スカシウマラボが制作したスマートフォン向け推理アドベンチャー「和階堂真の事件簿3 - 影法師の足」をレビュー。毎回趣向の異なるトリックが仕掛けられたシリーズ。3作目である本作に仕掛けられた謎とは?

「和階堂真の事件簿3 - 影法師の足」は、スカシウマラボが制作したスマートフォン向け推理アドベンチャーゲーム。タイトルに「3」とある通り、「和階堂真の事件簿」シリーズの3作目だ。

一首なし死体が電柱にぶら下げられるという殺人事件を描いた1作目、横溝正史的雰囲気漂う田舎を舞台に、土地の有力者が面とミノをつけた奇怪な遺体として発見されるという2作目に続く本作では、なんと主人公である和階堂真自身が殺人事件の容疑者となる。

文庫本感覚でプレイできる推理アドベンチャー

本作も含めてシリーズはいずれも2時間程度でプレイできるボリューム。推理小説として考えると、短編~中編くらいの長さといえるだろう。なので、文庫本を読むような感覚で気軽にプレイできることが特徴だ。

ゲームシステムはサイドビュー形式のアドベンチャーゲームとして作られており、プレイヤーは主人公・和階堂真を操作し事件解決を目指す。画面をタップすると和階堂がその場所へと移動。タップした場所が人や探索ポイントであれば、コマンドが表示され、聞き込みや探索を行うことができる。

聞き込みや探索の結果獲得した情報は、さらなる事件の手掛かりを手に入れるために使用できる。手に入れた情報を装備した状態だと、聞き込みや探索時のコマンドが増える場合があるのだ。なので、まず探索や聞き込みを行い、新たな情報を手に入れたら装備を切り替え、改めて探索や聞き込みを行う…というのが基本的なプレイの流れとなる。

アドベンチャーゲームが好きな人でも、こうしたしらみ潰し的な探索を面倒くさく感じる人はいるだろう。この点についても本作は配慮しており、前作「和階堂真の事件簿2 - 隠し神の森」から情報装備時に、そのマップ上の誰が新情報を持っているか表示されるようになった。このため、装備をひたすら切り替え、しらみ潰しに探索・聞き込みするというプレイは必要ない。事件に必要のある情報のみをサクサク獲得できるので、ストーリーの進行を常に実感できるようになっている。

探索や聞き込みによって必要な情報がすべて集まると、画面に「推理」アイコンが出現。アイコンタップで「推理」パートへ移行する。「推理」フェイズは事件に関する問題に答えていくというもので、回答となるのがそれまでに獲得した情報だ。「推理」といっても頭のひらめきが必要な難しいものではなく、どちらかといえばこれまでの事件の流れを整理する役目を持っているパートといえるだろう。すべての問題に答えると不要な情報が整理され、物語は次の段階へと進む。こうした流れは前作までと同様だ。

和階堂が被害者を殺したのか?スリリングなストーリー

基本的なシステムはほとんど前作から引き継がれた形だが、ストーリーは前作までと随分変わっている。前作までの和階堂真は、ある種の傍観者といえた。刑事という職業上、犯人逮捕が和階堂自身の目的ではあるのだが、事件そのものは和階堂とは関係がないところで起きている。和階堂の個人的な思惑があるにせよ、捜査するのが和階堂でなくとも問題がない。しかし、本作は違う。何せ、和階堂が犯人かもしれないのだから。

本作の被害者は人身売買組織デモンズシャドウの幹部たち。これまでのシリーズでは猟奇を感じさせるショッキングな殺害方法がとられていたが、本作の殺害方法は銃殺や刺殺。こういってしまったはなんだが、あまり猟奇性はない。ただ、猟奇性がないからといってショッキングじゃないということにはならない。なにしろ前述の通り、死体の側には凶器のナイフを持った状態で主人公・和階堂真がいたのだから。しかも、記憶の一部を失った状態で!

和階堂が容疑者であることは警察にもバレているため、今回はのんびり捜査というわけにはいかない。和階堂を捕まえるため捜索を行う警察官がそこここに存在。このため和階堂は警察から逃げつつ、記憶を取り戻しつつ、犯人を追うことになる。警察官から逃げるという要素がゲームシステム的にカバーされているわけではない。だがそれでも、これまでのシリーズとは異なるスリリングな空気感が味わえる。

今作にも存在!叙述トリック的な仕掛け

本シリーズのことを「文庫本を読むような感覚で気軽にプレイできる」と書いたが、これはプレイ時間やゲームシステム面を指してのこと。というのも、本シリーズはミステリー的には非常に凝った作りをしており、決して軽い作りにはなっていないのだ。

本シリーズには毎回異なる叙述トリックが仕掛けられている。叙述トリックというのはミステリーにおいて、いわば作者から読者へと仕掛けるトリック。作中の犯人が警察や探偵といった作中の人物に対して仕掛ける通常のトリックとは大きく異なる。具体的にはたとえば、文章中で地名に関する言及を避けることで、本来はひとつの場所で行われている出来事を、さも複数の場所で起きていることかのように見せかける……なんてものが考えられる。

こうした仕掛けが明らかになった時、読者の中で物語に抱いていたイメージが崩壊し、隠れていた本来のストーリーが一気に姿を現す。「別々の場所だと思っていたのに、本当は一つの場所で行われていたのか!だとすると、あれもこれも、また違った意味を持ってくるじゃないか!」というわけだ。読んでいて背筋がゾクゾクし、「作者はこれを計算してたのか!」と、作品を冒頭から読み直したくなる。これが叙述トリックの魅力といえるだろう。

ちなみに「叙述トリック」にはひとつのルールがある。それは、「地の文=ナレーション」ではウソをついてはいけないということ。たとえば、本当は生きている人間を「地の文=ナレーション」で「死体」と表現してはならない。なぜなら、「叙述トリック」が衝撃的なのは、あくまで読者自身の思い込みや錯覚によって構成されるから。「地の文=ナレーション」でウソをついてしまうと、「叙述トリック」の衝撃が薄れてしまうのだ。

だからこそ、「叙述トリック」は難易度が高い。その上、1回使ったものを2回使うことができない。これは当然のこと。ネタバレ済みの「叙述トリック」を見せられても驚けるはずがない。なので、筆者は正直、シリーズ毎回叙述トリックを用意している本作に感心している。

そして、シリーズの中でも本作は、ピクセルアートのゲームならではの「叙述トリック」を見せてくれる。これは他のミステリーにない魅力だろう。ネタバレになるのを避けるため、あまり詳しく書くのは避けるが、「叙述トリック」というのは表現方法に依存する技法なのだ。

たとえば、先ほど書いた「文章中で地名に関する言及を避けることで、本来はひとつの場所で行われている出来事を、さも複数の場所で起きていることかのように見せかける」という手法。これは文章の場合、地名に関する言及を避けるだけで成り立つが、風景を描かなければならない映像系の作品だとこうはいかない。何らかの対策が必要になるだろう。こういう意味で本作は、ピクセルアートのゲームだから成り立つ「叙述トリック」を仕掛けている。この点を確認するだけでも十分本作をプレイする価値アリと言えるだろう。

トリックに気づいてもプレイする価値アリ!ゲームシステム的な演出にも注目

ここまでさんざん「叙述トリック」について語ってきておいて恐縮なのだが、ミステリーに詳しい人であれば、本作の早い段階で真相に気づくかもしれない。実際、筆者がそうだった。けど、たとえ真相に気づいたとしても、本作はラストまでプレイする価値のある作品だと思う。というのも、終盤に訪れるイベントの演出が秀逸なのだ。

本作にはしらみ潰しな探索・聞き込みを軽減するため、マップ上の誰が新情報を持っているか表示するシステムがあると書いた。しかしこのシステム、とある事情から終盤で機能しなくなってしまう。そして、その後の「推理」パートで和階堂が進む方向にも注目してほしい。

この終盤での演出は、ビジュアルだけでなく、「情報表示システム」や「推理」パートといったゲームシステムをも組み込んだ演出で、非常にクライマックス感がある。たとえトリックの内容が分かったとしても、この演出を見るためにラストまでプレイした価値があるだろう。なので、これまでのシリーズをプレイしてきた人は、本作も是非最後までプレイしてほしい。

そして、このレビューで本作に興味を持った人は、本作からプレイしてもいいのだが、できれば1作目「和階堂真の事件簿 - 処刑人の楔」からプレイすることをオススメしたい。本作からプレイしても話が分からないということはないのだが、プレイ開始時点で主人公へ十分感情移入している方が「主人公が容疑者」という衝撃を味わえるだろう。

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