バンダイナムコアミューズメントは、「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 クロスブースト」の公式大会「PREMIUM DOGFIGHT 2022」の全国決勝大会を、2022年12月10日にMIRAIKEN studioで開催した。大会の模様と、優勝チーム・開発陣へのインタビューを掲載する。
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最初に行われた予選では、全国の予選を勝ち上がった64チームが出場。4チームごとの8つのプールに分かれ、2敗すれば敗退となるダブルエリミネーション方式で行われた。予選はとくに機体のバリエーションが豊かで、ガンダムXやデルタプラス、ギャンといった普段の対戦ではなかなか見かけない機体も多数エントリーされており、プレイヤーの凄まじいやりこみを感じさせる、見ごたえのある試合が何度も繰り広げられていた。
今回のPDFは、決勝トーナメント用の本会場の他、予選会場と選手の控室も兼ねたライブビューイング会場に分かれており、ライブビューイング会場では予選時点で凄まじい盛り上がりが形成されていた。
予選を勝ち抜いた8チームによる決勝トーナメント
予選プールを勝ち抜いた8チームによる決勝トーナメントでは、コーリー(郡 正夫)さんと植田佳奈さんがMC、なかおさん、みやぎさんが実況・解説を務め、プロデューサーの中館氏、大久保氏も加わって行われる。
ここからは試合時間が270秒に延長され、2本先取の勝ち上がりトーナメント方式で実施される。また各チームの組み合わせはクジ引きではなく、登壇したチームから順番にトーナメントのどの枠で戦いたいかを指定する流れで決定されていた。
決勝トーナメントの初戦となる準々決勝では、「あんたのこと10年遊ばせた。」と「天国のふっくさんへ」、「カコクナクロスブースト」と「毎日練習」、「圭吾のクロックス」と「クロスブースト最高!!」、「ドニキ広報宣伝部」と「専業」がそれぞれ激突。
中でも接戦を繰り広げて会場を沸かせていたのが、3戦目に行われた「圭吾のクロックス」と「クロスブースト最高!!」チームの対戦。アッガイ(ハマーン搭乗)&カバカーリーという「圭吾のクロックス」に対し、「クロスブースト最高!!」はRX-93ff νガンダム&ジャスティスガンダムの編成で対戦が行われた。
試合がスタートすると、ナスタン選手のアッガイ(ハマーン搭乗)が凄まじい速度で突撃し、ジュニア選手のカバカーリーは後方からそれを援護するというコンビネーションで、試合序盤からちゃんるい選手のRX-93ff νガンダム、Re-sinon選手のジャスティスガンダムを瞬く間に撃墜し、圧倒的に優位な状況を形成。そのままリードを保つ形で、1本目を先取する。
先に行われていた1・2戦目では、最初の試合を制した「あんたのこと10年遊ばせた。」と「毎日練習」チームが共に勝ち上がる流れになっていたこともあり、このまま「圭吾のクロックス」の流れとなるかと思われたが、「クロスブースト最高!!」が2戦目から見事な対応を見せる。カバカーリーの耐久を早めに削りきる作戦で2戦目を勝利し、1-1のイーブンへと持ち込む。
続く3戦目では「圭吾のクロックス」チームが中盤までスコア優勢を保つも、上空高くに逃げようとしたジュニア選手を、ちゃんるい選手がRX-93ff νガンダムの上方向に飛び上がる特殊格闘をうまく使って撃墜。これで一気に勝負の行方が分からなくなったかと思った瞬間、ほぼ同じタイミングにナスタン選手がRe-sinon選手を撃墜し、再び形勢は逆転。最後はそのままスコア有利を保って「圭吾のクロックス」が逃げ切るという、劇的な試合が繰り広げられていた。
準決勝は共に3戦目までもつれ込む接戦が続く
準決勝では、まず「あんたのこと10年遊ばせた。」と「毎日練習」チームが激突。中でも注目を集めていたのが、2017年のPDF優勝の実績をもつ人気プレイヤー・みねね選手のダブルオークアンタフルセイバー。それまでの予選でも圧倒的な1on1での強さを披露し会場を沸かせていたみねね選手だったが、1戦目でもミナミナ選手のRX-93ff νガンダムを相手に強気の攻めを見せ、試合の主導権を握る。「あんたのこと10年遊ばせた。」チームも後半から持ち直し、EXバーストを使っての逆転を狙うも、ダブルロックを受けたGBH選手が空中に飛び上がりながら粘り強い捌きを見せ、「毎日練習」が1本目を先取する。
しかし、2戦目からは「あんたのこと10年遊ばせた。」チームに形勢が逆転。GBH選手のジャスティスガンダムに攻撃を集中させ、みねね選手が前に出にくい展開を作り出して2戦目に勝利して状況をイーブンに戻せば、続く3戦目では、けすとま選手がスターゲイザー最大の強みであるオラージュ・ド・リューヌで大暴れ。シールドを出して動きを止めざるを得なくなったみねね選手とGBH選手の背後に素早く回り込んで的確にダメージを奪いつつ、「あんたのこと10年遊ばせた。」チームが見事な逆転勝利を納める。
一方、その後の「専業」と「圭吾のクロックス」の対戦では、準々決勝と同様にナスタン選手のアッガイが前衛、ジュニア選手のカバカーリーが後衛を務める「圭吾のクロックス」に対し、ぱん選手のジャスティスガンダムがカバカーリー狙いを徹底。じわじわとカバカーリーの耐久を削っていき、アッガイとほぼ同じタイミングにカバカーリーも撃破し、アッガイが孤立せざるを得ない状況を作り上げ、盤石の流れで「専業」チームが1勝を先取する。
続く2戦目も1戦目とほぼ同様の流れでスタートするが、今度はジュニア選手のカバカーリーが耐久を完璧に残した見事な立ち回りを見せ、「圭吾のクロックス」がリードを奪うという対照的な展開に。それでも「専業」チームは、瀕死から怒涛の粘りを見せ、残すは空中でオーバーヒート中の瀕死のカバカーリーのみという、もはや勝利は目前という状況にまでひっくり返すことに成功。しかし、空中高くに逃げたカバカーリーを追いかけようとしたこざやま選手が、カバカーリーのジーラッハ呼出で形成された広範囲へのビーム攻撃に引っかかってしまい、あと一歩のところで敗北。「圭吾のクロックス」も1勝を掴み取る。
準決勝最後の試合となる3戦目では、カバカーリーが耐久を残しつつ1on1でダメージを奪っていく、「圭吾のクロックス」チームペースの2戦目とほぼ同じ流れで進行していく。そんな中、流れを変えたい「専業」チームはダメージ覚悟で攻撃をジュニア選手に集中させ、カバカーリーを先に撃墜する初めての流れを作り出すことに成功。さらに直後のカバカーリーのEXバーストの時間を、こざやま選手がRX-93ff νガンダムのプレッシャーで無力化したことで一気に流れは「専業」チームへと傾くことに。もう3000コストの2落ちを狙わざるを得なくなった「圭吾のクロックス」チームのダブルロックを、EXバーストを温存していたこざやま選手が捌き切り、最後はスコア優勢を維持した「専業」が勝ち上がりを決めた。
RX-93ff νガンダムのミラーマッチとなった決勝戦を制したのは
決勝へと進んだのは「あんたのこと10年遊ばせた。」と「専業」の2チーム。決勝戦では、これまでとは異なり試合時間は無制限・3本先取側が勝者となるルールによって行われた。
共に3000コストにRX-93ff νガンダムを置いた同士での対決となった一方、相方はスターゲイザーとジャスティスガンダムという編成の違いも。試合時間が無制限となる決勝戦のルールにおいては、試合時間が伸びるほどスターゲイザーの時限強化を多く回すことができるため、ルールとの相性的には「あんたのこと10年遊ばせた。」チームがやや有利かと思われた。しかしいざ対戦が始まると、「専業」チームが圧倒的な強さを見せる。
これまで数多くのトッププレイヤーを圧倒してきた、けすとま選手の時限強化中のスターゲイザーの攻めに、ぱん選手のジャスティスガンダムが完璧に対応。試合終盤までほぼダメージを受けていないという抜群の安定感で、1戦目は「専業」の快勝に終わる。
さらに2戦目も、こざやま・ぱん両選手の守りをなかなか崩しきれない、「あんたのこと10年遊ばせた。」チームには苦しい展開が続く。終盤はEXのバーストを温存しながらチャンスを作るも、耐久に余裕を残していたこざやま選手の強気の攻めからは逃げ切れず、「専業」チームが2戦目も勝利。いよいよ後がない状態にまで追い込まれる。
第3戦では、ぱん選手のジャスティスガンダムを序盤で撃墜し「あんたのこと10年遊ばせた。」チームがついにペースを掴む。しかし、「専業」チームはEXバーストも絡めたじわじわとした射撃戦でけすとま選手→ミナミナ選手の順番で撃墜すると、少しずつ形勢を逆転させていく。
コスト的には有利になった「専業」だったが、こざやま・ぱん選手の耐久は共に残り僅かという、まったく気がぬけない状況が続く。そんな中、自身を落とそうと近づいてきたミナミナ選手に繰り出した迎撃用のプレッシャーがヒットしたことを確信したこざやま選手が、即座にEXバーストを発動。ダメージ確定の速さに優れたRX-93ff νガンダムのバーストアタックで一瞬でミナミナ選手を撃破するという鮮やかな勝利を納め、「専業」チームが見事PDF2022の王座へと輝いた。
優勝の喜びを語るぱん選手とこざやま選手。ぱん選手は2017年のPDF、こざやま選手は GGGP2022のシャッフル部門に続き、共に2度目の大型大会優勝となる。 |
惜しくも決勝戦で敗れたミナミナ選手とけすとま選手。予選トーナメントでは、 一度ルーザーズに落ちてからの勝ち上がりだったこともあり、ここまで来られたことを喜んでいた様子だった。 |
また優勝・準優勝チーム以外にも、特別賞として「毎日練習」チームに植田佳奈賞、「首長ニキと酒豪ニキ」チームにベストエンターテイナー賞、「パッドデュナメス」チームに敢闘賞、「フルコーンコレン」&「過酷なクロスブースト」チームにベストバウト賞、「ドニキ広報宣伝部」にベストコンビネーション賞、「圭吾のクロックス」ユニークプレイヤー賞が、それぞれ授与されていた。
その後会場では、νガンダムHWSの新規参戦と、エクストラGチャレンジにはZガンダム(ルー搭乗)の復活参戦が発表。詳細は以下の記事を参照して欲しい。
さらにサプライズとして、大会の最後にはアーケードの次回作となる「機動戦士ガンダム エクストリームバーサス2 オーバーブースト」が開発中であることも発表された。
稼働時期などの詳細はまだ明かされなかったものの、新たな機体も登場するとのことで、公開された映像では、「ガンダムビルドダイバーズRe:RISE」に登場するコアガンダムの換装形態(アースリィガンダム、ジュピターヴガンダム、ヴィートルーガンダム、マーズフォーガンダム)と思われるMSも確認できた。
また大会終了後には、優勝を飾った「専業」チームと、プロデューサーの中館賢氏と制作プロデューサーの大久保人氏にインタビューも実施。大会の感想や、開催までの想いも聞くことができた。
中館賢氏&大久保人氏インタビュー
――大会を終えてのご感想をお願いします。
中館氏:まずPREMIUM DOGFIGHTは、「EXVS.」シリーズ恒例の、プレイヤーの腕が習熟したあたりのタイミングで実施する、もっとも力を入れた公式大会という位置づけです。
その上で「クロスブースト」は、コロナ禍の最中でのリリースされたタイトルで、ゲームセンターも一時休業になったりとたいへんな時期ではあったのですが、皆さんに盛り上げていただいたおかけで、どうにかここまでたどり着くことができました。状況的にも、ようやくリアルイベントが開けるようになり、我々としても強い想い入れがあった大会を、やっと実現できたと思っております。
大久保氏:大変に困難な状況の中で、開催前には「どれだけ人を一箇所に集められるのか」、「あまり大人数を店舗さんに集めるのはどうなのか」といった課題もあったのですが、できるだけ規模をコンパクトに抑えつつ、リモート的なやり方も活かした演出で盛り上げられないかと考え、今回の3分割(予選・本戦・ライブビューイングの3会場)形式で開催させていただきました。
当初は本当に回せるかとか、盛り上がるのかという懸念もあったのですが、サッカーをパブリックビューイングで観戦しているような感覚で現場の盛り上がりを感じられましたし、元々(MIRAIKEN studioが)演出部分でもいろいろできるように作られていた場所だったので、楽しんでいただけたのではないかと思います。
ただ、やっぱりどこかのタイミングで、また皆で集まって盛り上がれる一体感のある大会が開ければいいなという想いも残っていますね。
――様々な名勝負が繰り広げられていた大会でしたが、とくに印象に残っている試合を教えてください。
大久保氏:基本的に自分はライブビューイング会場で観ていたこともあって、予選終盤のヒルドルブが最後にAPFSDS弾を当てて勝ったシーン(「ドニキ広報宣伝部」と「パッドデュナメス」チームの試合)は、やっぱり印象に残っていますね。
あとは「フルコーンコレン」チームと「カコクナクロスブースト」チームの試合では、前回大会(PDF2019)での盛り上がりを思い出しました。あの時は臥煙選手のフルアーマーユニコーンが最後に格闘を刺して勝利していたのが、今回はそれを止められた構図だったのも印象深かったです。
中館氏:具体的にどれというよりは、予選の中で会場が一体となって盛り上がった瞬間が何度もあったので、そのあたりは印象深いですし、集まってくれた選手の皆さんと盛り上がりを共有できたのは良かったですね。
大久保氏:大会前は、「もし盛り上がらなかったらどうしよう」みたいな話もしていましたからね(笑)。
――今回は今までのPDFと比較しても、機体のバリエーションが豊かだったという印象を受けました。
大久保氏:結果的に様々なMSで出場していただけて、観ている側としては色々なバリエーション豊かな試合を楽しめたのは良かったのではないかと思います。
一方で調整がギリギリのタイミングになってしまい、皆様に苦労をおかけしてしまった部分もあったのですが、大会に出場されないお客様にも楽しんでいただくため、ゲーム全体の環境を含めて提示させていただいた結果が、今回のラインナップになったという形でした。
結果としてはうまくいった部分もありつつ、苦労をおかけしてしまった反省もあり……というのが実感ですね。
――大会の最後には、次回作となる「機動戦士ガンダム EXVS.2 オーバーブースト」が発表されるサプライズもありました。
大久保氏:現状ではまだ詳細なお話はできないのですが、まずは制作中だということを伝えさせていただいた形です。最初にアースリィガンダムが写った時、クロスブーストの新機体かと思われた方もいたかもしれませんが、実は次回作でしたと。来年以降の話なるかと思いますが、他の参戦機体も含めて発表できる時期が来ましたら、また改めてお話させていただければと思います。
――「オーバーブースト」という名前にはどのような意味が込められているのでしょうか。
中館氏:これまでの「EXVS.」シリーズを越えて、さらに上を目指すという意味合いを込めて「オーバーブースト」というタイトルで開発中ですので、ご期待いただければと。
――SNSでは、早くも「オバブ」の略称で定着しつつありますね。
中館氏:開発チーム内でも、多分「オバブ」になるんじゃないかという話はしていました(笑)。
大久保氏:これは過去作もそうなのですが、省略した時に呼ばれやすいタイトルにするということは意識しています。「エクバ2」の時は少し略しにくくて、「バ2」と呼ばれたりもしていましたので、「マキオン(PS4版)」や「クロブ」の時は、公式からハッシュタグを提示させていただいていました。
――ありがとうございました。
優勝チーム「専業」(ぱん選手・こざやま選手)インタビュー
――大会を終えて、現在の心境はいかがですか。
ぱん選手:一応、2度目の優勝ということで嬉しいです。結果的にまた低コスト(主に後衛を務める事が多い分類)で優勝という結果になったんですが、実は最初は低コストに乗るつもりはあんまりなかったんです。まだ勝った気がしていないのが正直なところで、まだまだ次回大会に向けて頑張れればいいなと思っています。
こざやま選手:自分はPDFには出るのが初めてだったので、初めてで優勝という結果を残すことができて、めちゃめちゃ嬉しいです! 次回作もあるみたいなので、次回作に向けてまたいっぱいプレイしていこうと思っています。
――今回の決勝トーナメントは試合の順番を自分達で決められるこれまでと違った形式で、最後の対戦枠を選ばれていました。
ぱん選手:順番決めで1番目を引いたので、あんまり選ぶ意味はなかったんですが(笑)。できるだけ試合を見たいなと思ったので、一番最後を選びました。
――お二人がコンビを組まれたのはどういうきっかけだったのでしょうか?
ぱん選手:普段お互いソロでやっていて、こざやまくんがTwitterのDMで声をかけてくれたのがきっかけでした。組む人もいなかったのでちょうどいいなと(笑)。
――大会期間中に調整も行われ、いろいろ迷った部分もあったのではないかと思うのですが、RX-93ff νガンダムとジャスティスガンダムを選んだ理由を教えてください。
ぱん選手:結局この2機が一番バランスよく行けるかなという結論でした。時限強化機体に対してはあまり有利だとは思っていなかったんですが、それも勝てないこともなかったですし、他の機体との相性も含めて全体を見た時にこれがベストだなと。
こざやま選手:自分はもう機体選択も含め、ぱんさんに全部任せていたので(笑)。福岡νガンダム(RX-93ff νガンダム)とジャスティスにするということだったので、ならそれで行きましょうとすんなり決まりました。
――大会を通して一番印象に残っている試合を教えてください。
ぱん選手:僕は準決勝のジュニア選手・ナスタン選手(「圭吾のクロックス」)との対戦ですね。とにかく開幕の流れが悪くて、途中から負けのイメージが頭の中にあったくらいだったんですが、なんとかギリギリで勝てて良かったなと。不利な状況から我慢しきって勝ったような試合でしたが、自分は多分、他の人より我慢は得意な方だと思っているので、自分のいいところを出せた結果かなと思ってます。
こざやま選手:自分も同じで、ジュニア選手・ナスタン選手との準決勝ですね。あの時は、最後どうしようかかなり迷っていたんですが、自分の考えを(ぱん選手に)伝えて、その作戦で勝てたというのも一層嬉しかったです。
――ありがとうございました。次回大会でのご活躍も期待しています!
(C)創通・サンライズ
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