アクションアドベンチャー「Stranger Things 3ザ・ゲーム」をレビュー。Netflixオリジナルドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」を原作とするゲームの魅力に迫る。

「Stranger Things 3ザ・ゲーム」は、BonusXPからリリースされたスマートフォン向けアクションアドベンチャーゲーム。タイトルからも分かる通り、Netflixオリジナルドラマとして大ヒットした作品「ストレンジャー・シングス 未知の世界」シーズン3をゲーム化したものだ。つまり、ドラマのゲーム化作品。このため、ドラマを未視聴の人がそのままプレイすると楽しさは半減してしまうだろう。しかし本作は、ドラマを観た上でプレイするだけの価値があるくらい楽しめる作品だ。その魅力を本記事でじっくりとお伝えしたい。

グーニーズ×スティーブン・キング×80年代=ストレンジャー・シングス?

本作はドラマを観ていることが前提の作品なので、そもそもドラマ版「ストレンジャー・シングス 未知の世界」とはどんな作品か?から紹介したい。「ストレンジャー・シングス 未知の世界」はNetflixオリジナルドラマとして作られている。なので、試聴できるのは動画配信サービスのNetflixと契約する必要がある。ドラマは現在シーズン3まで配信されており、ゲームはこのシーズン3のエピソードを描いたものだ。

ドラマは、一言で言うと「少年冒険モノ×ホラー」。学校ではどちらかといえば「イケてない組」に入る少年たちが、街で起きた不可解な出来事を調べていくうちに、ホラー現象に巻き込まれていく。すべての物語のきっかけとなったシーズン1では、少年たちの大切な仲間の1人、ウィルが失踪するという事件が発生。この事件を通じて、「裏側」と呼ばれるもう一つの世界が存在することがあきらかになっていく。「少年冒険モノ」という意味では、映画「グーニーズ」に近いテイスト。ただそこにホラー要素が加わっていくので、スティーブン・キングの「IT(イット)」の方ががさらに近い雰囲気を持っている。ただ、「ストレンジャー・シングス 未知の世界」の魅力はこれだけに留まらない。

「少年冒険モノ」というと、主人公である少年たちの視点から描くため、大人の視点は除外されることが多い。しかし「ストレンジャー・シングス 未知の世界」では、少年たちの視点に加えて、ちょっと年上の兄・姉グループの視点と、親の視点が用意されている。このため、自分にあった価値観のキャラクターに感情移入できるのだ。

さらに大きな魅力となっているのが、「80年代アメリカ」という時代性。ドラマ内で描かれる風景はもちろん、BGM、主人公たちが遊ぶゲーム(「ダンジョンズ&ドラゴンズ」)、さらにはロゴデザインに至るまで「80年代アメリカ」を再現するように作られており、懐かしさを刺激してくれる。

えっ?80年代アメリカに住んだことがないから懐かしいなんて思えるわけがない?…確かに筆者も80年代のアメリカに住んだことはない。それどころか海外旅行に行ったことすらない。しかし、行ったことはなくとも、見たことはある。「グーニーズ」や「スタンド・バイ・ミー」といった映画で、あるいは任天堂の「マザー」シリーズといったゲームで。フィクションの中ではあっても、確かに見たことがある。だからこそ、これらを過去に体験したことのある人であれば、ドラマを見て「懐かしさ」を感じることができるのだ。

ドット絵レトロゲームテイストが醸し出す「80年代」の懐かしさ

「80年代アメリカ」の時代性がドラマ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」のキーワードであることを踏まえると、本作のビジュアルにも納得がいくのではないだろうか。本作のビジュアルは、ドット絵で表現されており、まるでレトロゲームのよう。そう、ビジュアルから懐かしさが感じられるような作りになっているのだ。

それだけではない。視点がクォータービューとなっているので、マップの見た目が「マザー」シリーズのようだ。狙ってやったことなのか、そうでないのかは分からない。しかし筆者は、狙ってやったことなのだろうと思う。それくらい、ドラマをゲーム化する上でバッチリなビジュアルテイストだ。

じわじわと日常を怪異が侵食していくアクションアドベンチャー

いよいよ本作のゲームシステムについて触れたい。本作は、ゲームジャンルとしてはアクションアドベンチャーに当たる。基本的に、設定されたクエストを達成することでゲームが進行していく。クエストの目的地が明確なものについては、ガイド用の矢印が目的地へと導いてくれるが、未知のアイテムを探し出さなければならない場合などについては矢印が表示されず、自力で探し出す必要がある。

クエストの舞台となるマップは、RPGのダンジョンのように入り組んでいる。マップによっては敵も出現。敵との戦闘はリアルタイムアクション形式だ。

リアルタイムアクションといっても複雑な操作が求められるわけではない。移動も攻撃もタップでOK。移動先をタップすればその場所に向かってくれるし、敵を轍鮒すればその敵を攻撃してくれる。回避アクションがないため、ヒット・アンド・アウェイでダメージを抑えつつ勝つ…というのは難しいが、操作に慣れれば移動を応用してヒット・アンド・アウェイできるようになるだろう。ちなみに、移動先を細かくタップするのが面倒な場合は、画面左右の上段・中段・下段を押しっぱなしにすることで移動し続けることが可能だ。

ストーリー序盤は、「シャンプーを買ってきて」的な、日常でよくあるごくフツーのクエストが多い。なので、そこで出てくる敵も「ネズミ」といった、日常で出てきてもおかしくない存在だ。しかし、物語が進むにつれ、日常にはありえないような存在が姿を見せ始める。ガラクタから作ったアンテナが受信したメッセージ、ネズミの大量発生…といった形で、徐々に怪異が日常を侵食し始めるのだ。この辺のホラー的な演出は、ドラマ同様にゲームでもしっかり味わえる。こういった物語展開はスティーブン・キング作品に通ずるところもあるので、スティーブン・キングが好きなら手に取る価値があると言えるだろう。

パズル的なギミックが待ち受ける!仲間と共に乗り越えろ

クエストにおいてプレイヤーの前に立ち塞がるのは、敵だけではない。マップには、パズル的なギミックも仕掛けられているのだ。こうしたギミックを乗り越えるためになくてはならない存在が、「仲間」だ。

本作でプレイヤーが操作するキャラクターは2人いる。メインキャラクターとサブキャラクターだ。直接操作するのはメインキャラクターで、サブキャラクターの操作はオート。戦闘の際にも自動的に動いて敵と戦ってくれる。ただし、プレイヤーはサブキャラクターに対して「行動する」「待機する」といった命令をすることが可能だ。また、サブキャラクターとメインキャラクターを切り替えることもできる。命令と切り替えを活用することで、たとえば、サブキャラクターに切り替えた上でドアの開閉スイッチの上まで移動、メインキャラクターに切り替えてサブキャラクターを待機状態にし、その間にメインキャラクターはドアの中へ入る…といった形でギミックの攻略が可能になるわけだ。

同時に操作可能なキャラクターはメインとサブの2人だが、仲間が全部で2人しかいないわけじゃない。物語が進むことで新たな仲間が加わっていく。仲間一覧画面でシルエット表示されているキャラクターを数えると、全部で12人のキャラクターが仲間になるようだ。もちろん、仲間に加わるキャラクターはドラマでおなじみのキャラクター。一度仲間に加わったキャラクターは、いつでもメインキャラクターやサブキャラクターへ切り替えることができる。

仲間となるキャラクターは、それぞれ攻撃方法とアビリティが異なっている。たとえば本作においてメイン主人公といえるマイクなら、武器は「バットスウィング」でアビリティは「挑発」。「バットスウィング」は、接近しなければ当たらない半目、高い攻撃力を持っている。また、「挑発」は敵の注目をマイクに引きつけた上でダメージを受けやすくするという効果。バトルに特化した戦闘要員といっていいだろう。

一方、これがダスティンになると、攻撃方法は「ポイズンスプレー」でアビリティは「ロケット爆弾」と「ハッキングスキル」となる。「ポイズンスプレー」は敵を毒化させるスプレーで、徐々に敵の体力を奪うタイプの攻撃。ひとつめのアビリティ「ロケット爆弾」はおもちゃの爆弾で、一定時間後爆発する。2つめのアビリティ「ハッキングスキル」は、暗証コードつきの扉やアイテムボックスを開けることができるというものだ。バトルに関してはプレイヤー自身が直接操作する場合、ダスティンよりマイクの方が使いやすいだろう。しかしサブキャラクターとして見ると、毒化によるサポート攻撃が強力。また、扉やアイテムボックスを開けるためには必須といえるキャラクターだ。

仲間となるキャラクターもの攻撃手段・アビリティはゲーム化するために無理やりアビリティを持たさせた…という感じではなく、しっかりドラマの設定を踏まえている。クエストの状況に応じて、最適なキャラクターを切り替えつつプレイする感覚は、ドラマの持つ「群像劇」要素を再現しているように思えた。

日常の日常が怪異との戦いへと変わっていく物語を、まずはドラマから

ホラーゲームとして見た場合の本作の醍醐味は、なんといっても少年たちの日常の物語が冒険が徐々に怪異との戦いへ変わっていくという展開にある。最初からゾンビが蔓延する世界に放り込まれるのでも、悪霊が出現する屋敷に入るところから始まるのでもなく、日常から非日常へと変わっていく過程の怖さ。こうした怖さを求める人は、是非本作を手に取って欲しい。たとえ「80年代アメリカ」に懐かしさを感じずとも、「日常が浸食されていく怖さ」についてはバッチリ堪能できるハズだ。…とはいえ、ドラマ視聴者向けに作られた作品なので、ドラマを観ていないと楽しめない部分もある。

メインストーリーで何が起きているのかはドラマ未視聴でも理解できるだろうが、セリフについては、各キャラクターの性格や人間関係が理解できなければさっぱり意味不明だろう。なので、最低限ドラマのシーズン1、シーズン2を観てからプレイするのがオススメだ。これだけの人気になるだけあってドラマの方も傑作だから、観て損はない。少年時代に味わったあの楽しさと、それを懐かしむ気持ちと、日常が浸食されていく恐怖とを、ドラマとゲームの両方で味わう至福の体験が出来るはずだ。

App Store:https://apps.apple.com/jp/app/stranger-things-3-the-game/id1467255056
Google Play:https://play.google.com/store/apps/details?id=com.bonusxp.fate

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(C) Netflix, Inc 2019, Code and Game Design (C) BonusXP, Inc 2019

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