Steamで4月24日より配信中のアドベンチャーゲーム「Cloudpunk」(クラウドパンク)のレビューをお届けしよう。

サイバーパンクな巨大都市を、空飛ぶクルマで飛び回ろう

主人公は、巨大都市ニヴァリスにやってきたばかりの女性・ラニア。彼女は今晩から、非合法的な仕事も請け負う配達会社クラウドパンクで、夜勤の仕事に就くことになっていた。プレイヤーは彼女を操作。空飛ぶ自動車“HOVA”に乗り込んでニヴァリスを縦横無尽に駆け回り、依頼人たちの配達物を次々に届けていくことになる。

仕事上のパートナーは歳を取ったオペレーター。そして相棒は、かつてラニアが飼っていた犬型アンドロイドだったが、身体を失い、いまはラニアが乗るHOVAに移植されているAIのカミュ。カミュはウインドウに映し出されるアイコンは犬の姿、性格は穏やかな青年といった趣で、気心の知れたラニアとのやり取りは、微笑ましい。

本作の世界観は、映画「ブレードランナー」に代表される“サイバーパンク”と呼ばれるものだ。科学が発展しているニヴァリスでは人間とアンドロイドが共存しており、高層ビル群の間を無数のHOVAが飛び回る。

都市の風景は一見きらびやかだが住民の貧富の差は大きく、社会システムは破綻寸前。サイバーパンクに付きもののヘンテコな日本語が描かれたネオン看板などのお約束も押さえている(主人公が住むマンションがある場所の地名は“ネオ道頓堀”だ)。

ゲームではラニアが初仕事を終えるまでの一晩の出来事が体験できる。しかし、初日からこれではラニアがかわいそう……と思わず同情してしまうようなたくさんのトラブルが彼女に降り掛かる。

話の通じない依頼人、訳ありな依頼に関わったことで受ける脅迫、挙句の果てにはニヴァリスという都市の未来すら左右する選択を迫られることも。だが、そんなラニアの“配達”によって交錯する、それぞれに問題を抱えた人々のドラマこそが、このゲームのいちばんの魅力でもあるのだ。

クセの強い登場人物たちが織り成す、ユーモアや皮肉に溢れたストーリー

本作でプレイヤーがすることといえば、目的地付近までHOVAを走らせ、目的地に近い駐車スペースで停車。そこから依頼人または受取人のいる地点まで徒歩で移動の繰り返し。配達には基本的に制限時間も存在しない(一部例外あり)。サブイベントや道端に落ちているアイテムの収集要素もあるものの、ゲームプレイ自体はやや淡白だ。ネオンが瞬く夜の街で、空飛ぶクルマを運転することに浪漫を感じられなければ、やや退屈なゲームかもしれない。

しかしこの世界観に心酔できるプレイヤーならば、ゆるいゲームプレイを楽しみつつ、仕事中にひっきりなしに生じるオペレーターやカミュ、依頼人や荷物受取人との会話の内容に、興味深く耳を傾けることができるはずだ。

ちなみにゲーム中の音声は英語で、テキストのみ日本語にローカライズされている。繊細な操作は不要なゲームなので、テキストを読みながら運転するのもそれほど苦ではないだろう。

ラニアの仕事内容は、夜がふけるほどにきな臭いものになっていく。目的地に到着したら依頼人が不在だったり、オペレーターの様子がおかしくなったり。明らかにヤバそうな荷物の配達依頼を受けたときは、目的地が2箇所表示され、依頼通りに届けるか、荷物を廃棄するか選ぶ必要が生じる場合も。

個人的に印象に残った依頼を挙げるなら、同じ名前、同じ姿のアンドロイドばかりが勤務するとある企業への配達が思い浮かぶ。ここでラニアは「名前は同じだが荷物を受け取る権限が与えられているのはほかの個体だ」などの理由からたらい回しに遭うのだ。

挙げ句、最終的にはここに勤務するすべてのアンドロイドをリセットしてほしいと迫られてしまう。ほかの依頼もこれに負けず劣らず、クセが強い人々とのユーモアや皮肉に溢れたストーリーが展開される。

中盤以降に登場するハクスリーというアンドロイドは、独白するような個性的な台詞回しが特徴。人と会話するときもこのスタイルを崩さないので、話が通じてるんだか通じてないんだか、ラニアとカミュは大いに戸惑う。最初はコメディーリリーフのように感じられるが、彼から何度か依頼を受けていくうちに物語はシリアスな方向に向かっていき、最終的には作中でも際立って印象的な人物になるだろう。

このように「Cloudpunk」では、依頼ごとに別々のショートストーリーに触れていくような感覚で物語が進行。それらと並行して、全編を通しラニアやオペレーターといった主要人物たちのドラマが展開され、ニヴァリスという都市の成り立ちや秘密も徐々に明らかになっていく。ラニアは初仕事を終えたとき、何を思うのか。ぜひ見届けてほしい。

ゲームプレイはやや淡白。けれどきっと忘れられない一夜になる

ゲームプレイについてももう少し詳しく紹介しておこう。まずはHOVAの運転について。都市に張り巡らされたハイウェイでは、HOVAの最高速度が上がる。ただしこれを無視して目的地まで一直線に進んだ方が早くつく場合もあり、このあたりのルート取りはプレイヤーの自由だ。

HOVAにはガソリンの残量と耐久値が設定されており、ガソリンはスタンドで、耐久値はガレージで回復できる。スタンドもガレージも各所に点在しているので、マップで最寄りの施設を確認して向かおう。

ガレージではHOVAをカスタマイズするアイテムも購入できる。ラインナップは、瞬時に加速するためのブースターや、上昇、下降の速度を上げる装置、排気ガスの色を赤や黄色、ピンクに変更するアイテムなど。排気ガスの色は、あなたの“サイバーパンク感”にいちばん合うものを選ぶと良いだろう。

本作は徒歩移動に費やす時間もわりと多い。なぜなら、駐車可能な場所から目的地までそれなりの距離がある場合が多く、収集アイテムも、この徒歩移動時に道端に落ちているものを拾うことになるからだ。収集アイテムはサブイベントのクリアに必要だったり、通常では入れない場所に入るための鍵だったりする。無造作に落ちているものを拾うだけなので、ゲームとしての面白さは薄いし、メインストーリーには無関係だが、マップに表示されるとついつい拾いに行ってしまう。このゲームを心底気に入った方は、やり込みの一環としてコンプリートを目指してみてもよいだろう。

最後になるが、やはり「Cloudpunk」の魅力はその世界観と、そこで配達業に携わることで垣間見える、都市に住む人々のドラマを描いたストーリーにある。これらに深く没入するためにゲーム部分があると考えるのが妥当だ。クリアに掛かる時間は収集アイテムをそれなりに入手しつつエンディングまで、10時間弱というところだった。これ以上長いとゲーム部分の淡白さ、変化の無さに飽きが来ていたかもしれず、そういう意味ではちょうど良いボリュームだと感じた。

そして、この10時間で出会った強烈なキャラクターたちや、ちょっとビターなものも多かった彼らの結末、いくつかの悩ましい選択は、心に残るものだった。ここまで書いてきた内容にビビッと来た方には、きっと忘れられない体験になることと思う。

Steamストアページ
https://store.steampowered.com/app/746850/Cloudpunk/

Cloudpunk

Maple Whispering

PCダウンロード

  • 発売日:2020年4月24日
  • 価格:2,200円(税込)
  • Steam
Cloudpunk

この記事のゲーム情報

機種
PC
プラットフォーム
ダウンロード
会社
ION LANDSMaple Whispering
ジャンル
アドベンチャー
テーマ
SF
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