スクウェア・エニックスが、2020年9月4日に発売予定のPS4/Xbox One/PC用ソフト(PC版はSteamで9月5日発売)「Marvel’s Avengers」(アベンジャーズ)。8月7日から順次実施されるベータテストに先駆けて本作をプレイしたインプレッションをお届けする。
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「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」は、プレイヤーの「スーパーヒーローになる」という夢を叶えることがテーマのアクションアドベンチャーゲーム。傑出したオリジナルストーリーと広がり続けるアベンジャーズの世界が一つとなり、未だかつてない物語が展開。最大4人のチーム編成を行い、自分の好きなヒーローをカスタマイズ、それぞれのヒーローが持つ力で世界を脅威から守ることになる。
今回、8月7日から順次実施されるベータテストに先駆けて本作をプレイすることができたので、ここではそのインプレッションをお届けする。
「アベンジャーズ」らしさを追求することがゲームとしての面白さに
筆者が「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」に触れたのは、これが都合2回目となる。初めて本作をプレイしたのが東京ゲームショウ2019のメディア向けセッション。短い時間ながらゲーム序盤のチュートリアルをプレイして、その完成度には驚きを隠せなかった。そして今回、ベータテストをじっくりプレイして、改めて本作のクオリティの高さに感心させられたものだ。
本作の何が優れているのか、これはもうひとえにアクションの出来の良さに帰結するといっても過言ではないだろう。本作は、本当に「アベンジャーズ」を研究し尽くしてきたことが実感できるほど、アクション面が優れている。「アベンジャーズ」らしさの追求と、ゲームとしての気持ち良さのバランスが実に良い。
1つ例を挙げるとソーは、“ムジョルニア”を軸にしたアクションが多くあり、R2ボタンでこれを投げて遠距離攻撃することが可能だ。もちろん原作さながらに投げた後のムジョルニアはソーの手に戻ってくるのだが、このタイミングをプレイヤーは任意のタイミングで決めることが可能だ。
なので、ムジョルニアを投げつけて遠距離の敵を攻撃、その後油断している他の敵に(実際に油断しているかは定かではないが……)戻ってきたムジョルニアをブーメランの要領でぶつけてさらに攻撃、なんてことが可能だ。実に映画のワンシーンにありそうな場面ではないだろうか。この“原作内でありそうなアクション”を、ゲーム内で、且つムービーなどではなく自分の手で再現できる、というのが本作の何よりの醍醐味だ。
ちなみに、このソーのアクションは原作ファンを喜ばせるためだけのものでは決してない。敵の中には巨大なシールドを持っているものもあり、前面からの攻撃は全て防がれてしまう。そんな時にムジョルニアで背後から奇襲するのは効果的な戦法だ。用意されたアクションが見せるためのものだけではなく、ゲーム攻略に紐づいているというのも、本作のアクションが面白いと思える要因だろう。
1人のヒーロー、1つのアクションについて長々と書いてしまったが、本作では一事が万事、このような作り込みの濃さなのである。アイアンマンであれば、戦闘中でも自由に且つシームレスに飛行が可能でハルクバスターも使用可能だし、ハルクであれば、ビルとビルの間をまるでジャングルのように駆け回り(壁に張り付いてそこからジャンプすることで物凄い機動力を発揮する!)敵をキャッチして叩きつけ周囲の敵もろとも倒したり……と、とにかくプレイアブルキャラクターの一人一人それぞれが、1つのゲームとして独立していても不思議ではないくらいに、専用のシステム化がされている。これが本作「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」の最たる魅力だ。
今回のベータテストでは、東京ゲームショウ2019で試遊できた部分より、さらに先までプレイすることができた。チュートリアル(ヘリキャリアの墜落まで)終了後、幾つかのソロミッションをプレイすると「ウォーテーブル」が開放され、ここからマルチプレイが可能になる。
マルチプレイでは、最大4人で協力してミッションの遂行にあたる。のだが、前述した通り、本作はとにかく登場ヒーローたちが個性的で、目的地に向かうだけでも、ハルクは飛び回りながら移動するし、アイアンマンは空を飛んで急行する。このバラバラさ加減が実に「アベンジャーズ」感満載でワクワクする。
個性的な戦闘が飛び交う戦闘もマルチプレイならではで、一人でじっくり「アベンジャーズ」感を再現しながら遊ぶソロプレイとは、また違った面白さがあった。
ちなみにウォーテーブル・ミッションでは、敵を倒す以外にもいろいろな条件を達成する必要があり、これを失敗するとステージが終了してしまう。特に戦闘に夢中になっていると起きやすく、ただ敵を殲滅するだけでは済まない、ヒーローたちの葛藤を垣間見た気分だった。
次世代のミズ・マーベルが担う役割とは
今回のベータテストで新しく加わったもう一つの要素がプレイアブルキャラクター「カマラ・カーン」の追加だ。初代ミズ・マーベルからその名を継いだ彼女は、本作で大事な役割を担う。
本作におけるカマラ・カーンは、「アベンジャーズ」のファンで悪事を人一倍許さない少女という設定は共通しているものの、A-Dayの最中にテリジェン・ミストに曝されてしまい、眠っていたインヒューマンの能力が目覚めるという部分が異なる。そして本作の時系列では、ここからアベンジャーズは解散。カマラは自身がヒーローになる道を歩みつつ、アベンジャーズのリアッセンブル(再集結)を目指す。
元々ヒーローオタクだったカマラ・カーン。自身もヒーローでミズ・マーベルの名を持ちつつも、やはり「アベンジャーズ」のファンなので、その反応の一つ一つが新鮮だ。ゲーム序盤では廃棄されたヘリキャリアを探索するシーンがあるのだが、ここで「アベンジャーズ」の痕跡を見つけたカマラは、ついついファンとしての顔を覗かせる。そして、そんなカマラの姿は、我々プレイヤーの立場にピタリと合致するのである。「アベンジャーズ」の一員でありながら「アベンジャーズ」のファンであるという、彼女ならではの立ち位置は、まさに本作の物語を描くのに必要不可欠だったわけだ。
「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」では、そんなカマラが中心となってアベンジャーズはリアッセンブルをしていくことになる。一度は解散してしまったアベンジャーズ。カマラを通じて“ファン”の声がヒーロー達にどう響くのか、そこも本作の見どころだ。
「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」はアベンジャーズへのラブレターである
今回「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」をプレイして、改めて「アベンジャーズ」のゲームの歴史を遡ってみたのだが、ヒーロー毎のゲームタイトルはあれど、「アベンジャーズ」という括りでは驚くほどに少ない。
一見すると「アベンジャーズ」とゲームは相性が良さそうに見えるが、本作を遊べば遊ぶほど、その理由がなんとなく分かる気がする。それぞれのヒーローの個性が強すぎて、原作を再現しようとすればするほど、1つのゲームという枠に収めるのが困難なのである。
しかし、そんな「アベンジャーズ」ゲームに横たわる問題を、「アベンジャーズ」への愛という力技で一点突破したラブレターのような作品が、本作「Marvel's Avengers (アベンジャーズ)」だ。
「『アベンジャーズ』少しでも知っているよ」という人や、「『アベンジャーズ』は観たことがないけど『アイアンマン』は観たことがあるよ」という人でもきっと楽しめるはず。まずは8月7日から順次実施されるベータテストに参加して、本作の真髄を確かめてもらいたい。