「これぞ!」という女性向けコンテンツについて語っていく連載企画「おとめげ!」。第22回はNintendo Switch用ソフト「時計仕掛けのアポカリプス」についてお届けします!

目次
  1. 「時計仕掛けのアポカリプス」ここがポイント!
  2. 「時計仕掛けのアポカリプス」とは?
  3. 突然の悲劇を回避するため、同じ時間を繰り返す
  4. 大切な人と一緒に、望んだ未来を目指す

「おとめげ!」は、イケメンと可愛い女の子をこよなく愛するライターが、さまざまな乙女コンテンツをご紹介する連載企画です。今回はアイディアファクトリーの女性向けゲームブランド「オトメイト」から2021年4月22日に発売したNintendo Switch用ソフト「時計仕掛けのアポカリプス」についてお届けします!

「時計仕掛けのアポカリプス」ここがポイント!

・時間を遡り、何度も悲劇に立ち向かう中で明かされていく世界の真相
・最後の最後まで目が離せない、キャラクターの恋愛模様
・ストーリーに深く関係する主人公ボイスの意味

「時計仕掛けのアポカリプス」とは?

これは“バッドエンド”から始まる物語。

空がない、地下の街で暮らす主人公。不思議な青年から一輪のバラを譲り受けた後、繰り返される悲劇から望んだ未来を手にするべく過去へと遡る。オトメイトの作品「CharadeManiacs」を手掛けたディレクターの斉藤あさみ氏、シナリオライターの雨宮うた氏が再びタッグを組んだタイトルとなる。

メインキャラクターはルデル・クロイツ(CV:寺島惇太)、リアン・イェブラム(CV:細谷佳正)、クアト・ヘルトリング(CV:江口拓也)、ジル・ ハニッシュ(CV:小野賢章)、ユナカ・ギースベルト(CV:野上 翔)の5人。キーキャラクターのガネットを演じる緒方恵美さんがテーマ曲の歌唱を担当している。

突然の悲劇を回避するため、同じ時間を繰り返す

本作の舞台は「ギムレー」と呼ばれる地下深くにある街で、私たちにとって当たり前の空はありません。その代わりに「魔法の火」が太陽や街灯のような光源の役割を果たし、生活になくてはならないものとなっています。主人公のラチア・フィーリッツ(CV:鈴代紗弓/名前変更可)は、そんな閉ざされた世界を当たり前に過ごしている女の子。幼いころに両親を事故で亡くしましたが、幼馴染の家で大切に守られて育ちました。少し早い19歳の誕生会を行ったり、年に1度行われるお祭りを楽しみにしていたり、周囲の目を盗んで2人の幼馴染たちとこっそり「地上」へ向かう計画を進めたり……と、毎日を楽しく過ごしています。

そんなある日、不思議な青年・ガネットと出会い、枯れない青い薔薇をプレゼントされた主人公。悪夢に苛まれますが日々は何事もなく過ぎ、ついにお祭り当日。毎年のように何事もなく終わると思われましたが、平和なはずの街が突如炎に包まれ、幼馴染であるユナカの死も目の当たりに。とても受け入れられない現実に崩れ落ちる主人公ですが、ガネットから授けられた「箱」によって約1カ月前の時間に戻ることができました。

「何かが違っていれば、あの事件は起こらなかったかもしれない」と、主人公は自分の行動を変えながら事件について調べていきます。しかし調査できる範囲には限界があり、多少の変化こそあっても再び凄惨な状況が繰り返され……。何度も挫けそうになりながら、主人公は大切なものを取り戻すために立ち向かいます。

こうして何度も時間を繰り返すうちに、主人公はこの閉ざされた世界の裏で何が行われてきたのか、炎に包まれた原因はどこにあったのか、地上と地下で過去に何があったのか、「魔法の火」や「箱」とは一体何なのか……といった、さまざまな真実に辿り着きます。すべての結末を知った後、主人公が最後に選ぶ未来はプレイヤーの決断次第。私は「ここで、これを決めないといけないの……?!」とかなり迷いました。

ゲームの進め方は、まず共通ルートから「ルデル」「リアン」「クアト」の3人をクリアし、さらに「ジル」をクリアすると「ユナカ」のルートへ入れます。これらをすべてクリアすると、さらに物語の真相へと続くルートが解放される仕組み。少し選択肢が複雑な部分もありますが、フローチャートですぐに戻れるので気になる部分からやり直しできます。青い薔薇の状態や、選択肢を選んだ時の反応(割れるような表示は大体よくありません!)も参考にしましょう。

大切な人と一緒に、望んだ未来を目指す

続いて、キャラクターについて紹介していきます。ゲーム開始直後のラチアは、悲しい境遇を感じさせないほど明るい女の子です。最初は実際の年齢より少し幼い印象もありましたが、繰り返される惨状が彼女を大きく成長させていきました。目を背けたくなるような出来事を前にしても、大切な人や街を救う糸口を掴むためならどんなことにも耐えるラチアには頭が下がる思いです。

また「同じ時間を繰り返す」についても悲劇には代えられませんが、大切な人と過ごした時間も一緒になくなってしまうのも非常に切ないんです。ラチアは覚えているからこそ、その寂しさが一層際立って「絶対にハッピーエンドを目指す!ラチアを幸せにする!」という原動力になりました。

ちなみにボイスは、別のキャラクターの視点になった際に聞こえるもので、主人公視点で進めている時はボイスがありません。この「ボイスの有無」も実は演出以上に重要な役割を担っているので、こちらはぜひ本編で確かめてみてくださいね。

ルデル・クロイツ(CV:寺島惇太)は、主人公にとって大切な幼馴染の1人。兄のアンバーと共に街を取りまとめる「指導役」の跡継ぎ候補として、街のために日々奔走しています。誰よりも街の状態を知っているからこそ限界を感じ、地上へ希望を抱いているものの……。そんなルデルのルートでは、指導役の就任式をめぐる事件が大きな鍵に。ルデルはかなり大胆な解決方法を選びますが、その確かな手腕が組み立てた道筋がとてもキレイで「なるほどな~!」と唸ってしまいました。

そんなルデルは、ラチアにとって一番のよき理解者です。未来を知っていても話せないラチアの変化にもいち早く気付きますが、言い出せない事情を察して静かに見守るのも彼らしい部分です。思慮深さゆえに周囲へ遠慮してしまうところもありますが、ラチアや人々を守ると決めたルデルの強さは必見ですよ!

リアン・イェブラム(CV:細谷佳正)は、バーでピアノを弾くピアニストです。主人公とは顔見知りといった程度で、もともと深い間柄ではありません。時間を繰り返す中でリアンが悲劇の際に不可思議な行動を取っていたことが判明し、主人公はリアンの本心を探ろうと近づきます。その中で、彼が過去に悲しい別れを経験していると知り……。個人的にリアンのルートはクアトのルートとセットで1つの物語のような印象なので、続けて楽しむのがオススメです。

少しずつリアンと距離を縮めていく主人公ですが掴みどころがなく、プレイヤーとしても「どうしてこうなっちゃうの?!」と頭を抱えることもしばしば。そんな中で主人公が強気というか……とても積極的な行動を取ってこちらがびっくりしてしまいました。リアンは大人な雰囲気もありつつとても繊細なので、主人公には最後まで寄り添ってほしいなと思わずにはいられませんでした。

整った容姿ながら主人公にだけ妙に辛辣なクアト・ヘルトリング(CV:江口拓也)は、街のお医者さん。患者には丁寧な対応をしていて信頼も厚く、多くの人にとってなくてはならない存在です。しかし時間を繰り返す中で、主人公は別の顔をもつクアトに遭遇。そしてひょんな流れで、クアトの診療所で働くことになります。その影には、この世界で流行する不治の病「ハイドラ病」の存在も……。

クアトと過ごすうちに、彼のさまざまな一面を知る主人公。その中には、知らずにすめばよかったと思うものもありました。しかしクアトの本心を知った主人公は、ある約束を果たすために時間を遡ります。本来であれば相容れないといってもいいくらいの立場の二人が、ぶつかり合いながらも不器用に心を通わせていく過程にキュンとしました。

ジル・ ハニッシュ(CV:小野賢章)は、ふわふわとした雰囲気の少年です。主人公には好意的ですが、ルデル・リアン・クアトの3ルートを進めていてもジルについてはほとんど何も分かりません。ジルのルートに入ると、主人公に「箱」を渡したガネットと合わせて彼らがどのような存在なのかが判明します。ちなみに余談ですが、ゲーム内では分かりにくいのですがガネットはヒール男子です。公式サイトでは足元まで確認できるので、ぜひご確認ください。

ネタバレになってしまうので多くは語れませんが、ジルのことが分かるたびに切なさが積み重なり、エンディングはどれも思わずうずくまってしまったほど。それでもここで挫けず、真相ルートまで頑張って進んでほしいです。

ユナカ・ギースベルト(CV:野上 翔)も、主人公の幼馴染の1人。そして彼のルートで、これまでのユナカの行動に対して「あれ?今のちょっと変じゃない?」と感じた違和感の正体が分かります。

こちらも内容については詳しくお話しできませんが、ユナカのルートにたどり着く前でも主人公を大切に想っているのは十分伝わってきて、周囲の人にもバレバレです。その想いはどこから始まっていたのか、ユナカがどれだけ主人公のことを考えていたのか……改めて分かって胸が締め付けられました。

ユナカのルートでも色々な事実が判明しますが、ここまでが非常に丁寧に描かれていたからこそ「あの展開、ちょっと引っかかる」とか「あの人とあの人、このままでいいの?!」とか、気がかりな部分も残ります。それをさらに深掘りしてくれるのが、最後に待っている真相ルート。ここまでに明かされた真実を踏まえ、この世界に住む人々がどのような結末を迎えるのか……ぜひ皆さんの手でプレイしてみてくださいね!

※画面は開発中のものです。

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