カプコンから、2023年3月24日に発売予定のPS5/PS4/Xbox Series X|S/PC(Steam)用ソフト「バイオハザード RE:4」。本稿では、東京ゲームショウ2022でのファーストインプレッションをお届けするとともに、プロデューサー・平林良章氏へのインタビューをお届けする。

目次
  1. 原作の歯ごたえはそのままに、リファインされた「RE:4」!
  2. プロデューサー・平林良章氏にインタビュー!

原作の歯ごたえはそのままに、リファインされた「RE:4」!

「バイオハザード RE:4」(以下、「バイオRE:4」)は、2005年に発売された「バイオハザード4」のリメイク版で、2020年に発売された前作「バイオハザード RE:3」から続く「RE」シリーズ3作目にあたる。

本作の主人公は、「バイオRE:2」でも主役を務めたレオン・S・ケネディ。ラクーンシティ消滅事件の後、事件の生き残りの1人であるレオンは、政府に能力を認められエージェントとしてスカウトを受けていた。つまり本作は、警官ではなくエージェントとなったレオンを操作することとなる。

まず一番気になる操作感だが、本作ではこれまでの「RE」シリーズと基本的な操作感は同じになり、Lスティックでの直感的な移動が可能。もちろんクイックターンなどの動作は残っており、本作でもクイックターンが活躍する場面は多そうだ。

というのも、「バイオ4」でもガナード(※本作に登場するクリーチャーの一種で、主に人間型のクリーチャーを指す)の数が多かった印象が強いファンは少なくないかと思うが、本作ではなんとさらに数が増えているというのだ。

そして驚くのは、このガナードの行動だ。ガナードはほぼ死者と同等のクリーチャーだが、「バイオ4」でもステップをしたり、ガードをしたりというような、人間らしい行動を取ることも多かった。

しかし今回の試遊では、なんとレオンを背後から羽交い絞めにして身動きが取れなくなった状態にしてきて、そこに更に別のガナードが襲ってくる、というようなガナード同士の連携技を繰り出してくる場面もあったのだ。

これにはさすがに驚きを隠せなかったが、そこからさらに驚くのがレオンの新アクション。脱出に成功すると、羽交い絞めにしてきたガナードを、えいやっと背負い投げしてしまう。

「バイオ4」でも蹴りなどを駆使してガナードに立ち向かっていたレオンだが、本作でより一層エージェントとして洗練されたレオンの姿に、思わず見惚れてしまう。もちろん実際のゲーム中では、のほほんと見惚れていられる場合ではないのが大半だが、心に余裕があればレオンの新アクションにも注目してほしいところだ。

と、少々話が逸れたが、こういった一連のガナードの行動により、原作の「バイオ4」で散々活躍したクイックターンも、決して出番を失ったわけではない。

今回の試遊箇所は、村の手前~村に入ってしばらくして起こる耐久戦のあたりだったのだが、クイックターンをもっと上手く使いこなせれば楽だっただろうと思う場面は、振り返ればいくつか思い当たる。

ただ、ガナードの数が増えているという点からも、まず初回は何も考えずに思うがままにプレイしてみるのが一番だ。その上で「ここはもっとテクニカルな動きで翻弄できるはず」「もっとタイムを縮められるはず」といったところに行きつけば良いのではないだろうかと感じる。

実際、「バイオRE:2」や「バイオRE:3」でもクイックターンは難易度NORMALであれば必須ではないものの、極めたいと思った時に必要となるテクニックだという印象だ。一方で原作の「バイオ4」では難易度NORMALでもクイックターンを使いこなせないと少々厳しい場面があった。

そういう点で比較してしまうと「原作よりも簡単なのか」と思われてしまいそうだが、そこは誤解がないように述べると「操作性が変わったことによって、新たな手ごたえが生まれた」というほうが正しい。ガナードの数が増えているため、より一層「敵を倒して突破する」という道は取りにくくなっているように感じられた。

レオンが原作よりも直感的に動かせるようになった分、ガナードの思考……つまりはAIも進化している。そのため、原作の「バイオ4」にはなかった新たなテクニックが必要とされるのが、「バイオRE:4」だと思われる。特に牛小屋のランプを落として牛に火を点けてガナードに突進させるというようなテクニックも実装されており、こういった細かいギミックに気づくか気づかないかでプレイヤー間に大きな差が産まれそうだ。

気づかなければ難しい、というのかというとそうではない。
だが、他人のプレイを見て「こんなこともできたのか」という驚きを得られる仕掛けがたくさんあると感じた。

また、グラフィックの進化についてはもう言うまでもない。PS4などのハードにも対応したことが発表されたが、基本的に次世代機に相応しいグラフィックであり、レオンも「バイオRE:2」の頃から更に精悍さを増している。

そして特筆すべきは、無線通信でレオンの行動をサポートしてくれるハニガンの存在だ。「バイオ4」では通信機がふたつ画面に並んでレオンと会話をするハニガンのシーンだったが、今回はより一層リアルになり、どうやらハニガンは情報管制室のようなところにいることがわかる。そしてこれまで以上に「画面の向こうからハニガンがサポートをしてくれている」と感じるような演出になっていた。

なお、元々美人だったハニガンだが、もちろんその美しさは損なわれていない。むしろ更に美人度がアップしたとも言えるだろう。

一方で、ガナードのグラフィックも美しくなり、より一層プレイヤーが嫌悪感及び恐怖感を抱くようなリファインがされている。

特に村の中心部で行われている惨劇についてはグラフィックが美しくなることによって、なかなかの迫力でプレイヤーの心を抉ってくるだろう。「抉られるんだけど、それがいいんだよな~」というのは「バイオ」シリーズのファン心理だろうと思う。そういう意味では今回も非常に容赦なく抉りにきている時点で、今後も期待をしたい。

プロデューサー・平林良章氏にインタビュー!

――レオンがすごく動かしやすくなっていて、「これだ!」という感じがしました。

平林氏:よかったです。ありがとうございます。

――プレイしていて気になったのですが、QTE(Quick time event)は残っているのでしょうか?

平林氏:まず、最初にシンプルにお伝えすると、QTEはなくなっています。ただ、お客様にとってのQTEが人それぞれ意味合いが少し違うケースがあるんですね。

私たちの思うQTEというのは、ムービーやカットシーンの途中にボタンが出て押すことを強制されるようなものです。そういう要素は、原作から今作に変わる点として無くしています。何かシチュエーションがあって、それに対してボタンを押しましょう、ということは突発的に起きるので、お客様によっては、それ自体をQTEと感じられるかもしれません。

なので、「QTEはありますか?」のアンサーは「QTEはほとんどございません」というお答えが一番しっくりくるんじゃないかと思います。

――なるほど。私としては、石が転がってきてイベント中に咄嗟に回避するQTEなどを指していたので、そういう意味合いでは「ない」ということになりますね。

平林氏:そうなります。

――一方で、ガナードに襲われて捕まれたときにナイフで反撃しますが、それも捉えようによってはQTEといえばQTEと言えてしまうと。

平林氏:そういうお客様もいらっしゃると思いますが、僕たちの扱いとしてはナイフを使った多彩なアクションのカテゴリーの中の一つで緊急回避をしている、というような通常アクションの派生なんですね。

なので、掴まれたときにそれを引き剥がすという行為自体は一連のゲームの汎用の動きの中で管理をしていて、そこに選択肢としてナイフの耐久度がまだあった場合、ただ引き剥がすだけではなく、緊急的な回避をナイフを使って相手にダメージを足し込みしながら引き離すこともできます。

「さあ、どちらを選びますか?」という掴み挙動の中の一つなんですね。

――今、聞き逃せないワードが出てきましたね……。てっきりナイフは使い放題だと思って確認を怠ったのですが、今回のナイフには耐久度があるのでしょうか?

平林氏:そうなんです。ナイフの下に小さなバーがあるのですが、ナイフのアクションを色々とすると、少しずつ刃こぼれするようなイメージを持っていただければと。ある程度刃こぼれしてしまったら、一旦ナイフは使えません。

ナイフの下にゲージらしきものが。これが耐久度だと思われる。

――では、ナイフまたどこかで拾う感じでしょうか?

平林氏:レオンが持っているメインのナイフは、折れてしまっても武器商人のところで修理することができます。

その他メインのナイフではなく、使い捨てとして消費するためのナイフというものも、別のナイフとして拾うことがたまにできます。

――つまり、ナイフは二つのタイプがあるということですか?

平林氏:タイプとしてはですね。種類としてはもう少し多いんですけれど。

――なるほど、単純に2種類ではないと。でもその分、持ち物欄を圧迫するということですよね。

平林氏:もちろん、持ち物欄に入るので、プレイヤーのみなさまにはよく考えていただきたいですね。どういう風なプレイスタイルで遊ばれるかは、みなさま次第です。

――種類はあれど、それを使うか使わないかもプレイヤー次第と。

平林氏:はい。我々は、原作の素晴らしい場所のひとつが、お客様ごとのプレイスタイルを許容できるレベルデザインだったりゲームデザインだったと考えています。

「この部分では、必ずこの武器でこう戦わないとクリアできないですよ」というステージは殆どなくて、私はこんな戦い方、僕はこんな戦い方というのがあって、「僕のこの戦い方だとちょっとこのステージは難しいからやり方を変えて見よう。よし、できたぞ!」というような、プレイヤーのみなさまに対して選べる手段の多彩さというのは目指しています。

その中のひとつとして、ナイフを使うということの様々なアクションのバリエーションというのは、原作以上に増えています。

――いま、プレイしてみた時にガナードの数が多いなと感じたのですが、ガナードの数は原作から変更していないのでしょうか?

平林氏:(嬉しそうに)実はですね!まったくもって数が違います!

ゲームキューブ版、PS2版、どちらと比べたとしても、本作の先ほど戦った村の集会所でのガナードたちの数は原作よりも全然多いです。

――なんだか多い気はしていたんですよね。さすがに「ここに一体いる」程度のことは覚えているんですけど、たくさん出てくるところのガナードの正確な数までは覚えていなかったので……。

平林氏:でも、人の記憶ってそんな感じなんです。前作って村にいくと、いろいろな得体の知れない村人から囲まれたって記憶ありませんか?

――あります、あります。

平林氏:それは人数感じゃなくて、囲まれたという記憶なんですよ。

今回試遊していただいた場所は、そういう得体の知れない人たちが、あっちに逃げても出てくる、こっちに逃げても出てくるみたいな、囲まれてる感というのがコンセプトとしてあった場所なので、非常に気をつけて作ってます。

――やっぱり多かったんだ、ということにちょっと安堵しています(笑)。でもただ増えているだけじゃなく、ガナードの動きにも変化をつけているような……。

平林氏:そこから更に踏み込むと、ガナードたちのAIの部分にもなってくるんですけれど、例えばただ何も考えずに、そのまま後ろからずっと永遠に追いかけてくるのではなく、キャラクターが逃げたら回り込むような動きとかしたりするようにしています。

とはいえ、大きな空間なので、いろいろなボリューム感、敵の印象という部分はディレクターの安保(※安保康弘氏)のほうがすごい意識して、多ければいいというわけではなく、囲まれている感が適切に演出されるように、エネミーをセットしているんですけど、その結果、セット数は多いですね。

――そうなんですね。ということは、戦わずに逃げるという選択肢も考えていかないと難しくなってくるということでしょうか?

平林氏:もちろん、そのような上手い戦い方も許容できるように作っています。ただ、僕らのメッセージとしてはただ「逃げろ」ではなくて、戦いながらどう切り抜けていくかという部分は許容できる作りになっています。

なので、逃げ続けてもクリアできますし、頑張って敵を倒してもクリアできます。

――では、先程の場所で敵に囲まれた際も、倒そうと思えばすべての敵を倒せるということでしょうか?

平林氏:クリア条件の話になってしまうので回答が難しいところですが、ちゃんと一体一体頑張れば倒せます。しかし、それがすべてか、と言われたらお答えしづらいですね。

向き合って対峙することもでき、危険をどう回避しながら生き延びようとするかもできるので、こういう選択肢はお任せいたします。

――ガナードの強さは原作から変わっているのでしょうか?

平林氏:原作も皆様のプレイ状況によって、色々とゲームとしての強度が変わるようにシステムが組まれていたので、なかなか一様には表現しにくいのですが、今回はやれることも増えている一方、原作と同じくらいのしっかりとしたやりごたえというのは準備しています。それで、お客様のプレイの上手さに対して、ある程度のゲームの内部的な調整というのは入っています。

最初は大きなカテゴリーとして難易度を選んでプレイをはじめてもらって、そこでプレイしていただいて、ちょっとしたミスで窮地に立つとか、突然手詰まりにならないように少しアジャストするような形になります。原作と同じくらいという風にご理解していただきつつ、歯ごたえあるサバイバルはしていただけるようには作っています。

――私は、先ほどチェーンソーをもったガナードに見事にやられまして……。

平林氏:なるほど。チェーンソーは、原作よりもちょっと強いかもしれないですね!後ろから羽交い締めにされたと思うんですけれど、今回、ガナード同士が連携しようとしてくるんですよ。敵の方にもチームワークがあるので、そこはうまく自分のなかで対応を生み出せば、もっと戦いやすくなると思います。

――それはとても驚きました!こんな風にされたら逃げられないですよ、って(笑)。

平林氏:今回は初見でやっていただくと突然後ろから羽交い締めにされるので、「ハメじゃん!?」となるとは思いますが、「ハメ」ではありません(笑)。

――あの羽交い絞めは、背後に気をつけていれば回避できるものなのですか?

平林氏:そうですね、自分の背に敵を置かないとか。

あとはもう羽交い絞めにされたら、脱出ボタンをとにかく連打していただくとか、ある程度は皆さんの努力で、羽交い絞めからのチェーンソーは回避できます。他にも色々とみなさんなりの答えを出していただけるように作っていますので、試してみてほしいですね。

――ちなみにレオンのアクションが原作よりもカッコよくなっていますね。ここはこだわって作成された部分なのでしょうか?

平林氏:レオンがそこに息づいているというのを、原作以上に表現したいというのがチームとして目指した部分でしたね。なので、レオン自体がもっている動きの部分で膨らませたのはあります。

――樽や箱を壊した時にでてくるアイテムは固定でしょうか、ランダムでしょうか?

平林氏:ランダムですね。正確にはランダムというか、プレイヤーの状況にあわせて、ある程度の振り幅を持たせてコントロールしています。

――ということは、弾が足りなさそうな状況なら、弾がでるみたいな?

平林氏:振り幅があるので、そうなるかどうかは分からないですけどね(笑)。この状況になったら必ずこのアイテムがでるわけではないという、だいたいこんな感じです。ランダムだといって差し支えないでしょう。

――まだ先の部分のお話ですが、アシュリーを連れているところがかなり難しかったのですけれど、本作ではどのような調整がされているのかとても気になっています。

平林氏:全体としての歯ごたえは変えていないです、というのが答えになるかなとは思います。

どのシーンが難しいか簡単か、というのは“点”で、お客様に感じていただくものではないと考えています。そこについては全体の流れとして受け取っていただけると嬉しいです。「原作にあった歯応えは今作でも踏襲させていただいてます」とご理解いただけたらと思います。

ただ、歯応えといっても、そこで挫折させたいわけではありません。明らかに難しいと感じる場合には、ゲーム難易度でやりやすいものを選んでいただけたらと思います

――それはいわゆる「EASY」とか「NORMAL」とかの難易度ですよね。

平林氏:そうなりますね。それでも苦戦されるお客様がいるという状況については内部的に把握するので、多少のアジャストが入るという感じでしょうか。

――なるほど、ありがとうございます。個人的に原作の「バイオ4」は、クリアにすごく時間がかかってしまった思い出があったので、気になったところでした。最後に「バイオRE:4」を楽しみにしているファンに一言いただければと思います。

平林氏:原作をプレイされて楽しみにされている方とか、名前は聞いたことがあるけれども、これを機にちょっと気になるからやってみようかなと思われている方、それぞれのご事情もあるかと思うんですけれども、懐かしくも新鮮な気持ちでプレイをしていただけることが、「RE」シリーズとしてリメイクの流れを組んでいるものとして常に目指しているところです。

今回の「バイオRE:4」についても同じように鮮度ありつつも、懐かしさを感じてもらえるようなものになるようチーム一同頑張っておりますので、ぜひ期待してお待ちいただければと思います。

――ありがとうございました。

バイオハザード RE:4

カプコン

PS5パッケージ

  • 発売日:2023年3月24日
  • 18歳以上のみ対象
バイオハザード RE:4

バイオハザード RE:4

カプコン

XboxSXダウンロード

  • 発売日:2023年3月24日
  • 18歳以上のみ対象

バイオハザード RE:4

カプコン

PCダウンロード

  • 発売日:2023年3月24日
  • 18歳以上のみ対象
  • Steam

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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