機兵とドラゴン」をレビュー。ヒットメーカー森山尋氏によるバトルロイヤル型のリアルタイム・ストラテジー。「運命共同体バトル」と銘打たれたその内容はどのようなものか? 本稿で詳しく紹介する。

目次
  1. オート移動する拠点を守りつつ戦うオリジナリティの高いストラテジー
  2. 4チームの中で生き残りを目指すバトルロイヤル
  3. 毎回ゆ~るく対戦!変化する展開と裾野の広さが魅力の一作

「機兵とドラゴン」は、DONUTSからリリースされたスマートフォン向けのリアルタイム・ストラテジー。これまで人気作を手掛けてきた森山尋氏の最新作なだけあって、リリース前から楽しみにしていた人も多いのではないだろうか。そんな本作、一般的なゲームジャンルとしてはリアルタイム・ストラテジーに該当すると思われる。ただ、公式に銘打たれたジャンル名は「運命共同体バトル」。実際にこの名が示す通り、リアルタイム・ストラテジーの中でも一風変わったものに仕上がっている。

他プレイヤーとの協力や運要素によって毎回変化に溢れた対戦が楽しめる!「機兵とドラゴン」レビューの画像

オート移動する拠点を守りつつ戦うオリジナリティの高いストラテジー

ゲームシステムの基本は、拠点である「ウキシマ」から「機兵」という戦闘ユニットを繰り出し、敵の「ウキシマ」破壊するというもの。もちろん、自分の「ウキシマ」が破壊されればそこで敗北。自軍拠点から戦闘ユニットを召喚し、敵拠点破壊を目指す…という大まかな内容は、ディフェンスゲームなどのリアルタイム・ストラテジーを踏襲しているといっていいだろう。ただ、リアルタイム・ストラテジーとは異なる本作独自の点が多数盛り込まれている。

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本作独自の点のひとつめが、拠点である「ウキシマ」は常に移動し続けるという点。自分の「ウキシマ」も動くし、敵の「ウキシマ」も動く。動き続ける「ウキシマ」に対し、ユニットである「機兵」はどう動くのかというと、「ウキシマ」を中心にした一定範囲を移動して戦闘行動を行う。ラインディフェンスゲームのように、ひたすら敵拠点を目指すわけではない。

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このため、敵「ウキシマ」を倒すためには自分のウキシマ自体を接近させなければならない。ただ敵も移動できるので、逃げられてしまうこともある。もちろん、敵に襲われた際、自分たちが逃げ出すことも可能だ。

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では、どうやって「ウキシマ」を操作するのかというと、基本的にはオートとなっている。プレイヤーは「ウキシマ」の操作をする必要がなく、「機兵」の召喚を行えばOK。ただし、「攻撃」「探索」「逃げる」というおおまかな指示を行うことはできる。本作におけるプレイヤー操作のメインは、手札からカードを繰り出すこと。カードの内容は、戦闘ユニットである「機兵」や、スキル的な効果を持った「ドラゴン」といったもの。加えて「ウキシマ」への指示もカードとなっている。

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カードは手持ちの中から4枚が手札として選ばれ、その中から使用するかたち。なので、いつでも自由に「ウキシマ」への指示ができるわけではない。敵「ウキシマ」から逃げたくとも、手札内にカードがなければ不可能。つまり、立ち回りは運の影響を受けることになる。

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本作をプレイして、筆者はこの「運の影響」が本作のコンセプトであるように感じた。詳しくは後ほど説明するが、本作は様々な要素にランダム性をからめており、結果としてゆる~く対戦が楽しめるようになっている。

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じゃあ、本作は運ゲーなのか…というと、そんなことはない。プレイヤーの実力が反映される部分もしっかり用意されている。その代表的なものが「機兵」。「機兵」は、カードから召喚する戦闘ユニット。ディフェンスゲームなどにおける戦闘ユニットに近い存在だが、一般的なディフェンスゲームとは違い、1プレイヤー1体しか召喚できない。別の「機兵」を呼び出すと、召喚中の「機兵」は消えてしまう。

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「機兵」には火、水、風といった属性に加え、「攻」「防」といったタイプが設定されている。属性は火は風に強く、風は水に強い…といったかたちで「機兵」同士の強弱の相性に影響を与える要素。一方タイプは、「機兵」の行動方針に影響を与える。「攻」の場合、敵の「ウキシマ」を積極的に狙うが、「防」の場合、敵「機兵」の攻撃を引き付けることで自軍「ウキシマ」から攻撃を逸らすようふるまう。

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「機兵」が一般的なストラテジーにおける戦闘ユニットなら、「ドラゴン」はスキルカードや魔法カードのようなものといえる。「ドラゴン」カードを使用すると「ドラゴン」が召喚されるが、敵から攻撃対象となることはなく、一定時間経過で消えてしまうからだ。

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「機兵」や「ドラゴン」、「ウキシマ」への指示…といったカードの特徴を踏まえた上で、現在の状況に対して適切なカードを繰り出すことが、プレイヤーの仕事。確かに手札の内容はランダムだが、その中でもベターな立ち回りを考えることはできる。敵「機兵」が攻撃を仕掛けてきた際、「ウキシマ」に「逃げる」という指示を与えるのがいいのか? それとも敵「機兵」に対して相性のいい「防」タイプの「機兵」を召喚すべきか? 手札の中から最も有効な手を考えることになるわけだ。

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4チームの中で生き残りを目指すバトルロイヤル

本作独自の点は他にもある。バトルロイヤルという点と、ジャンル名になっている「運命共同体バトル」という点だ。

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本作の勝利条件は、4チームの中で生き残りを目指すこと。最後の1チームになれば勝利。バトルフィールドは時間経過とともに縮小していき、必然的に他チームと争うことになる。つまり、バトルロイヤル形式だ。なお、もし制限時間内に最後の1チームが決まらなかった場合、それまでに獲得したスコアによって順位が決定する。

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バトルロイヤル形式に準じているのは勝敗条件だけではない。ゲーム展開もバトルロイヤル的。ゲーム開始時は各チームがフィールドの4隅からスタートするため、プレイヤー同士の戦闘は発生しない。その代わり、チビドラやデカドラ、チビドラの巣といったフィールドエネミーとの戦いが発生する。

これらの敵を倒すと、パーツをゲットして「ウキシマ」を育成可能。ゲームが進むとプレイヤーによってフィールドエネミーのほとんどが倒され、同時にフィールドも縮小することによってプレイヤー同士の戦闘になる…という展開だ。育成から始まり戦闘で決着をつけるというゲーム展開は、バトルロイヤル形式のゲームをプレイしている感覚をしっかり味わわせてくれる。

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また、各チームは最大3人のプレイヤーで構成される。つまり1ゲームに参加するのは、最大3人×4チーム=12人。「ウキシマ」の数は1チームにつき1つなので、1つの「ウキシマ」を3プレイヤーで共有するかたちとなる。これが「運命共同体バトル」と銘打たれている理由だ。

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最大3人と書いた通り、「ウキシマ」に乗り込むプレイヤー数は1~3人の間で変動する。ゲームモードの時点でプレイヤー数ごとに分けられており、「トリオ」なら3プレイヤー、「ソロ」なら1プレイヤーが「ウキシマ」へ乗り込む。「機兵」や「ドラゴン」は1プレイヤー1体ずつ召喚できるので、「トリオ」の方が画面はにぎやか。ただ「トリオ」の場合、「ウキシマ」への指示は多数決の投票によって確定するという形になる。このため、確実に自分の思った通りの立ち回りができるかというと、そうではない。「他のプレイヤーの意志に戦闘のゆくえが左右される」という意味では、これもひとつの運要素といえるだろう。

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毎回ゆ~るく対戦!変化する展開と裾野の広さが魅力の一作

本作独自の最後のポイントが、「機兵」「ドラゴン」「ウキシマ強化パーツ」といったバトルへ持ち込む要素がランダムで選ばれることだろう。ストラテジー系のゲームの場合、ユニットの行動や召喚がオートだったとしても、ユニットの編成についてはプレイヤーが取得で行うことが多い。相手のユニット編成から戦い方を想定し、自分の立ち回りを考え、それに最適なユニットを編成する。これこそがまさに「戦略(=ストラテジー)」。ジャンル名的にメインの部分といえるからだ。

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一方で本作は、そんなユニット編成をランダム化している。一応、「補欠」というかたちで抽選に含めない要素を消去法的に指定することは可能。また、5回まで抽選をやり直すこともできる。ただ、編成を固定することはできない。つまり、事前にゲームの展開を推測して手を打つ「戦略」より、本番の情況に応じてどう手を打つかという比重が高くなっているのだ。先に書いた通り、筆者はこうした点こそ本作のコンセプトではないかと考えている。

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一般的に対戦型ゲームでは、運の要素がネガティブなものとして捉えられることが多い。これは「対戦型ゲームの勝敗は、プレイヤーの技術によって決まって欲しい」という考え方によるものだろう。この考え方は筆者も共感できる。極端な話、サイコロの出目だけで勝敗が決まるのなら、努力のしようがない。どんな立ち回りをしても運が良ければ勝てるし、そうでなければ負ける。そうなると、自分の意志をプレイに反映させる意味がない。究極的には操作をする意味もないといえる。しかしながら、運の要素は必ずしも対戦型ゲームをつまらなくするわけではない。運の要素があることで、展開に変化が生まれるからだ。

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趣味によって変わる部分もあるだろうが、大半のユーザーが、固定された展開をつまらなく感じるだろう。「ユニットA、B、Cの3体で編成し、序盤はこのパラメーターを強化して、終盤このスキルを使えば勝ち確定」といった具合に最適解が固定された展開は、どうしたって作業になってしまう。

誰がやっても展開が固定されるのであれば、これもまた究極的には操作をする意味がないといっていい。そして現在は、攻略サイトやSNS、動画サイトによってこうした最適解が一気に広まってしまう環境でもある。誰もが最適解を知り、誰もが同じような編成、同じような立ち回りをするという対戦環境は、はたしておもしろいだろうか?

…そう、こうした状況の解決策のひとつが、ランダム性なのだ。たとえば本作のように編成がランダムであれば、毎回、最適解の編成で戦うということはできない。初心者で保有ユニットの少ないプレイヤーも、ベテランで強力ユニットを多数保有するプレイヤーも、その都度、ランダムな編成に合わせて立ち回りを考えなければならなくなるのだ。

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立ち回りに他のプレイヤーの意志や運を影響させることで、本作は固定された展開を避け、毎回変化させることに成功している。これによって、初心者プレイヤーにも勝利のチャンスが生まれており、結果的にカジュアルに、ゆる~く楽しむことが可能だ。あらかじめゲームのプレイ時間を用意してガッツリ楽しむのではなく、ちょっとしたスキマ時間に遊ぶことの多いスマートフォン向けゲームでは、この「ゆる~く楽しめる」という点は重要だと思う。

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では、本作はプレイヤースキルを磨くようなプレイスタイルを否定しているのか…というと、そんなことはない。「ゆるさ」を許容する一方で本作は、プレイヤースキルが影響する部分も大きい。確かに編成や手札がランダムなので、運の悪さから負けてしまうことはある。しかし、現在の状況を判断する力と、手札の中から最善手を見出す力が優れていれば、勝率そのものは高くなるはずだ。

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ゲームの魅力とは基本的にそのタイトルの持つゲーム性の部分に宿るが、他プレイヤーと対戦してナンボという対戦ゲームの場合はプレイヤー人口も魅力のひとつ。そう考えると、カジュアルにも楽しめるし勝率を追求する楽しさもある、裾野の広さを持った本作は、魅力的なタイトルではないだろうか。

もちろん、まだリリースから間もないため、完璧なゲームバランスとは言えない。キャラクターのバランスのみならず、運とプレイヤースキルのバランスについてこれから調整が入る部分も多いだろう。ただ筆者としては、今後を含めて可能性を感じたので、しばらくプレイを続ける予定だ。対戦ゲームやストラテジーに興味があるなら、本作を是非試してみてほしい。

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ホラーに特化してゲームを作るインディゲーム作家。インディゲームデベロッパー株式会社ワーを一人でやってます。クリエイターとしてゲームライターとして講師として、そしてもちろんいちゲーマーとしてゲームとともに生きています。

※メーカー発表情報を基に掲載しています。掲載画像には、開発中のものが含まれている場合があります。

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