アイディアファクトリーが、ゲームブランド・ALTERGEARから2022年12月8日に発売したNintendo Switch用ソフト「滄海天記(そうかいてんき)」のプレイレポートをお届けします。

目次
  1. 神を失い、闇に閉ざされた世界を救うため少年たちは旅立つ
  2. 記憶を失った少年・ミナトが絆を育む仲間たち

本作は、友情や絆を主軸に置いた男性キャラクターたちのストーリーを展開する「ALTERGEAR」が手掛けるアドベンチャーゲームの第1作。企画・監修を東映アニメーションとプラス81、メインキャラクターデザインをイラストレーターの悌太氏、三貴神のキャラクターデザインをムラシゲ氏、シナリオを中条ローザ氏、オープニング主題歌をGARNiDELiAが担当しています。

舞台作品も展開中で、2021年には前日譚の「滄海天記・序篇~天月、闇に墜つ~」、2023年2月には物語が大きく動き出す「滄海天記 ~陽炎篇~」も公演予定。ゲーム版と同じキャストが演じているキャラクターもいるので、より深く物語を楽しめますよ。

神を失い、闇に閉ざされた世界を救うため少年たちは旅立つ

本作の舞台は、日本の戦国時代によく似た「和ノ国」。主人公である少年・ミナト(CV:山下大輝)は、本土から遠く離れた印岐島(いきしま)へ罪人として送られる舟の上で目を覚まします。ミナトには自分の名前以外の記憶がなく、これまでどのように過ごしてきたのか、どうして印岐島に来ることになったのかも分からずにいました。

そんなミナトの前に現れたのが、島の子供たちであるカズヤ(CV:石川界人)とナギサ(CV:谷佳樹)です。いつかは島を出て水軍となる夢を抱くカズヤと、航海術の才能を秘めたナギサはミナトが犯罪者ではないと信じ、印岐神社で働くレイジ(CV:梅原裕一郎)へと引き合わせました。責任感が強く何事にも毅然としたとした態度をとるレイジもミナトの真っすぐな心根を理解し、迎え入れてくれます。

水軍として特訓を始めた面々はふとしたきっかけで、本土から現れたゲント(CV:鮎川太陽)に出会いました。彼は昼がどんどん短くなり、夜が伸びていく謎の現象を解き明かすため、まだかろうじて昼が残された印岐島にやってきたと言います。そうして穏やかに過ごしつつも不安を抱えていたミナトたちの前に突如、蘇った屍人――「屍鬼」が現れて島民を蹂躙していきました。屍鬼によって命を落とした者は同じように人を襲う化け物と成り果ててしまうため、少年たちは辛い決断を迫られます。

ミナトたちは元織田軍の武将で、戦う術を教えてくれた九鬼嘉隆(CV:福山潤)の助けによってかろうじて島を脱出。その原因が第六天魔王となった織田信長(CV:沖野晃司)にあると知り、打倒を誓う……というのが物語の始まりです。とはいえ織田信長や彼に仕える宇喜多直家(CV:橘龍丸)の持つ力は圧倒的なうえ、仲間たちにもそれぞれ秘密や考えがあるため戦いに向けて一枚岩ともいきません。そんな彼らが胸の内に抱えるものは何なのか、どのように立ち向かっていくのかが物語のクライマックスとなります。

そして、伊邪那岐から生まれた神々の動向もポイントのひとつ。乱世の中で消息が分からなくなってしまった夜を司る月読命(CV:酒井広大)を探すため、太陽を司る天照大御神(CV:霜月紫)、海を司る須佐之男命(CV:須藤翔)は、人間の巫子を依り代として現世に降り立ちました。その選ばれた巫子のひとりが、ミナトの兄であるカゲロウ(CV:高崎翔太)です。しかし現在、カゲロウや神々は思うように動けずにいて、その状況を打破する鍵はミナトの失われた記憶にある様子。ミナトの存在が人間と神、双方とどのように関わっていくのかも見どころですよ。

システムとしては、いくつかの選択肢によって物語が分岐するオーソドックスなテキストアドベンチャーゲームとなっています。選択肢によって円盤が回転して月と太陽が現れたり、該当キャラクターの親密度がアップしたりして物語の方向性や結末が変化。時には厳しい展開も待ち受けますが、クイックセーブ&ロード、バックログ、既読&未読スキップ、オートモード、選択肢ジャンプといった機能も充実しているので、諦めずに絆を深めたい相手との未来を掴みましょう!

記憶を失った少年・ミナトが絆を育む仲間たち

ここからは、キャラクターについて紹介していきます。ミナトは一切の記憶がないものの、元来の礼儀正しさと優しい性格で出会ったばかりのカズヤたちともすぐに打ち解けます。覚えがないのに戦いに慣れた自身へ戸惑いながら、過酷な運命を知っても逃げることなく戦い抜こうとする芯の強さが魅力に感じられました。

レイジは神社の宮司を補佐する禰宜(ねぎ)という役職で、とても信心深い若者です。一見、厳しい物言いが目立ちますが、実は困っている人を放っておけない人情家で、仕事も住む場所もないミナトへ手を差し伸べてくれました。とくに厳しい言い方をするときの声のトーンと、穏やかで柔らかな声のトーンのギャップに注目です!

カズヤはミナトが目覚めて最初に出会った人物の1人で、ミナトがとっさに見せた武芸の腕を見込んで水軍に誘います。ミナトがレイジと出会えたのもカズヤの計らいで、兄弟がいるためか同年代の中でもお兄ちゃんっぽい言動が目立ちます。明るい性格で、感情表現は悲しみや怒りも含めてかなりストレート。そんなカズヤがさまざまな出来事を経て、どう成長していくのか最後まで見守りたくなりました。

ナギサはカズヤの幼馴染で、やや大人しめながら好奇心旺盛な少年。周囲と比べて力で劣ることを気にしていますが、航海術をはじめさまざまな知識を吸収していく天才肌でもあります。しかしナギサの知識欲がもたらすのは、いい結果だけとは限りません。自身の願望や結果とどう向き合うのか、とても心情が気になるキャラクターですよ。

日が昇らなくなった本土からやってきたゲントは、嘉隆のような武人にも物怖じしない胆力や、確かな腕っぷしを備えた頼りになる存在です。一方ミナトと顔見知りのようなそぶりを見せたり、あえて引っかかるような言い方をしたりと気になる部分は多いものの、ゲント自身が多くを語ることはありません。彼が気になったら、とにかく突き進んでいくのをオススメします!

カゲロウについて語れる部分はあまり多くありませんが、弟のミナトにとっても、兄のカゲロウにとってもお互いが唯一の存在です。過去に何があったのか、今はどうなっているのか、これからどうなるのか……キャラクター個人としても、物語の行く末としても興味をそそられました。

また主要キャラクターではないものの、序盤からミナトたちへ何かと手を貸してくれる嘉隆と、彼と深い因縁がある村上水軍の頭領・村上武吉(CV:小野友樹)の関係性も見逃せません。彼らのような大人の男性が少年たちにどのような影響を与えていくのか、こちらも注目です。

本作はジャンルを「少年たちの絆ADV」としているとおり、お互いの信頼関係や心の触れ合いを丁寧に描いています。一緒に過ごし、笑い、泣き、困難を乗り越えた先で生まれた、何物にも代えがたい絆。ある程度は特定の相手にフォーカスした展開もありますが、主人公のミナトを中心としつつ、それぞれのキャラクター同士が織りなす友情にも胸が熱くなりました。王道の少年漫画のような、清々しいストーリーを楽しみたい人にオススメの1本です。

滄海天記

アイディアファクトリー

Switchパッケージ

  • 発売日:2022年12月8日
  • 15歳以上対象
滄海天記

滄海天記

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  • 発売日:2022年12月8日
  • 15歳以上対象

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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