわけにはいかないと話す。三成は礼を述べつつも皮肉と共に相州正宗を置いて立ち去り、高虎は家康にその真意を訪ねる。それは、かつて秀吉が見せた天下人の覚悟であり“修羅の道”。殺されたから殺す……そうした戦国の乱世を終わらせるため、法による秩序が保たれた新たな世を作り上げるというのだ。それに必要なのは、絶対的な力。もはや秀吉亡き豊臣にその力はないと家康は断じ、最後の戦いへと乗り出す。

佐和山の三成のもとを訪れた吉継は、三成が挙兵の準備を進めていることを見抜く。直江兼続と真田幸村が家康を東で押さえ、その間に三成が西を制圧するという策を講じ、家康との決戦へと歩んでいたのだ。なぜ自分が三成を裏切ったのか聞かないのかと問う吉継に、三成は“友の言葉は聞き間違えない”と、すべては三成の命を救うためだった吉継の本心を理解していたと話す。その言葉に対し吉継は、最後まで三成と共に戦場へ立つと誓う。高虎は家康へ反旗を翻すと決めた2人へ激高し、その場を立ち去りながらも痛嘆する。こうして3人は、ここで決定的に道を違えることとなった。

三成のもとには亡き秀吉に報いるという大義のため多くの兵が集う。それこそが家康の狙いであり、すべての遺恨を断ち切るために三成を生かしていたのだ。関ケ原の合戦が始まり、戦況がめまぐるしく変化する中、小早川秀秋らの裏切りにより窮地に陥る三成たち。すべては高虎の策だったが、それを立て直そうと奔走する吉継。その隙を突き、家康から命を受けた高虎が三成を襲う。そこに、三成のために前線を放棄した吉継が立ちはだかり、三成を逃がす。武器を捨て、命と引き換えに三成を助けようとする吉継は、ただ三成の側にいることこそ己の望みだったと気づく。刃を振り下ろす高虎の絶叫が響き渡り……。

昼の部では、吉継を討ち取ったと家康に報告する高虎。家康は討ち損じた三成を戦場で探すが、そこへ三成が自ら現れる。もはや東軍の勝利は揺るがないが、最期まで自身を守ろうとした吉継の想いを背負い、友の仇を討つただの一武将として家康との一騎打ちに挑む。互いのすべてをぶつけ合い、家康の一撃に倒れる三成。高虎は家康の太平の世を守るべく生き続けると、家康は泰平のためにすべてを滅ぼす修羅の道を歩み、悲しみを絞り尽くすと亡き者たちに誓うのだった。

重い宿命を背負った武将たちの命を賭したぶつかり合いに、終盤は涙を流すファンも多く見られた今回の朗読劇。大きな拍手に迎えられて登場した出演者たちは、わずかな人数で壮大な物語をじっくりと演じた感想を話してくれた。挨拶では宮園さんの趣味が明かされたり、無茶ぶりがあったりと笑いも巻き起こる和やかな空気で進み、日野さんは三成の、竹本さんは吉継の独白に胸を打たれたそうだ。松風さんは「戦国無双」15周年というプレッシャーも感じつつリハーサルをしっかりと行ったことを語り、中田さんは稽古も楽しかったと振り返った。

「戦国無双」という作品はもちろん、関ヶ原だけでも名シーンはもっとたくさんあると話してくれた竹本さん。ファンの応援があれば、さらなる機会があるかもしれないと期待を覗かせた。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

コメントを投稿する

この記事に関する意見や疑問などコメントを投稿してください。コメントポリシー