虐げられた者たちによる革命がアツい!ド派手なビジュアルが魅力のRPG「ロードオブヒーローズ」レビュー

プレイレビュー
0コメント 田中一広

Clover Gamesからリリースされた「ロードオブヒーローズ」をレビュー。全世界で400万以上ダウンロードされている世界革命RPG。今回その日本語版が配信されたので、ゲームの魅力を紹介したい。

「ロードオブヒーローズ」は、ターン制コマンドバトルを採用したスマートフォン向けRPG。その特徴は、ハイクオリティなビジュアル演出だ。アニメタッチに描かれた本作のキャラクター達は、静止画であるスクリーンショットの時点で既にカッコイイ。さらに、ゲーム内では彼らがド派手に動き回る。この演出だけも一見の価値アリと言えるだろう。だが、本作の魅力は見た目だけに留まらない。筆者は本作の魅力が、歪んだ世界を正していく戦記モノ的なストーリー展開にもあると感じた。

戦記モノ感を味わえるステージ選択画面とオーソドックスなバトルシステム

本作の主人公は、大陸の辺境にある王国・アヴァロンを治めるロード。物語は、アヴァロン北方領地を治めるオズワルド伯爵が謀反を起こすところからスタートする。

ゲームの流れは、選択画面からステージを選び、バトルをこなしていくという形。ステージによってはバトルの前後に会話シーンが挿入され、ストーリーが描かれる。スマホRPGとしてはスタンダードな形と言えるが、既存のスマホRPGとやや異なる点が、ステージ選択画面の見せ方だろう。

本作のステージ選択画面は、国家の領土を表している。つまり、ステージひとつひとつが、その国家の持つ一地方ということ。なので、ステージを攻略することで、自分の領地が視覚的に増えていく。もちろん、これは見た目的な演出で、シミュレーションゲームのように領地が増えることでパラメータが増えたり、敵に領地が奪い返されたり…といったことはない。ただそれでも、支配地域を拡張しているという感覚は十分味わえる。この点も、本作の「戦記モノ」的なおもしろさに繋がるポイントのひとつだろう。

バトルは、キャラクターの順番が回ってきたら行動を選ぶ…という非常にオーソドックスなスタイルのターン制コマンド型バトル。ターンが回ってきた際に選択可能な行動には、アクティブスキルとバーストスキルの2種類がある。アクティブスキルは、いわゆる通常技に該当するもの。比較的低コストに繰り出せるが、アクティブスキルによっては使用後クールタイムが発生し、再使用まで一定ターンかかる場合もある。

バーストスキルは、いわゆる必殺技にあたるもの。バーストゲージを貯めなければ発動できないものの、威力は高い。さらに、複数キャラクター分のバーストゲージを貯めることで、複数のバーストスキルを連携させるバーストチェインが可能。バトルの切り札的な行動といえる。

バーストゲージは、アクティブスキルを使ったり、ダメージを受けたりすることで増えていく。また、本作には敵味方に属性が設定されており、有利属性で攻撃するとダメージがアップする。なので、属性が有利となる的に対してアクティブスキルを使用、ダメージを手堅く与えつつ、バーストゲージが貯まったらバーストスキルで一気にせん滅…というのが立ち回りの基本だ。

バトルの難易度も易しく、効率的な行動をシビアに追求する必要はない。「経験の破片」という経験値アップアイテムを使って好きなキャラクターのレベルを自由にアップできるので、レベルを上げてゴリ押しで乗り切るという方法も通用する。なので、オート機能に任せてストーリーだけ楽しむ…というプレイスタイルも可能だ。だからこそ、人によっては新鮮味に欠けると感じるかもしれない。ただ、それでも本作には魅力を感じるだろう。

魅力のひとつは、既に紹介した本作のビジュアル演出だ。ハイクオリティなキャラクター達がド派手に動く動く。推しキャラがバーストスキルを放つ様子は、思わず見入ってしまうことだろう。…とはいえ、繰り返しプレイして慣れてくると、ビジュアル演出はとばしてしまいがち。しかし、そんな状態でも魅力を感じさせてくれるのが本作のストーリーだ。

虐げられた者たちが革命を起こす!胸を熱くするストーリー

本作のストーリーは、様々な国家と戦い、アヴァロンの領地を増やしていく…という「戦記もの」のフォーマットにのっとったもの。ただ、ここに本作に銘打たれた「世界革命RPG」という言葉が絡んでくる。

「革命」という言葉を強く印象付けるのが、オズワルド伯爵が起こした謀反平定後のエピソードだ。ロードはオズワルド伯爵を影で操っていたフローレンスへと進行を開始する。なんと、アヴァロンの7倍もの兵力を誇る大国家だ。一方で、君主であるカール3世は傲慢かつ横暴。軍事増強に偏る政策で市民は疲弊している上、そこここに差別が横行しているという状態だ。

フローレンスでのストーリーを端的に表したキャラクターが、フローレンス側の騎士・黒き遡風のザイラだろう。彼女は奴隷の身分に生まれたため、圧倒的な実力を持ちながらも評価されずに生きてきた。このため、奴隷という制度に怒りながらも、奴隷という身分を認めている。そんなキャラクターだ。

怒っているのに認めているってどういうこと?と思う人もいるかもしれない。これを理解するには、物語りをザイラ視点で捉える必要がある。彼女にとって自分が奴隷という形で扱われるのは、理不尽以外の何物でもない。だから、怒るのは当然だ。

けど、怒って何になるのだろう。ザイラ一人が怒ったところで、何も変わらない。フローレンスには奴隷制度が存在し、ザイラ以外にも多くの奴隷たちが存在している。実際、ストーリー内でも様々な形で奴隷が登場。彼ら奴隷として扱われる者は皆、奴隷制度を当たり前のものとして認めている。なぜなら、自分が生まれた時から存在している上、周りも「あって当たり前のもの」として扱っているから。

だから、怒ったところで認めざるを得ない。というより、認めない方がみじめになる。なぜなら、認めないという事は「本来は一般市民と同じように生きられるハズ」なのにそうなっておらず、自分は不当な扱いをされていると認めることになるからだ。だからこそ、「自分が虐げられている存在だ」と認めることは難しい。自分の自尊心を自分で踏みにじることになるからだ。一方、奴隷制度を受け入れてしまえば、自分が虐げられていることについて、仕方がない、そういう制度だ…と、あきらめることができる。少なくとも現在の自尊心を守ることはできる…というわけだ。

ザイラの心理に対して「そう考えてしまう心情は理解できるけど、でも立ち上がるべきだ!」と思っただろうか。そう思ったなら、本作を確実に楽しめるハズだ。なんといっても、ザイラや奴隷たちに対し、「NO!」をつきつけるのが、プレイヤー=ロードなのだから。本作のロードは、ザイラをはじめ、フローレンスに生きる奴隷たちや解放する役割を果たすことになる。しかも、ただ奴隷制度をなくすというだけではない。どうすれば「奴隷制度的な思考」から抜け出せるかまで言及している。ここで書いた「奴隷制度的な思考」というのは、「主人となるべき人間がいて、自分はそれに従うべき」という発想のこと。

「主人と従者」という対比で考えると、「ロードと騎士」という主人公たちも同様の存在と言える。ただ、主人公は「主従」というよりフラットな「仲間」的関係で騎士たちとの関係を捉えているようだ。この点もストーリー上でフォローが入れられている。こうしたテーマが次々描かれていくフローレンスのエピソードは非常にアツい。

また、ガチャシステムがないことも、ストーリーの盛り上がりに拍車をかけている。課金によって特定の仲間キャラクターをアンロックする仕組みはあるものの、ガチャで不特定多数のキャラクターをランダムに獲得していく仕組みは本作に存在しない。基本的にキャラクターはストーリー上の特定ポイントで獲得するという形。つまり、コンシューマーのRPGに近い形が採用されている。

このため、ストーリー上で登場するキャラクターとプレイヤーのキャラクター所持状況が完全にシンクロしており、ストーリー上で活躍しているキャラが手持ちにないだとか、いつまで経っても手に入らないだとかいった事態は起こらない。だからこそ、ストーリー上での盛り上がりに拍車がかかるのだ。

ガチャでランダムにキャラクターを手に入れていくというシステムも、キャラクター収集の面でおもしろみがあることは確か。しかし、ストーリーの盛り上がりという観点から見ると、やはり本作のようにストーリー展開に伴いキャラクターが増えていく…という形の方が効果的だろう。

戦記モノやアツい展開を好む人にオススメ!ストーリーが楽しいRPG

ここまで触れてきたとおり、本作はシステムはオーソドックスながら、ビジュアルとストーリーによって「お話を楽しむ」という魅力を持った作品に仕上がっている。他国を支配下に置いていくという「戦記モノ」的展開が好きな人、そして虐げられた者が現状を変えるアツい展開が好きな人にはオススメだ。家庭用RPGと同じような感覚で、本作のストーリーを楽しめるだろう。

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