ブレイブ フロンティア レゾナ」をレビュー。人気RPG「ブレイブ フロンティア」シリーズの最新作はこれまでのコマンドRPGから3DアクションRPGへとシステムを刷新。その魅力を紹介する。

目次
  1. 舞台は巨大な仮想迷宮「ヴォイド」!深淵に眠る女神を目指せ
  2. 召喚によって英霊を使い分ける3Dアクションバトル
  3. 考えられたステージ構成と操作性における課題
  4. 粗削りな部分はあれど十分な魅力を持った3DアクションRPG

「ブレイブ フロンティア レゾナ」は、エイリムからリリースされたiOS/Android向けアクションRPG。タイトルが示す通り、「ブレイブ フロンティア」シリーズの最新作で、シリーズおなじみの「召喚術バトル」も健在。ただ、システムはこれまでのコマンド型RPGから大きく刷新。3DアクションRPGとなっている。

舞台は巨大な仮想迷宮「ヴォイド」!深淵に眠る女神を目指せ

本作の舞台となる世界「アストラ」は、遥か昔、女神の庇護のもとで繁栄していたが、原因不明の大厄災によってある日突然崩壊。さらに現在では、魔物生み出す巨大な仮想迷宮「ヴォイド」によって滅亡の危機に瀕している。唯一の救いの道は、「ヴォイド」の深淵に眠るという、女神の夢を終わらせること。このため、人類は「ヴォイド」探索を行っている。

プレイヤーも世界滅亡回避を目指し、「ヴォイド」の深淵を目指すのかというと、そうではない。プレイヤーは名前と、「カナンという場所を目指す」という記憶以外失っている。どうやらその「カナン」という場所が「ヴォイド」の深淵にあるらしい。さらに、プレイヤーはどうしたことかヴォイド研究者のレンカ・ツキモリの機械端末へと精神だけが転生したような状態にある。こうした理由からプレイヤーはレンカとともに「ヴォイド」深淵を目指すことになるのだ。

召喚によって英霊を使い分ける3Dアクションバトル

「ヴォイド」は「Depth(デプス)」と呼ばれる階層に区切られている。「デプス」内はさらに複数のステージに別れていて、クリアすることで次のステージが解放されるという仕組み。このステージが3Dアクションバトルになっている。

バトルでプレイヤーが行えるアクションは、主に移動&ダッシュ、通常攻撃、召喚&スキル。移動は画面左側スワイプによって行え、360°自由に移動可能。また、スワイプではなくフリックによってダッシュによる高速移動行える。ダッシュは性質上、敵の攻撃を回避するときに使えるが、無敵ではないためある程度前もって発動しなければならない。

「ATTACK」ボタンのタップで通常攻撃が可能。通常攻撃は連続タップ、または長押しによって連続攻撃に変化する。連続タップより長押しタップの方がお手軽ではあるものの、連続攻撃中は移動できないため、攻撃回避に対応しにくい。このため、強力な攻撃能力を持った敵と戦う場合は、連続タップで攻撃した方がいいだろう。

そして、シリーズの醍醐味である「召喚術バトル」を体現するのが召喚&スキル。「ATTACK」ボタン周囲に並んだ英霊アイコンをタップすることで英霊を召喚。召喚した英霊は自動的に戦ってくれる。同時に召喚できる英霊は1体のみだが、英霊アイコンをタップすることで自由に英霊を切り替え可能。敵や周囲の状況に合わせて有利な英霊に切り替えるという立ち回りがバトルのポイントとなっている。

また、敵と戦っていると「ATTACK」ボタンを囲むように配置されたゲージがアップしていく。ゲージの貯まり具合によってブレイブリンク、ブレイブバースト、ファイナルブレイブバーストといったスキル攻撃が発動可能。いずれもピンチを打開するほど強力な効果を持っており、バトルを有利に進められるだけでなく、爽快感も味わわせてくれる。

考えられたステージ構成と操作性における課題

敵を全滅させるもの、ゴール地点を目指すもの、一定時間サバイバルするもの、ボスを倒すもの…と、ステージ毎にクリア条件を変化。基本的にボスステージ以外は難易度が低く、ガンガン攻撃して敵を次々倒していく爽快感が味わえる。

一方、ボスステージや高難易度ステージは、きっちり戦略が求められる。ボスバトルではヒット・アンド・アウェイが重要。ボスの攻撃は強力なため、攻撃しか考えていないとやられてしまう。ボスが攻撃する前には予測範囲が表示されるので、しっかり回避しなければならない。

もちろん、ボスに合わせた英霊召喚も重要だ。ボスと相性のよい属性の英霊中心にパーティーを編成し、回復役を加えておくなどの準備が欠かせない。また、準備という意味では「スキルフラグメント」も重要な位置を占めている。

「スキルフラグメント」は装備の一種で、ダメージやクリティカル発生率などに倍率をかけてくれる要素。装備と異なる点は、空きスペースに対してパズルゲームのように詰め込むことで、自由に編成できることだろう。スペースに入りさえすればどんな編成にしてもかまわないので、特定の属性ダメージ倍率強化に極振りする…なんてことも可能だ。難所を攻略するためにベストな編成を探すおもしろさが味わえる。

こうした戦略性の楽しさと、爽快感を味わえるステージとのメリハリが本作のおもしろさだと思う。しかし一方で、課題も抱えているように感じた。ひとつは、「長押しタップ」に関する操作性の問題。本作において「長押しタップ」が関わるのは主に2つのアクション。ひとつは、スイッチなどステージギミックを発動するための「長押しボタン」、もうひとつはブレイブリンク、ブレイブバースト、ファイナルブレイブバーストといったスキル攻撃の発動ボタンだ。

「長押しボタン」は、マップ移動中、スイッチなどステージギミックに接触すると出現。長押しタップすることでスイッチを動かすことができる。このボタンそのものは問題がないのだが、画面左下に出現するため、ステージギミック周辺で敵と戦っていると、うっかりボタンを押してしまい、敵の攻撃を回避するつもりがステージギミック発動モーションになってしまう…ということが何度かあった。

ブレイブリンク、ブレイブバースト、ファイナルブレイブバーストの発動ボタンについては、ボタンの位置は問題ないのだが、「長押し」であるために、通常攻撃から繋げられないという問題がある。アクションRPGなので、連続攻撃とスキル攻撃を連携させたいと思ってしまうのだが、長押しタップによって攻撃が中断され、せっかくの爽快感が途切れてしまう。

一方でこのスキル発動の仕様は、「召喚術バトル」というコンセプトを体現するため、あえて現在の形にしたものかもしれない。というのも、主人公をガンガン動かして連続攻撃主体で敵を倒すのであれば、他の一般的なアクションRPGと変わらないからだ。「ブレイブ フロンティア」シリーズのアクションRPGであるからには、やはり「召喚術」がメインになるべきだろう。そう考えると、スキル発動時は一旦英霊にバトルを任せ、自分はスキル発動に専念する…という立ち回りを想定して現在の仕様にしたのかもしれない。確かに、「ブレイブ フロンティア」のバトルをイメージした場合、プレイヤーは召喚師として一歩下がり、英霊に任せる…という立ち回りになりそうだ。

ここに書いたことは筆者の憶測でしかない。ただ、仮に「英霊や召喚術を駆使するためにプレイヤーは一歩引く」というコンセプトが想定されていたとした場合でも、アクションRPGが元来持つ「プレイヤーキャラクターが前に出て戦う」という部分と、「召喚師として一歩下がって戦う」という部分のかみ合わせが、筆者にはまだ粗削りなように感じられた。

ただ、エイリムは「ブレイブ フロンティア」シリーズにおいてアップデートを重ねてきたデベロッパーだ。なので、こうした操作性上の課題は、今後アップデートなどで改善されていくことだろう。実際、ゲーム内のお知らせでは、今後のマイルストーンが提示され、障害対応なども細かく説明されている。今後の運営に期待したい。

粗削りな部分はあれど十分な魅力を持った3DアクションRPG

なお、既存の「ブレイブ フロンティア」ファンからすると、大きく変わってしまったゲームシステムに戸惑いを覚えるかもしれない。筆者も、「ブレイブ フロンティア」=ドット絵&サクサク進むコマンドバトルという印象を持っていたので、内容を知った時には驚いた。しかし、本作プロデューサーが公式サイトのメッセージで「これまでと全く違ったブレフロ」と語っている。なので、これまでの延長線上の作品というより、「ブレフロの新たな形」として触れるのが正解だろう。

ゲームに限った話じゃないが、これまでの延長線上でモノを作れば、完成度を高めることはさほど難しいことじゃない。しかし、新たらしいモノを生み出そうとすると、どうしても粗削りな部分が生まれてしまう。なので、本作が粗削りな部分を持つのもある意味頷けるところだ。ただ、本作は現時点でも3DアクションRPGとして十分な完成度を持っている。とりわけ、爽快なバトルを繰り返して「スキルフラグメント」を収集し、ベストな編成を探して強敵に挑む…という体験は、ハクスラ的な中毒性を持っていておもしろい。「ブレフロ」ファンのみならず、3DアクションRPGが好きな人は是非プレイしてみてほしい。

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