コーエーテクモゲームスから2022年2月24日発売予定のPS4/Nintendo Switch/PC(Steam)用ソフト「ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~」(Steam版は2月25日発売予定)。発売を間近に控えた本作のプレイレポートをお届けする。

目次
  1. ソフィーが新たに繰り広げる冒険譚と仲間たちとの日々
  2. 6人が入れ替わり立ち替わりに活躍する「マルチリンクターンバトル」
  3. 調合・採取にも分かりやすくかつ飽きさせない工夫が!
  4. こだわりのグラフィックが作り出す「ソフィーのアトリエ2」ならではの世界観

「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~(以下、ソフィーのアトリエ)」の続編となる本作では、夢幻世界「エルデ=ヴィーゲ」で離ればなれになった相棒のプラフタ(人形)を探す、ソフィーの冒険譚が描かれる。

「アトリエ」シリーズにおいて同一のキャラクターが主人公となるのは、2020年12月に発売された「ライザのアトリエ2 ~失われた伝承と秘密の妖精~」に続くかたちとなるが、前作が2015年に発売されたタイトルであることを考えると、発表当時に驚いた人も多いのではないだろうか。

しかしながら、2021年にPS4/Nintendo Switch/Steamで発売された「ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~ DX」では、ソフィーのおばあちゃんに関する新エピソードが追加されるなど、その布石を感じる場面はいくつかあり、それらを経ていよいよ発売を迎えることになった。

発表時に本作を少しだけプレイする機会をいただき、ファーストインプレッションとして掲載したが、今回は改めてゲームの冒頭からプレイしてみて感じた要素を中心に、本作の魅力を紹介していければと思う。

なお、ファーストインプレッション掲載時に紹介した内容については、特段の説明を必要としない限りは省略するので、併せてご覧いただければ幸いだ。

ソフィーが新たに繰り広げる冒険譚と仲間たちとの日々

夢幻世界「エルデ=ヴィーゲ」でプラフタ(人形)と離ればなれになったソフィー。エルヴィーラが創ったという「エルデ=ヴィーゲ」は、さまざまな時代の人々が夢を叶えるために集まっているという。エルヴィーラはなぜこのような世界を創り出したのか、そしてプラフタ(人形)の身には何が起こっているのか。ソフィーたちは「エルデ=ヴィーゲ」で出会った人々との冒険を通じて、さまざまな出来事に向き合うことになる。

本作のゲームサイクルは、調合や採取などの目的を達成していくことでストーリーが進行する、「アトリエ」シリーズとしてはオーソドックスなもの。その上で、「不思議」シリーズの特徴的なシステムとも言えるレシピ発想が本作でも採用されており、ゲームを進行するために必要なアクションも明示される。目的の素材を集めたり、調合の組み合わせを模索したりといったプレイヤー側で試行錯誤する部分はあるものの、ゲーム全体におけるいわゆるタスク管理がしやすくなっている点は、本作からプレイする人にとっても入りやすいところだろう。

ストーリーの見どころについては全体的に実際にプレイして感じてほしい部分もあるのだが、前作がプラフタ(人形)とともに成長したソフィーの物語であるならば、本作はその相棒のプラフタと離ればなれになったソフィーが新たに出会う人々と交流を重ねていくことに注目したい。さらに、ソフィーの相棒である人形のプラフタと同名の若き錬金術士プラフタ、「エルデ=ヴィーゲ」唯一の町「ロイテール」のまとめ役であり、ソフィーのおばあちゃんと同じ名前であるというラミゼルとの関わりも、彼女に新たな影響を与えることだろう。

成長はしていても成熟はしていない本作のソフィーは、本作の後を描く「フィリスのアトリエ ~不思議な旅の錬金術士~」、「リディー&スールのアトリエ ~不思議な絵画の錬金術士~」での姿と比べても、より主人公としての魅力に溢れている(もちろん、師匠ポジションとしての振る舞いも良かったのだが)。いろんな物事に悩んだり、戸惑ったりしながらもプラフタ(人形)との再会を果たすために行動する姿が印象に残った。

6人が入れ替わり立ち替わりに活躍する「マルチリンクターンバトル」

ゲームシステムにおいても「不思議」シリーズ、「秘密」シリーズからの数多くの要素を継承しつつ、そこにいくつかの新たな要素が加えられているが、筆者がその中でも特に印象的だったのが、バトルに関するものだ。

本作では「アトリエ」シリーズの伝統ともいえるターン制バトルを採用しているが、その上で本作が新たに獲得したものの一つがスピード感。何といってもシームレスバトルを実現したことで、フィールドにおける探索とバトルがすぐに切り替わるようになっており、ローディングなどのストレスなくプレイできる点は大きい。

加えて、前衛のアサルトチーム3名、後衛のバックアップチーム3名で連携して戦う「マルチリンクターンバトル」は、これまでの「アトリエ」シリーズにおけるターン制バトルの中でも特に良くできたバトルシステムになっていると感じた。その要素を大きく2つに分けて説明したい。

1つ目が、これまでの「アトリエ」シリーズでも意識されてきたパーティメンバー全体での戦闘参加がかつてないほどに成立していること。この点に触れる上では、バトル中に発動できる「ツインアクション」の果たす役割が大きくなっている。

「ツインアクション」を発動すると自動的に前衛と後衛が入れ替わるため、バトルが長期化すればするほどパーティ内のキャラクターが目まぐるしく戦闘に参加することになる。もちろんキャラクターごとの特徴も出てくるのだが、「ツインアクション」では消費MPが減るので、中にはMPを使わずにスキルによる攻撃も可能だったり、さらには装備しているアイテムを使用できる点からも積極的に使っておいて損はない。

そうした入れ替わりの中でTP(テクニカルポイント)を消費していくとDG(デュアルゲージ)が溜まり、パーティメンバー2人で繰り出す必殺技「デュアルトリガー」も発動できるように。あらゆるシチュエーションでパーティメンバーが活躍できるという作りが、「アトリエ」シリーズにおけるターン制バトルの可能性を見せてくれた。

そして2つ目のポイントが実装されたシステムの使いやすさだ。従来の「アトリエ」シリーズでもバトルに関わる同様のシステムは組み込まれていたが、本作に関してはその発動ハードルが格段に下がっている。

例えば魔物とのエンカウント時に杖で叩いて先制攻撃を行えば、「ツインアクション」などの発動に必要なTPが溜まった状態で始まるため、いわゆるスタートダッシュとしても有効。残りのHPに気をつける必要はあるが、前衛が攻撃を受ける際に後衛の一人が前衛一人をかばう「サポートガード」も積極的に使っていける。

また、画面のUIとしても全体的に次のアクションの選択肢が見やすくなっているので、各システムが宝の持ち腐れになるようなことも無いだろう。

そのほか、本作ではバトルスピードを1.5倍、2倍にできる高速モードも実装されているなど、とにかく戦闘をスピーディーに、それでいて戦略的な選択肢を与えてパーティメンバーをより多く活躍させるという、キャラクターを入れ替えるターン制バトルとしての完成度の高さを随所に感じさせた。これは実際に遊んでみて理解できる部分も多いので、ぜひプレイしてみてほしい要素だ。

調合・採取にも分かりやすくかつ飽きさせない工夫が!

調合や採取に関しては従来のシステムのブラッシュアップがベースとなっているが、それぞれ遊びを拡張している部分があったので、少しずつだが紹介しておこう。

調合は「不思議」シリーズの全タイトルで採用された「パネル調合」が復活。材料の錬金成分を調合パネルにはめ込んでいくという基本構造は全ての作品で共通しているものの、タイトルごとに変化が施されていた。本作でもそれは例外ではない。

本作ではソフィーだけでなく、プラフタによる調合もできるようになった。それぞれにしかできない調合もあり、共に錬金レベルを上げていくことがストーリーを進める上での重要なアプローチとなっている。

そして今回面白かったのが、錬金成分に明るく輝くパネル「リンク成分」を用意している点。単に同じ属性を多く配置するだけでなく、同じ属性のリンク成分同士を隣接させて「リンク」を形成することで、より良い効果を発動できる仕組みにしている。それによって、錬金成分を調合パネルに配置していく上で、シンプルながらもより多面的な目線で配置の組み合わせを思考できるようになった。

また、パネルにより多くの錬金成分を配置することで調合の大成功率が上がるのだが、縦横の列を揃えることでこの大成功率が大きくアップするといった仕組みや、パーティキャラクターが調合を手伝うことで追加効果が発動する「協力スキル」といった要素も調合のハードルを結果的に引き下げる要素になっている。

採取に関しては「秘密」シリーズまでの要素を活かしつつ、探索におけるファストトラベル要素の「転晶石」や、入手できる素材に関する視認性のアップなどの取り組みが行われている。フィールド自体もかなり広めの作りなので、目的に応じた行動という意味でも重宝するはずだ。

さらに、新たに追加された「大採取」では、通常の採取よりも良い素材を入手するべく、さまざまなミニゲームにチャレンジすることに。品質アップや個数アップだけでなく、特定の属性をもった錬金成分を付与できるというボーナスもあり、調合にも確実に役立つ要素となっている。

こだわりのグラフィックが作り出す「ソフィーのアトリエ2」ならではの世界観

本作の舞台はいわゆるファンタジー世界だが、その町並みやフィールド、ロケーションといった要素の細やかさが世界観の輪郭を生み出している。また、本作における天候操作はゲームの攻略的な要素にも関わってくるのだが、ビジュアルとして見た時にもその変化をさまざまなかたちで楽しめるという意味で魅力的だ。

そして、表情にもこだわったというキャラクタービジュアルは、バトルやイベントの随所で印象的なシーンを作り出している。雨が降っている際には顔に雨粒が滴っていたりと、こちらも細部にわたるこだわりが感じ取れる。

「ソフィーのアトリエ」の正統進化という側面も確かにある本作だが、それ以上にガストブランドがこれまで培ってきたノウハウを幅広く活かしているというのが本作をプレイしてみての感想だ。ソフィーたちが繰り広げる冒険の行く先を、ぜひ見届けてみてほしい。

※記事内の画像はPS4で開発中のものです。

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