バンダイナムコアミューズメントより稼働予定の新作アーケードゲーム「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」。そのインプレッションと、塚田夢人プロデューサーのインタビューをお届けする。

目次
  1. 筐体の見た目が大きく変化!?外からのゲームプレイ鑑賞が可能に
  2. ゲームシステムの根幹はそのまま、より幅広いアクションと戦略性の高いバトルが可能に
  3. 武装の収集要素の存在も。カスタマイズでゲームの楽しみはより広がる
  4. 「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」ショートインタビュー

筐体の見た目が大きく変化!?外からのゲームプレイ鑑賞が可能に

2020年10月29日~11月1日に、事前抽選形式のロケテストが開催される「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」。2006年の稼働開始から現在まで、多くのガンダムファンを虜にしてきたアーケードゲーム「機動戦士ガンダム 戦場の絆」の、約14年ぶりの正統続編となるタイトルだ。

「機動戦士ガンダム 戦場の絆」といえば、モビルスーツのコクピットを再現したドーム型の専用筐体が最大の特徴。「II」においても2本のレバーとペダルを使ってモビルスーツを動かす、独自の操作性はそのまま引き継がれている。

その一方で、特徴的な見た目だったドーム型の外装は取り払われ、外からプレイ画面が見えるようになっている。モニターに囲まれている為、ほぼ外の光景が見えることはなく、没入感は前作にも劣らない作りとなっているが、やはりオンリーワンの体験という意味では、前作のドーム型筐体に分があるようにも感じられる。ただ、その分プレイ画面をうまいプレイヤーに見てもらってアドバイスをもらったり、ギャラリーとして他人のプレイを見られる……といった楽しみも生まれるようになった。ある意味では、この部分が前作からもっとも大きく変更された部分と言えるかもしれない。

前作のゲーム画面は巨大な1枚のディスプレイに映し出される形だったが、本作ではそれぞれが43インチのトリプルディスプレイ方式に変更された。以前はフルHDの映像が引き伸ばされていたのに対し、適切な解像度でそれぞれのモニターに映像が出力されるようになったため、基板の性能向上も合わせて映像表現は劇的に美しくなっている。(3枚モニターは、「機動戦士ガンダム 第08MS小隊」などの作中で描写された、一年戦争時のモビルスーツのコクピットの内装を反映したものでもある)。シートの各部にはスピーカーが複数搭載されており、音響面も大幅な進化を遂げている。

また、ゲームプレイを行うそれぞれの筐体には硬貨の投入口がなくなり、電子決済のみの対応となっている。ただし硬貨が使用できないわけではなく、全体の端末を統括するターミナルに硬貨を投入し、ターミナルからそれぞれの筐体をアンロックするような形でプレイは可能だ。

このターミナルでは、現在一部の店舗が対応している時間貸しを行う機能も実装されるようだ。時間の予約や現在の予約状況の確認などを、ターミナルの機能として利用できるようになるという。時間貸しを利用するハードルはかなり下がると思われ、時間帯をあわせて出撃する必要があるバースト出撃を行うプレイヤーにとっては、かなりありがたいのではないだろうか。

ヘッドセット用の端子も設けられている。自分でヘッドセットを持ち込んで使用することもできるので、使い慣れたヘッドセットで通話を行いながらプレイすることも可能だ。

ゲームシステムの根幹はそのまま、より幅広いアクションと戦略性の高いバトルが可能に

ゲームルールは、連邦・ジオンの2勢力に分かれ、相手のモビルスーツか陣地の最奥にある拠点を破壊してコストを削り、相手のコストを0にするという基本的なものが踏襲されている。

対戦人数に関しては、4vs4と6vs6が基本となり8vs8の16人対戦は撤廃された。これはマッチングの速度や、乱戦になりすぎて連携が取りにくいというプレイヤーからの意見が反映されたものだという。

ゲームシステムにも複数の新要素が導入されており、中でも筆頭といえるのが「デッキシステム」。これは事前に3機までのモビルスーツを編成しておき、再出撃時に搭乗するモビルスーツを選択できるというものだ。

機体が撃破されてしまった時以外でも、出撃中に輸送を要請して一度格納庫に戻り、機体を乗り換えて再出撃を行うこともでき、敵や味方チームの編成を見て、相性的に不利なら別の機体に変えるという対応が可能となった。またロックオンを行うと、チームメイトにも敵機の情報が共有されるようにもなったが、乗り換えを行うとその情報がリセットされるというメリットも存在する。

3機のモビルスーツを編成してデッキを作成。武装にジム(ビーム・スプレーガン装備)とジム(ハイパー・バズーカ装備)など武装が異なる同一機体も同時に編成できる。

ただ、輸送を要請するまでは約10秒間無防備な状態となること、再出撃~戦闘開始まではある程度時間がかかることもあり、結構なリスクが生じることになるため、頻繁な乗り換えは難しいという印象を受けた。それでも、戦略の幅は大きく広がってくるだろう。

また再出撃時の仕様も、輸送機に乗った状態からエリアを選択し、その地点に向かって降下する方式に変更された。降下中はプレイヤーの操作を受け付け、ある程度なら狙ったポイントに移動することもできるため、建物の上を陣取り高所から攻撃を仕掛ける……といった戦い方もできるようになった。このあたりは、昨今のバトルロワイヤル系のゲームをプレイしたことがある人には馴染み深いシステムとなっている。

加えて「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」には、「格闘型」「近距離型」「射撃型」「砲撃型」といった、戦闘スタイルの異なる機体カテゴリが存在しているが、それぞれに新たに「カテゴリーアクション」と呼ばれる新アクションが追加されている。

格闘型は、格闘をブーストダッシュやジャンプでキャンセル可能になる「ブーストキャンセル」を使用できる。射撃でキャンセルする必要がなくなるため、近距離の立ち回りがかなり変化する。
近距離型は、あらゆる敵の攻撃を防いでくれるシールドを構えつつ射撃攻撃が可能。シールドの使い所が重要になる。
射撃型は、タイミングよくトリガーを弾くことで連続して射撃が発射される「ジャストショット」が使用できる。中には長押しで射撃の性能が変わる、チャージショットが存在する機体もあるようだ。
砲撃型は、「仰角調整」により砲撃時の角度を調整できるように。建物越しに放物線を描くような軌道での攻撃も可能になる。

今回は限られた時間内での体験だったこともあり、それぞれのカテゴリーアクションを使いこなすには至らなかったのだが、その中でも扱いやすいと感じたのが近距離型。攻撃をシールドが勝手に防いでくれる上、その状態で射撃を行えるのもありがたく、ある程度落ち着いて攻撃に集中できるので、初心者でも扱いやすいカテゴリになっていると感じた。

武装の収集要素の存在も。カスタマイズでゲームの楽しみはより広がる

アクション面だけではなく、モビルスーツのカスタマイズ要素も追加されている。とくに大きくゲームシステムに変化を及ぼすのが武装の仕様変更。前作の武装はすべてモビルスーツ側に紐付く形となっていたが、本作においては武装に属性が設定され、その属性に対応した複数のモビルスーツ間で共有することができる。

プレイを重ねていくごとにモビルスーツだけではなく武装も入手でき、同じ武装を装備すると武装レベルが上がり、機体コストも変動する……といった仕組みも用意される予定だという。装備する武装によっては、モビルスーツのカテゴリそのものが変わるため、それに伴い使い勝手も大幅に性能が変化する。様々な武装を収集することも、プレイの大きなモチベーションとなってくるだろう。

またモビルスーツのカラーリングを変更し、プレイヤーの個性を反映した機体で出撃することも可能となった。デッキ編成や武装のセッティング、カラーリング変更などは、すべてゲームと連動したWEBサイトで行えるようになるそうで、バースト出撃のチームメイトを募集したり、ベテランプレイヤーにゲームの質問ができるコミュニティー機能も盛り込まれるなど、前作の連動サイトから大幅に進化するという。

また、気になる稼働初期のモビルスーツのラインナップについては、一年戦争の時代からの仕切り直しとなり、プレイヤーから前作で人気の高かった22機体が選ばれる予定だ。武器によってカテゴリが変わるため、プレイバリエーションの幅は22機でも決して狭くはない。また、毎月連邦・ジオンの両陣営に1機ずつという、前作を上回るペースで新モビルスーツが追加されていく予定だという。

モビルスーツの操縦体験という最大の特徴はそのままに、よりアクションゲームとしての正当な進化を遂げた「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」。今回プレイできたのは、ほんの数戦だけではあったのだが、それでも圧倒的なビジュアルの進化はひと目で体感することができた。モビルスーツシミュレーター的な側面もある本作においては、ビジュアルがリアルになることで、よりガンダムの世界に入り込む没入感を得られたように感じられた。

「II」においてはチュートリアルモードも大幅に強化され、初心者でもゲームの基本が分かるような内容になるとのことなので、今まで「戦場の絆」をプレイしたいと思いつつも、機会を逃していたというプレイヤーには、これ以上ない機会と言える。前作のプレイヤーはもちろん、今まで「戦場の絆」を遊んだことがない人も、要注目のタイトルだ。

「機動戦士ガンダム 戦場の絆II」ショートインタビュー

最後に、プロデューサーの塚田夢人氏へのインタビューを掲載するので、そちらにも目を通してみて欲しい。

――塚田プロデューサーは、「戦場の絆」というタイトルに対し、これまでどのように関わられてきたのでしょうか?

塚田氏:元々は稼働初期からのプレイヤーでした。当時は学生で、なけなしのバイト代をほぼすべて絆に費やしていたことをいまでも覚えています。開発としては、Rev.4の途中から運営やプロモーションなどに携わらせていただいています。

――前作では技術的に実現が難しかったことで、本作から可能になったものはありますか?

塚田氏:グラフィックやサウンドなどの臨場感は大きく進化した点だと思います。また、シールドなどの新アクションの一部についても、筐体の設計や耐久性といった点で前作では難しかった点です。

――新筐体になったことで、ユーザーのプレイ体験はどのように変化すると考えられていますか?

塚田氏:画面が鮮明になったことで、今まで気づかなかったステージやMSのディティールであったり、とにかく情報量が増えていると思います。また、サウンド面もこだわりポイントがあり、筐体に座ると思っている以上の臨場感を感じていただけるのではないかと思います。そういった点で、よりリアルな「ガンダムの世界観での戦争」を感じていただけるよう、開発を進めております。

――モビルスーツの動きにあわせて、筐体も前後左右に動くような、アトラクション的な仕様を検討されたことはありますか?

塚田氏:当初は色々な案があったんです。それこそ、モニターが上下にスライドして、モニターの部分からシートに乗り込むような機構とかもありました(笑)ただ、ゲームのしやすさや、安全性、コストなどを鑑み、今の形がよいと思い採用させていただきました。

――実装される機体については、前作と同様に一年戦争~ラプラス戦役頃のモビルスーツを想定しているのでしょうか?

塚田氏:しばらくは一年戦争を中心としたラインナップをご提供したいと思っております。ただ、「戦場の絆II」も「戦場の絆」同様に長く運営していくタイトルだと考えておりますので、徐々に世界観が拡張していくこともあるかもしれませんね。

――マッチングについては、極力勝率・階級の近いプレイヤー同士の対戦になるのでしょうか?

塚田氏:基本的には階級の近いプレイヤー同士でのマッチングを想定しています。

――1プレイの料金については、前作と同じ500円が基本になるのでしょうか?

塚田氏:はい。そのとおりです。ただ、プレイヤーさんたちが今の絆をどう遊んでいるか、というところもあると思いますので、お得に遊んでいただけるようなモードについても前向きに検討しております。

――新要素のブーストキャンセルについて、VSシリーズの格闘コンボのように、格闘をキャンセルすることで、普通に格闘を出し切るよりも高いダメージが出たりするケースもあるのでしょうか?

塚田氏:今の「戦場の絆」の「クイックドロー外し」やVSシリーズの「キャンセルコンボ」のように、使い方によっては格闘出し切りよりも高いダメージを出すことが可能です。高いダメージを出すだけでなく、複数の敵を同時に相手取るために、あえて手早くコンボを終わらせることなど、幅広い運用が可能となります。

――武器の収集要素もあるとのことでしたが、同じ武器でもある程度ランダムで性能が違うなど、ハクスラ的な要素はあるのでしょうか?

塚田氏:同じ武器は同じ性能で統一する想定でおります。ただし、同じ武器を複数持っている場合、重ね掛けのような感じで性能とコストが上がるような仕組みを検討中です。

――アーケードゲームの中でも、「戦場の絆」はなかなか敷居が高い方のタイトルではないかと思うのですが、新規ユーザーが入りやすくするためにどのような試みを考えられていますか?

塚田氏:ソフト面では、ミッションをクリアすることで技術習得がしやすい「チュートリアルモード」の実装や環境のリセットなどを行い、稼働初期は時に入りやすい状況になると考えております。また、今の「戦場の絆」では筐体の中が囲われているため、どんなゲームかわからず敷居が高く感じるといった意見も多く聞かれてきました。そのため、「戦場の絆II」では思い切ってオープン型の筐体にチャレンジしたという側面もありました。 

――「戦場の絆」といえば、「絆体感TV 機動戦士ガンダム 第07板倉小隊」のイメージが強い方も多いと思うのですが、あのような番組的な企画の構想などはありますか?

塚田氏:まだ何も決まってはいないのですが、個人的にはぜひやりたいと思っています。どういう形になるかはまだ何も構想はありませんが、インフルエンサーとプレイヤーが楽しく遊んでいる様子を発信する番組は、何かしらの形で実現したいですね。

――「戦場の絆」というシリーズの魅力はどんなところだと考えていますか?

塚田氏:勿論、リアルなガンダム世界観に没入できる点も大きな魅力の1つですが、なんといっても、1つの場所に色んな人が集まって交流しながら楽しむことができる点が最大の魅力と考えております。今はオンラインゲームなども素晴らしいゲームがたくさんあり、交流できるゲーム自体は増えていると思いますが、実際に人と人が対面し、リアルなコミュニケーションを楽しむことができるゲームはそう多くはないと思います。「戦場の絆II」がきっかけとなり、色んな人々が楽しい時間と楽しい場所を作っていただければ、こんなに嬉しいことはありません。

――読者へメッセージをお願いします。

塚田氏:稼働から14年、戦場の絆を愛し続けてくださり、本当にありがとうございます! 「戦場の絆」が長く運営できているのも、「戦場の絆II」が開発できているのも、プレイヤーの皆様のご支援があってこそです! 「戦場の絆II」の完成度としては50%程度というところで、まだまだ引き続き開発を続けていきますが、そのためには皆様のご意見が必要です。プレイヤーの皆様とともにこれからどんどん「戦場の絆II」をパワーアップさせていきたいと考えておりますので、引き続きのご支援、よろしくお願い致します!

※ご案内した画像やシステムは開発中のものです。

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