今年はオンラインでの開催となった、「東京ゲームショウ2020オンライン」。セガからも注目タイトルが多数紹介されたが、そのイベントに先駆けて話題のミニゲーム機「アストロシティミニ」の体験会がメディア向けに行われた。
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この「アストロシティミニ」は、1993年に全国のゲームセンターに導入されたアーケード筐体「アストロシティ」を、実物の1/6サイズで再現したものだ。発売は12月17日で、全36タイトルが収録される。
ふたりプレイが可能になる「アーケードスティック」や「コントロールパッド」も発売。さらに、ゲーセンそのままの雰囲気を再現できる「ゲームセンタースタイルキット」も同時発売されるのだが、それに加えて、今回の「東京ゲームショウ2020オンライン」で新たに2Pカラーバージョンの「アーケードスティック」と「コントロールパッド」も発売されることが明らかになった。こちらはかなり数が少ないようなので、早めに予約をしておくのがいいだろう。
また、試遊でプレイ出来なかったが、全36タイトルに加えて「ドットリ君」も収録されることが決定している。こちらは「アストロシティ」のダミー基板で付属していたものだが、内容は「ヘッドオン」や「パックマン」のようなドットイートゲームだ。
……ということでやや前置きが長くなってしまったが、今回はこの先行体験の模様をレポートしていく。
小さいながらユーザービリティが高い筐体
本物の「アストロシティ」は初の樹脂筐体として登場したものだが、この「アストロシティミニ」もオリジナル同様の樹脂が採用されている。そのためもあってか、全体的な質感はまさにオリジナルをそのまま小さくしたような印象だ。
ちなみに、今回試遊で遊ばせてもらったバージョンよりも、製品版では素材のランクがあがり、より本物に近いものになるとのこと。実際の筐体はタバコのヤニなどで変色している場合もあり、人によっては異なる印象を持つかもしれない。だが、あくまでも新品の状態はこうだったというのを体験できるという意味でも貴重だ。
こうしたミニ筐体で気になるのは、やはり操作性だろう。この点については、まったくといっていいほど問題はない。むしろ、レバーやボタンの感覚など小さいながらオリジナルに近い感じがするほどのクォリティである。
本体背面には、電源ボタンのほか、HDMI端子やUSBポートなどが用意されている。よくあるminiHDMIなどではなく、通常サイズのものが利用出来るのは嬉しいところだ。USBポートがふたつあるが、こちらは別売りの「アーケードスティック」や「コントロールパッド」を繋ぐためのものである。
本体と外部コントローラーがあればふたりでプレイは可能だが、同一環境で遊びたいときはこの仕様のほうが便利だ。ちなみに、このUSBポートに接続できるコントローラーは、基本的にはオフィシャルのものだけに対応しているとのこと。
HDMIに接続することで、ディスプレイなどで迫力ある映像でゲームを楽しむことができる。出力されている映像は720pだが、大画面で見ても十分すぎるぐらいに美しい映像でゲームを楽しむことができた。ちなみに、HDMIを接続している間は本体側には音や絵は出力されないおなじみの仕様だ。
コントローラー部分には、「CREDIT」ボタンと「START」ボタンが設置されている。こちらはゲーム中の操作のほか、このふたつをプレイ中に同時押しすることでゲームを中断してメニューを表示することができる。アーケードゲームでありながら、プレイ中のゲームセーブすることが可能だ。また、メインメニューに戻って別のゲームを選択することもできる。
収録タイトルばかりに目が行きがちだが、実際に触ってみると細部にわたりユーザーに配慮して作られていることがわかる。
美しすぎる初代「バーチャファイター」に感動!
アーケードゲームは、「メガドラミニ」のようにひとつのハード上でソフトが動いているわけではなく、それぞれ異なる基板が採用されている。そのため、元になる基板は世界中から集められている。基板に関しては、断片的に保有されていたものの、今回の「アストロシティミニ」で揃えたいタイトルや求めているバージョンがなかった。だが、データだけよそから提供してもらって作るというのも変な話しだ。
これには、単純に今回の企画のため必要だったというのも理由のひとつではあるのだが、セガトイズはおもちゃ屋でハード屋でもあるため、自分たちでこうした資産をしっかり所有して管理していくということも目的に含まれているとのだ。
世界中から集めた理由は、古すぎて日本にない基板あったからだ。中には、中東や北欧のマニアから入手したものもある。それらの中でも、特に入手に苦労したのが「カルテット2」だ。元々出荷数が少ないのが理由である。今回はセガの60周年記念商品ということもあり、ソフトは年代順に並べて表示されている。順番に遊んでいくことで、セガのアーケードゲームの歴史が感じられるようになっているわけだ。
初代「バーチャファイター」は、セガサターン版に見慣れたせいか、驚くほどクッキリハッキリした映像でかなり感動的であった。HDMI出力の大画面で遊ばせてもらったのだが、映像の迫力もさることながらサウンドもかなり重厚である。
ポリゴンのシャープさも素晴らしいが、これまで気が付かなかった影の表示の仕方など新たな発見もできた。また、今回は外部コントローラーの「アーケードスティック」を2台繋いで対戦プレイも挑戦させてもらったが、こちらも家族や友人同士で遊ぶことで盛り上がりそうだ。
「スペハリ」はリバースとノーマルを切替可能。ボタンの一部は連射で利用
体感ゲーム機というイメージが強い「スペースハリアー」だが、セガのアーケードゲームの歴史を語る上では外せないということで、今回のラインアップに選ばれている。こちらは、上下の操作がゲーセン準拠の「REVERSE」と、操作ボタンを長押しで家庭用ゲーム機と同様の「NORMAL」に切り替えることが可能だ。
家庭用ゲーム機のバージョンで操作慣れしている場合は、「NORMAL」に切り替えるのがいいだろう。
ちなみに、筐体的には6ボタンまであるが、今回収録されているタイトルでは最大5ボタンまでしか使われない。その代わりと言ってはなんだが、上部のボタンは連射ができるようになっている。シューティングではある意味チート的な感じになることもあるが、メインターゲットであろうおじさん世代にとってはありたがく感じるところだ。
担当者によると、こうした仕様になっているのはあくまでも「おもちゃ」として作られているからである。おもちゃは、基本的に設定画面で何かをするということはユーザーにさせず、直感的に遊んでいる最中に変更できなくてはいけないという思想がある。そのため、「スペースハリアー」の操作切り替えも「ボタンひとつで切り替えられるようにしないとダメじゃん」という話になり、ゲームプレイ中であってもフレキシブルに変更できるようになっている。
歴史から姿を消した作品や社外で作られたタイトルも収録
今回はAM1研で作られたゲームが多いが、「SHINOBI 忍」から始まり「エイリアンストーム」まで、新作ごとに必ずアレンジを加えて挑戦していった歴史でもある。それが一堂に会して遊べるのも嬉しいところだ。
「ワンダーボーイ」「コットン」「青春スキャンダル」といったクラッシックタイトルは、開発は社外で行われたものだ。こうしたものを「アストロシティミニ」に含めるべきかどうかという議論もあったそうだが、歴史を振り返ったときにセガのゲームとしてユーザーが楽しんでもらったモノでもあるため、シリーズに入れられるように協力してもらったそうだ。
「青春スキャンダル」は、アーケードからセガ・マークIII用にはすぐに移植されたのだが、そこから権利関係が複雑になってしまい、1986年以降世の中から姿を消してしまった。本作は、当時のセガがゴールデンタイムでCMを打つほどの主力タイトルであった。
しかし、歴史から消えてしまったため、もう1度しっかりセガのケースの中に入るタイトルとして引っ張り上げる必要があるということで、収録されることになった。ちなみに、本作の権利は紆余曲折を経てバンナムが現在保有しているそうだ。
今回初めて収録されたタイトルは10本以上ある。たとえば「ESWAT:サイバーポリス イースワット」や「シャドーダンサー」「エイリアンストーム」は、メガドライブでもリリースされていたが、アーケード版とは中身は異なる。そのため、タイトルだけ聞くとおなじみのものだと思っても、アーケード版としては初移植というものもあるのだ。
また、セガのキャラクターを前面に出したゲームをしっかり取り上げていくという目的で、「フリッキー」「忍者プリンセス」「青春スキャンダル」「アレックスキッド with ステラ ザ・ロストスターズ」なども網羅されている。
セガの顔と言えばソニックだが、単体では収録されていないものの同キャラクターが初めて世に出た「ラッドモビール」の中で、その姿を見ることができるのは面白い。
家庭用ゲーム機よりも達成感が得られやすい
収録されているタイトルの中には、「System C/System C2」といった基板が使われているものが含まれている。この基板自体は、中身的にはほぼメガドライブと同等のものだ。そのため、社内からも「あれはコンシューマーゲーム機なんじゃないか?」という意見が出ていた。だが、「コラムス」や「ぷよぷよ通」などヒットタイトルも多かったため、あくまでもユーザー目線でこうしたタイトルも選ばれている。
セガの縦シューは2本収録されている。「ソニックブーム」や「スクランブルスピリッツ」なども歴史に埋もれてしまったタイトルたちだ。今遊ぶと、そのときの時代感はあるものの、初めて遊ぶ人でもセガの歴史が感じられる。アーケードゲームということもあり、20分ほどのプレイでラスボスまでたどり着くことができるモノが多い。そのため、今回の「アストロシティミニ」は、家庭用ゲーム機よりも達成感が得られやすい作りになっている。
「獣王記」はメガドライブのローンチタイトルとして発売されたゲームで、海外での人気も高い。メガドライブ版とは色数も異なるため、そちらに慣れているプレイヤーなら新鮮な気持ちでプレイできるだろう。ちなみに、「アストロシティミニ」は海外で発売される計画もあるが、日本と同日発売されるわけではないそうだ。
複数台購入すれば自宅ゲーセンも夢じゃない!?
ゲーム以外のおまけ機能として、メニューから設定を選び、スキャンラインやフレームを追加することもできる。若干だがCPUに負荷は掛かるものの、ビデオゲームらしさを堪能したいと時はオススメだ。
「画面設定」で「アナログテレビ」を選ぶと、スキャンライン(走査線)を加えた映像に切り替えることができる。 |
フレームは2種類選択が可能だ。テレビの画面でもアーケード感を出したいときは、「アストロシティ」の柄を選ぶのがいいだろう。 |
オリジナルのアストロシティの筐体にはいくつかのバージョンがあるが、「2Pカラーバージョン」のセットを購入した人向けのオマケで付属するパーツは、スピーカー部分が強化されたバージョンを再現するためのものだ。こちらはあくまでもデザインの再現であって、機能的な強化ができるわけではない。そのため、両面テープで貼り付ける仕様になっている。
また、「ゲームセンタースタイルキット」で筐体上部に取り付けられるトップボードには、付属のインストラクションシールが貼れるようになっている。10種類ほど付属しているそうなので、お好みのタイトルを選ぶとより雰囲気が出るだろう。
この「ゲームセンタースタイルキット」のベース部分はコインが入れられるようになっており、貯金箱としても利用出来る。このあたりの作りは、おもちゃ屋らしいアイデアともいえる。実際にゲームをプレイするときに、当時を懐かしみながらお金を入れて遊ぶことで、ついでに貯金もできるというわけだ。
先ほども少し触れたが、ゲーム中に「CREDIT」と「START」ボタンを同時押しすることで、すぐに別のゲームを切り替えられるのは快適だ。ほかのミニレトロゲーム機と異なる点は、RPGなどじっくり遊ぶタイプのゲームはなく、基本的にコインを投入しながら遊ぶゲームばかりであるため、それぞれのゲームをサクサク遊べて、かつほかのゲームに切り替えても違和感なく楽しめるところだ。もちろんお金を気にすることなく最後までプレイ出来るところも素晴らしい。
最近SNSなどで「自宅ゲーセン」というのが話題になったが、さすがにオリジナルの筐体を部屋に並べるのは難しい。だが、この「アストロシティミニ」なら複数台並べて異なるゲームを起動することで、それを実現することもできる。様々なゲームの音が同時に鳴り響く、あの当時の雰囲気も再現することができるだろう。
本体サイズが1/6になっているため、ちょうどフィギュアなどとの相性も良さそうだ。遊んでよし、飾ってもよしといった感じで、様々な楽しみ方ができるところも「アストロシティミニ」の魅力のひとつである。
「アストロシティミニ」公式サイト
https://sega.jp/astrocitymini/
(C)SEGA (C)SEGATOYS
※画面は開発中のものです。
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