3gooより2020年10月1日に発売される、PS4/Nintendo Switch用ソフト「イース・オリジン スペシャルエディション」の魅力をシリーズファンの目線で紹介します。

目次
  1. 「イース・オリジン」とは?
  2. ストーリー(※公式サイトより)
  3. 主人公は3名。全てのルートをクリアすることで真実が解るストーリー
  4. 異なる視点で初めて解るキャラクター
  5. バトルなど、操作系のシステムはシンプル
  6. 「イース」好きなら、あれもこれも見逃せない
  7. 同梱アイテムその1「イース・オリジン」オリジナルサウンドトラック
  8. 同梱アイテムその2「スペシャルエディションアートブック」
  9. 同梱アイテムその3「オリジナルポスター」

2020年10月1日に発売される、PS4/Nintendo Switch用ソフト「イース・オリジン スペシャルエディション」(以下、「イース・オリジンSE」)。「イース・オリジン」は、2006年に日本ファルコムからPC向けに発売されたソフトで、これまでにもPS VitaやPS4、Xbox Oneなどに移植されており、発売から14年が経った今でも世界中のファンから愛されているタイトルです。

「イース・オリジンSE」は、2006年発売当時の初回限定版のパッケージと、当時の特典アイテムだったオフィシャル・ビジュアルブックをイメージして制作された、特製レトロサイズボックス仕様。「イース」シリーズファンに向けたスペシャルアイテムを同梱した、豪華版です。

……という情報は、恐らく「イース・オリジン」のファンならば既に知っているかと思いますので、今回は主に「イース・オリジン」をプレイしたことがないユーザーに、「イース・オリジン」の魅力をお届けします。

※使用しているスクリーンショットは、PS4版のものとなります。

「イース・オリジン」とは?

「イース・オリジン」は、「イース」史上で唯一の(※外伝を除く)アドル・クリスティン以外が主人公の「イース」です。

アドルは「イースI・II」で、孤島エステリアを舞台に消えた王国イースの謎を解き明かす最初の冒険に挑みますが、その途中で記憶喪失の女性・フィーナを助けます。

「イース・オリジン」は、フィーナが記憶を失う前――時間にして「イースI・II」の700年前の世界が舞台となります。

ストーリー(※公式サイトより)

双子の女神と六神官により栄華を誇る理想郷・イースに魔物が侵攻した。

その手は女神たちが住むサルモン神殿に及んだが、女神たちは黒真珠の力により神殿を浮上させることに成功する。

しかし魔物たちは地上に巨大な塔を築き上げ、天空に浮かぶサルモン神殿に再び飛来すると、双子の女神は姿を消してしまう。

六神官らは消えた女神たちを探すため、騎士や魔道士から成る精鋭を地上に遣わす決断を下す。

「イース」シリーズは、唯一の連作である「イースI・II」を除いて全て、主人公がアドルであるという共通点以外は、独立したストーリーです。

以前の作品を知っていればより楽しめる部分もありますが、何処から入っても問題がないストーリー作りとなっており、本作でもその特徴は色濃く受け継がれています。

もちろん「イースI・II」はプレイしたけれど「イース・オリジン」はプレイしていない、という人ならば最高に楽しめるストーリーですが、「イースI・II」を知らなくとも楽しめる内容です。何せ、これは“オリジン”――“起源”のストーリーですから。

2003年に発売された「イースVI -ナピシュテムの匣-」と、2009年に発売された「イースSEVEN」の間に発売されているタイトルなので、ナンバリングタイトルではないものの、実質7本目の「イース」にあたります。

主人公は3名。全てのルートをクリアすることで真実が解るストーリー

主人公3名のうちの、ユニカ=トバ、ユーゴ=ファクトの2人は最初から解放されており、どちらから始めても問題はありません。ユニカとユーゴの2人をクリアすると、3人目の主人公である「鉤爪の男」が解放されます。

この3名の冒険の舞台となるのは、「塔」。恐らく「イースI・II」をプレイした人ならばピンとくるであろう”あの塔”なのですが、「イース・オリジン」では「塔」としか呼ばれていません。この塔を舞台に、3人の主人公それぞれの思惑で、塔の最上層を目指していきます。

ユニカでスタートするとユーゴは塔への到着が遅れていたり、逆にユーゴでスタートするとユニカの到着が遅れていたりするので、同じ時間軸の物語を別の視点から見たものではありません。

3名の物語は同じ塔を登っていても各所で異なっており、主人公によって戦うボスやギミックが変わることがあります。

ユーゴの時はかなり序盤で、敵の女騎士・エポナと戦いますが、
ユニカの時はもう少し後でエポナと戦うことになります。

メインストーリーを完遂するためには最低でも同じ塔を3回登り切らなければなりませんが、ストーリーやギミックが変わることもあり、意外と苦痛なく3周登り切ることが出来ます。

ここは「悪魔の回廊」というマップの、ギミック解除場面。ユーゴもユニカもここで
とあるギミックに行く手を阻まれますが、ギミックの解除方法は大きく異なります。
そして鉤爪の男に限っては、「強靭な身体能力で、ギミックを無視して強引に突き進む」
というのが、正しい攻略方法です。本当ですよ!
(でもダメージを受けないわけではないので、普通に死ぬんですよね……ほろり)

ギミックが変わると言っても、塔の構造そのものが変わるわけではありませんし、共通して戦うボスの対処法もほぼ変わらないので、周回毎に登るスピードも自然とスピードアップして、プレイしやすくなります。

なお、鉤爪の男だけが真のラスボスと戦え、そして鉤爪の男のストーリーが、現在の「イース」シリーズの内容とリンクするようになっています。1周自体はさほど長くありませんが、とても密度の濃いストーリーで、3周する甲斐は充分ありますので、最近の「イース」しかプレイしたことがない、という人でも、楽しめるのは間違いありません!

異なる視点で初めて解るキャラクター

各主人公によってストーリーが変わることは前述の通りですが、ストーリーが大きく変わるのは鉤爪の男のみで、ユニカとユーゴのルートでは主にふたりの性格・心情・成長・秘めたる意思と共に、みんなに黙って地上に降りた双子の女神の目的の一部が描かれています。

ユニカの視点でプレイしている時は、ユーゴは「天才魔術師」であるということ以外はほぼ不明で、またユーゴは割といい人のようにすら見えています。

ですが、ユーゴのルートでは彼の真の性格が描かれるため、実はユーゴは異常なまでに”ファクト家の跡継ぎである”ということにこだわりを持ち、自身に好意を寄せている幼馴染にすら冷たく当たり、いちいち皮肉めいた物言いで喋ります。

ユニカの視点とは異なる姿に驚愕ですが、ユーゴが頑なに自身の在り方についてこだわるのには、大きな理由があります。その理由については本作の楽しみを大きく損なうので記しませんが、ユーゴと共に物語上で様々な謎や真実を知っていくことになるので、感情移入しながらプレイを進めていくことができます。

一方でユニカは、ゲーム上では「中級者向け」と紹介されていますが、どちらかというと最初にプレイをオススメしたい、いちばん主人公らしいキャラクターです。実際にはユニカとユーゴで、得手不得手とする敵のタイプが変わってくることもあり、そこまで差がありません。

ユニカは神殿騎士だった父の後を継ぎ、魔法が使えないという劣等感を抱きつつ、ひたむきに前を向いて、時には悲劇を乗り越えながら、今自分に出来ることをやり遂げようと頑張る姿が、まさに正統派主人公。

もちろん、ユーゴとユニカのどちらからプレイを始めても問題はないのですが、ユニカのストーリーは特に彼女の心の成長が重点となる物語のため、先にユーゴから初めてしまうと、どうしても2周目のユニカでは「謎だった部分が明かされる」という、ストーリーへの爽快感が弱くなってしまう欠点も。

もう一点、筆者オススメのプレイルートで問題となるのは、キャラクターの移動速度。というのも、移動速度はユーゴが最も遅く、ユニカが普通、鉤爪の男が最速のため、ユニカからプレイすると、ユーゴの移動速度の遅さが若干気になるかもしれません。

特に本作はガードがなく、移動で敵の攻撃を回避することになるので尚更なのですが、ユーゴのみガードにも似たバリアをスキルで使用できるので、スキルをきちんと使っていけば、バトルにはまったく支障はありません。

鉤爪の男のルートについては、あまりにネタバレだらけになってしまうため、ほぼ語れないのですが、ユーゴ/ユニカ編で何度もその姿を現していた鉤爪の男も、とある理由で1Fから塔を登っていくことになります。

彼が何故塔を登るのか、これまでのルートで明かされなかった様々な事柄と真実、そして「イースI・II」でのアドルの冒険へとつながる重要なストーリーが描かれているので、「イース・オリジン」の全てはこの3周目にあると言っても、過言ではありません。

ユーゴ/ユニカ編では敵側のキャラクターとして何度も登場する、鉤爪の男。
彼こそが、「イース・オリジン」の真の主人公とも言えるでしょう。

更に、「イースI・II」ではフィーナの影に隠れてしまっていたレアが、本作ではかなりしっかりと描かれています。双子神の真の目的も、鉤爪の男ルートでようやく明かされるのです。

鉤爪の男ルートは、これまでにばら撒いた伏線を全て回収していくという、
実にファルコムらしいストーリーです。

バトルなど、操作系のシステムはシンプル

本作では、全キャラクター共通で、□ボタンで攻撃、方向キーからニュートラル+□ボタンで特殊攻撃、風・雷・炎の3種のスキル、ブースト(バースト)などを使い分けて進んでいきます(一部のキャラは、ジャンプからの派生攻撃などもあります)。ガードはないので、敵の攻撃は基本的に移動やスキルで避ける必要があります。

特にボスの場合、敵の動きを見切って、移動して、回避。
そしてその隙に攻撃し、ボスの弱点が現れたらそこを集中攻撃、というパターンが多いです。

ユニカは中距離が得意、ユーゴは遠距離が得意、鉤爪の男は近接戦が得意、となっていますが、実際の体感としてはユニカは近距離戦、鉤爪の男は超近接戦、という使い勝手。

ユニカはアドルの操作感に一番近いため、これまで「イース」シリーズをプレイしたことがある人にとっては一番使いやすいキャラクターです。また、ユニカは物語の途中で射程の長い武器を入手するので、より一層使いやすくなります。

ユーゴは、自身に追従する2機の「ファクトの眼」から弾丸のような魔法を打ち出すため、かなり遠方からでも敵に攻撃を当てられるので、感覚としてはシューターのようなキャラクターです。

鉤爪の男だけはかなりのテクニカルキャラとなっており、攻撃力などは高いのですが、少々難易度の高い操作を要求されます。クリアに困るほどではありませんが、一部の宝箱はテクニックが必要です。

風・雷・炎の3種のスキルを全員持っていますが、そのスキルの効果は各キャラクターで全く違います。

ユーゴの場合、風のスキルではシールドを展開し、実質ガードが可能になります(とはいえど、スキルを使用するのにはMPを消費するため、無尽蔵に使えるものではありません)。また、風のスキルを使用しながらジャンプすると、ふんわりとした滞空時間の長いジャンプが使えるようになります。

ユニカの風のスキルは旋風をまといながら移動・攻撃が可能になり、旋風に巻き込んだ敵にダメージを与えられる他、ジャンプ中に風スキルを出すと飛距離が大きく伸びます。

そして鉤爪の男の風スキルは、瞬間移動。瞬間移動中は無敵扱いとなって、敵に攻撃を与えることができます。ユーゴとユニカ同様、ジャンプ中に風スキルを使用すると飛距離が伸びるのですが、瞬間移動で飛距離を伸ばすため着地点がわかりにくく、そういった面でもテクニカルな操作が要求されます。

各キャラクターのスタート時に難易度を選択しますが、初期状態で、Easy、Normal、Hardが選べます(※ゲーム途中での難易度変更は不可)。

なお、ボス戦で死んだ場合は「再開する」と「スタート画面にもどる(最新のセーブデータまでもどる)」の二択になりますが、適正レベルでない限り、何度再戦しても恐らくほぼ勝つのは難しいでしょう。それほど「イース・オリジン」では、レベルが重要です。

ボスの適正レベルはゲーム上で知ることはできませんが、明らかにこちらの受けるダメージが大きすぎる場合や、何をしても全くダメージが通らないという場合は、レベル不足だと思ってほぼ間違いありません。筆者も数回、セーブデータからやり直すこととなりました。

冒険の途中にある邪神像は、クリスタルで浄化すれば女神像へと変わり、
セーブポイントや転移ポイントとして使えます。

なお、仮に挑むボスの適正レベルが20だった場合、レベル19では勝つのが厳しいです。レベル18だと、ほぼ完封で負けることになるでしょう。ですが、逆にレベル22程度で挑むと、ボスを瞬殺してしまいます。

適正レベルについて特に指標があるわけではないので、明らかにダメージの入り方がおかしいと感じたら、再戦をせずにセーブデータに戻って、レベルを上げてから挑むことになります。

道中の雑魚敵はすべて狩り尽くす、くらいの心づもりでもレベルが足りないこともありますが、雑魚をきちんと倒していれば、あと1~2つくらいレベルを上げれば勝てることが大半です。

体感的には「イース・オリジン」の難易度Easyが、「イースIX」の難易度Normal~Hardに近いくらいの印象。

「難しいのか……」という印象を持たれそうですが、単純にレベルを上げれば片付く問題なので、アクションが得意じゃないとプレイできないといったものではありません。

ただし雑魚敵もそこそこに強く、攻撃ボタン連打だけでは苦戦を強いられる場面も。敵に合わせて使用スキルを切り替えていく程度の操作は、Easy~Normal程度でも必要です。

そもそも雑魚に苦戦をしている時点でレベルが足りていない証なので、雑魚は楽々倒せるくらいのレベルになってからボスに挑むのがベスト(前述の通り、あまりレベルを上げすぎると、ボスを瞬殺してしまいますが……)。

「イース」好きなら、あれもこれも見逃せない

「イース・オリジン」は、現在の「イース」の世界設定において存在が確定している有翼人にまつわる、重要なストーリーが語られています。

それだけではなく、「イースの本」の始まりや、アドルが登ったダームの塔で700年前に起こった出来事など、ありとあらゆる情報が、ぎゅっと本作の中に詰まっています。

「イース」といえば、二つの月。
「イース・オリジン」はほぼ塔の内部が舞台となりますが、二つの月が見れる場所はちゃんとあります。
この二つの月を見ると、ああ今「イース」をプレイしているんだな……、という気持ちになりますね。
聖獣ルーも、「イース」シリーズではお馴染み。
最新の「イースIX」では、聖獣ルーのグザヴィエが仲間キャラクターのひとり(?)として登場しています。

また、「イース・オリジンSE」には、豪華特典が盛り沢山。その中身をお届けしましょう。

サイズの都合で左上のポスターは縮小サイズにしていますが、実際にはA2サイズとなります。
また、こちらのボックスは、Switch版です。

同梱アイテムその1「イース・オリジン」オリジナルサウンドトラック

CD2枚組となるこちらのサウンドトラックは、2007年に発売されたサントラをそのまま全曲収録しています。

「イース・オリジン」でもファルコム節はもちろん健在。ダンジョンやボス戦などは熱いロックが多く、何度塔を登っても聞き飽きないため、サントラが最初から入っているのはとても嬉しいです。

「イース・オリジン」は楽曲への評価も非常に高い作品で、カッコイイばかりではなく神秘的な美しい曲も多いので、塔を登り終わったあとはサントラで思い出を振り返ってください。

また、「イース・オリジン」のスーパーアレンジバージョンCDもあり、こちらはオリジナルサウンドトラックとはまた違った味わいの、素晴らしいアレンジが聴けますので、楽曲が気に入った方はぜひそちらもチェックしてください!

同梱アイテムその2「スペシャルエディションアートブック」

2006年に日本ファルコムより発売されたオリジナル版の初回限定盤に同梱されていた「イース・オリジン オフィシャルビジュアルブック」をベースに、主要キャラクターの紹介からスケッチまで、作品の世界観をカラー72ページで紹介。ゲームの世界をより一層深く知れる内容ですが、ネタバレになってしまう内容も掲載されているので、初めてプレイする人は鉤爪の男ルートまでクリアしてから読んでくださいね。

同梱アイテムその3「オリジナルポスター」

パッケージに使用されているレアとフィーナのポスター。

これらの豪華特典が、特製レトロサイズボックスとなってついてきます!

2006年に発売されたPC版パッケージをイメージした、新パッケージです。

今回筆者はPS4でのプレイでしたが、長いイベントなどは比較的少ないため、Switchの携帯モードでもプレイしやすい内容です。

なお約15年ぶりのプレイとなった筆者でしたが、「鉤爪の男って、こんなにかっこよかったっけ……」と、改めて気が付く魅力もありました。

実際、鉤爪の男は最高の場面を全部かっさらっていくので、かっこいいのは当然なのですが、終盤で「これでもか」と物語を盛り上げてくるストーリー構成は、流石の一言。もちろんアクションとしても今なお衰えないプレイ性ですので、2Dアクションを極めたい人にとっても、様々な遊び方が出来るゲームです。

個人的に大好きなボスの、ゲラルディ。ボスバトルの曲(Scars of the Divine Wing)と、
頭上に雷を降らせてくるボスの攻撃サウンドエフェクトが楽曲のリズムととても噛み合っていて、
こういうところの作り込みがファルコム作品は実に素晴らしいと感じます。
なお、難易度がNightmareになるとひっきりなしに雷が降ってきてしまうので、
EasyやNormalくらいのほうが楽曲と効果音が織り成す相乗効果を感じることが出来ます。

難易度についてはどうしても個人の腕前や感覚の差によるのですが、あくまで筆者の体感としては2006年ぶり以来の「イース・オリジン」だったこともあり、「こんなに難しかったかな……」と感じました。

思い返せば「イース」シリーズは、それなりの難易度を要求されるアクションRPGでしたが、「イースSEVEN」以降は3人パーティでの戦いがデフォルトで、かつ仲間のAIが非常に優秀だったこともあり、若干難易度の感覚が鈍っていたようです。

難易度によるストーリー変化はありませんので、筆者と同じような境遇の人は迷わずEasyを選択してほしいところではありますが、アクションに自信がある方ならばHard、そしてその先のNightmareを目指すのも良いでしょう。

「イース」といえばアドルの物語、と思ってしまいますが、「イース」の原点は伝説の王国イースの物語だったのだ、ということも思い出させてくれる、「イース・オリジン」。古代イース王国の物語を、ぜひ体験してみてください。

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