グローバルギアからリリースされた「マ砲学園」をレビュー。指一本で楽しめるお手軽なアクションが特徴だが、カジュアルなだけでなくゲームとしてのやりごたえも持った作品。その魅力を紹介する。
「マ砲学園」は、グローバルギアからスマートフォン向けのアクションゲーム。グローバルギアはこれまでスマートフォン向けに数多くのカジュアルゲームを提供してきたデベロッパー。本作も指一本でプレイできるお手軽なアクションを特徴としており、一見するとこれまでの作品同様のカジュアルゲームに見える。しかしプレイしてみると、単なるカジュアルゲームではないことが分かった。お手軽ではあるが、アクション要素やRPG要素にゲームとしてのやりごたえを備えているのだ。
シンプル操作ながらヒット&アウェイの駆け引きが楽しい!「マ砲」バトル
本作の舞台は、タイトルにもなっている「私立マ砲学園」。プレイヤー=主人公はこの学園の転校生。「マ砲」については初心者であり、これから学んでいくという立場。つまり、プレイヤーと同じ立場といえる。
ところで「マ砲」とは何かというと、魔力を貯めて一気に解き放つことで発動できる、ビームのような砲撃のこと。この「マ砲」を使って他の生徒と戦い、トーナメントを勝ち抜いていくことが「マ砲学園」の授業となっている。少年バトルマンガのノリだ。
アクションパートではトップビューで主人公を操作し、ステージごとに設定された目的の達成を目指す。操作は仮想パッドで行い、スワイプしている間は移動と同時に攻撃のチャージが行える。仮想パッドから指を離すことで攻撃が発動というかたち。このため、攻撃の瞬間は動けないという点がポイントだ。
本作のメインといえるトーナメント戦で敵となるのは、他の生徒たち。これはつまり、「一定時間チャージしてから攻撃する」「攻撃の瞬間は動けない」という条件が主人公と同じということ。このため、こちらの攻撃を当てるためには相手の攻撃の瞬間を狙うことがポイントになる。相手の攻撃の瞬間を見計らい、相手の攻撃を回避しつつこちらの攻撃を放つ…。このタイミングをめぐる駆け引きがとてもスリリングだ。
攻防をめぐる駆け引き要素は、本作にアクションゲームとしての楽しさをもたらしている中核部分だ。とはいえ、毎回同じような駆け引きが繰り返されると、どうしても飽きてしまう。この点について本作は、武器やステージにバリエーションを用意することで対策している。
本作のメイン攻撃は確かに「マ砲」だが、武器を持ち帰ることで他の攻撃も可能だ。たとえば「マ砲」はビームのような遠距離攻撃だが、「鉄パイプ」を装備すると近接攻撃が可能になる。もちろん、攻撃力も武器によって変化。主人公だけでなく他の登場キャラクターもさまざまな武器を用意しているため、武器の組み合わせによって攻防をめぐる駆け引きも変化を見せる。
また、トーナメント以外に演習ステージが存在し、それぞれクリア条件となる目的が異なっている。トーナメントでの目的は、成績の上位入賞。敵に与えたダメージによって成績の順位が決定。何位までに入ればいいかはステージによって異なるが、一定の順位内であれば次のステージに進めるというかたちだ。このため、ある程度ダメージを与えたら無理して敵を倒さず逃げる…というのも有効な戦術となる。
一方、演習での目的は敵のせん滅。すべての敵を倒すと次のステージへ向かう魔法陣がアンロックされるというかたちだ。このため、何がなんでもすべての敵を倒さなければならない。また、ステージによってはNPCの護衛が要求されるなど追加の条件も発生。ステージごとに要求される立ち回りが変化するためゲームが単調なものにならず、飽きにくくなっている。
「マ砲学園」を探索!RPG的な楽しさ
ここまでアクションパートについて紹介してきたが、本作はアクションパートだけで構成されたゲームではない。ゲームの流れとしては「マ砲学園」内を探索し演習に参加してトーナメントへの参加権を獲得、トーナメントで勝利することでより上位のクラスへ移る…というものになっている。「私立マ砲学園」はトーナメントの成績によってクラスが分かれており、プレイヤーはより上位のクラスを目指してバトルを繰り返していくわけだ。
探索パートでは実際に主人公を動かし「マ砲学園」の探索が行える。学園のそこここには生徒たちが存在し、会話を行うことが可能。つまりRPG的な楽しさが味わえるのだ。しかも、ただ形式だけRPG的というのではない。「マ砲学園」の各クラスを牛耳る生徒会の存在や、学園内のあらゆる情報を知る副学園長など謎めいたエピソードが存在し、ストーリー的に魅力的なものに仕上がっている。このため、RPGとしての満足感も高い。
お手軽だけどやりごたえあり!ゲームボーイ時代のパッケージゲームのような楽しさ
スマートフォンでカジュアルゲームというと、「敵を撃つ」「障害物をジャンプで避ける」などの簡単なアクションを繰り返し、ひたすらスコアを追求する…というゲーム性を極限までシンプル化させたものが多い。そんな中で本作は、スマートフォン向けのカジュアルゲームという枠組みからはちょっと外れた作品のように思う。アクションとしての手ごたえや、RPGとしての楽しさがしっかり作りこまれていて、パッケージゲームのようにやりごたえがあるからだ。
しかしやりごたえがある一方で、操作やアクションはシンプル。なので、プレイ感はライト。筆者は本作のこのプレイ感から、ゲームボーイ世代の携帯機向けパッケージゲームを思い出した。据え置きのコンソール向けゲームほど重厚な内容ではなくライトなつくりだが、パッケージゲームとしての楽しさはちゃんと味わえるという感覚だ。同じ時代を過ごした人なら似たような感覚を味わい、懐かしく思うかもしれない。
そういう意味で本作は、これまでスマートフォン向けのカジュアルゲームをプレイしてこなかった人にも試してもらいたい一作だ。お手軽ではあるものの、アクションの楽しさやRPGの楽しさは確実に実感できる。もちろん、カジュアルゲームの持つ「短時間で気軽に楽しめる」という点は満たしているので、既存のカジュアルゲームファンも、是非プレイしてみてほしい。