EXNOAより、2020年12月10日に発売されるPS4/Xbox One/PC向けオープンワールドRPG「Outward」。以前イベントで少しだけ本作をプレイしたが、リリースに先駆けてがっつり遊べる機会をもらうことができた。そこから得られた数多くの情報を盛り込んだうえで、今回改めてプレイレポートをお届けしたいと思う。
本作は、コアゲーマー向けのサードパーソンアクションRPGだ。ゲームの世界観としては、剣と魔法の王道ファンタジーなのだが、主人公自体はヒーローでもなんでもなく、普通の人である。ややリアル志向のゲーム性になっており、敵との戦闘で病気になったりするほか、空腹や睡眠などもコントロールしていく必要があるのだ。
本編とは別にチュートリアルが用意されており、そちらをプレイしておくことでゲーム内の操作や基本的な知識を学んで行くことができる。
初見プレイでゲームの厳しさを学ぶ
最初に、「ノーマル」または「ハード」のいずれかの難易度を選んでゲームをスタートする。しかし、初見では「ノーマル」でも十分ハードモードであるため、まずはそちらから始めるのがいいだろう。
キャラクターメイキングでは、名前や男女や人種、顔や髪型、髪の毛の色などを決定していく。日本のRPGのような美形キャラを作るのは難しいが、実際はほとんど後ろ姿しかみないため、あまり気にする必要はないかもしれない。面倒な場合はランダムで作ることも可能だ。
上記のチュートリアルとは別に、本編でも最初は操作が学べるような内容になっている。それを終え、目覚めるのがシエルツォ村にある灯台だ。中にはベッドや調理場もあり、ある程度、ここを拠点として活動していくことができるのだが……外に出てみると、なにやら住民たちが押しかけてきており責め立てられてしまう。しかも、5日以内に銀貨150を払わないと追い出されてしまうという。
しかし、右も左もよくわかってないプレイヤーにとって、初見ではなかなか厳しい条件になっている。そのため、気が付けば日時が過ぎさっており、灯台の我が家から追い出されてしまった。そうなると、まさに路上生活者のような、より厳しい環境に追い込まれていく。こうした状況は、プレイヤーの無知から生まれたものだ。
最初の借金返済クエストの成否にかかわらず、この後シナリオはふたてに分岐していく。これは、街を出て行くふたりのキャラクターのどちらに着いていくかというものだが、一緒に出ていくというわけではなく、待ち合わせ場所に向かうという感じだ。これが、思ったよりも遠い場所にあった。
ちなみに本作では、時間のほか季節も移り変わっていくのだが、基本的に時間がわかるものや季節がわかる数値的な情報はシステムで用意されておらず、辺りが暗くなってきたら夜だなとか、雪が降ってきたから冬なのかな? といった、肌感覚でしかわからない。
同様に、マップは表示されても自分が今いる場所は表示されないため、どこにいるかわからなくなってしまうことがある。唯一表示されるのはコンパスぐらいであるため、辺りの地形を頼りに移動していく必要があるのだ。幸いなことに村に隣接したエリアのケルソネスは、中央に大きな山があるため位置の把握がしやすい。
オリエレに指定された待ち合わせ場所は、それなりに危険も伴ったがなんとかたどり着くことができた。しかし、ここでまで来て気が付いたことは、ほぼ無知のまま流されるままにプレイしていたということであった。
その後、再び元いた村の近くまで戻ることになるのだが、途中から雪が降り出し、寒さから凍死してしまったのである。「ドラクエ」でいうと、レベル1のキャラクターで遠出をしてしまったような状況だったというわけだ。
ちなみに、このゲームでは、「死」は、やり直しを伴うものというよりも、ひとつのイベントに過ぎない。死んだ後でそのときの状況が表示され、さまざまなイベントが発生するのだ。ときには牢屋で生き返って、労働を強いられたり、あるいはハイエナの巣で目覚めることもあったりする。また、「イマキュレート」というクリーチャーに救われたときは、自分が望む能力やアイテムをもらうことができた。
しかし、いかんせんこのゲーム内での生き方を学ぶことなく外の世界に飛び出してしまった代償は大きかった。
本作ではプレイヤーキャラクターは単なる普通の人間であり、たとえモンスターを倒したところで経験値が貯まってレベルが上がっていくということもない。そのため、装備を備えていく必要があるのだが、そもそもこのゲームの世界でどうやってお金を稼ぐのかすらわからない状況だったのである。季節も冬でこのまま続けても厳しい状況が続くだけであったため、もう1度キャラクターを作り直してプレイし直すことにした。
プレイヤー自身の経験や知恵が強さに繋がっていく
前回の経験を活かして、まずはなんとしても家賃を支払い終え、拠点となる灯台の自宅を確保することにした。最初のプレイでは何が何やらあまり把握していなかったということもあったのだが、よくよく見てみるとゲーム序盤に入手できるアイテムは比較的多い。その中からいらない物を処分していくだけでも、ある程度お金を稼ぐことはできるのだ。
なんとか手持ちのアイテムや拾ったアイテムなど処分して寝床の確保ができたら、今度は定期的にお金を稼ぐ手段を探すことにした。たとえば、村の3ヶ所では魚を取ることができる。レシピを購入することで、材料さえ揃えれば新たな料理を作ることも可能だ。レシピの購入にもお金が掛かってしまうため、節約したいならネットで情報を検索してレシピを手に入れることもありだろう。
複数の素材から料理を作る場合は鍋が必要だ。また、ポーションなどを作るときは錬金術キットが必要になる。まずはそれらを手に入れるところから始めることをオススメする。たとえば、「きれいな水」と、お店で売られている「濃厚な油」を組み合わせることで、「暖かさのポーション」を作ることができる。こうして作ったアイテムを売っていくことでもお金を稼いでいくことができるのだ。
実は村の中から行ける場所に(灯台の真下辺り)「シエルツォの倉庫」と呼ばれるちょっとしたダンジョンがあり、モンスターはいるもののそこでもある程度アイテムを入手することができる。こちらは、ゲーム序盤の腕試しの場所としても最適だ。また、ここから海岸に出ることも可能である。村の中では魚など捕れる数は限られてしまうため、海岸で魚や海藻などを取るのもいいだろう。海岸際は強力な攻撃をしてくるシャコがうろついているが、それさえ避ければ問題ない。
そうこうしていくうちにお金も貯まっていくので、装備を購入して整えていくことができる。寒さ耐性が着いた装備なら、たとえ冬が来ても途中で凍死することもなくなるだろう。
今回ゲームをプレイするにあたり、ひとつのゴールに決めていたのがマナの解放だ。このゲームでも魔法は存在するのだが、初期の状態ではマナが解放されていないため、使用することができない。そのため、まずはこのマナを解放するクエストに挑む必要があるのである。
マナを解放するためのクエストは、マップ中央にある山に行く必要がある。そのダンジョン最深部で解放できるのである。しかし、その途中には数多くのモンスターがうろついているため、生半可な装備ではたどり着くのは難しいのだ。だが、やり直しの甲斐もあり準備も万端に整えることができた。途中、いくつもの戦闘を繰り返しながらようやくクエストの場所にたどり着き、マナを解放することができた。
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ダンジョン最深部にいる5人の監視人に話しを聞き、マナを解放してもらう。 |
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マナを解放するには、HPとスタミナを犠牲にする必要がある。その割合もプレイヤーが自分で決めることができる。 ただし、後から修正することはできないので注意しよう。 |
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マナが解放されると、左下に青いリングが表示されるようになる。魔法のなかには、素材が必要なものもある。 |
今回こちらの記事で紹介した内容は、ゲームではほんの序盤に過ぎない。しかし、ここまででわかったことは、まさにプレイヤー自身の知識や経験が、生き残りの術に繋がっていくということであった。ゲーム内の主人公はまったく成長しないため、何も知識がなければ野たれ死んでしまう。お腹が減ったり喉が渇いたり、あるいは病気になっても、何も知らなければ対処のしようがないのだ。
突然何もない石器時代のようなところに飛ばされたときに、果たして今ある自分の知識だけで生きていくことはできるのだろうか? と考えたことがあったが、このゲームでは生きぬいていくための知恵や経験が重要となるのである。
王様の命令で勇者になり悪い敵をやっつけにいくのも楽しい経験だが、このゲームのようにプレイヤー自身の成長が手に取るように感じられるのは、また違った面白さがある。そして、ひとつのことが達成できると、その先にはどんな経験が待ち受けているのかという興味が湧き、どんどんのめり込んで行ってしまうのだ。
やりがいという意味では十分すぎるほどあるため、特にサバイバル系のゲームに興味があるという人には、ぜひ挑戦してみてほしい作品である。