コーエーテクモゲームスが2022年6月24日に発売を予定しているNintendo Switch用ソフト「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」のプレイインプレッションをお届けする。
本作では、任天堂が2019年7月に発売したNintendo Switch用ソフト「ファイアーエムブレム 風花雪月」(以下、「FE 風花雪月」)の世界を継承し、あり得たかもしれないもう一つの「FE 風花雪月」の物語が、「無双」シリーズならではのアクションとともに描かれる。
今回、発売に先駆けてゲームの序盤を体験することができたので、インプレッションをお届けしよう。
原作の主人公も登場!徐々に変化していく物語に注目
「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」では、新主人公・シェズ(名前、姿変更可能)が登場。シェズの視点で、フォドラの戦乱が重厚に描かれる。
物語冒頭では、とある仕事で原作の主人公・ベレト/ベレス擁するジェラルト傭兵団と激突。圧倒的な強さの前にシェズが所属していた傭兵団は壊滅させられてしまう。なお、この戦いはチュートリアルという扱いになっており、実際に自らの手でプレイが可能だ。“灰色の悪魔”の強さを存分に体験して欲しい。
「ラルヴァ」と名乗る不思議な存在の力によって窮地を免れた主人公は、“灰色の悪魔”に雪辱を果たすべく各地を放浪して修業を重ねる。その最中、盗賊に追われる士官学校の生徒たちと出会う。本来あり得なかったはずのこの邂逅が、フォドラの歴史を大きく揺り動かすことになる……というのが本作のあらすじだ。
エピソードの序章ではエーデルガルト、ディミトリ、クロードが級長を務めるいずれかの学級に生徒として所属。この選択によって、それぞれアドラステア帝国、ファーガス神聖王国、レスター諸侯同盟視点のストーリーに大きく分岐していく。
「FE 風花雪月」では教師として様々なキャラクターと触れ合うことができたが、本作では生徒として彼らと同じ目線から物語を楽しむことが可能だ。それ故に今まで知ることがなかったキャラクターたちの魅力なども感じることができた。
主人公が変わることで、原作と異なるストーリーが展開されるところも注目ポイントだ。ストーリーの途中、士官学校の課題で盗賊団の討伐に向かうことになるのだが、その道中で発見した砦の中で、捕らわれているモニカを救出することになる。詳細については不明な点も多いが、このステージのボスとしてクロニエが登場することや、救出後にプレイアブルキャラクターとして使用可能になるなどの点から、本作ではこれまでと大きく展開が異なる可能性が高そうだ。
このように、見知った物語がボタンの掛け違えによって徐々に異なる展開になっていく様子は興味深く、物語がどのような着地を迎えるのか非常に気になるところ。
もちろん、「FE 風花雪月」の魅力であった戦争編についても、また異なる形で体験することができた。主人公が異なるため、そこに至るまでのストーリーも異なり、違った視点からそれぞれの陣営の思惑を垣間見ることができる。
また、“灰色の悪魔”に雪辱を果たすという主人公のそもそもの目的と、謎の力で主人公を救う「ラルヴァ」の正体なども気になるところ。本作オリジナルキャラクターである、2人の関係が、今後どのようにフォドラの大地に影響を与えていくのか? という部分は注目しておきたいポイントだ。
多彩なアクションと育成でやり込み要素は無限大!
続いては、「ファイアーエムブレム無双」として生まれ変わった、アクション部分の魅力を紹介していこう。本作の基本的なアクションは「無双」シリーズの流れを汲んでおり、Yボタンで弱攻撃、Aボタンで奥義、Bボタンで回避が可能だ。Yボタンの弱攻撃コンボから繋げてXボタンを押すタイミングで様々な強攻撃を出せる、「無双」シリーズならではの操作感も踏襲されており、誰でも手軽に一騎当千の爽快感溢れるアクションが楽しめる。
そのほか、武器の耐久度を消費して強力な攻撃を繰り出す「戦技/魔法」や、覚醒ゲージを消費して強化状態になる「覚醒」、キャラクターの固有スキルなどが存在しており、アクション面は「無双」シリーズ全体を見ても非常に出来ることが多い。上手く使いこなすことができれば、より自由度の高い戦闘が楽しめるだろう。
もちろん、「ファイアーエムブレム」らしさを再現した各種システムも魅力。剣兵種は斧兵種に、槍兵種は剣兵種に、斧兵種は槍兵種に有利となる3すくみはもちろん存在しており、弓・魔導書・籠手兵種の間にもその関係が追加されている。操作キャラクターを切り替えることで戦闘を有利に進めることが可能だ。
個人的に気に入ったのが、原作にもあった「副官」システム。操作しているキャラクターで味方ユニットに接近しコマンドを入力することで、相手を自身の後衛に配備できるというものだ。副官を配備すると、操作しているキャラクターの能力値が副官の兵種に応じて上昇するほか、支援レベルがC以上の場合、副官の個人スキルが共有され、さらに副官追撃、副官ガード、連携奥義が発動するようになる。
副官はプレイアブルキャラクター以外のユニットを配備することも可能だが、プレイアブルキャラクターを配備するといつでも前衛と後衛を入れ替えることができる。例えば剣の兵種を操作している時に、副官を斧の副官にすることで、剣では不利な相手となる槍の兵種も、入れ替えを行うことで有利な状態で戦闘を進めることができる。相性を気にすることなくプレイできるので、アクションに没頭することができた。
また、プラスボタンを押すと味方ユニットに行動指示を出すことも可能だ。選択した地点への移動や敵への攻撃、砦の制圧、味方の護衛や砦の防衛など様々な指示を出すことができる。3すくみの相性が有利な敵を選んで指示を出すなど、従来の「ファイアーエムブレム」と同じような感覚でシミュレーションらしい遊びが楽しめる。
なお、おまかせ方針を事前に設定しておけば、ユニットの行動を大まかに決めることができるので、アクションに集中したいという人はこちらを活用しよう。
今回プレイをする中で最も驚いたのはキャラクターの育成要素だ。武器や防具といった装備、兵種相性を有利にする「騎士団」、前述した「戦技/魔法」、スキルなど様々な要素が存在しており、キャラクターを自分好みにカスタマイズできる。
さらに本作では原作同様、全てのキャラクターが一部の専用兵種を除き自由に兵種を獲得可能だ。「兵種」を変更することによって、アクションや敵兵に対する有利不利の相性が変化するので、同じキャラクターでもまったく異なる遊び方ができる。
これらの要素によって1キャラクターあたりの育成ボリュームはかなりのものに。お気に入りの戦技や魔法を強化したり、複数の兵種を育てていったりと、遊べば遊んだだけやり込むことができ、永久に育成をしていられると感じるほどだった。
もちろん、育成できるのは主人公だけではなく、エーデルガルトやディミトリ、クロードなどプレイアブルキャラクターは全て自由に育成が可能(プレイアブルキャラクターはルートによって異なる)。そして、手塩にかけて育てたキャラクターたちを、自分の手で直接操作して活躍させることができる、というのが本作の面白いところだ。各キャラクター固有の特徴と組み合わせて、自由なキャラクター育成を楽しもう。
本作のゲームサイクルは、前哨基地内を自由に移動し仲間との交流や自軍の強化を行う「軍備パート」、各エピソードの最終クリア目標となるメインクエストが発生する地点までエリアを制圧しながら進軍する「進軍パート」、リアルタイムでキャラクターを操作しながら爽快感溢れる無双アクションが楽しめる「戦闘パート」の3つで構成される。
この中でも特に重要なのが軍備パート。前述した様々な育成要素はここで行えるものが多いので、しっかりと準備を済ませてから戦闘に臨もう。
キャラクター同士の交流でレベルが上昇していく支援レベルは、戦闘中でも上昇するが、ここでの会話や料理を通じて上げていくことも可能だ。支援レベルが上がっていくことで、特別な会話が楽しめる「支援会話」なども解放されていくので、ぜひチェックしておこう。
また訓練場では、所持金を使ってキャラクターレベルを上げたり、兵種レベルを上げたり、新たな兵種を獲得するクラスチェンジが行えたりする。本作は多彩な育成要素が存在するが、この施設を利用することで効率良くキャラクターを成長させていくことが可能だ。ぜひ活用してほしい。
しっかり準備を行ったあとは、軍を進めていく進軍パートに移る。進軍は「進軍マップ」から行い、マップ上で赤く表示されている地域へ進軍可能だ。エピソードには複数の戦闘地域が用意されており、ストーリーが進行していくメインクエストと、メイン以外の戦闘が行われるサブクエストが存在。また、貴重品を販売する「行商人アンナ」、報酬が得られる「調査地点」、期間限定の「エクストラクエスト」など、さまざまなイベントが発生することもある。
なお、一度制圧した地域に再び出撃することもできる。メインクエストのみを追いかけてストーリーを楽しむも良し、サブクエストも含めじっくりとキャラクター育成を楽しむも良しと、自由なプレイが楽しめる。
「FE 風花雪月」の新たな物語を体験
いよいよ発売間近となった「ファイアーエムブレム無双 風花雪月」。「ファイアーエムブレム」らしさをアクション面に落とし込んだゲームシステムに加えて、「FE 風花雪月」であり得たかもしれないもう一つの物語が楽しめる本作は、ファンなら間違いなく楽しめるはずだ。
難易度は、イージー、ノーマル、ハードの3つから選択できるほか、失った仲間は戻らない昔ながらのクラシックと、失った仲間は戦闘終了後に復活するカジュアルという2つを選択でき、普段あまりアクションゲームを遊ばないという人から、ハードなアクションゲーマーまで広く遊べる作品に仕上がっている。
異なる物語の分岐をみせる本作だが、ストーリー自体は「FE 風花雪月」と同じスタート地点から始まるので、本作からプレイを初めて興味を持ったら原作をプレイするというのも面白いだろう。3つの物語へ分岐し、長く楽しむことができる本作。気になった人は是非プレイしてほしい。