2023年5月11日、京都精華大学のキャリア教育科目「クリエイティブの現場」にて、ゲームクリエイターの水口哲也氏をゲスト講師に招いた特別講義が行われた。

「Sky 星を紡ぐ子どもたち」などを手掛けたことで知られる開発スタジオ・thatgamecompany。同社は後進の育成にも意欲的で、ジャパン・ブランド・リードを務める水谷立氏が、京都精華大学で「クリエイティブの現場」という講義を行っている。

この講義にて、最先端のクリエイターやクリエイティブ企業のプロデューサー・経営者などを講師に招いての全4回の特別講義が2023年4月13日より開講。今回の講義は3回目で、数多くの話題作を手掛けてきたゲームクリエイターの水口哲也氏が、自身の作品づくりやプロデュース論などについて語った。

特別講師を務めた水口哲也氏。
Enhance Experience代表、Synesthesia Lab主宰、Keio Media Design教員などを務める。

本講義の講師である水谷立氏は、2001年に発売された水口氏の「Rez」に強い影響を受けたそうで、本作に出会ったことがサウンドデザインの道に進むきっかけのひとつになったという。現在でも水口氏のクリエイティブには強い共感を覚えていて、画家のWassily Kandinsky(ワシリー・カンディンスキー※)の作品と共通する要素があると考えているそうだ。

※20世紀前半にドイツ、フランスなどで活躍した画家。抽象絵画の創出と発展に大きく寄与した。

現在、水口氏が代表を務めているEnhance Experience(エンハンス・エクスペリエンス社)はゲームの開発も行っているが、目標として掲げているのは「エクスペリエンス(体験・経験)の拡張」で、体感型デバイス、空間設計、メディアアートなどゲーム以外のさまざまな分野でも活動している。

ここで水口氏がキーワードとしてあげたのが「シナスタジア」という言葉だ。「音を聞いて色をイメージする」、「絵画や映像から音楽を感じる」など、ひとつの刺激から複数の五感的感覚が引き起こされる現象のことで「共感覚」とも呼ばれる。この共感覚的な体験の追求を水口氏はライフワークとしており、自身が主催するSynesthesia Lab(シナスタジアラボ)でもさまざまな実験的プロジェクトを行っている。

こう言うと何やら難しそうだが、シナスタジア的なものは誰もが体験したことがあるもので、たとえばノーベル物理学賞を受賞したリチャード・P・ファインマンは、幼いときから数字に色を感じていたという。これは先天的なものだが、夕立のあとのアスファルトの灼けるような匂いから子どもの頃の記憶が想起された、あるいは音楽にインスピレーションを覚えて絵を描いてみたといったような体験を持つ人は案外いるのではないだろうか。

このように記憶や体験と感覚のインプットは常に共鳴関係にあり、日常的に行われていると水口、水谷両氏は言う。さらに水口氏は、そうした複合的な刺激が結びついた体験は自身の深いところに刻まれ、より深い感動を得られると考えているそうで、テクノロジーが進化してそうした体験設計が可能になれば、新しい感動的な体験を作っていけるのではないかと語った。

「セガラリーチャンピオンシップ」、「スペースチャンネル5」を手掛ける

ここからは水口氏がこれまでのキャリアを振り返りつつ、自身のクリエイティブについて語った。水口氏は1990年にセガに入社するが、80年代の終わりごろからすでに「バーチャルリアリティー」と呼ばれるもののさわりがチラホラ見え始めていたという。

ただ、当時のゲームはまだ2Dの時代だった。セガ入社時から3DCGやVRを志向していた水口氏は、セガの携帯ゲーム機「ゲームギア」を分解してヘッドマウント型のデバイスを勝手に自作(下の画像を参照)。セガの役員会に持っていったが、「早すぎるんじゃないの」とだけ言われて、まったく相手にされなかったそうだ。

発泡スチロールに基盤やハーフミラーなどを組み込んで作ったという自作のヘッドマウント型デバイス。
これでテレビを見たりゲームをプレイしたりすることができたという。

そんな水口氏がセガで初めて手掛けたゲームが、実在のラリーレースを題材としたアーケードのレースゲーム「セガラリーチャンピオンシップ」(1995年)で、リアルタイムで展開する美麗な3DCGやリアルな筐体の挙動などが話題を集めた。さらに、画面のモーションに合わせて本物のラリーマシンが稼働するという大がかりな体験型のアトラクションを制作しており、かなりのコストがかかったと思われるが、「(当時は)こういうことが平気でできた」そうだ。

実際、この時期のゲームはアーケードがテクノロジーのトップランナーだった。セガでもアーケード向けのゲームはハード面でもコスト面でもほとんど制約がなく、ゼロからスクラッチで何でも作れたので面白いことができたと水口氏は笑った。

やがてテクノロジーの中心は家庭用ゲーム機へと移っていったが、そうした時代に水口氏が手掛けたのがミュージカルテイストを取り入れた音楽ゲーム「スペースチャンネル5」(1999、2002年)だ。それまでの音楽ゲームは矢印などの画面の指示どおりに入力していくというものが定番だったが、水口氏はそうした従来のスタイルはやめようと提案。身体の動きをトレースしていくという斬新なシステムを生み出した。

本作は世界的なスーパースターであるマイケル・ジャクソンさんの登場も話題になったが、その経緯についても振り返ってくれた。マイケルさんは大のセガファンで、本作への出演を自らオファーしてきたというが、連絡が入ったのは開発アップのわずか1カ月前だったとか。当然、大きな変更を入れるのは難しく、困った水口氏らはカッコ悪いダンスをしながら登場してきて救出されるチョイ役ならと回答したそうだ。

これはマイケルさんが断ってくれることを期待しての苦肉の策だったという。ところが、「それでもいいから出してくれ」とマイケルさんが頼んできたため、もはや断ることはできず、現場は大変なことになったそうだ。やがてマイケルさんから音声データが送られてきたが、ゲームのテンションとまったく合っておらず、天下のマイケルさんにダメ出しをするハメになり、終始冷や汗を流しっぱなしだったと水口氏は笑いながら語った。

「Rez」の開発で新境地を開拓、シナスタジア的な体験作りがライフワークに

続いてリリースしたのが、敵を撃破することでリズムやサウンドを刻んでいく独特の音楽ゲーム「Rez」(2001年)だ。本作を開発する際、水口氏には「ゲームを遊んでいる感覚から音楽を演奏している感覚に体験が変化していく。そうすることでゲームが持っている面白さという体験に音楽の気持ち良さを加えられないか」と考えていたという。そこには「人間が先天的に知っているリズムが共振する気持ちよさを引き出して、ゲームと融合することができたら新しい体験を作れるのではないか」という狙いがあったそうだ。

ただ、最初は乱暴な発想だとも感じていたようで、このコンセプトを実際にゲームの形にするのは、かなり苦労したという。それでも、試行錯誤を繰り返したことで、だんだん可能性が見えてきて、ついに完成までこぎつけることができたと振り返った。これをきっかけにシナスタジア的な体験作りをいろいろな形で試してみたいと考えるようになったそうで、本作の制作は水口氏にとってターニングポイントとなったと言えるだろう。

このシナスタジア的体験をパズルゲームにしたらどうなるかという発想から生み出されたのが、PSPのローンチタイトルになった「ルミネス」(2004年)だ。ブロックの色を合わせて四角形を作っていく落ちものパズルゲームとテクノやトランスなどのサウンドを組み合わせた作品で、画面の左から右に動くタイムラインが通過すると揃えたブロックが消えるというのが特徴となっている。

このシステムはライブなどで演者が観客に呼びかけ、それに観客が応えるコールアンドレスポンスの掛け合いを再現しようとしたものだという。自分がセットしたものがシステムによって消されていく、その繰り返しが気持ちよさを生むのではないかという仮説から作ってみたのだと水口氏は説明した。

「Rez」も「ルミナス」も、「なぜ人間は音楽で感情が揺さぶられるのか」というのを要素ごとに因数分解しつつ深く掘り下げていったものだが、そこにはかなりの産みの苦しみもあったようだ。しかし、トライアンドエラーの過程で「これならいけるんじゃないか」というものを見つけ出し、それをくみ上げていく自身のスタイルが生まれていったと水口氏は語った。

これを機に、音楽のプロデュースもやってみたいと考えるようになったそうで、Lumi(ルミ)という架空の女性がボーカルを務める音楽ユニット「Genki Rockets(元気ロケッツ)」(2006~2012年)を結成している。さらにシューティングと映像、音楽を融合させた「Rez」の精神的続編「Child of Eden」(2011年)を制作。Xbox 360のキネクトやプレイステーション3のPS Moveを使った操作が可能になっていたが、これが本作の一番の狙いで「コントローラーを一切使わないでゲームを作れないか」というのがスタートだったと振り返った。

「Rez infinite」、「テトリス エフェクト」で新たなシナスタジア体験を生み出す

こうした過程を経て生み出されたのが「Rez」をVR化した「Rez infinite」(2016年)である。PlayStation VRなどの登場によりVRが世間の注目を集め始めた時期で、「待ちに待ったVRの時代がついにきてくれた」という感慨があったそうだ。

オリジナルの「Rez」について、水口氏は「2000年のゲームのテクノロジーでは、自身がイメージしていたものは一部分しか体現できなかった」と述懐。頭の中では360度の世界をイメージしていても、それを4:3のテレビ画面の中にしかおさめることができず、「フラストレーションがあった」と明かしている。そして、「時代が変わったら新しい体験にアップデートするぞ」と、ずっと思い続けてきたそうだ。

その思いが凝縮されたのが新たに追加されたステージ「Area X」だ。最新の技術を今の若いクリエイターたちと一緒に使えば、どんなシナスタジア体験が生み出せるか。音楽に合わせて量子的世界がさまざまに変化していくという抽象的な世界観をVRで体験させられないかと考え、追及したと水口氏は語った。

さらに、研究開発の一環で「シナスタジア・スーツ」と呼ばれる全身スーツを制作。スーツ内に26個もの振動素子が装着されていて、音楽に合わせてこれらが振動するというもので、「音を触覚に変える」、「音楽を全身で聞けるようにする」ということを目的に制作したのだという。しかも、全身で一律に聞くのではなく、ドラムは足、ハイハットは肩といったように部位によって振動の仕方が異なっており、そうした効果によって新しいシナスタジア体験を作れないか実験してみたそうだ。

作ってみたら面白かったので「Rez infinite」のプロモーションの一環としてユーザーにも体験してもらったが、あくまで研究開発が目的だったとのこと。こうした水口氏のアグレッシブさについて、「セガでゲームギアの改造をしていた新人時代と衝動としては同じなのでは?」と水谷氏が質問したところ、水口氏は苦笑しつつ同意。ただ、商業的なプロジェクトも大事だが、こうした活動も新たな実験や研究に繋がっており、いつか大きなものになっていくのではないかという理想を持ちながら続けているとも語っていた。

こちらがシナスタジア・スーツ」。
スーツ内に装着されている振動素子が「Rez Infinite」のシナスタジア体験をより高めてくれる。

ここで、水口氏は「ゲームを作る仕事をしていて幸せなのは、体験自体は同じでも新しい技術で作れば新しい体験をさせられるようになること」と説明。昔遊んだゲームはシンプルだが今でも面白く、ただ解像度を上げて映像を強化しただけでは感動は変わらないし、面白さにもさほど影響はしない。しかし、作り方を変えれば、体験自体を今の時代にアップデートできると思うようになったそうだ。

VRゲーム「テトリス エフェクト」(2018)には、そうした考えを実験的に証明したいという思いがあったという。「テトリス」という世の中のほとんどの人が知っていて、誰もが一度は遊んだことのあるパズルゲームをどうすれば進化させられるか。自身が得意とするシナスタジアで「テトリス」に新しい感動体験を生み出せるかというテーマを思い立ち、そこにチャレンジしてみたいという気持ちが沸き上がっていったと開発の経緯を語った。

さらに水口氏を後押ししたのが、「テトリス」の版権を持つヘンク・ロジャース氏だ。ヘンク氏は「テトリス」の魅力は「上手い人が集中してプレイすると、頭で考えるのではなく体で反応する、いわゆるゾーン状態に入れる」ことにあると考えていて、このゾーンやフローという状態を音楽の力で拡張できないかという話を水口氏にしたことがあるのだという。そこで、水口氏はアートディレクターやサウンドデザイナーらと2年もの歳月をかけて話し合い、いろいろアイデアを出し合った結果、「もしかしたらできるかもしれない。でも、やるなら2次元ではなくVRでやるべき」という結論にいたったそうだ。

そうして生み出されたのが「テトリス エフェクト」の世界だ。最初は深海のような音も何もない世界だが、ブロック積み上げて消すというのを繰り返すことで、少しずつ音楽が生み出されていく。その音楽に合わせて魚が寄ってきて光ったり動いたりして、音楽とのシンクロショーのようなものが始まる。さらに、魚が大きなマンタにトランスフォームし、音楽にボーカルが入るとクジラになって周囲を回り始めるといった映像がVRで展開されるのだ。

ゲームに集中していると気が付きにくいが、このような世界がプレイ中に視界に入ってきて、ふと周りを見ると、いつのまにか宇宙に出ていて地球を見下ろしている。音楽とともに少しずつ変化していく物語、ナラティブというべきもので、それをVR化することで本当にそこにいるような体験を得られるわけだ。それは2Dでの体験とは大きく異なっていて、しかもその体験は自分の指先での操作ですべての展開が生まれる。自分のプレイがその世界を作っている――そう感じさせることができたとき、これまでとは違うものを生み出せたような気がしたと水口氏は語った。

このような話だけではイメージしづらいが、実際のプレイでは音楽の力がものすごく強く感じられるという。音楽にはストーリーがあり、歌詞にはメッセージがあり、歌声は魂をゆさぶり、旋律は感情の変化を生み出すと水口氏は説明。そうした音楽の持つ表現の豊さを、どのようにしてゲームとしての体験に織り込んでいくか。そこがすごく楽しくて、やりがいがあるとうれしそうに語った。

「テトリス」とジャズピアノを組み合わせたようなステージも盛り込まれている。ミュージシャンの矢野顕子さんとジャズピアニストの上原ひろみさんの2台のピアノでの共演をライブで見て感動したのがきっかけだったとのことで、実際にピアノを弾いているような気持ちよさ、感覚を再現できたとのことだ。

ただ、こうした感覚は実際にプレイしてみないと実感できないもので、言葉や映像だけでは伝わりにくく、そこでいつも苦労しているそうだ。最近は「新しい体験は口ではどうやっても伝えられない」と考えるようになっていて、「プレイしてみてくださいと言うしかない、それでよしとしよう」と割り切っていると苦笑いしつつ語った。

人間が群衆になったときどうなるのか、深いメッセージを込めた新作「HUMANITY」

2023年5月16日発売の「HUMANITY」の紹介も行われた。犬を操作して群衆を導いていく独創的なパズルアクションで、NHK教育番組「デザインあ」の演出やユニクロのCMのデザインなどで知られる中村勇吾氏とエンハンスが共同で開発。完成まで5年もの歳月を要したという。本作を制作するきっかけとなったのは中村氏が制作したデモで、これを見た水口氏は「ゲーム化しましょう」と提案、自らプロデューサーを買って出たそうだ。

そのデモは、鳥や魚といった群衆で動くもののシミュ―レーションを人の群れで行なうというもので、人にはいろいろな多様性があって飛んだり跳ねたり歩いたりしていたという。感銘を受けた水口氏は、これを群衆パズルゲームみたいなものにできないかと思い立ち、いろいろな基礎実験を行った結果、「これはいける」となったと水口氏は語った。

ゲームは一匹の柴犬が、意志を失ってしまった人間たちをナビゲートしてゴールまで導くというもので、いろいろなパズル面が出てくるが、ただのパズルではないという。タイトルにもなっている「HUMANITY=人間性、人間らしさ」が群衆になったときにどうなるのか。人間というのは、ひとりひとりはいい人でも、集団になるとちょっと変なことをしたりするもので、それがエスカレートすると戦争になってしまったりする。その感じをストーリーやナラティブとして組み込みたいという考えがあったと明かした。

実際、ゲーム中には「GOLDY」という巨大な金色の偶像が出てきて、人間たちはなぜかそれを取り合う。その取り合いがエスカレートして争いになっていくのだが、なぜそうなってしまうのだろうという疑問の答えが、ストーリーとしていろいろ出てくるようになっている。単にパズルをやって終わりではなく、どこかに深いメッセージも込めたエポックメイキングなものを作りたかったそうで、とくに武器を取ることになる最初のアクションは軽くしたくないという思いがあったとのことだ。

ここで水谷氏が「水口氏の作品はいずれも物語、ナラティブを表現しようとしていると感じるが、そこにはどのような思いがあるのか」と質問したところ、水口氏はかつて「ゲームで泣いたことがあるか」と聞いてみたら、誰も手を上げないということがあったという逸話を披露。映画や音楽で泣く人はたくさんいるが、ゲームでは泣けないのはなぜなのか。ゲームは決定的に泣けないものなのか、それともそこまでの表現力がまだないのかと悩んだ時期があり、「絶対に泣かせたい、感動させたい」と思いながらこれまで続けてきたという。

だが、同じ質問を今の人にしたら、ほとんどの人が手を上げるようになっていて、ゲームはそれだけの解像度や表現力を持ちつつあると説明。技術的にも単にゲームの間にムービーを流すだけではなく、ゲームをプレイしながら織り込まれたストーリーを体験していくというものが生まれてきていて、自身もどちらかというと後者を志向しているそうだ。それは音楽を中心に考えているからで、音楽の持っている力を体験に織り込むことで、その音楽性やメッセージ性が体験的に刻まれていく。そうした形でナラティブを体験させたいと説明した。

テキストを使わずにゲームでプレイヤーを泣かせることができるか?

かつてはゲームに物語を織り込む際に映画的な手法が多用されていて、映画を後追いしているゲームクリエイターも多かったが、今はもうそんなことはなく、むしろ映画にはできないことをやろうとしているという。

映画は今も四角いフラットなスクリーンに映して、上映時間はだいたい2時間くらい、ストーリーは1本の線として展開されるなど制約が多い。それはそれで感動的で新しいものがたくさんがあるが、ゲームはインタラクティブが基本にあればどんなことでもできる。後発のメディアであるがゆえに自由であるし、いい意味で新しいし、何をやってもいい。そうした自由度がゲームにはあるとのことだ。

講義のあとに行われた質疑応答でも「ストーリーがないゲームでも泣かせることは可能か」という質問があり、水口氏は「まさにこれがやりたいこと」で、文字やテキストなどを使わずに泣かせられないかと常に考えていると即答。抽象的な表現でもそれは可能だと思っていて、そのためにはプレイヤー自身が投影できる隙間、スペースを意図的に作ることが大事だと感じているそうだ。そこに相手を感情的に引っ張り、感動を生み出すという部分との共通性があり、その先に何があるのかといつも考えていると語った。

「芸術を感じたゲームはありますか」という質問も出された。学生の頃はゲームが芸術だとは思えなかったという水口氏だが、そんなときに出会ったのが「Xenon(ゼノン)2」というゲームだった。The Bitmap Brothers(ビットマップブラザーズ)というイギリスのクリエイターチームが開発した縦スクロールのシューティングゲームで、音楽のアルバムのようなパッケージやヒップホップのサウンドが非常にカッコ良く、これがゲームを意識し始めるきっかけになったそうだ。

一方、水谷氏が初めて芸術を感じたゲームとして、「テトリス」とともに挙げたのがタイトーの「QIX(クイックス)」だ。1980年代の初めにアーケードで人気になった陣取りゲームで、線と色でエリアを分割していき、それが時間経過とともに変化していくというところにアート性を感じたそうで、現在の「スプラトゥーン」に繋がっているのかもしれないと語っていた。

最後の質問は「嗅覚も使うことができれば、より没入感のあるゲーム体験ができるのではないか」というもの。水口氏は個人的意見と断りつつ、匂いはちょっと難しいのではないかと回答。匂いは共通の感覚にするのが難しく、たとえばバラの匂いはイメージではよさげだが、実際に嗅いでみると「なんだ、これ」と思う人が多いそうだ。

匂いを使った実験的アトラクションも作られたことがあり、水口氏も体験したことがあるそうだが、スクリーンに女性がでてきたときに空間に漂ってきた香水の香りが、自分にはひどい匂いに感じたという。このように匂いはかなり感じ方に個人差があるため、これを埋めるのは難しいのではないかと述べた。

一方、触覚は感じ方に共通性があると考えているそうで、一例として水口氏も関わったチェア型の知覚装置を紹介。椅子に44個もの振動子が繋がれているというもので、まだ各家庭に置けるようなレベルのものではないが、ユーザーを体験したことがないようなゾーンに引っ張っていく力があり、そのあたりから攻めてみたいと語っていた。

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