MAGES.は2023年1月29日、約3年ぶりとなる大型ライブ・イベント「MAGES;FES 2023」をチームスマイル 豊洲PITにて開催した。

今回はMAGES.の作品に関連する8組のアーティストに加え、科学アドベンチャーシリーズ屈指の名作「STEINS;GATE」、2022年に10周年を迎えた「ROBOTICS;NOTES」、そして2022年発売のシリーズ最新作「ANONYMOUS;CODE」に出演したキャスト陣もゲストとして出演。しかも、最新の新型コロナウイルス感染拡大防止対策ガイドラインに準じて、マスク着用時に限り公演中の声出しや声援等が可能となり、あの感覚が蘇る熱く楽しいステージとなった。

出演者(敬称略)

【アーティスト】
亜咲花
彩音
いとうかなこ
cadode
純情のアフィリア
Zwei
FRAM
松澤由実

【ゲスト】
今井麻美
関智一
名塚佳織
千葉翔也

「MAGES;FES 2023」のトップバッターを飾ったのは、いとうかなこさんだ。お馴染みのイントロから「Hacking to the Gate」(TVアニメ「STEINS;GATE」オープニングテーマ)で熱いライブの火蓋を切る。ゲームの楽曲を歌い始めてから20周年を記念したオリジナルアルバム「ありがとう」がちょうどこの日(1月29日)にリリースしたいとうさんは、変わらぬ力強さで、みんなのボルテージをあげていった。

観客の表情や解禁された歓声に嬉しそうな表情を浮かべると、今度は「GAME OVER」(ゲーム「ANONYMOUS;CODE」(Switch/PS4)オープニングテーマ)を披露。サビの〈GAME OVER〉の言い方も印象的で、格好良さと熱さ全開のステージを見せた。

2番手で登場したのは、純情のアフィリア。「La*La*Laラボリューション」(ゲーム「STEINS;GATE 比翼恋理のだーりん」(Xbox 360)オープニングテーマ)と「S・M・L☆」(TVアニメ「俺の脳内選択肢が、学園ラブコメを全力で邪魔している」オープニングテーマ)をメドレーで歌い盛り上げていく。元気で可愛い息のあったフォーメーションダンスも見事で、前列と後列を上手く使っているのも見ていて面白い。

さらに、近年の純情のアフィリアを語る上では外せない、TVアニメ「痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。」(以下、「防振り」)シリーズの楽曲を連続で披露。好評放送中の「防振り2」オープニングテーマ「この盾に、隠れます。」、前作「防振り」のオープニングテーマ「究極アンバランス!」はどちらも冒険感や爽快感のある楽曲で、アニメの映像をバックにしてのパフォーマンスが気持ちいい。

しかも、「究極アンバランス!」では途中からFRAMさんとのコラボステージに。センターで歌い踊るFRAMさんと純情のアフィリアメンバーの息はピッタリで、もし同じ衣装を着ていたら新メンバーかと思えたほど。フェスならではの貴重なステージとなった。

「はじめまして!」と元気に挨拶したFRAMさんは、そのまま「防振り2」のエンディングテーマ「Step for Joy」から、さらに同作の挿入歌はメドレーで歌唱。全編英語歌詞の「As You Wish」はオシャレに、すべて造語歌詞の「Scutum」は独特の響きが魅力的だ。そして、「My Dearest」(ゲーム「ANONYMOUS;CODE」(Switch/PS4)エンディングテーマ)では壮大なメロディにのせて情感たっぷりに歌うなど、さまざまな表情でみんなを魅了した。

続いては、cadodeが日本国内だけでなく海外でも評価の高い「サマータイムレンダ」関連の楽曲を披露。まずは、TVアニメ「サマータイムレンダ」1st エンディングテーマ「回夏」を、スタイリッシュかつ気持ちをたっぷり込めて歌い上げる。曲の世界に入り込んだように歌う姿も印象的だ。

もともと科学アドベンチャーシリーズのファンだったという、ボーカルのkoshiさんは「光栄に思います」と嬉しそうに挨拶。さらに、波の音が流れて「さかいめだらけ」(ゲーム「サマータイムレンダ Another Horizon」(Switch/PS4)エンディングテーマ)を言葉のひとつひとつに思いを込めるように熱唱すると、「ライムライト」では明るく弾けるような歌声を響かせた。

一転して、熱いロックを刻んだのはZwei。「Red Zone」(TVアニメ「テラフォーマーズ リベンジ」エンディングテーマ)でメーターが振り切れんばかりの勢いを見せると、ロングトーンやシャウトも気合たっぷりだ。息も荒く挨拶をしたかと思えば、「拡張プレイス」(ゲーム「ROBOTICS;NOTES」(Xbox 360/PS3)オープニングテーマ)でさらにテンションがあがっていき、熱いシャウトを響かせていく。

MCでは、Zweiといえばの「わっしょい」コール。声出しが解禁されたからこその「わっしょい」コールに、「声っていいね」とボーカルのAyumuさんはしみじみ口にしていた。そして、「純情スぺクトラ」(TVアニメ「ROBOTICS;NOTES」オープニングテーマ)を熱唱。腕を突き上げて気合の声をあげると、なんと曲の後半には客席に降りて歌うパフォーマンスで、みんなと一緒に楽しんでいた。

ライブは小休止。ここでは、科学アドベンチャーシリーズを彩るキャスト陣による朗読劇と、トーク&バラエティコーナーを実施。「ハッカーたちのクロストーク」と題した朗読劇は、牧瀬紅莉栖(CV:今井麻美)、橋田至(CV:関智一)、神代フラウ(CV:名塚佳織)、高岡ポロン(CV:千葉翔也)が時を超えてトークする内容であり、濃いキャラクターたちのセリフや、お互いの時代のギャップを交えたやり取りに随所で笑いが起こる。

朗読劇の後は、4人がトークを展開していく。「ROBOTICS;NOTES」10周年となった2022年に種子島で行われた企画の模様を写真で紹介しつつ、オーディションやオファーのことも言及。オーディションで役が決まったという名塚さんは、最初の候補にフラウは入っていなかったそうだが、演じたくて自らフラウもオーディションテープを送ったのだとか。

一方、関さんや千葉さんは指名だったとのことで、関さんは橋田至のような役をやってもらえるのかどうか聞かれたと振り返っていた。千葉さんは当時まだゲームの主人公をやったことがなくて緊張があったこと、そして2022年にようやくリリースされて嬉しかったことなどを語る。

そして、舞台となった種子島の北部、鹿児島県西之表市 商店街振興協同組合理事・松浦起也氏からいただいたコメントを名塚さんが代読。さらに、科学アドベンチャーシリーズ最新作「ANONYMOUS;CODE」の概要やキャラクターを紹介すると、関さんは気になった単語をいじりつつ興味津々の様子だった。

そんな種子島の特産品詰め合わせをかけたクイズコーナーでは、「2022年の種子島の高校生の人数は?」(正解:481人)や「現在計画されているJAXAの今後の衛星打ち上げ予定の件数は?」(正解:17件)といった問題が出され、より近い数字を答えた千葉さんと名塚さんがそれぞれポイントを獲得。

お題から連想するものを書いて一致した人がポイントを貰える「ハッカー対決思考盗撮」では、「白いものといえば?」「天才といえば?」といったお題に、お互いに探りをいれながら回答していく。その結果、最終的に名塚さんの勝利……かと思われたのだが、スタッフが表示ミスをしてしまったようで、半ば強引に全員が優勝となった。

ライブは後半戦に突入。まずは、「亜細亜に咲く花」として16歳でデビューしてから早7年が経ち、黒の衣装で大人の魅力も漂わせた亜咲花さんが、「夏夢ノイジー」(TVアニメ「サマータイムレンダ」2nd オープニングテーマ)を熱唱。生バンドの演奏にも全く負けない声量のある抜群の歌唱力で、会場を一気に支配していく。

笑顔で挨拶した亜咲花さんは、やはり声出しOKが嬉しいようで、観客に呼びかけては反応する声に嬉しそうな表情を浮かべる。しかし、ライブになるとアーティストとしての顔に早変わり。ライブ初歌唱となった「燈火」(ゲーム「サマータイムレンダ Another Horizon」(Switch/PS4)オープニングテーマ)では、しっとりしつつも芯のあるパワフルな歌声を響かせ、心情を込めたロングトーンも圧倒的だ。

「まだまだいけますか!」と叫ぶと、「Mob's God's」(ゲーム「ANONYMOUS;CODE」(Switch/PS4)グランドエンディングテーマ)、「I believe what you said」(TVアニメ「ひぐらしのなく頃に 業」オープニングテーマ)を続けて披露。熱さをさらにアップした歌声からの、怖さを含んだ世界感の表現はどちらも圧巻で、手を前に出して指をクイクイっと招くような仕草やラストにニヤッとする表情も引き込まれるほどだった。2月10日開催のワンマンライブも声出しOKとのことなので、こちらも要チェックだ。

続いては、彩音さんが亜咲花さんとは対照的な白を基調とした衣装で登場すると、「フェノグラム」(ゲーム「STEINS;GATE 線形拘束のフェノグラム」(PS Vita/PS3/Xbox 360)オープニングテーマ)を歌唱。観客に手を振って嬉しそうな表情を浮かべると、サビでは一段と気持ちが入ったかのように熱く歌い上げる。

そして、「神様のシンドローム」(TVアニメ「ひぐらしのなく頃に 業」前期エンディングテーマ)、「Analogy」(TVアニメ「ひぐらしのなく頃に 卒」オープニングテーマ)、「不規則性エントロピー」(TVアニメ「ひぐらしのなく頃に 業」後期エンディングテーマ)のメドレーで、みんなを「ひぐらしのなく頃に」の世界へと誘っていく彩音さん。激しくインパクトのあるイントロから、新曲「Anagram of Coda」(パチンコ「Pひぐらしのなく頃に 彩」収録曲)では、バンドメンバーの隣に行って一緒にセッションするように歌うなど、彩音さん自身がステージを目一杯楽しんでいた。

松澤由実さんは、デビュー曲「YOU GET TO BURNING」(TVアニメ「機動戦艦ナデシコ」オープニングテーマ)で、26年前と変わらぬ美しく力強い、さらに経験が織りなす魅力も加わった歌声を響かせる。笑顔を浮かべて歌う姿も素敵で、曲後には大きな歓声が会場を包み込んでいた。26年間の感謝を込めてセルフカバー楽曲が配信中とのことなので、当時を知っている人も、バンドメンバーにもいたように26年前はまだ生まれていなかった人も、ぜひ聴いてもらいたい。

初の「MAGES;FES」参加を嬉しそうに語ると、続いてはゲーム「ROBOTICS;NOTES DaSH」(Switch/PS4)オープニングテーマ「trust」を温かく歌い上げる。拳を握り、手を広げ、気持ちを溢れさせる松澤さんは、その清涼感のある美声をみんなの心に届けていった。

ライブはラストスパートとなり、朗読劇では声優として登場した今井麻美さんが、今度はアーティストとして圧巻のステージ。体を反り、完全に世界感に入り込んで歌う「シャングリラ」(ゲーム「コープスパーティー ブラッドカバー リピーティッドフィアー 」(PSP)オープニングテーマ)では、最小限のライティングによる薄暗い中から闇を切り裂くように響かせた歌声も迫力満点で、そこからニヤッとキメ顔をするのも印象的だった。

そんな圧倒的なパフォーマンスを見せる一方で、MCになると「わ〜!元気にしてる?」「みんなの声がするよ〜」とフレンドリーにステージを駆け回るのも今井さんらしい。「朝食べてきたもの」を各々叫ばせては「ひとつもわからなかった!」と笑っていた。

ライブステージになると再び一転。今度は、牧瀬紅莉栖演じた上で感じたことや、キャラクターたちの思いを想像して今井さん自身が作詞したという「Words of GRACE~冬のダリア~」(TV東京「アニメマシテ」2016年2月オープニングテーマ)を披露。スッと引いたところからサビでドンと突き上げる濃淡を見せたかと思えば、訴えかけるような目は吸い込まれるよう。そうやって歌声と表情のすべてを使って表現する姿も、歌い終わって人が変わったかのように元気にはしゃいで去っていく姿もどちらも今井さんらしさいっぱいだった。

本編ラストは再びいとうさんが登場して、みんなの体力を奪い尽くすかのように「聖数3の二乗」(TVアニメ「Occultic;Nine -オカルティック・ナイン-」オープニングテーマ)、「Find the blue」(ゲーム「CHAOS;HEAD」(Windows)オープニングテーマ)のをメドレーで披露。

「みんなで祭りを絶やさないようにしていこうね!」とフェスの楽しさを噛みしめるように語ると、色褪せることのない名曲「スカイクラッドの観測者」(ゲーム「STEINS;GATE」(Xbox 360)オープニングテーマ)で本編を締めくくり、「ありがとうございましたー!!」と腕を高々と突き上げていた。

アンコールを求める拍手……そして「アンコール!」の声。

声出しが禁止となり久しく実際に「アンコール!」と叫ぶことがなかっただけに、観客も最初は言っていいのか?といった感じだったが、その声が徐々に大きくなり会場を覆い尽くさんばかりに。やはり、これがあってこそのアンコールだと思わせてくれる。

その声に応えて、「みんなゆるっとキャンプして盛り上がっていくよー!」と登場した亜咲花さんがTVアニメ「ゆるキャン△」オープニングテーマ「SHINY DAYS」を歌い始める。スクリーンに映し出された映像で、ちゃんとテントも飛んでいたのが楽しい。2番になるといとうさんと彩音さんが加わりハーモニーを響かせると、ほかの出演者も集結してみんなが一体となる最高に楽しいステージに。最後は生声で感謝の気持ちを伝え、約3年ぶりの開催&声出しOKで盛り上がった「MAGES;FES 2023」を締めくくった。

「MAGES;FES 2023」セットリスト

01. Hacking to the Gate/いとうかなこ
02. GAME OVER/いとうかなこ
03. La*La*Laラボリューション~S・M・L☆(メドレー)/純情のアフィリア
04. この盾に、隠れます。/純情のアフィリア
05. 究極アンバランス!/純情のアフィリア、FRAM
06. Step for Joy/FRAM
07. As You Wish~Scutum/FRAM
08. My Dearest/FRAM
09. 回夏/cadode
10. さかいめだらけ/cadode
11. ライムライト/cadode
12. Red Zone/Zwei
13. 拡張プレイス/Zwei
14. 純情スぺクトラ/Zwei
<ボイスドラマ>
ハッカーたちのクロストーク/牧瀬紅莉栖(cv:今井麻美)、橋田至(cv:関智一)、神代フラウ(cv:名塚佳織)、高岡ポロン(cv:千葉翔也)
15. 夏夢ノイジー/亜咲花
16. 燈火/亜咲花
17. Mob's God's/亜咲花
18. I believe what you said/亜咲花
19. フェノグラム/彩音
20. 神様のシンドローム~Analogy~不規則性エントロピー(メドレー)/彩音
21. Anagram of Coda/彩音
22. YOU GET TO BURNING/松澤由実
23. trust/松澤由実
24. シャングリラ/今井麻美
25. Words of GRACE~冬のダリア~/今井麻美
26. 聖数3の二乗~Find the blue(メドレー)/いとうかなこ
27. スカイクラッドの観測者/いとうかなこ
<ENCORE>
28. SHINY DAYS/全員

MAGES;FES 2023 公式サイト
https://mages.co.jp/magesfes2023/

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